血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2026年1月8日木曜日

ご注意!怪しげな情報な惑わされない-1.2026年1月日本の梅毒関連ワードが中国で相次ぎトレンド入り、これは何を意味するのか?-

 中国国営の新華社は2026年1月5日、日本で梅毒の感染者数が増加しており、4年連続で1万3000人を突破したと伝え、その他の中国メディアや中国のSNS・微博(ウェイボー)に置いても、日本国内の梅毒増加を伝えつつ、意味不明な報道やスレッドが立っています。

今回このことについて医学的疫学的観点から分析してみたいと思います。

結論から申し上げますと、この記事は**「実際の統計データ」をベースにしつつも、ネット上の極端な現象を「日本の一般的なトレンド」として大げさに解釈・拡散したもの**と言えます。


1. 感染者数の統計について(信憑性:高い)

記事にある「4年連続で1万3000人を突破」「2023年に1万5000人超」という数字は、厚生労働省(国立感染症研究所)が発表している実数値と概ね一致しています。

2022年: 約1万3,000人(1999年以降で初めて1万人超え)

2023年: 約1万5,000人

2024年〜2025年: 高止まりの状態が継続

このように、日本国内で梅毒が流行していること自体は、公的データに裏付けられた事実です。


2. 「梅毒をさらす」「梅毒メイク」について(信憑性:極めて低い・誤解)

ここが最も注意すべき点です。中国メディアが報じている「集団で梅毒をさらす」「梅毒メイクがブーム」という内容は、実態とはかけ離れた「ネット上のごく一部の特異な投稿」が誇張されたものと考えられます。

実態: 日本で「梅毒メイク」が流行している事実は確認できません。

背景: 中国のSNS(微博など)では、日本の社会問題を極端に切り取って面白おかしく、あるいは批判的に紹介する「炎上系」のニュースが注目されやすい傾向があり一部のSNS上の不謹慎な投稿やフェイク画像を、あたかも「日本の若者のトレンド」であるかのように紹介した可能性が高いです。

3. なぜ中国でトレンド入りしたのか

これには複数の社会的背景が重なっています。

国営メディアの影響: 新華社などの国営メディアが日本の公的統計を報じたことで、情報の信頼性が担保され、拡散の土台となりました。

対日感情と興味: 日本の社会問題は中国のネットユーザーの関心が高く、「日本は乱れている」といったステレオタイプな反応を呼びやすい話題でした。

「地雷系メイク」との混同?: 日本で一部流行した「泣きはらしたような赤い目元」を作る地雷系メイクなどが、文脈を無視して「病的なメイク=梅毒メイク」と誤解・変換されて伝わった可能性も否定できません。

○まとめ:この記事をどう見るべきか○

この記事は**「数字は正しいが、解釈は歪められている」という典型的な「チェリー・ピッキング(都合の良い情報のつまみ食い)」**による報道です。

○事実: 日本で梅毒が増えている。

✕フェイク/誇張: それを若者が誇ったり、メイクにして楽しんだりしている。

中国のネットユーザーの間でも、「自国の方が感染者は多いのではないか」という冷静な声が出ている通り、日本だけが特異な状況にあるわけではないというのが現実的な見方です。

2026年1月3日土曜日

豆知識-寝正月の「こたつ血栓」 片足が痛い人は注意とは-

 「こたつに入って寝正月」。年に一度だけ許された、日本の古き良き伝統!!に伴う健康リスクについて考えてみました。


1. 「脱水」と「不動」の危険な掛け合わせ

こたつは、想像以上に**「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」**を増加させます。

※※不感蒸泄とは、発汗や排尿のように自覚できない形で皮膚や呼吸から絶えず失われる水分のことで、安静時でも1日に皮膚から約600ml、呼気から約300ml失われるとされ、冬の乾燥や発熱時には増加するため、意識的な水分補給が重要でこれは「有感蒸泄(汗など自覚できる水分喪失)」と対比され、特に冬場は脱水のリスクを高めるため注意が必要とされています※※

脱水のメカニズム: こたつで下半身を温め続けると、体温調節のために水分が奪われ、血液の粘度が高まります(ドロドロ状態)。

血流の停滞: 寝正月による「不動(動かないこと)」が加わると、ふくらはぎの筋肉による「筋ポンプ作用」が働かず、足の静脈で血液が固まり、血栓(血の塊)ができやすくなります。

最新の知見: 近年では、座りっぱなしだけでなく「脱水を伴う長時間の加温」が、通常のデスクワーク以上に血栓リスクを高めることが強調されています。


2. 「片足の変化」は体からの緊急サイン

深部静脈血栓症(DVT)の最大の特徴は**「左右差」**です。両足ではなく、片方の足だけに以下のような症状が出た場合は、単なる疲れや筋肉痛と放置してはいけません。

チェックポイント:

1)片方のふくらはぎだけがパンパンに腫れている

2)片足だけが赤黒くなっている、または熱を持っている

3)歩くとふくらはぎに差し込むような痛みがある

致死的な合併症: 血栓が血流に乗って肺の血管に詰まる**「肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」**は、突然死の原因にもなり胸の痛みや急な息切れを感じたら、一刻を争う事態です。


3. 実践すべき「こたつ血栓」予防の3箇条

1月20日の「血栓予防の日」に関連して、最新の医学的エビデンスに基づく予防策をまとめます。

◎積極的な水分補給(アルコール・カフェイン以外): ビールやコーヒーは利尿作用があり、逆に脱水を促進します。こたつのお供には、水や麦茶などノンカフェインの飲料を選び、**「喉が渇く前」**に飲むのが鉄則です。

◎「足首パタパタ」運動の習慣化: こたつに入ったままでも、1時間に一度は足首を上下に動かしたり、指をグーパーさせたりして、強制的に足の血流を流しましょう。

◎温度設定の調整と「脱出」: こたつの設定温度を高くしすぎないこと。また、こたつでそのまま寝てしまうのは最も危険です。定期的にこたつから出て、室内を歩くなど姿勢を変えることが最大の防御になります。

「こたつ」が招く健康リスクをよく理解して日本の冬の風物詩である「こたつ」を楽しみたいものですねぇ。

2026年1月1日木曜日

新年のご挨拶

 輝かしい新年を健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。 「血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋」へお越しいただき、ありがとうございます。


移ろいゆく季節の中で、今年も自分なりの視点と言葉で、日常の断片を記録していければと思います。ここを訪れてくださる皆様との静かな対話が、私にとって何よりの励みです。


新しい年が、皆様にとって希望に満ちた、心地よい旋律を奏でるような一年になりますようお祈りいたします。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。


2025年12月30日火曜日

季節性インフルエンザ特集-13.インフルエンザ流行拡大:自宅でできる5つの感染対策-

 1.ウイルスが生き残れない「温湿度」の黄金比

インフルエンザウイルスは、低温・低湿度の環境で安定し、感染力を長く維持します。

・乾燥した寒い環境: 気温7~8℃、湿度23~25%では、6時間後も約60%のウイルスが生存します。

・加湿の効果: 湿度が50%を超えるとウイルスの生存率は大幅に下がります。

・理想的な環境: 気温を20.5~24℃に上げ、加湿を組み合わせることで、生存率はわず4.2%まで激減しますので部屋を暖め、加湿器や室内干しを活用することが医学的に極めて有効です。


2. 「鼻うがい」による物理的なウイルス除去

ウイルスは鼻や喉の粘膜から体内に侵入しますので鼻うがいは、付着したウイルスを直接洗い流すため、手洗い・うがいと並んで強力な予防策となります。

・医学的メリット: 鼻の奥(上咽頭など)を清潔に保つことで、ウイルスが細胞に侵入する前に体外へ排出できます。


3. 痛くない「正しい鼻うがい」の手順とコツ

鼻うがいの心理的ハードルを下げるには、正しいやり方を知ることが重要です。

・姿勢: 頭を少し前に倒します。

・発声法: 洗浄液を入れる際、「あ〜」と声を出し続けることで、液が喉へ流れるのを防ぐことができます。

・出口: 反対側の鼻から出すのが理想ですが、口や入れた方の鼻から出ても効果に変わりはありません。


4. 安全に行うための2つの注意点

誤った方法は、他の疾患を招く恐れがあるため注意が必要です。

・中耳炎リスク: 鼻と耳はつながっているため、強く吸い込んだり無理に液を回そうとすると中耳炎の原因になります。

・粘膜保護: 鼻の粘膜には本来バリア機能がありますので過度に行いすぎると自浄作用を損なうため、適度な回数を守ることが推奨されます。

※鼻うがいに使う「洗浄液」は生理食塩水を使用します、普通の水を使用すると鼻の粘膜を傷つけ、強い痛みを感じます※

※専用の洗浄液もありますが生理食塩水はドラッグストアで安価U(500mlで240円前後)に求められますので、これをお勧めします※


5. 複合的な「多重防御」の重要性

単一の対策ではなく、これらを組み合わせることが感染リスクを最小限に抑えます。

◎室温・湿度の管理

◎帰宅後の丁寧な手洗い

◎鼻うがいによる物理的洗浄

2025年12月28日日曜日

季節性インフルエンザ特集-12.スーパーインフルエンザ(H3N2亜型 サブクレードK)とは-

 1. 「スーパー」は俗称で真の正体は「進化したH3N2型」

医学的には「スーパーインフルエンザ」という特定の病気があるわけではありません。

その正体は、A香港型(H3N2)から派生した**「サブクレードK(K亜系統)」**という変異株です。

変異の仕組み: ウイルス表面のタンパク質が「抗原ドリフト」と呼ばれる微細な変異を複数重ねたことで、私たちの体が持つ免疫から少し隠れやすくなっています。

毒性は不変: 「スーパー」という言葉から致死性が高い印象を受けますが、医学的な解析では、ウイルスそのものの毒性が強まったという証拠は見つかっていません。


2. 「免疫のすり抜け」による流行の早期化と拡大

疫学的に最も注目されているのは、その**「広がりやすさ」**です。

流行の早まり: 日本では2025年9月、米国や英国でも例年より大幅に早く流行が始まりました。

免疫の空白: 過去数年のコロナ禍でインフルエンザの流行が抑えられていたため、人々の集団免疫が低下していました。

そこへ、既存の免疫を回避しやすい「サブクレードK」が登場したことで、爆発的なスピードで感染が広がったと考えられます。


3. 「関節痛が出にくい」など症状の変化

最新の臨床報告(英国や日本のデータ)では、従来のインフルエンザとは少し異なる症状の傾向が指摘されています。

隠れインフルのリスク: 従来の「高熱と激しい関節痛」という特徴が薄れ、「ひどい咳や鼻水が先行する」、あるいは**「関節痛が少ない(約1割程度)」**といった、風邪に近い症状で始まるケースが報告されています。

重症化リスクの対象: ウイルス自体の性質は変わらなくても、H3N2型はもともと高齢者や乳幼児で重症化しやすい性質があります。流行規模が大きいため、結果として入院患者数が増加する点に注意が必要です。


4. ワクチンの効果は「重症化予防」にあり

今年のワクチン株と流行中の「サブクレードK」には、遺伝子上の「ズレ(ミスマッチ)」生じていますが、ワクチンの価値がなくなったわけではありません。

有効性の維持: 英国の初期データでは、ミスマッチがあっても小児で70〜75%、成人で30〜40%の入院予防効果が確認されています。

部分的な免疫: ワクチンがウイルスを完全にブロックできなくても、体内に入ったウイルスの暴走を抑え、肺炎や脳症などの深刻な事態を防ぐ効果は十分に期待できます。


5. 対策の基本は「冷静な継続」

「スーパー」という過激な呼称に惑わされず、従来の対策を徹底することが医学的に最も有効です。

スピード勝負: 発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザ等)を服用すれば、サブクレードKに対しても十分な治療効果が得られます。

日常生活: 飛沫を防ぐ不織布マスク、手洗い、室内の加湿(50〜60%)といった基本的な防御が、引き続き有効な壁となります。

【参考資料】

https://wired.jp/tag/influenza/


2025年12月25日木曜日

季節性インフルエンザ特集-11.🚨【最新速報】世界的にインフルエンザ流行拡大:米国で「流行閾値」超え、新型変異株「サブクレードK」が主因-

 米国をはじめ世界各国でインフルエンザの活動が本格化しています。最新の疫学データに基づき、現状を医学的・疫学的な視点から分かりやすく解説します。


1. 米国:インフルエンザシーズンが「正式に開始」

📈 流行の閾値(いきち)を超過

米国では、感謝祭明けの時期(12月6日までの1週間)に、発熱、咳、喉の痛みなどのインフルエンザ様症状(ILI)で医療機関を受診した患者の割合が、**全米の基準値である3.1%(または3.2%)**を上回りました。

医学的・疫学的意義: ジョンズ・ホプキンス大学のケートリン・リバース医師が指摘するように、この「流行閾値」の超過は、疫学的に見てインフルエンザシーズンが**「正式に始まった」**ことを示す重要なシグナルでこれはカレンダー上の区切り(通常10月第1週)よりも、実際の感染状況に基づいた判断となります。

🗺️ 流行の中心地

現在、米国内の少なくとも14の公衆衛生区で、インフルエンザの流行レベルが中程度〜高レベルに達しており、特に**北東部(ニューヨーク市、ニューヨーク州、ニュージャージー州など)**で活動が顕著に高まっています。

⚠️ 初期の重症化報告

今シーズン初となる小児のインフルエンザ死亡例が米国で報告されており、公衆衛生当局は市民に対して改めて注意を喚起しています。


2. 世界的な流行の主因:変異株「サブクレードK」とは

今回の世界的なインフルエンザ流行の主要な原因として、インフルエンザA型ウイルス(H3N2亜型)の**変異株「サブクレードK」**が特定されています。

🦠 ウイルスの特性とリスク

H3N2型とは: インフルエンザA型のうちH3N2は、一般的に他の亜型よりも重症化を招きやすいことで知られています。特に高齢者においては、重症化や入院、死亡のリスクが高まる傾向があり、ニューヨーク州当局も警戒を強めています。

サブクレードKの流行: 米国の検査機関で分析されたウイルスの過半数がこのサブクレードKであり、米国だけでなく、アジア、オーストラリア、欧州など広範囲で早期の流行を引き起こしています。

🌏 世界の最新動向

サブクレードKの影響は、すでに世界中で顕著に現れています。

オーストラリア(南半球): サブクレードKが最初に検出された場所の一つで、既に50万件近くの症例が確認されており、昨年の記録を更新するほどの大きな流行となりました。これは、南半球での流行が、数か月後の北半球の流行を予測する重要な指標となることを示唆しています。

アジア・欧州など: 日本、中国、英国、カナダなど、他の多くの国でもインフルエンザの活動増加が報告されており、サブクレードKが世界的パンデミック(季節性流行)の主要なドライバーとなっています。


3. 公衆衛生当局からの重要な提言

CDCのインフルエンザ部門の最高医療責任者であるティム・ウエキ医師は、流行の拡大を踏まえ、以下の公衆衛生上の措置を強く推奨しています。

「米国内でインフルエンザの流行が拡大していることが分かっており、今シーズンのワクチン接種のタイミングはまさにいまだ**」**

インフルエンザワクチンは、重症化や死亡を予防する上で最も有効な手段です。まだ接種を完了していない方は、この流行の本格的な拡大期に入る前に、速やかに接種を受けることが極めて重要です。


【要点まとめ】


現状: 米国で「流行閾値」を上回り、インフルエンザシーズンが正式に開始。北東部を中心に流行レベルが高い。

原因: 重症化リスクが高いとされるインフルエンザA型(H3N2)の**変異株「サブクレードK」**が世界的な流行の主因。

対策: 流行が拡大している今こそ、インフルエンザワクチンの接種が最も推奨される対策です。


2025年12月23日火曜日

季節性インフルエンザ特集-10.日本国内における「サブクレードK」の現状-

 日本では現在、例年よりも早い時期にインフルエンザの大きな流行が起きており、その主因としてサブクレードKが特定されています。


1. 流行の規模とスピード

🚨 異例の早期流行

今シーズン(2025-2026)のインフルエンザ流行は、過去20年で2番目に早い流行入りとなり、例年より約1ヶ月以上早く患者数が増加し、11月末の時点で全国的に警報レベルに達している都道府県が多数あります。

早いところでは9月から学級閉鎖が発生するなど、異例のスピードで感染が拡大しました。

📊 検出株のほとんどが「サブクレードK」

日本国内の医療機関や空港検疫で採取・解析されたデータから、インフルエンザ流行の中心的役割をサブクレードKが担っていることが明確に示されています。

国内のH3N2検出株: 9月以降、11月上旬までに国内で採取・解析されたインフルエンザA型(H3N2)ウイルス株のうち、**約96%**がサブクレードKであったことが報告されています(厚生労働省や東京大学医科学研究所などの解析)。

流行の中心: このデータから、現在日本で発生しているインフルエンザA型(H3N2)の症例の大半が、この変異株によるものであると判断されています。


2. サブクレードKの日本での特徴

✈️ 感染拡大の要因

海外からの持ち込み: 南半球(オーストラリアなど)で記録的な流行を起こしたサブクレードKが、海外からの観光客の増加や、国内外の人の移動の活発化(特に2025年は大阪・関西万博の開催なども影響)により、日本に持ち込まれ、急速に広がったと考えられています。

若年層での拡大: 特に若い世代でサブクレードKの割合が高いことが報告されており、学校や職場を通じて集団感染が起こり、流行を加速させている可能性があります。

🛡️ ワクチンと治療薬への影響

ワクチンとの「ズレ」: サブクレードKは、今年のワクチン株が選定された後に広がった変異株であるため、現行のワクチン株とは抗原性(ウイルスの見た目)にズレがあることが報告されています。

しかし、重症化を予防する一定程度の効果は保たれていると見なされており、接種が強く推奨されています。

治療薬の有効性: 厚生労働省は、サブクレードKに対しても**「通常の抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、イナビルなど)が有効であると想定されている」**と発表しています。

主要な抗インフルエンザ薬に対する耐性が広い範囲で問題になっているという報告は現在のところありません。


3. 今後の対策(日本)

サブクレードKの流行下であっても、取るべき対策は従来のインフルエンザ対策と変わりません。

早期のワクチン接種: まだ接種していない方は、重症化予防のために速やかに接種を検討してください。

基本的な感染対策: こまめな手洗い、うがい、換気、そして人混みでのマスクの着用を徹底しましょう。

早期受診: 症状が出た場合は無理せず休み、発症から48時間以内の抗インフルエンザ薬の投与が効果的であるため、早めに医療機関を受診してください。


2025年12月21日日曜日

季節性インフルエンザ特集-9.🦠 インフルエンザA型(H3N2)変異株「サブクレードK」とは?-

 「サブクレードK」は、現在世界的に流行の主な原因となっている、インフルエンザウイルスの一種で、簡単に言えば**「もともと厄介なウイルスが、少し姿を変えてより感染力を高めた新しいタイプ」**と考えるとわかりやすいでしょう。

1. その正体:インフルエンザA型 H3N2の進化形

インフルエンザA型ウイルス (季節性インフルエンザの代表格)

亜型H3N2 (この亜型は高齢者で重症化しやすい傾向がある)

変異株サブクレードK (Subclade K) (H3N2の中でさらに枝分かれして生まれた最新の変異タイプ)

この「サブクレードK」は、特にウイルスの表面にある**ヘマグルチニン (H)**というタンパク質(ヒトの細胞にくっつくための「鍵」のようなもの)の構造が、従来のH3N2からわずかに変化しています。


2. なぜ「サブクレードK」が注目されているのか?

この変異株が注目され、警戒されている理由は主に以下の3点です。

⚠️ 重症化リスクが高い亜型がベース

サブクレードKの大元であるH3N2という亜型は、他のインフルエンザ亜型(H1N1など)と比較して、特に高齢者や基礎疾患を持つ方において、肺炎や入院、死亡といった重症化を引き起こす傾向が強いことが疫学的に知られています。

💉 ワクチンの「効き目」に影響の可能性

ウイルスが変異すると、その年のワクチンに含まれているウイルス株(予想株)と構造がズレてしまう可能性があります。

ワクチンは免疫を作るための「設計図」を提供しますが、設計図と実際のウイルス(サブクレードK)の姿が大きく異なると、予防効果が低下する恐れがあります。

現在、世界中の保健当局が、このサブクレードKに対して既存のワクチンがどの程度有効かを慎重に分析しています。

📈 世界的な流行の主因になっている

サブクレードKは、最初にオーストラリアなどで検出された後、米国、アジア、欧州など北半球でも急速に広がり、現在のインフルエンザ流行の主流となっています。これは、従来の株よりも感染力や伝播力が優れている可能性を示唆しています。


3. まとめ:私たちが取るべき行動

サブクレードKの流行を受けて、専門家が最も強く推奨しているのは、以下の行動です。

インフルエンザワクチンの接種: ワクチンは変異株に対して100%の効果が得られない可能性があっても、重症化や合併症を防ぐ効果は期待できますので流行が拡大する前に接種を済ませましょう。

基本的な感染対策の徹底: マスク着用、手洗い、うがい、人混みを避けるといった、基本的な感染対策が最も有効です。

体調不良時の対応: 発熱や咳などの症状が出た場合は、早めに医療機関を受診し、周囲への感染を広げないように注意しましょう。


2025年12月18日木曜日

緊急告知-麻疹(はしか)大流行の兆し!!??

 ベトナムからの麻疹(はしか)の持ち込みと、各地での感染のニュースが増えています。

このことから麻疹(はしか)について以下解説して、日本国内にも大流行の兆しがあることから、ご注意させていただきます。

◎麻疹(はしか)について◎

1. 「空気感染」という最強の感染力

医学的に見て、麻疹の最大の特徴は**空気感染(飛沫核感染)**です。

飛沫を超えた拡散: 一般的な風邪やインフルエンザが「飛沫(しぶき)」で移るのに対し、麻疹ウイルスはさらに微細な粒子となって空気中を漂います。

マスクの限界: 通常の不織布マスクでは防ぎきれず、手洗いだけでも不十分で同じ空間(同じ車両や店舗など)にいただけで感染するリスクがあり、1人の感染者から最大12〜18人に感染を広げるという、感染症の中でもトップクラスの拡散力を持っています。


2. 世界的な「免疫の空白」とベトナム等の流行

疫学的には、パンデミック(COVID-19)による定期接種率の低下が世界的な再流行の引き金となっています。

ベトナムの状況: 2024年に数万件規模の疑い例が報告されており、背景には医療アクセスの停滞によるワクチンの未接種層の蓄積があります。

欧州の激増: 欧州でも2024年の報告数が前年比2倍となるなど、ワクチン忌避や接種漏れがある地域を中心に「感染の火種」が常に存在し、グローバルな人の移動によってそれが日本へ持ち込まれています。


3. 日本国内での「輸入症例」から「国内拡大」への警戒

2025年12月現在、国内の報告数はすでに250例を超えており、直近数年で最悪のペースです。

水際対策の難しさ: 潜伏期間が10〜12日と長いため、空港検疫での発見が難しく、帰国後しばらくしてから発症して周囲に広めるケースが目立ちます。

都市部でのクラスター: ベトナムや欧州など流行国からの持ち込み(輸入症例)を起点に、公共交通機関やイベントを通じて免疫のない若年層・未接種者に感染が広がるリスクが高まっています。


4. 20代〜40代に潜む「免疫の落とし穴」

日本特有の疫学的課題として、世代による免疫の差があります。

不完全な免疫: 過去の制度変更により、現在20代〜40代の中にはワクチンを1回しか接種していない人が多く、免疫が低下している(二次性ワクチン不全)可能性があります。

重症化リスク: 成人の麻疹は小児よりも肺炎や脳炎などの合併症を起こしやすく、重症化して入院が必要になる割合が高いことが医学的に懸念されています。


5. 最新の防御策:ワクチンこそが唯一の防壁

空気感染を防ぐための唯一かつ最大の手段は、2回のワクチン接種による抗体獲得です。

95%の壁: 集団免疫を維持し流行を抑え込むには、地域で95%以上の接種率が必要です。

行動指針: 海外渡航前はもちろん、流行ニュースが出ている地域に住む方は、自身の母子手帳を確認し、2回接種が不明な場合は追加接種を検討することが最新の医学的推奨となっています。

現在、日本を含む世界各所で麻疹が急増して欧州では2024年の報告数が12万7350件と前年の2倍、ベトナムでは2024年の疑い例が4万5554例。 

日本でも海外からの持ち込みをきっかけに報告が増え、2025年は、12月3日現在の速報値で麻疹の報告数は251例になっています。

麻疹は非常に感染力の強い感染症で、手洗いやマスクだけでは予防できません。


2025年12月14日日曜日

季節性インフルエンザ特集-8.冬バテとインフルエンザ感染の関係-

◎ 冬バテ”とは?◎

最近話題となる「冬バテ」は、夏バテとは異なる冬特有の環境によって、心身のバランスが崩れる慢性的な不調を指します。


1. 🔬 冬バテの医学的原因:自律神経とホルモンの乱れ

冬バテの主な原因は、**「寒暖差」「日照不足」「生活リズムの乱れ」**の3つであり、これらが体内の重要なシステムを乱します。

寒暖差・寒さ:体温調節のために自律神経(交感神経・副交感神経)が過剰に働き、バランスが崩れる。血流や消化機能、睡眠リズムが不安定になる。

日照不足:精神の安定に関わるセロトニン(通称:幸せホルモン)の分泌が減少する。これにより、気分の落ち込みや過食傾向が出やすくなる。

メラトニン異常:セロトニンから合成される睡眠ホルモンメラトニンのリズムが乱れ、寝付きの悪さや日中の眠気が生じる。

ビタミンD不足:日光不足により、皮膚でのビタミンD合成が低下し、免疫力、筋骨格系、気分障害に悪影響を及ぼす可能性がある。


2. 📝 風邪や他のバテとの違い

冬バテ:寒暖差、日照不足、自律神経の乱れなどによって引き起こされる抑うつ症状、睡眠障害、冷えによる胃腸障害、体温調節障害。不調が2週間以上続く場合は冬バテの可能性が高い。

風邪:ウイルス感染などによって引き起こされる発熱や鼻水・咳などの感冒症状を伴い、症状は一時的。

夏バテ:高温多湿によって引き起こされる交感神経優位による脱水、胃腸機能の低下。

秋バテ:激しい気候変動によって引き起こされる交感神経と副交感神経の切り替え困難による自律神経障害、胃腸障害。

💡 ポイント: 冬バテは、冷えによる体調不良に加え、セロトニン不足による**精神的な不調(抑うつ・過食・睡眠障害)**が特徴的です。


3. ⚠️ 放置すると危険なリスク

冬バテを放置し、特に年末年始の慌ただしさで生活リズムが乱れると、次のようなリスクが高まります。

免疫力の低下: 生活リズムが整わず緊張状態が続くと、免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる。

季節性感情障害(冬うつ): 日照時間の減少が大きく関わる季節型のうつ病(過眠、過食、気分の落ち込みが特徴)を発症し、春まで続く可能性がある。


4. ✅ 専門医が推奨する冬バテ対策

冬バテの兆候は、気温が下がり始める11月頃から現れ、年末年始にピークを迎えます。日常習慣を整えることで、ホルモンバランスを改善しましょう。

日光浴と運動によって朝の光を浴びる、屋外で軽い運動を行うことによりセロトニン分泌促進(気分・食欲・睡眠リズムの安定)。

温活によって体を温める(首や足首などの保温)。 副交感神経が優位になり、リラックス効果と消化機能の改善。

旬の食材を取り入れた食事による栄養バランスの維持と体調管理。

📌 重要: 抑うつ症状や睡眠障害が季節をまたいで続く場合は、自己判断せずに専門医の診察を受けてください。


5.冬バテとインフルエンザ感染の関係

冬バテの状態は、インフルエンザなどの感染症リスクを高める要因となります。

免疫力の低下:冬バテの原因である自律神経の乱れや睡眠不足、ストレスなどは、体の免疫機能を低下させます。

免疫力が低下すると、ウイルスが体内に侵入・増殖しやすくなり、インフルエンザなどの感染症にかかるリスクが高まります。

体温・血流の低下:冬の寒さや血行不良は体温を下げ、免疫細胞の働きを鈍らせる可能性があります。

特に、鼻や喉の粘膜の血流が悪化すると、ウイルスに対する局所的な防御機能が弱まり、ウイルスの侵入を許しやすくなります。

2025年12月11日木曜日

季節性インフルエンザ特集-7.💉 インフルエンザワクチンと鶏卵アレルギー:最新ガイドラインに基づくQ&A-

 ◎なぜ「鶏卵アレルギー」の疑問が起こるのか?

日本人の約半数が何らかのアレルギー疾患を持つとされる現代において、鶏卵アレルギーはインフルエンザワクチンの接種対象者は大きな関心事であり、現在もその危惧は多くの人が持っていると思います

インフルエンザワクチンは孵化鶏卵を用いて製造されるため、微量の卵白アルブミン(鶏卵アレルゲン)が混入する可能性が指摘されていることから、鶏卵アレルギーを持つ人にとって接種が可能かどうかという疑問を生む主な理由でした。


✅ 最新の医学的結論:鶏卵アレルギー患者は接種可能か?

💡 結論:原則として接種は可能です

最新の知見と国内の予防接種ガイドラインに基づき、鶏卵アレルギーはインフルエンザワクチンの接種における禁忌(接種してはいけない状態)ではありません。

近年の多くの臨床研究や報告により、重度の鶏卵アレルギーを持つ患者さんに対しても、現行のインフルエンザワクチンは極めて安全性が高いことが示されています。

【最新知見のポイント】

1.アレルゲン含有量の極小化: 現代のインフルエンザワクチン(特に日本で主流の不活化ワクチン)は、製造工程で高度に精製されており、卵白アルブミンの含有量が極めて少なく、臨床的に問題となるレベルではないことが確認されています。

2.安全性の確立: 重度の鶏卵アレルギーを有する患者への接種が可能であるという報告が多数なされており、アレルギー専門医の監督下でなくとも、通常の方法での接種が推奨されています。


🛑 接種における【重要な注意点】と対応

鶏卵アレルギーが禁忌でなくなったとしても、アレルギー体質全体に対する注意は引き続き必要で『予防接種ガイドライン2023年度版』などを参照し、以下の点に留意する必要があります。

1.アレルギー疾患のコントロール不良によるリスク

気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などのアレルギー疾患があること自体は、接種不適当者(接種できない人)には該当しませんが、これらの疾患がコントロール不良(症状が不安定で頻繁に出ている状態)である場合は、以下の問題が生じるリスクが高まります。

・副反応との鑑別困難: ワクチン接種後に発熱や皮膚症状が出た場合、それがワクチンの副反応なのか、それとも元々のアレルギー疾患の増悪なのかの判断(鑑別)が難しくなります。

・リスクの増大: 特に気管支喘息がコントロール不良の場合、アレルギー反応が重篤化するリスクが高まる可能性があります。

👉 対策: 接種前にアレルギー疾患を良好にコントロールすることが極めて重要で 該当する疾患がある場合は、接種前にかかりつけ医と相談し、症状が安定していることを確認しましょう。

2.アナフィラキシーへの備え

ワクチン接種後のアナフィラキシー(重篤な即時型アレルギー反応)は極めてまれではあるものの、予測不可能で誰にでも起こりうるものです。

・医療機関の体制: 接種を行う医療機関は、常日頃からエピネフリン(アドレナリン)などの緊急時薬剤や救急処置の体制を整えておくことが不可欠です。

・慎重な対応が必要な場合: 保護者や接種医が強い不安を抱く場合や、過去に重度のアレルギー反応の既往がある場合は、「要注意者」への対応に準じ、接種後の**慎重な観察(通常より長い時間など)**と緊急時体制を強化して接種を行います。

3.専門家への相談

接種の可否判定や、合併するアレルギー疾患のコントロールについて判断に困る場合は、安易な自己判断を避け、アレルギー専門医や専門施設への紹介が強く推奨されます。


🎯 まとめ:最も大切なこと

鶏卵アレルギーはインフルエンザワクチンの「禁忌」ではない!合併する他のアレルギー疾患が「良好にコントロールされている」ことを確認することが重要!とされていますが、摂取前には必ずかかりつけ医とよく相談されることです。

【注意事項】

鶏卵アレルギーの人でもインフルエンザワクチンの「禁忌」ではないということを最新の医学観点から紹介しましたが、これはすべての人に当てはまりませんので、鶏卵アレルギーの人がインフルエンザワクチンの接種受ける際には、かかりつけ医とよく相談して接種の判断をご自身がされる必要があります。

鶏卵アレルギーの人全てに問題はないと申し上げていませんのでその点ご留意ください。



2025年12月9日火曜日

季節性インフルエンザ特集-6.インフルエンザ感染後の「ワクチン」接種は無意味それても意味があるのか?-

 💡 インフルエンザ感染後のワクチン接種:医学的・疫学分析


1. 💉 感染後のワクチン接種は「強く推奨」される。

結論:インフルエンザに一度感染した後でも、ワクチン接種は強く推奨され決して無意味ではありません。

根拠:現在使用されているインフルエンザワクチンは、主要な4種類(A型株2種、B型株2種)に対応した4価ワクチンで自然感染で得られる免疫は、「かかった特定の1つの型」に対するもののみですのでワクチンを接種することで、まだ感染していない他の3種類の型に対する予防効果が得られます。

疫学的意義:同一シーズン中に、異なる型のインフルエンザに連続して感染する(例:A型→B型)リスクを低減し、公衆衛生上の流行拡大を防ぐ一助となります。


2. 🛡️ 異なる型の再感染リスクと重症化の可能性

感染リスク:インフルエンザウイルスはA型とB型が主に流行し、それぞれ複数の系統が存在することから一度A型に感染してもその免疫はB型には効きませんので、短期間のうちに異なる型で「別の感染」を起こすリスクは十分にあります。

小児疫学:特に子どもは免疫システムが未熟なため、同一シーズンにA型とB型の両方にかかるケースは小児科の現場で珍しくありません。

重症化:2回目の感染が1回目より軽症になるとは限りません最初の感染で得た免疫は、次にくる異なる型の重症化を防ぐ助けにはならないため、それぞれの感染は「別々の病気」として扱う必要があります。

2回目の感染で高熱が続いたり、合併症を併発したりして重症化する可能性もあります。


3. 🗓️ ワクチン接種の適切なタイミング

原則:インンフルエンザ感染の急性期(高熱や倦怠感が強い時期)には接種できません。

接種の目安:**「完全に回復してから1〜2週間後」**が目安で解熱し、咳や鼻水などの症状が落ち着き、食欲が戻って普段通りの元気な状態に戻ってから、体調の良い日を選んで接種します。

注意点:最終的な接種可否とタイミングは、必ず接種を行う医師(かかりつけ医)が判断し罹患時に使用した抗インフルエンザ薬の種類によっては、ワクチン接種までの期間が変わる可能性があるため、事前に医師に相談が必要となります。


4. 🚑 重症化予防のための早期治療の重要性

治療の原則:ワクチン接種は重症化予防の「最大の盾」ですが、万が一感染した場合は早期発見・早期治療が非常に重要です。

抗インフルエンザ薬:インフルエンザが疑われる症状が出たら、発症から48時間以内に医療機関を受診し、タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなどの抗インフルエンザ薬の投与を検討しこれにより、ウイルスの増殖が抑えられ、発熱期間の短縮や重症化予防の効果が期待できます。

対策の柱:早期治療に加え、高熱時の十分な水分補給(脱水対策)と安静による休養が必須です。


5. ⚠️ 合併症のサインと緊急受診の基準

最大の脅威:インフルエンザの本当の怖さは、インフルエンザ脳症や肺炎などの重篤な合併症です。

緊急サイン:以下の**「重症化のサイン」**が見られた場合は、夜間や休日であっても直ちに救急医療機関を受診する必要があり、具体的なサイン:* 呼吸器異常: 息が荒い、ゼーゼーする、呼吸困難、顔面蒼白。* 意識障害: 呼びかけに反応しない、意味不明な言動、ぼんやりしている、けいれん(ひきつけ)。

脱水重症化: 水分が全く取れない、半日以上尿が出ない。

全身状態の悪化: ぐったりして動かない。


2025年12月7日日曜日

季節性インフルエンザ特集-5.インフルエンザワクチンを接種するかどうかの判断-

 ワクチン接種は、自分自身を守るだけでなく、周囲の人々を守る公衆衛生上の役割もあります。

・家族や同僚への感染予防: 自分が感染してウイルスをまき散らすリスクを減らすことで、特に乳幼児や高齢者など、ワクチンを打てない・効果が出にくいハイリスクな人を守ることにつながります。

・医療従事者: 病院や施設でのクラスター発生を防ぐため、医療・介護従事者は強く推奨されます。


◎⚖️ 接種を躊躇する要因と副反応

ワクチン接種をためらう主な要因は、副反応(副作用)や有効性への懸念です。

・主な副反応: 接種部位の腫れや痛み、発熱、頭痛、倦怠感などがありますが、通常は軽度で数日以内に治まります。

・重大な副反応: アナフィラキシーなどの重篤な反応は極めて稀です。

・有効性: ワクチンの効果は、流行する株とワクチンの株の一致度によって変動しますが、前述の通り重症化予防効果は概ね安定しており、感染自体を防げなくても接種する意義は大きいです。


◎🗓️ 接種のタイミングと抗体獲得

インフルエンザは例年12月~3月に流行のピークを迎えます。

・最適な時期: 10月下旬から12月中旬までに接種を完了することが理想的です。

・抗体ができるまで: 接種後、効果が現れるまでに約2週間かかり、効果は約5ヶ月間持続します。


【結論】

基礎疾患や高齢などハイリスク要因がある場合は、接種のメリット(重症化予防)が副反応のリスクを遥かに上回るため、接種を強く推奨します。

健康な方でも、社会的なインフルエンザワクチンを接種するかどうかの判断は、個人のリスクと利益、そして社会的な役割を考慮して行うべきです。


💡 インフルエンザワクチン接種の判断基準


1. 🛡️ ワクチン接種の最大のメリット:重症化と合併症の予防

ワクチンは感染自体を完全に防ぐことはできませんが、最も重要な役割は以下の通りです。

・重症化の予防: インフルエンザによる入院や死亡といった重症化のリスクを大きく低減します。

・合併症の予防: 肺炎や脳症などの重篤な合併症の発生率を下げます。

特に、高齢者や基礎疾患(慢性呼吸器疾患、心臓病、糖尿病など)を持つ方は、インフルエンザが重症化しやすいため、接種のメリットが極めて大きいです。


2. 👥 接種が強く推奨されるハイリスクグループ

以下の人々は、インフルエンザの感染や重症化のリスクが高いため、優先的に接種することが推奨されます。

65歳以上の高齢者

慢性疾患を持つ方(心臓病、腎臓病、呼吸器系疾患、糖尿病、免疫不全状態など)

乳幼児(生後6ヶ月以上)

妊婦


3. 💼 社会的な役割と周囲への影響(間接的な防御)

自身を守る、周囲の人を守るという観点から、接種を前向きに検討することが望ましいです。

受けるか受けないかはメリットとデメリットを十分理解してご自身で判断すべきですが、最終的な判断を下す前に、ご自身の健康状態についてかかりつけの医師にご相談ください

2025年12月4日木曜日

季節性インフルエンザ特集-4.⚠️ インフルエンザ急性脳炎の増加に関する5つの重要ポイント-

 1. 流行拡大に伴う急性脳炎の急増と懸念

現状の傾向: インフルエンザの流行が拡大するのに伴い、インフルエンザを原因とする急性脳炎(脳症)の報告例が急増しています。

疫学的動向: 今シーズン(2025/26)は、インフルエンザの定点当たり報告数が警報レベル(30)を超えた時期(第46週)とほぼ同時期に、急性脳炎の報告数も第45週に14件と急増しました。

これは昨シーズン(2024/25)のパターンと類似しており、今後さらに患者数が増加する可能性が強く懸念されます。

統計的な位置づけ: 第45週時点の累積報告数30件は、近年のシーズンと比較しても多い部類に入ります。


2. インフルエンザ急性脳炎の臨床的特徴

好発年齢: 2025/26シーズンの報告例(第45週時点)では、**10歳未満が全体の66.7%**を占め、低年齢層で最も多く発生しています。

平均年齢は11.5歳と、過去のシーズン(2023/24シーズン11.3歳)とほぼ同水準です。

注意すべき点: 報告例は低年齢層に集中していますが、50代、60代、70代といった成人・高齢者層からも報告があり、全年齢層で発症のリスクがあることに注意が必要です。

原因ウイルス: 今シーズンは、急性脳炎例の96.7%がインフルエンザA型によるものと特定されており、A型ウイルスが重症化に大きく関与していることが示唆されます。


3. 流行ウイルス亜型の変化と死亡例の関連

流行亜型: 過去のシーズン(2024/25)ではA/H1pdm亜型が主流でしたが、今シーズン(2025/26)はA/H3亜型が主流となっています。

ウイルス型の影響: この主流となる亜型の違いが、これまでの報告時死亡例の発生状況に影響を与えている可能性が指摘されています。今シーズンは第45週時点までに報告時死亡例は確認されていませんが、警戒が必要です。

医学的背景: インフルエンザ急性脳炎・脳症は、ウイルスの直接的な感染だけでなく、**宿主(患者)側の過剰な免疫応答(サイトカインストームなど)**によって引き起こされる重篤な病態と考えられています。


4. 入院患者の増加と重症化の懸念

入院患者の動向: インフルエンザによる入院患者の届出数は、流行拡大に伴い月を追うごとに急増しています(9月287例、10月994例、11月前半2354例)。

重症化の指標: 入院患者の概況(第46週)では、ICU入室例、人工呼吸器の利用例、頭部検査例(急性脳炎・脳症の疑いを含む)がそれぞれ増加しており、これはインフルエンザ重症例の増加を強く示唆しています。

臨床的対応: これらのデータから、医療現場ではインフルエンザ患者、特に小児や基礎疾患を持つ患者に対して、重症化の兆しを可能な限り早期に把握し、急性脳炎・脳症などの致死的合併症への迅速な対応が求められています。


5. 医療現場への要請と予防の重要性

早期診断と治療: インフルエンザ流行拡大期においては、インフルエンザ急性脳炎の発症者数の増加を念頭においた診療が不可欠です。

重症化のサイン(意識障害、けいれん、異常行動など)を見逃さず、迅速な鑑別診断と治療(抗ウイルス薬の早期投与など)が求められます。

予防対策: 最も重要な対策は、インフルエンザワクチンの接種による発症および重症化の予防です。

一般の方へ: インフルエンザに罹患した場合、特に小児で異常な言動や意識レベルの変化が見られた場合は、単なる高熱とは考えず、直ちに医療機関を受診することが、急性脳炎・脳症の予後を改善するために重要です。

2025年12月2日火曜日

季節インフルエンザ特集-3.👃 フルミスト(経鼻生インフルエンザワクチン)の医学的ポイント-

 1. ワクチンの種類と特徴

フルミストは、日本で今シーズンから本格導入された経鼻投与型の生ワクチンです。

・投与経路:注射ではなく、鼻にスプレーするため、注射の痛みがなく、特に小児にとって大きなメリットです。

・免疫応答:鼻粘膜でウイルスが増殖し、主に粘膜免疫(IgA抗体)と全身性の免疫(IgG抗体)の両方を誘導します。この粘膜での免疫応答が、実際の感染防御において重要と考えられています。


2. 主要な副反応とその頻度

経鼻生ワクチンの副反応は、主に局所反応として現れます。

・鼻症状の頻度:接種後に約60%の方が鼻水や鼻づまりを経験することが報告されています(日本小児科学会)。これは、弱毒化されたウイルスが鼻粘膜で増殖し、免疫システムが働く過程で生じる局所的な炎症反応と考えられています。

・この症状は軽度で、多くは数日間で自然に軽快します。

なお、プラセボ(生理食塩水など)を投与した場合でも約50%が鼻症状を経験するというデータもあり、特に風邪をひきやすい小児では、必ずしもすべてがワクチン由来ではない可能性もあります。

・全身症状:発熱などの全身症状は1~10%程度と低く、通常は2~3日で軽快します


3. ワクチンの有効性

フルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)は、小児においてインフルエンザに対する一定の有効性が期待されています。

・特に、注射の不活化ワクチンが主に全身性の免疫(IgG)を作るのに対し、経鼻ワクチンは**感染の初期段階である鼻腔・気道での粘膜免疫(IgA)**を強く誘導するため、感染防御効果が高い可能性があります。

・接種回数は、通常、注射の不活化ワクチンと同じく、接種歴や年齢に応じて1回または2回接種となりますが、日本人小児での臨床試験では1回接種での有効性も期待されています(最終的な接種回数は医師の判断が必要です)。


4. 副反応への理解と対処

接種後の軽い鼻水・鼻づまりは想定内の反応であり、「軽い鼻風邪症状」と捉えても差し支えありません。

・鼻症状と効果の関連:鼻水の量や症状の程度と、ワクチンが獲得される効果の高さが比例するわけではありません。

・注意すべき症状:以下の症状が見られる場合は、ワクチンの副反応以外の感染症の可能性も含め、速やかにかかりつけ医を受診してください。

高熱が続く(通常2~3日で解熱)

1週間以上、強い鼻症状が続く

呼吸が苦しそう(喘鳴や多呼吸など)


4. 副反応への理解と対処

接種後の軽い鼻水・鼻づまりは想定内の反応であり、「軽い鼻風邪症状」と捉えても差し支えありません。

鼻症状と効果の関連:鼻水の量や症状の程度と、ワクチンが獲得される効果の高さが比例するわけではありません。

注意すべき症状:以下の症状が見られる場合は、ワクチンの副反応以外の感染症の可能性も含め、速やかにかかりつけ医を受診してください。

高熱が続く(通常2~3日で解熱)

1週間以上、強い鼻症状が続く

呼吸が苦しそう(喘鳴や多呼吸など)


5. 接種の適応と選択

インフルエンザワクチンは、お子さんの健康状態を考慮して、かかりつけ医と相談の上で選択することが重要です。

メリット:注射の痛みを避けたいお子さんには非常に良い選択肢です。

・接種が難しい場合:

喘息などの基礎疾患があるお子さんでは、経鼻生ワクチンではなく、注射タイプの不活化ワクチンが選択されることがあります。

その他、特定の疾患や薬剤の使用状況によっては接種できない場合があります(禁忌事項)。

2025年11月30日日曜日

季節性インフルエンザ特集-2.🔬 インフルエンザ迅速抗原検査:最適なタイミングと注意点-

 1. 検査の基本と限界:偽陰性の存在

・検査法: 主流なのは、抗原抗体反応を利用した**イムノクロマト法(迅速抗原検査)**でこれは簡便で短時間で結果が得られる利点があります。

・偽陰性の問題: この検査の最大の限界は、インフルエンザに罹患していても陰性と判定される**「偽陰性」**が一定数存在することでこれは、検査の検出感度(ウイルスを見つけ出す能力)に限界があるために発生します。

・発症直後や症状が乏しい場合:約60%が偽陰性となる可能性があります。

・最適なタイミング(後述)でさえも:約25%が偽陰性となる可能性があります。


2. 最適な検査のタイミング

・推奨時間帯: 発症(発熱や咳などの症状出現)から12時間以降、48時間以内が最適な検査のタイミングです。

・医学的根拠: この時間帯が、鼻腔や咽頭に存在するウイルス量が最も多くなり、検査キットがウイルス抗原を検出できる確率(陽性になる確率、すなわち検査の精度)が最大になるためです。


3. 発症直後の検査が不確実な理由

・時間経過の重要性: 症状が出始めてすぐ(特に発症から6時間以内)に検査を受けると、体内のウイルスがまだ十分に増殖しておらず、検査に使う検体中のウイルス量が少ないため、偽陰性となる可能性が極めて高くなります。

・臨床的対応: 発症直後に受診し陰性だった場合でも、医師の判断により、時間を空けて(例:12時間後)の再検査や、臨床症状に基づいた診断的治療が選択されることがあります。


4. 治療効果を最大化するための受診

・治療薬の開始: インフルエンザ治療薬(抗インフルエンザウイルス薬)は、発症から48時間以内に服用を開始することで最も高い効果を発揮します。

・診断の意義: 迅速抗原検査で陽性診断を得ることは、この治療薬を確実に開始するために重要ですから治療のタイミングを逃さないためにも、発症後12~48時間以内の受診・診断が極めて重要となります。


5. 重症化リスクと医療機関受診の優先

・症状が重い場合: 高熱、強い倦怠感、呼吸困難など、症状が重い場合や重症化のリスクが高い方(小児、高齢者、基礎疾患のある方など)は、検査のタイミングに関わらず、直ちに医療機関を受診すべきです。

・最終的な判断: 市販の検査キットで自己検査を行う場合でも、検査結果の解釈や最終的な診断、適切な治療方針の決定は、必ず医療機関の医師の指示に従う必要があります。


2025年11月29日土曜日

季節性インフルエンザ特集-1.🚨 インフルエンザが「流行注意報」レベルに迫る:現状と今すぐ取るべき対策-

 現在、季節性インフルエンザの患者数が全国的に急増し、本格的な流行シーズンに突入しています。

特に、都市圏を中心に非常に高いレベルで感染が拡大しています。


1. 📈 全国の状況:流行が加速し「注意報」に迫る

インフルエンザの流行は過去に例を見ないスピードで加速しています。

・全国平均の急増: 1つの定点医療機関あたりの患者報告数は、51.12(前週37.73)に急増しこれは、10週連続での増加であり、流行の勢いが止まらないことを示しています。

※季節性インフルエンザの警戒レベルとは、定点医療機関からの報告数に基づき、地域ごとのインフルエンザの流行状況を示す指標で具体的には、注意報レベルは「1定点あたり10人/週」を超えた場合、警報レベルは「1定点あたり30人/週」を超えた場合に発令され、流行の拡大や継続を知らせるものです※


2. 📍 地域別リスク:全国レベルで警報レベルに突入

地域によっては、既に深刻な感染拡大が見られています。

警報レベルに達していない地域は、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の7県のみで、これらの県も程なく警報レベルに突入すると考えられています。

※2025年11月23日時点※


3. 🦠 医学的懸念:急増がもたらす重大なリスク

患者数の急増が医学的に意味するリスクは以下の3点です。

・重症化リスクの増加: 感染者数が増えるほど、高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患を持つ方などの「ハイリスク層」が感染しやすくなります。その結果、インフルエンザ脳症や重症肺炎といった致死的な合併症を引き起こすリスクが飛躍的に高まります。

・医療体制の逼迫(ひっぱく): 短期間に患者が医療機関に集中すると、外来がパンクし、救急搬送の受け入れ困難や、本来行うべき他の重症患者への対応が遅れるなど、医療崩壊に近い状態になる懸念があります。

・ツインデミックの現実化: 現在のインフルエンザ流行期は、新型コロナウイルス(COVID-19)やその他の呼吸器感染症(RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど)の流行と重なり合う「ツインデミック」(同時流行)が現実のものとなっています。症状だけで区別が難しく、医療現場での迅速な診断や治療の判断(トリアージ)が極めて複雑になります。


4. 💡 今すぐ取るべき具体的な対策【最優先事項】

感染拡大を防ぎ、ご自身とご家族を守るために、以下の対策を徹底してください。

・予防接種の最優先: まだインフルエンザワクチンを接種していない方は、可能な限り早く接種を検討してください。接種から効果が出るまでに約2週間かかります。発症予防効果はもちろん、重症化や死亡を防ぐ効果が最も期待できます。

・基本的な感染対策の徹底:手洗い: 外出先からの帰宅時や調理・食事の前は、石鹸と流水で30秒以上の手洗いを徹底します。

・マスク: 混雑した屋内や公共交通機関を利用する際は、不織布マスクを正しく着用します。

・換気: 1時間に数回、数分間、窓を開けて室内の空気の入れ替えを行いましょう。


5. 💊 発症時の対応:早期治療の徹底

インフルエンザは治療開始のタイミングが非常に重要です。

・早めの受診: 発熱、強い倦怠感、関節痛など、インフルエンザが疑われる症状が出た場合は、必ず医療機関に連絡してから受診してください。

・早期治療の重要性: 抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に服用を開始することで最も効果を発揮します。重症化リスクが高い方は、特にこの時間を厳守することが予後を大きく左右します。

・自己判断を避ける: 症状が出た際は自己判断せず、医師の指示に従って検査や治療を進めてください。


2025年11月27日木曜日

RSウイルス-1.📝 RSウイルス(RSV)感染症の要点-

1.ほとんどが軽症だが、生涯再感染するウイルス

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus: RSV)は、呼吸器の感染症を引き起こすウイルスです。

ほとんどの人が2歳までに一度感染し、成人や年長児では鼻水や咳など軽い風邪に似た症状で済むことが多いです。

一度感染しても免疫が不完全なため、生涯を通じて何度も再感染を繰り返すのが特徴です。

2.乳幼児、特に低月齢児で重症化リスクが非常に高い

特に生後6ヶ月未満の乳幼児は重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を引き起こします。

喘鳴(ゼーゼー)、呼吸困難、無呼吸発作などが起こり、入院が必要になるケースがあります。

3.重症化しやすいハイリスク者

生後間もない乳児に加え、低出生体重児、心臓や肺に基礎疾患がある小児、免疫機能が低下している高齢者は特に重症化しやすいことが知られています。

4.感染力が強く、飛沫と接触で広がる

感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染と、ウイルスが付着した物を触って目鼻口を触る接触感染によって広がります。

感染力が非常に強いため、保育園などでの集団感染に注意が必要です。

5.画期的な予防戦略:妊婦ワクチン(母子免疫)の導入

RSVには特効薬がなく治療は対症療法が中心ですが、予防法が進展しています。

特に画期的なのが、妊婦へのワクチン接種による予防です。接種でできた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生後すぐの乳児の重症化を防ぐ「母子免疫」を付与します。

この妊婦ワクチンは、2026年4月から日本で定期接種が開始される方針です。


2025年11月25日火曜日

感染症速報 41.🦠百日咳の現状と薬剤耐性菌の問題:最新の日本国内状況-

 1.百日咳の流行状況

2025年11月9日時点で患者数は、85476人と報告されています。

百日咳は百日咳菌という細菌によって引き起こされる呼吸器感染症です。

百日咳菌が体内に入ると、気道の粘膜に感染して毒素を放出し、激しい咳の発作を引き起こします。特に乳児やワクチン未接種の子どもは感染しやすく、重症化のリスクも高くなります。

※「百日咳」という名称は、強い咳が治まるまでに100日ほどかかることがあるという特徴に由来します※

患者の多くは10代以下の子どもで、特に乳児ではけいれんや呼吸停止、肺炎、脳症による死亡例も報告されています。

百日咳の症状の特徴は、数週間から数か月続く慢性的な咳です。

特に子どもの場合は、咳のあとに息を吸うと「ヒュー」と音が鳴ったり、激しい咳の後に嘔吐するケースも見られ、百日咳菌が作り出す毒素には抗生物質が効かないため、咳が長引き始めると治療が難しくなることもままあります。

百日咳の特有の咳は、「コンコンコン」と連続する激しい咳の後に、「ヒュー」という笛のような音を立てて息を吸い込む発作(レプリーゼ)が特徴です※


2. 薬剤耐性菌の増加

国立感染症研究所などの調査(2023年7~9月)により、患者から検出された百日ぜき菌の約8割が抗菌薬の継続がない「薬剤耐性菌」でした。

この耐性菌の遺伝子型は、2022年に中国で流行した型と近いことがわかっています。

耐性菌は、訪問日外国人など国内に認められた可能性が指摘されています。


3.治療への影響

新型コロナウイルス対策で人々の百日ぜき菌への免疫が弱まり、感染しやすくなっています。

薬剤耐性菌の増加により、従来の抗菌薬(アジスロマイシン、クラリスロマイシンなどマクロライド系)が効きにくくなり治療が困難な状況となっています。

※耐性菌対策としては2種類の抗菌薬を配合したST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤)が第2選択薬として推奨されています※

感染症研究所の専門家は「感染した菌が耐性菌かどうかはすぐに分からないが、全国で認められているため、治療時には耐性菌の可能性も考慮する必要がある」と指摘しています。


4. まとめ

百日咳は現在日本国内で大流行中で、特に子どもや乳児の重症化リスクが懸念されています。

薬剤耐性菌の割合が非常に高くなっており、治療が正しいため、早期の診断と適切な治療選択が重要です。

百日咳の予防には、ワクチン接種が最も効果的でワクチン接種を受けることで、百日咳にかかるリスクを80~85%程度減らせます。


2025年11月23日日曜日

感染症速報 40.🏥 2025年インフルエンザ流行:医学的・疫学的分析まとめ-

 全国の状況(第46週:11月10日〜16日)

・全国の拠点医療機関からの患者報告数は145,526人。

・定点当たりの報告数(定数)は37.73人/週。

・決定点当たり報告数が高い都道府県上位5位

宮城県– 80.02人/週

埼玉県– 70.01人/週

福島県– 58.54人/週

岩手県– 55.90人/週

神奈川県– 55.12人/週


1. 「無熱性インフルエンザ」の増加と医学的背景

医師も驚く「発熱がない陽性者」の存在は、医学的には「不顕性感染(症状が出ない)」や「軽症例」の一種ですが、背景には以下の要因が推測されます。

◎免疫の記憶と交差免疫: 過去の感染やワクチンにより、ウイルスを完全に防げなくても、激しい炎症反応(高熱)を抑え込んでいる可能性があります。

◎高齢者の免疫応答低下: 高齢者は免疫反応が弱く、熱が出にくい(Afebrile)傾向があります。

◎リスク: 「熱がない=ただの風邪」と自己判断しやすく、無自覚な「スーパー・スプレッダー(感染源)」としてウイルスを広げてしまうリスクが疫学的に最も懸念されます。強いだるさ(倦怠感)があれば、熱がなくても検査が必要です。


2. 「ワクチンの空白期間(Vaccine Gap)」を突いた流行

疫学的に見て、今回の流行の最大の問題はタイミングです。

◎抗体獲得のタイムラグ: インフルエンザワクチンは接種後、抗体ができるまで約2週間かかります。流行が11月上旬に警報レベル(定点30人超)に達したことで、多くの人が**「ワクチンを打つ前」または「打ったが抗体が未完成」の状態でウイルスに暴露**されています。

◎集団免疫の未成立: 学校行事(運動会など)と重なり、集団免疫が成立する前にクラスターが発生したことが、急速な拡大の主因です。


3. 主流株「A型香港型(H3N2)」の重症化リスク

記事にある「A型香港型」は、一般的に感染力が強く、症状が重くなりやすい傾向があります。

◎臨床的特徴: B型やA型ソ連型(H1N1)に比べ、高熱や全身症状が出やすく、特に入院リスクが高い株として知られています。

◎進化の速さ: 香港型は変異しやすく、ワクチンの予測株と実際の流行株がズレることもありますが、重症化予防効果は期待できるため、今からでも接種の意義はあります。


4. 小児の「異常行動」と神経学的リスク

「ベランダからの転落」という痛ましい事例が報告されていますが、これはインフルエンザ特有の**「異常行動」**への警戒が必要です。

◎インフルエンザ脳症の前兆: 異常行動(急に走り出す、飛び降りようとする、意味不明なことを言う)は、高熱が出た直後(発症から2日以内)に多く見られます。

◎薬剤との関連: かつてタミフル等の影響が疑われましたが、現在は**「薬を飲んでいなくてもウイルス自体の影響で起こりうる」**というのが医学的なコンセンサスです。


◎対策: 少なくとも発症から2日間は、小児・未成年を一人にしない見守りが必須です。


5. 気候変動と社会的要因による「季節性の喪失」

専門家が指摘する通り、疫学的な前提条件が変化しています。

◎温暖化の影響: 秋でも気温が下がらず人の活動が活発なまま推移し、接触機会が減りません。

◎インバウンドとグローバル化: 南半球(冬に流行)からのウイルス持ち込みや、年中流行している熱帯地域との往来により、インフルエンザの「冬の病気」という季節性が薄れ、通年化のリスクが高まっています。


💡 結論とアドバイス

今回の流行は「早い・熱がない人もいる・感染力が強い」という特徴があり「熱がないから大丈夫」という従来の判断基準を捨て、「急な強いだるさ」や「周囲の流行状況」を重視した行動が必要です。


2025年11月20日木曜日

感染症速報-39.インフルエンザ:2025-2026年シーズンの初期拡大とその医学的・疫学的分析-

 1. 流行状況の最新データと疫学的解釈


・日本国内では、インフルエンザの流行が例より早く、大幅に拡大して2025年第45週(11月3〜9日)の「定点当たり報告数」は21.82人です。 


こちらは前週(14.90人)から急上昇しており昨年、同週(2024年第45週)の1.06人と比べても圧倒的に高いレベルです ( https://works.medical.nikkeibp.co.jp/articles/66746/ )。


・特に東京都や神奈川県など複数の地域では警報レベル(30人/週)に近い報告数が観測され、流行の深刻さが増しています(https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2025/11/14/36618.html)。


・神奈川県では、同第44週(10月27日~11月2日)の定点当たり報告数が28.47人で、すでに「注意報レベル(10人/週以上)」を超えています(https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2025/11/14/36618.html)。


・東京では31の保健所のうち12か所が警報レベルにあり、地域的に広がっている深刻な流行状況が見られます (https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/11/2025111337)。


2. 流行の早さとその背景


・2025年10月には全国的にインフルエンザの流行が本格化し特に9月22〜28日の週に「定点当たり1.04人」を超えて流行開始とされ、10月には1.56人まで急増したことが確認されていますhttps://time.com/7324877/flu-asia-japan-india-singapore-influenza-strains-climate-epidemic-pandemic/


・このように例より5週間ほど早い流行開始は、過去20年でも早い部類に入り、今シーズンが異常なペースで進んでいることを示唆しています ()。


3. 医学的な背景と重視すべきポイント


・コロナ禍における徹底した感染防止策の影響で、ここ数年のインフルエンザの流行は抑えられてきました。その結果として、「免疫権利」により多くの人が自然な免疫を獲得できていない状態です。


・早期かつ急速な流行拡大の背景には、その間免疫の低さが一因として考えられ それに加えて、ウイルスの変異も警戒されており、日本では感染拡大とともにウイルス変異が進行している可能性が高まっています ( 🔗  m.economictimes.com )。


4. 公衆衛生の観点からの対応と推奨策


感染拡大を重視するには、厚生労働省や地域が取り組む以下の対策の徹底的が肝心です:


◎手洗い・うがい

◎マスク着用(症状のある人は特に)

◎室内の適度な加湿と換気

◎咳エチケットの実践

◎体調不良時の休養と自己管理


予防接種は最も有効な重症化防止策です 。効果が現れるまでに約2週間かかるため、早めの接種が推奨されます。


5. 要点まとめ


・流行の急速な進行:10月末には全国で爆発的な報告増加—第45週には決定点当たり報告数が21.82人に上昇。


・地域差の拡大:神奈川県、東京都をはじめ、関東・東北の複数県で警報レベルに近い深刻な状況。


・流行開始の早期化:例より5週間以上早く流行が始まり、市民・医療現場への注意が必要。

免疫低下とウイルス変異:コロナ対策による免疫障害と変異株の流行で、特に注意が求められる。

・予防対策の重要性:手洗い・マスク・換気・休養に加え、早めのワクチン接種が重症化防止と医療負担軽減に努めます。


このような現状を踏まえ、国民優先が高い警戒意識を持ち、基本的な感染対策と予防接種を積極的に行うことが、懸念のインフルエンザ流行を重視する鍵となります。

2025年11月18日火曜日

【危険な兆候を見逃すな】 「上の血圧」と「下の血圧」の差が示す動脈硬化の深刻度—脈圧を知らないと命取りになる5つの理由-

🔬 血圧の医学的分析と正しい理解のための5項目

1. 「高い/低い」で終わらせない:血圧は複雑な全身状態の指標

血圧の数値は、心臓のポンプ機能、動脈の弾力性(動脈硬化の程度)、自律神経(交感神経/副交感神経)、ホルモンバランス、そして体内の水分量など、多岐にわたる要素が複雑に絡み合った結果として現れます。

このため、たった1回の測定値だけで「健康か病気か」を判断するのは不十分であり、全身の血液循環の状態を映す鏡として捉える必要があります。


2. 診断基準:家庭血圧を重視し、変動を見る

日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の基準値を以下のように定めています。

特に、環境に左右されにくい家庭での測定値を重視します。

測定場所 収縮期血圧 (上)  拡張期血圧 (下)

診察室     140mmHg 以上  90mmHg 以上

家庭      135mmHg 以上  85mmHg 以上

また、血圧は時間帯や日によって大きく変動するため、「年齢+90」といった簡易的な基準は推奨されず、日々の変動パターンを把握し、持続的な管理を行うことが重要とされています。


3. 【診断の視点1】血圧と脈拍の組み合わせによる循環状態の解析

血圧と脈拍(心拍数)を同時に見ることで、血圧変動の裏にある具体的な原因を推測できます。

1)高血圧 + 頻脈 (速い脈):交感神経の過剰な活性化 (ストレス、睡眠不足、過労、カフェイン過剰)、または甲状腺機能亢進症などの疾患。 

対策としては精神的な負荷の軽減、生活習慣の見直し。病気が原因の場合は治療が必要。

2)高血圧 + 正常脈:動脈硬化の進行、塩分過剰摂取による血液量増加。血管の弾力性低下、腎臓への負担。

対策としては減塩などの生活習慣改善。

3)低血圧 + 頻脈 (速い脈):循環血液量の低下 (出血、重度の脱水)。極めて危険な状態。血圧を上げようと心臓が代償的に速く拍動している状態。

対策としては失神・ショックのリスクがあり、直ちに医療機関を受診すべきです。


4. 【診断の視点2】脈圧(上の血圧と下の血圧の差)の重要性

「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」の差を脈圧といいます。

脈圧=収縮期血圧-拡張期血圧

脈圧の拡大(差が大きいこと、例:160/70)は、動脈硬化により大動脈の弾力性が失われ、心臓が収縮したときに圧力が過剰に上がり、拡張したときに圧力が維持できなくなることを示唆しており、動脈硬化の進行度や心血管病のリスクを評価する上で重要な指標の一つです。

◎脈圧とは?(定義と計算方法)

脈圧とは、心臓が収縮したときにかかる最も高い圧力(収縮期血圧、上の血圧)と、心臓が拡張したときにかかる最も低い圧力(拡張期血圧、下の血圧)の差のことです。

正常な脈圧の目安は、一般的に40~60mmHg**程度とされています。

例えば、血圧が120/80mmHgの場合、脈圧は120-80 = 40mmHgとなります。

この差が**60mmHgを超える**など、基準値よりも大きくなる状態を指します。

脈圧拡大がもたらす危険性

脈圧の拡大は、単なる数値の変動ではなく、すでに動脈硬化が進行していることの強いサインであり、将来的な心臓・脳血管病のリスクを予測する指標として、近年重要視されています。

1)脳卒中・心筋梗塞リスクの増大

脈圧が大きいほど、脳卒中(脳梗塞や脳出血)や心筋梗塞、心不全などの発症リスクが高まることが多くの研究で示されています。

これは、硬い血管に高い圧力が繰り返し加わることで、血管の内膜が損傷し、血栓ができやすくなるためです。

2)心臓の負担増(心肥大・心不全)

上の血圧が過度に高くなると、心臓は硬い血管に向かってより強い力で血液を送り出す必要があり、オーバーワークになりその結果、心臓の筋肉が厚くなる心肥大を起こし、最終的にポンプ機能が低下する心不全へと進行しやすくなります。

3)腎機能の低下

腎臓の細い血管にも大きな負荷がかかるため、血管が傷つき、腎機能が徐々に低下し、慢性腎臓病のリスクが高まります。

脈圧の拡大は、**「血管が老朽化し、心臓が過負荷になっている」**という状態を明確に示して血圧を測定する際は、上の血圧と下の血圧の差も確認し、この脈圧が60mmHgを大きく超える場合は、動脈硬化の進行を疑い、医師に相談することが重要です。


5. 【診断の視点】血圧の変動パターンを見る

血圧は常に変動しており、そのパターンを観察することが重要です。

早朝高血圧: 睡眠中から起床時にかけて血圧が急激に上昇するパターンは脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。

白衣高血圧: 診察室でのみ血圧が高くなる現象。

仮面高血圧: 診察室では正常だが、家庭や職場で血圧が高くなる現象。

これらのパターンを把握するためには、毎日決まった時間(例:起床後1時間以内、就寝前)に家庭で測定し、記録することが、単発の測定よりも遥かに重要で正確な診断につながります。

2025年11月16日日曜日

感染症速報-38.🦠 2025年インフルエンザ流行とワクチン効果:5つの重要ポイント-

 1. 異例の早期流行と**新変異株「K亜系統」**の出現

・異例の流行状況: 2025年のインフルエンザシーズンは、イギリスで例年より早く始まり日本を含め、世界的にA型インフルエンザ、特にA(H3N2)型が流行の主流となっています。

・急増の背景: H3N2型の中で「K亜系統」と呼ばれる新しいタイプの変異株がイギリスで優勢となり、日本でも検出されていることから、この変異株がインフルエンザの急激な増加の一因となっている可能性が指摘されています。


2. 懸念された**「ワクチンとウイルスのミスマッチ」**

・専門家の懸念: ワクチンは「K亜系統」が出現する前の古い株(J.2亜系統)を基に製造されたため、流行株との間にズレ(ミスマッチ)が生じているのではないか、という懸念が当初、専門家の間で広がりました。

・根拠: 実験室レベルの研究結果から、製造されたワクチンが新しい「K亜系統」に対して反応しにくい可能性が示唆されていたためです。


3. 最新データによるワクチンの有効性の確認

・懸念を払拭: 実社会を対象としたイギリスの最新調査の結果、懸念にもかかわらず、インフルエンザワクチンが引き続き有効であることが示されました。

・重症化予防: ワクチン接種者は、未接種者に比べてインフルエンザによる救急外来受診や入院のリスクが大幅に低いことが確認されました。


4. 年齢層別の具体的なワクチン有効性(重症化予防)

1)子供(2~17歳):ワクチンの有効性は70~75%で非常に高い予防効果が確認されました。

2)大人(18歳以上):ワクチンの有効性は30~35%で例年のワクチンの有効性の一般的な範囲内であり、重症化予防に貢献しています。

※※ これらの初期データは、ワクチンが特に高い効果を示した子供と、重症化予防に一定の効果を示した大人の双方にとって、接種の重要性を裏付けています※※


5. 変異株にも有効な理由(「効く」メカニズムの推測)

・子供へのワクチン接種: 子供に主に使われる「経鼻生ワクチン」は、免疫系を幅広く刺激し、ウイルスが少し変異しても防御できる交差防御効果を発揮したと推測されます。

・大人のワクチン: イギリスでは、鶏卵を使わない製法など、効果を高める工夫がされた高性能ワクチンが使用されており、これがウイルスの変異に対応し、有効性を維持することに貢献したと考えられています。


結論

2025-2026年シーズンのインフルエンザワクチンは、新しい変異株「K亜系統」の流行下でも有効であり、特に重症化を防ぐための最も重要な対策であるということが再確認されました。


【今回のイギリスの研究結果が示す重要なポイントをまとめ】


◎重要なポイントの再確認: 新しい変異株「K亜系統」が流行しているにもかかわらず、2025-2026年シーズンのインフルエンザワクチンは有効で、特に子供においては高い予防効果を示し、大人にとっても重症化を防ぐための重要な防御手段となっています。


◎ワクチン接種の推奨: この研究結果は、インフルエンザウイルスが変異を続ける中でも、ワクチン接種が自分や家族を重症化から守るための最も有効なツールの一つであることを再確認させるものでこの研究は、特に高い予防効果が確認された子供たちへのワクチン接種を、社会全体で推進すべき強力な根拠となります。