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2025年11月27日木曜日

RSウイルス-1.📝 RSウイルス(RSV)感染症の要点-

1.ほとんどが軽症だが、生涯再感染するウイルス

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus: RSV)は、呼吸器の感染症を引き起こすウイルスです。

ほとんどの人が2歳までに一度感染し、成人や年長児では鼻水や咳など軽い風邪に似た症状で済むことが多いです。

一度感染しても免疫が不完全なため、生涯を通じて何度も再感染を繰り返すのが特徴です。

2.乳幼児、特に低月齢児で重症化リスクが非常に高い

特に生後6ヶ月未満の乳幼児は重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を引き起こします。

喘鳴(ゼーゼー)、呼吸困難、無呼吸発作などが起こり、入院が必要になるケースがあります。

3.重症化しやすいハイリスク者

生後間もない乳児に加え、低出生体重児、心臓や肺に基礎疾患がある小児、免疫機能が低下している高齢者は特に重症化しやすいことが知られています。

4.感染力が強く、飛沫と接触で広がる

感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染と、ウイルスが付着した物を触って目鼻口を触る接触感染によって広がります。

感染力が非常に強いため、保育園などでの集団感染に注意が必要です。

5.画期的な予防戦略:妊婦ワクチン(母子免疫)の導入

RSVには特効薬がなく治療は対症療法が中心ですが、予防法が進展しています。

特に画期的なのが、妊婦へのワクチン接種による予防です。接種でできた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生後すぐの乳児の重症化を防ぐ「母子免疫」を付与します。

この妊婦ワクチンは、2026年4月から日本で定期接種が開始される方針です。


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