血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2018年8月8日水曜日

消毒・殺菌・滅菌・除菌について-3.滅菌-

滅菌とは、すべての細菌を死滅させることを言います。

増殖性を持つあらゆる微生物(主に細菌類)を完全に殺す、又は除去する状態を実現するための作用・操作のことを言います。

対照物を限りなく無菌に近づけるために、国際的に採用されている現在の基準としては「滅菌操作後、100万個のうち1個の対象物に微生物が付着している確率」で滅菌できれば良いとされています。

【滅菌方法】

1.火炎滅菌

菌を直接、ガスバーナー等で焼く方法で、一般的には検査器具の滅菌に利用される。

2.乾熱滅菌

ガスまたは電気を利用した機器で、乾燥させたまま160~180℃くらいの熱で滅菌を行う。ガラスや金属製品、手術器具などの滅菌に利用される。

3.高圧蒸気滅菌

オートクレーブで2気圧の飽和水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、20分間処理する。
培地、包帯、ガーゼなどの滅菌に利用される。

医療機関における器材の再使用のための蒸気滅菌の第一選択は高圧蒸気滅菌です。

この方法は短時間で滅菌出来ますが、高温高圧に耐えられない材質のものには利用できない。

4.ガンマ線滅菌

医療機器の製造工程において利用される。

ガンマ線は透過力が強いことから人畜にも危害が及ぶため、人が作業する場所で同時に滅菌を実施することはできない。

5.ガス滅菌

オートクレーブが使用できないプラスチック製品等にエチレンオキサイドガスを使用して滅菌を行い。

高熱に弱い素材のものにも適用できることと、筒状や複雑な形状である医療機器についてもエチレンオキサイドガスが浸透するため適用しやすい利点があるが、ガス毒性が強く残留ガスが人体等に悪影響を及ぼす可能性があることに注意が必要とされる。

滅菌は殆どの場合医療現場で行われ、日常生活で行われることはまずありません。

【まとめ】

滅菌とは第十四改正 日本薬局方によると物質中の全ての微生物を殺滅または除去することを言い、生存する微生物がゼロである状態を指します。

2018年7月24日火曜日

消毒・殺菌・滅菌・除菌について-2.殺菌-

殺菌とは、特定の細菌を殺すことを言い、言い換えれば病原性や有害性を有する糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を死滅させる操作のことです。

要するに殺菌とは、対象物に付着する菌を殺すことで、殺す対象や程度を含みません。

そのため10%の菌を殺して90%の菌が残っていても"殺菌した"ことになるため、有効性に対する厳密な保証はありません。

要するにどの程度の菌を殺すことが殺菌となるのか、明確な定義はありません。

ちなみにこの殺菌という言葉、洗剤などには使うことは出来ません、殺菌というのは、薬事法で医薬品や医薬部外品に使用できる言葉なのです。

殺菌剤とは、病原性を有する微生物を殺す、または増殖を抑止するための薬剤のことを言い、殺菌薬とも言います。

殺菌剤は抗生物質や抗真菌薬を除外し、微生物を非選択的に殺すものを呼ぶのが普通です。

また医療機器の殺菌のみ、あるいは皮膚にのみ用いるものは消毒薬と呼ぶことがことが多い。

殺菌剤としては以下のようなものがありま。

・ヨウ素剤 ― ヨードチンキ、ポビドンヨード

・塩素類 ― 次亜塩素酸ナトリウム

・マーキュロクロム液

・グルコン酸クロルヘキシジン-ヒビテン

・アルコール類 ― エタノール、イソプロパノール

・オキシドール(過酸化水素水)

・逆性石鹸 ― 塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなど

・フェノール類 ― クレゾール石鹸液など