いま、性感染症の現場でクラミジアや淋病以上に医師を悩ませている菌があります。
それが**マイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)**で最新の研究で、日本の特定のネットワーク内で、世界でも類を見ないほど薬が効かない「超多剤耐性菌」が蔓延している実態が見えてきました。
※マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium:MG)1980年代に発見された比較的新しい病原菌で、クラミジアや淋菌と同じように性行為によって感染します※
※マイコプラズマ・ジェニタリウム(MG)とマイコプラズマ肺炎は、同じ「マイコプラズマ」の名を持ちますが、原因菌が異なるため別の病気でMGは主に性行為で感染する性感染症(STI)で尿道炎や子宮頸管炎を起こし、肺炎とは関係ありません。 ※
1. そもそも「MG」とは? なぜ厄介なのか
MGは、尿道炎や直腸炎を引き起こす細菌です。
「隠れキャラ」的な存在: 一般的な検査(クラミジア・淋菌検査)では見つからず、専用の遺伝子検査が必要です。
しぶとい生命力: 細胞壁を持たない特殊な構造のため、一般的な抗生物質(ペニシリン系など)が最初から効きません。
2. 疫学的分析:日本で起きている「二極化」と「独自進化」
国立国際医療センターの安藤氏らの報告を分析すると、日本国内のMSM(男性間性交渉者)コミュニティにおいて、2つの異なる系統の菌が「勢力争い」をしていることが分かりました。
流行の二大勢力
1)ST159系統・・欧米から流入世界的に流行しているタイプ。
2)ST143系統日本・・アジア独自いま日本で最も警戒すべき、日本独自の進化を遂げているタイプ。
重要なのは、これら2つが「独立して」流行している点でこれは、特定のグループ内で薬に強い菌が選別され、そのまま定着・拡散していることを意味します。
3. 医学的分析:ついに「3つの盾」を持ったモンスターへ
今回の研究で最も衝撃的なのは、「薬を無効化する変異」の積み重なりです。
第一の盾(マクロライド耐性): 以前は特効薬だったジスロマックなどが、約90%の確率で効きません。
第二の盾(parC変異): 次の一手であるフルオロキノロン系(シタフロキサシン等)への耐性。これも約73%と高頻度です。
第三の盾(gyrA変異): これが加わると、いよいよ使える飲み薬がなくなります。欧米では5%未満ですが、日本では**4人に1人(24.1%)**がこの「最強の盾」まで持っていることが判明しました。
医学的結論:日本のST143系統は、マクロライド、parC、gyrAの3重変異を持つ「高度多剤耐性株」へと進化しており、通常の飲み薬では治せない「治療の袋小路」に陥りつつあります。
4. 2026年現在の対策とメッセージ
この状況を受けて、医療現場では以下の対応が急務となっています。
「とりあえず処方」の禁止: 効かない薬(ジスロマック等)を漫然と使うことは、菌をさらに強くするだけです。
正確な診断: 尿道炎などの症状がある場合、最初からMGを疑い、適切な遺伝子検査を行う体制が求められています。
直腸感染への注意: 今回の調査でも76%が直腸からの検出で無症状でも感染源になるため、リスクがある場合は喉・尿道・直腸のトータルチェックが推奨されます。
まとめ:私たちができること
MGは「治りにくい病気」へと変貌しました。
「以前もらった薬を飲む」「パートナーだけ薬を飲む」といった自己判断は、この超多剤耐性菌をさらに育てる結果になります。
専門の医療機関を受診し、**「最後まで確実に治しきる」**ことが、自分自身とパートナー、そしてコミュニティを守る唯一の方法です。
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