第2回は、この病気の恐ろしい正体について医学的に踏み込みます。
今回問題となっているのは、ハンタウイルスが引き起こす「ハンタウイルス肺症候群(HPS)」で、臨床現場に50年身を置く私から見ても、その進行の速さは戦慄を覚えます。
※ハンタウイルス肺症候群(Hantavirus Pulmonary Syndrome:HPS)は、主にネズミなどの齧歯類が媒介するウイルスによって引き起こされ、急激な呼吸不全と高い死亡率(約40~50%)を特徴とする深刻な人獣共通感染症で南北アメリカ大陸で発生し、感染したネズミの排泄物を含む粉じんの吸入が主な感染経路です※
1.「溺死」に近い病態: 初期症状は風邪に似ていますが、発症から数日以内に急激な「肺水腫」が起こり肺の毛細血管から水分が漏れ出し、自分自身の体液で肺が満たされ、呼吸ができなくなるのです。
2.エボラに匹敵する致死率: HPSの致死率は約30〜50%。これはエボラ出血熱にも匹敵する数字です。
3.現代医学の限界: 残念ながら、このウイルスを直接叩く特効薬やワクチンは現在も存在しません。治療は、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)で「患者の自己免疫が打ち勝つまで命を繋ぐ」という、壮絶な対症療法が基本となります。
まさに、一刻を争う「命の攻防戦」が現場では繰り広げられているのです。
【参考資料】
『65 ハンタウイルス肺症候群(Hantavirus Pulmonary Syndrome:HPS)日本感染症学会』

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