血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年6月6日日曜日

新型コロナウイルスについて-28.新型コロナウイルスの国内製造ワクチンの現状-

 国内の主なワクチンの開発現状を簡単に解説します。

1.塩野義製薬 国立感染症研究所/UMNファーマ

コロナウイルスのタンパク質を遺伝子組み換え技術で作成(遺伝子組み換えワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2020年12月から開始

2.第一三共 東大医学研究所

コロナウイルスのmRNAを使用(mRNAワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2021年3月から開始

3.アンジェス 大阪大学/タカラバイオ

コロナウイルスのDNAを人に投与(DNAワクチン)

※2021年3月、第Ⅱ/Ⅲ相の参加者500人全員に接種が終わり、今後数カ月の経過観察をした後、2021年内に大規模な第Ⅲ相試験に入る予定

4.KMバイオロジクス 東大医科学研究所/国立感染症研究所

不活化したコロナウイルスを使用(不活性化ワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)

いずれのワクチンもまだ第Ⅲ相試験が行われていないか、完了してないことから申請にはまだ先となります。

感染予防ワクチンは、有効性が高いことも必要ですが、安全性が更に必要となります。

2021年5月30日日曜日

新型コロナウイルスについて-27.ワクチン接種の際にシリンジを引く逆血の確認は必要なのか?-

 ワクチン接種をする三角筋などの筋肉注射では通常大きな血管はないため、海外では逆血確認のシリンジを引く必要はないとされています。

これはあくまで予防接種についてのみの場合です。

予防接種において、筋肉注射でも皮下注射でもシリンジを引くと「痛い」ので不利益を被る人のほうが多いことからCDCの予防接種ガイドラインにも逆血確認は必要ないと記載されています。

確かに一昔前まではワクチン接種で逆血確認が必要と言われていました。

しかし医学は日々進歩しており、時代とともに医学はどんどん新しい知識や知見を学んでいく必要があります。

予防接種の筋肉注射を受けて接種者が逆血確認のためにシリンジを引かなくても間違いではありません。

いつまでも旧態依然の方法に固執することは出来ません。

現在世界の多くの国々では、生ワクチン以外のワクチンはこの筋肉注射での予防接種が広く一般的に行われています。

これは痛みも少なく、ワクチンによっては効果もより高いからです。

人は誰でももそうですが、昔から慣習的に行っていることを急に変えるという事に躊躇する気持ちや不安になる気持ちを抱くのが常です。

ワクチン接種が多い小児科の分野では、以前より筋肉注射への理解や知識を深めようとする動きはすでに行われています。

筋肉注射は垂直に針を刺すことから見た目は痛そうに思われがちですが、実際は皮下注射と比べると痛みなども少なく利点が多いのです。

痛みは人それぞれ感じ方に差がありますから、筋肉注射が皮下注射より痛みが少ないというのは海外での研究や海外での経験からわかっている一般的な知識として申し上げています。

人によっては筋肉注射の方が皮下注射より痛いと感じる人もいて当然ですし、その逆もそうです。