血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年4月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-22.空間除菌グッズに騙されないように!!その1-

 空中に消毒薬を拡散させることで空気を消毒すると称する、いわゆる「空間除菌」は、数多く宣伝されています。

据え置きタイプ・首から下げるタイプ・スプレータイプなどさまざまな商品が販売されていますが、空間除菌によって新型コロナウイルスの感染を予防できるという臨床的証拠(医学的根拠)はありません。

先進国においても空間除菌を推奨している公的機関もありません。

厚生労働省のサイトには、下記の注意を促しています。

『消毒剤や、その他ウイルスの量を減少させる物質について、人の眼や皮膚に付着したり、吸い込むおそれのある場所での空間噴霧をおすすめしていません」「これまで、消毒剤の有効かつ安全な空間噴霧方法について、科学的に確認が行われた例はありません。また、現時点では、薬機法に基づいて品質・有効性・安全性が確認され、「空間噴霧用の消毒剤」として承認が得られた医薬品・医薬部外品も、ありません」』

それでは空間除菌グッズは何に分類されるのでしょうか?

そもそも空間除菌グッズは、医薬品や医薬部外品ではなく単なる"雑貨"なのです。

全てのメーカの宣伝文句を注意してよ~く読んでみますと、「新型コロナの感染予防に効果がある」とは一言も書かれていません!!

医薬品や医薬部外品ではなく"雑貨"であるのに、感染予防の効果効能をうたうと法律違反になります。

新型コロナの流行以前から、空間除菌グッズを販売する会社は、景品表示法に基づいて消費者庁からしばしば措置命令を受けています。

消費者にはあたかも感染予防効果があると誤認させる一方で、消費者庁からは処分を受けないように考えて広告表現を工夫して宣伝する才能は大したものと言わざるを得ません。

続く


2021年4月18日日曜日

新型コロナウイルスについて-21.新型コロナウイルス抗体検査について-

 新型コロナウイルス抗体検査には抗体即日検査と抗体精密検査の二種類があります。

抗体即日検査は15分ほどで検査結果が判明し、新型コロナウイルスのIgM抗体、IgG抗体どちらが陽性が出たかというのも判別することが可能です。

抗体精密検査は検査結果が判明されるまで2~4日ほどかかりますが、抗体即日検査よりも精度が高いと考えられています。

この検査の欠点としては陽性となった場合、IgM抗体、IgG抗体のどちらが陽性であったのか判別することはできません。

即日抗体検査はイムノクロマト法を利用した検査です、

【IgM抗体とIgG抗体について】

基本的にIgM抗体が感染初期に現れ、比較的早い段階で消失し検出できなくなります。

IgM抗体が陽性の場合は、過去1週間以内に感染した可能性が高いということになります。

それに比べてIgG抗体は比較的感染後遅い段階で現れ、長期間検出可能と言われています。

IgG抗体が陽性の場合は、過去数ヶ月以内に感染した可能性があり、抗体が体内に存在していることになります。

IgM抗体、IgG抗体ともに陽性だった場合は、現在進行形で新型コロナウイルスに感染している可能性が考えられます。

【注意す.べきこと】

IgM抗体、IgG抗体ともに陰性であっても新型コロナウイルスに対する抗体が検出できなかったことを確認しただけで、新型コロナウイルスの感染を完全に否定する事はできません。

また、新型コロナウイルスのワクチンを接種し、抗体ができると陽性となります。

【検査キットの信頼性】

・IgGの感度100% 特異度98.9%

・IgMの感度100% 特異度97.8%

※抗体陽性は、「過去に感染した可能性が?い」ということを意味するのみ※

?:抗体アリ≠感染防御免疫アリとは言えません

? :抗体検査は、ウイルスに対する免疫反応を検出することから、必ず特異反応であるとは言い切れません

キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、正確な診断をするための検査とは言いにくいです。

一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1~2週間(感染初期)、IgG抗体は2~3週以降(回復期)に出現します。

※国立感染症研究所の評価によりますと、イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59.4%、IgG抗体陽性率は96.9%と報告されています※

※2021年4月現在、厚生労働省が認可した簡易キットは『エスプラインR SARS-CoV-2(富士レビオ社製)』・デンカ株式会社の「クイックナビ-COVID19Ag」・株式会社タウンズの「イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2」がありますが、これ以外のネット通販のキットは厚生労働省が認可した簡易キットではないことからこれらキットを使用する場合は自己責任で利用することになります※