血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年9月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-1.飛行機の中でのマスク着用は必要なのか?!

医学的に考えても飛行機の中では、マスクの必要はないと考えられています。

その理由としては、航空機では一般的に客室の空気は2~3分ごとに完全に入れ替わっています。

空気を50%は機外に出し、50%再循環させていますが、再循環させる際にはHEPAフィルターを通過させています。

新型コロナウイルスもこのHEPAフィルターで捕捉されると考えられており、機内での感染拡大は極めて少ないとされています。

また、エアロゾル感染と考えられる座席の離れた乗客への感染もほとんど報告されていません。

インフルエンザやSARSなどの他の呼吸器感染症の機内感染に関するこれまでの研究では、呼吸器感染症の患者の近くに座ることが感染の主要な危険因子であることが明らかにされており、例えばSARSの機内での感染事例では、感染源の乗客の周辺に限局していました。

機内でコロナに感染した「かもしれない」事例は海外で報告されています。

シンガポールから中国に飛んだ民間航空機に乗っていた325人のうち、12人が感染したと考えられる事例が報告されてますが、当時は乗務員は全員マスクを着けていたものの、2020年1月当時は乗客にはほとんどマスクを着けていた人はいなかったようです。

武漢からシンガポールに旅行していた人が感染源と考えられ、この人から11人に広がったものと考えられています。

この事例は本当に機内で感染したのか、例えば空港の待合で感染したのか、はっきりと断定することは出来ていませんが、感染源と考えられる人が機内でマスクをしていなかったことが一因である可能性は完全には否定できていませんし、感染したとも確定はされていません。

それでは飛行機内ではマスクを着用すべきなんでしょうか??!!

新型コロナでは、発症する前の症状がない時期にも感染するリスクがあることからして、人が密集した場所や屋内では症状がない人も含めてマスクを装着する「ユニバーサルマスク」という考えが新型コロナ以降定着してきており、それを支持する科学的根拠も集まってきています。

機内で大声で喋るような方や咳が出ている方は、周辺に飛沫が飛ぶ可能性がありますので、マスクを装着した方が良いと言えるでしょう。

しかし、咳などの症状もなく、喋ることもないようであれば、理論的にはマスクを装着しなくても換気の良好な機内では感染拡大のリスクは低いと考えられています。

しかし「機内ではマスクを着用しなくて良い」というほどのエビデンスは現時点ではありませんので、特にマスク着用に抵抗のない方は着けておく、マスクを着けたくない事情のある方は添乗員に事情を説明し食事中以外はできるだけ喋らない、などの対応で良いのではないかと思います。

何が何でもマスクを着用すべきと強要するのはいただけません。

航空会社の職員は、マスクの必要不要を医学的科学的に丁寧に説明できるよう勉強する必要があります。

殆どの職員がマスクが何故必要なのか、また必要でない場合はどうなのかを理解することなく、着用を一方的に乗客に押し付けているとしか言えないのが現状です。

いわゆるマニュアル人間としてしか対応していないのです、これではだめです。

航空会社も搭乗前にすべての乗客に何故機内でマスクの着用が必要なのかを丁寧に説明する必要があるのと、着用しなくても良い場合も説明する必要があります。

現実は、マスク着用の必要性については搭乗される航空会社によって異なることと、十分な対応をしていない航空会社もありますから、搭乗の際には必ず事前に確認をするほうが搭乗してから揉めることがなくなるはずです。

事前に問い合わせたり質問しても、納得の行く説明の出来ない航空会社はトラブルを防ぐためにも利用しないのが得策です。

納得のできる説明もしないし、利用者の話もろくに聞かずに威圧的に着用を押し付けてくる航空会社は、信用できません。

マスクの着用も重要ですが、それに加えて前述の事例のように環境からの接触感染も起こりえますので、トイレ後の手洗いなども重要ですよ。

2020年9月6日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-3.抗体検査-

【何を調べる】

新型コロナウイルスに感染したという感染抗体と感染を防止する中和抗体の有無を調べる。

※どちらの抗体が検出可能かは現時点では、はっきりしていない※

【調べる目的】

現時点で新型コロナウイルスに感染したことがあるかを調べる検査。

【検査に要する時間】

迅速検査で15~30分程度

【検査検体】

血液で検査。

【受ける適切な時期】

感染してから9~12日では陽性率は50%、13日以降では、96.9%の陽性率

【感度・特異度】

多くの資料から分析した結果、キットによってかなりの差が見られます。

感度は66.0~97.8%、特異度は96.6~99.7%

IgGの感度 30/30 100% 特異度 89/90 98.9%

IgMの感度 27/30 100% 特異度 88/90 97.8%

【今後の展望】

抗体検査は、見つける抗体が感染抗体か中和抗体の区別がつかない・感度や特異度にかなりの差があることなどからしてまだまだ改良の余地があります。