血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年4月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-15.日本国内におけるPCR検査の現状-

PCR(polymerase chain reaction)検査は、遺伝子の検査に用いられる手法のひとつの検査法で、特定のDNA断片(数百から数千塩基対)だけを選択的に増やして調べやすくするために用いられる遺伝子増幅技術です。

これは、遺伝子そのものをコピーして増やす酵素を使って、直接遺伝情報を読み出してやろうという革命的かつ画期的な方法なのです。

PCR検査はウイルスそのものを増やして検査するのではなく、ウイルスの遺伝子を増やして検査するのです。

そのため検査技術が未熟であったり、検査をする部屋が不潔であったりすると外界の何らかの遺伝子が混入してこの混入した関係のない遺伝子を間違ってコピーして増やしてしまうことからニセの陽性反応が起こってしまいます。

要するに検査検体には新型コロナウイルスはいないのにも関わらず、外界から混入したDNAのかけらが増幅され検査結果は陽性(偽陽性反応)となってしまう訳です。

更に新型コロナウイルスのPCR検査では、新型コロナウイルスの遺伝子だけを調べていることから、新型コロナウイルスのカプセルが破壊されて機能していなくても(感染性のない新型コロナウイルスの死骸)PCR検査で陽性となることもありえます(偽陽性反応)。

従ってPCR検査は、外界からの遺伝子の購入を防ぐ施設、熟練した技術者が検査を実施しないと、偽陽性反応や偽陰性反応の出現率が極めて高くなってしまい信頼できない検査となってしまいます。

現在日本国内において実施可能なPCR検査の実施件数は、1日現在1日地方衛生研保健所約4900件・民間検査会社約3600件・検疫所約1800件など合わせて約1万2800件と言われています。

現在のように急激な新型コロナウイルスの感染者発生に伴い場当たり的に検査件数を増やすことは信頼性を低下させることになってしまいます。

施設の拡充は出来てもPCR検査に熟練した技師を短期間に養成することは不可能です。

日本国内で急激に検査件数を増やして検査を実施する体制はできないということなのです。

検査は出来るが、信頼性の低い検査を実施しても意味がありません、混乱を招くだけです。

2020年4月13日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-14.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状-

【潜伏期間】

2~12日(平均7日)

【症状】

初期症状は、鼻水や咳、発熱、軽い喉の痛み、筋肉痛や体のだるさ(倦怠感けんたいかん)など、風邪のような症状が生じ、特に、37.5℃程度の発熱と強い体のだるさを訴える人が多いという特徴があります。

初期症状では比較的軽症で、発熱や咳など風邪のような症状がみられるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがあります。

人によっては鼻詰まりや鼻水、頭痛、痰や血痰けったん、下痢などが生じることがあります。

発熱やせき、それに息苦しさや、呼吸困難といった呼吸器の症状が出現し、重症化すると、肺炎を引き起こしたり、腎臓の機能が低下したりして、死亡することもあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状に結膜炎があることも理解しておく必要があります

ただし、これらの症状は感染した人全員にみられるとは限らず、無症状で経過する例もありますし、軽症の段階でも重症化した段階でも感染力があり、人に感染させると考えられていますが、無症状の人から感染する可能性は高くはないと考えられています。

初期症状はおよそ5~7日間程度続き、重症化しなければ次第に治っていきます。


【致死率】

世界保健機関(WHO)によると致死率は3%から4%程度と考えられていますが、10%を超えている国もあります。

2020年4月10日時点で世界全体の致死率は6.1%と報告されています。


【重症化する人】

これまでに死亡した人のほとんどには、高血圧や糖尿病、それに心臓や血管の病気といった、免疫を低下させるような持病があったということです。

しかし最近では若年層の人も重症化して死亡しています。