血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2019年5月7日火曜日

風疹について-3.風疹ウイルス抗体検査の解釈について-

風しん抗体検査の試薬としては、日本国内では10社から販売されています。

検査方法としては、以下のものがあります。

赤血球凝集法(HI法)
酵素免疫法(EIA法)
蛍光酵素免疫法(ELFA法)
ラテックス免疫比濁法(LTI法)
化学発光酵素免疫(CLEIA法)
蛍光免疫測定法(FIA法)など

【抗体価】

各メーカの検査キットによって異なります。

一般的には赤血球凝集法で風疹HI抗体価によって以下のように解釈します。

・8倍未満は陰性

・16倍以下では発症予防効果はあるが体内でのウイルス増殖が起こる

・32倍以上では体内でのウイルス増殖を抑制する

【風疹IgM特異抗の出現時期】

風疹ウイルスに感染して発疹出現から28日以内の血液中に風疹IgM特異抗体検出が出現します。

この風疹IgM特異抗体を調べることによって風疹の診断が可能となります。

【ペア血清とは】

ペア血清とは、とは同一患者から採取されたペア血清(ぺあけっせい、英: paired serum)とは同一患者から採取された1組の急性期血清および回復期血清のことを言います。

要するに同一患者から採血した急性期血清および回復期血清を使用して抗体検査を実施します。

ペア血清を用いて、CF、HI試験、ELISA法などで4倍以上の上昇が認められれば風疹ウイルスに感染していると判断します。

2019年4月28日日曜日

風疹について-2.風疹ウイルス特異的IgM検出法-

風疹抗体検査は、血液で簡単に実施可能です。

【検査方法】

検査法にはHI法とEIA法があります。

【基準値】

1)HI法で陰性かあるいは32倍未満。

2)EIA法で陰性かあるいは8.0未満の場合。

上記1)2)の場合は共に過去に風疹ワクチンを接種していても、あるいは風疹に罹患した既往があっても、風疹感染防御抗体の量が少ないことから風疹にかかる可能性があります。

【どの程度の抗体価があれば感染予防ができるのか】

一般的には赤血球凝集法で風疹HI抗体価が8倍未満は陰性と判断します。

16倍以下では発症予防効果はありますが、体内での風疹ウイルス増殖が起こります。

32倍以上では体内での風疹ウイルス増殖を抑制する事ができます。


【風疹の抗体がないあっても低い場合の対応】

風疹抗体検査の結果、抗体がない、あるいは抗体があってもその量が少ない(抗体価が低い)場合は、風疹ワクチンの予防接種を受けて、風疹に対して免疫をつける必要があります。

※妊娠している女性や妊娠の可能性がある女性は風疹ワクチンを受けることができません※

風疹ウイルスの初感染の場合, 発疹出現後3日目までは特異的IgMが検出限界に満たず偽陰性となることがありますが、感染後4~28日後にはほぼすべての例で検出されるようになります。

【風疹抗体検査の偽陽性反応】

パルボウイルスB19感染症などの他の感染症に伴い, 偽陽性反応が起きることが知られていますが、これらの偽陽性反応の場合はIgM抗体価が低値であることがほとんどであることから, 抗体価も考慮に入れて総合的に診断することが重要となります。