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2025年10月12日日曜日

感染症速報27.異例の早期流行!インフル・新型コロナワクチンは接種すべきか否か?-

 🚨 2025年秋、異例の「ダブル流行」に警戒!

今年の秋は、例年とは違う感染症の状況にあります。

◎インフルエンザは、流行開始の目安を2週連続で超え、例年より約1ヶ月早い異例の早期流行となっています。

学級閉鎖も増加しており、今後の本格的な流行に備える必要があります。

◎新型コロナウイルスは、報告数は減少傾向にあるものの、依然として少なく特に高齢者層では入院が続いており、季節性のウイルスとして弱者に重い打撃を与えるリスクは残っています。

インフルエンザも新型コロナも症状だけでは区別が難しく、両方の検査が行われています。

※この「ダブル流行」の状況では、特に警戒が必要です※


🛡️ ワクチンが果たす「重症化予防」という大切な役割

こうした状況を踏まえ、インフルエンザと新型コロナ、それぞれのワクチンはどのような効果が期待できるのでしょうか?

※インフルエンザの場合成人の医療機関受診リスクが36~54%(米国/日本) 低下し、入院リスクも41~55%低下、更に感染しにくくなり重症化もしにくくなる。

※新型コロナは、65歳以上の入院予防効果(日本)63.2%、救急受診予防効果(米国)33%低下し、特に重症化や入院リスクを低下させる。

いずれのワクチンも「感染を完全に防ぐ万能薬」ではありませんが、重症化や医療機関への受診・入院のリスクを有意に低下させるという高い有効性が確認されていることからしてこれは、個人を守ると同時に、医療システムを守る上でも非常に重要です。


📢 なぜコロナワクチンの接種率が低いのか?

新型コロナウイルスは弱毒化しているものの、日本感染症学会など3学会は共同で見解を発表し、接種を強く推奨しています。

その理由は、新型コロナによる年間死亡者数がインフルエンザよりも依然として多いためです。

しかし、昨シーズンの新型コロナワクチンの接種率は、インフルエンザワクチンの半分以下という自治体が多く、このギャップが課題となっています。


✅ 接種の判断は「メリットがあるか」で

ワクチン接種は、決して**「正しいか/間違いか」の二択ではなく、「自分や家族にとってメリットがあるか/ないか」**という意思決定です。

接種を強く推奨される人は65歳以上の高齢者、慢性呼吸器・心疾患、糖尿病、肥満など基礎疾患のある人、免疫抑制状態にある人。

接種を検討すべき人とは、あくまでも個人判断となり、若年者層、医療機関や介護施設に頻繁に出入りする人(自他を守るため)。

接種後には一時的な発熱や倦怠感などの副反応が起こることもありますが、ハイリスク者においては「感染した際の重症化リスク」と「ワクチンの副反応リスク」を比較し、重症化を避けるメリットの方が大きいと判断するのが医学的・公衆衛生的見解です。


💡 まとめ:冬に備えて今すぐできること

インフルエンザが早期流行し、新型コロナも継続的に存在する今シーズンは、感染対策の「ガードを上げる」ことが求められます。

1)ワクチン接種: 特にハイリスクの方は、インフルエンザと新型コロナの両方のワクチン接種を強く検討しましょう(同時接種も可能です)。

2)基本的な感染対策の徹底: 手洗いやうがい、マスク着用(必要な場面で)、換気や湿度の管理を徹底しましょう。

※異例の流行に備え、適切な予防行動で自分と大切な人を守りましょう※

2025年10月5日日曜日

感染症速報26.🚨 【全国で流行入り】インフルエンザが「異例の早さ」で本格シーズン突入!-

厚生労働省は2025年10月2日、インフルエンザが全国的な流行シーズンに入ったと発表しました。

これは、全国の定点医療機関あたりの患者報告数が、流行開始の目安とされる1.0人を超えたことを意味します。

注目すべきは、この流行入りが**「去年より約1か月早い」**という異例のタイミングである点です。

ではなぜ、これほど早くインフルエンザの波が押し寄せたのか。医学的・疫学的な最新分析を踏まえ、その重要性と私たちが今すぐ取るべき対策を解説します。

1. 異例の早期流行を招いた「2つの疫学的な要因」

例年、インフルエンザの流行シーズンは12月頃に始まり、ピークは1月~3月頃ですが、2025年は季節が深まる前に感染が拡大しています。

専門家が指摘する主要な要因は以下の通りです。

(1) 免疫負債(Immunity Debt)の影響

新型コロナウイルスのパンデミック期間中、徹底的な感染対策(マスク、手洗い、活動制限)により、インフルエンザウイルスへの自然な暴露機会が激減しました。

その結果、特に子どもたちを中心に、集団全体のインフルエンザに対する免疫(防御力)が低下しています。

この「免疫負債」があるため、例年より少ないウイルス量や早い時期でも、感染が広がりやすくなっていると考えられます。

(2) 季節外れの環境と国際的な往来

専門家は以下の点を指摘しています。

猛暑と空調環境: 猛暑により、多くの人がエアコンを強く効かせた屋内で過ごす時間が増えました。

インフルエンザウイルスは、**「乾燥し、温度が下がる」**環境で活性化し換気が不十分な冷房の効いた部屋は、ウイルスの拡散リスクを高める温床となり得ます。

国際的な人の移動: 大阪・関西万博など国際イベントの開催や、水際対策の緩和により、海外からの観光客が増加しています。

すでにインフルエンザが流行している国からの入国者がウイルスを持ち込み、国内の早い流行開始の引き金になった可能性が考えられます。

2. 今シーズンのインフルエンザの重要性とリスク

「インフルエンザなんて毎年かかるもの」と軽く見てはいけません。

早期流行は、以下の点で特に警戒が必要です。

重症化リスクの集中: 流行が早まることで、ワクチン接種が進んでいないタイミングで感染が拡大し、特に高齢者や基礎疾患を持つ方、乳幼児などの重症化リスクが高い層が大きな影響を受ける可能性があります。

医療機関の逼迫: 例年より早い時期にインフルエンザ患者が増えることで、新型コロナウイルスやその他の季節性感染症の患者と重なり、地域の医療機関に大きな負荷がかかることが懸念されます。

3. 最新情報を踏まえた「最優先の感染対策」

厚生労働省は、手洗いやマスク、換気などの基本対策を呼びかけていますが、この早期流行の状況において、特に注力すべき対策があります。

✅ 最優先事項:インフルエンザワクチンの早期接種

日本では例年12月~3月が流行期のため、12月中旬までに接種を終えることが推奨されていますしかし、今年はすでに流行期に入っています。

接種のメリット: ワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、重症化や合併症を防ぐ上で最も有効な手段です。

接種タイミング: 流行の波に乗り遅れないよう、特に重症化リスクの高い方は、かかりつけ医と相談の上、できるだけ早く接種を検討してください。

✅ 環境対策:換気の徹底

猛暑が落ち着いた今も、空調を使用している室内では換気が非常に重要です。

定期的に窓を開けて空気の入れ替えを行うか、換気扇や高性能フィルターを活用し、室内のウイルス濃度を下げましょう。

✅ 基本対策の再徹底

◎手洗い: 外出後や食事前だけでなく、こまめに石鹸と流水で手を洗う習慣を再徹底しましょう。

◎咳エチケットとマスク: 咳や症状がある場合は必ずマスクを着用してください。また、人混みや混雑した場所へ行く際も、マスクの着用は有効な防御策です。


【まとめ】


インフルエンザの全国的な早期流行は、季節の変わり目における公衆衛生上の大きなサインです。

過去数年で免疫状況が変化している中、一人ひとりの意識的な行動が、自分自身と大切な人を守ることにつながります。

この情報を参考に、今一度、ご家族や職場の感染対策を見直しましょう。

2025年10月3日金曜日

感染症速報-25.🚨 早くも到来!東京のインフルエンザ流行シーズンを医学的・疫学的に検証-

 東京都が発表した「インフルエンザ流行シーズン入り」は、例年と比較して極めて早い時期の到来であり、公衆衛生上の懸念が高まります。

当ブログでは、この早期流行の背景を医学的・疫学的な観点から分析し、最新の情報を踏まえた感染対策を詳しく解説します。

1. 流行シーズン入りの基準と今回の状況の特殊性

💡 流行開始の定義

インフルエンザの「流行シーズン入り」は、定点医療機関あたりの患者報告数が1.0人を超えたときが目安とされてこれは、地域内でインフルエンザの感染が広がり始めたことを示す重要な指標です。

📈 東京の状況(最新情報に基づく検証)

元の文章にある「先月28日までの1週間で1.96人」という報告数は、流行開始の目安(1.0人)を大幅に上回っており、都内でインフルエンザがすでに勢いよく拡大していることを示しています。

極めて早い流行期入り: 例年、日本でのインフルエンザの本格的な流行は12月〜3月頃にピークを迎え、流行シーズン入りも11月以降となることが多いですが、今年は10月に流行シーズン入りしたということで、これは過去のパターンから逸脱した異常な早期流行と言えます。

過去の早期流行としては、2023年度も比較的早い時期に流行が始まりましたが、今回はさらに前倒しになった可能性が示唆されます(※検索結果には2024年の11月以降の情報が含まれており、記事の時期によって流行の進展に時間差があることがわかりますが、10月の流行シーズン入りは早いことに変わりありません)。

2. 早期流行の背景にある疫学的要因

ではなぜ、これほど早く流行が始まったのでしょうか?主な疫学的要因として、以下の点が考えられます。

🦠 免疫負債(Immunity Debt:イミュニティ・デット)の影響

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック期間中、徹底された感染対策(マスク、手洗い、外出自粛)により、インフルエンザを含む多くの呼吸器感染症への暴露機会が減りその結果、特に子どもたちを中心に、集団としての**インフルエンザに対する自然免疫が低下している(=免疫負債)**状態にあります。

この免疫の空白期間により、例年より低い感染レベルでも流行が拡大しやすくなっていると考えられます。

※「イミュニティ・デット」(免疫負債)とは、COVID-19パンデミック中に人々が感染対策(ロックダウン、マスク着用など)を徹底した結果、通常のウイルスや細菌にさらされる機会が減り、集団免疫が低下した状態を指す概念です※


🌏 世界的な流行パターンの変化

近年、特に南半球など海外で、インフルエンザの流行開始時期が変化し、通年的な流行が見られる報告があり国際的な往来が回復する中で、これらの変化が日本に持ち込まれ、例年とは異なるタイミングで流行が始まる可能性があります。

🏫 集団生活における感染拡大

インフルエンザは特に**小児(14歳以下)**で患者報告数が多い傾向があり、学校や保育施設での集団生活を通じて感染が急速に拡大し早い時期に流行が始まると、学級閉鎖などの影響も早期に出やすくなります。

3. 最新情報を踏まえた感染対策の徹底

本格的な流行の波に備えるため、東京都が呼びかける対策に加え、医学的に推奨される最新の対策を徹底しましょう。

【感染予防の具体的な行動と医学的根拠】

◎ワクチン接種:最重要対策で日本では例年12月〜3月が流行期のため、12月中旬までに接種を終えるのが望ましいとされています。

ワクチンは発症予防だけでなく、重症化予防に極めて有効で特に高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児は優先的に接種を。

◎手洗い・消毒:**「こまめな手洗い」**を徹底。石鹸と流水による手洗いは、接触感染の主要な経路を断ち切る基本です。

◎換気:定期的な換気により、室内のウイルス濃度を下げることが重要で特に集団で過ごす場所では、窓を開ける、換気扇を回すなど、空気の流れを作りましょう。

◎マスク着用:**「咳エチケット」**として推奨。感染者や症状のある人が着用することで、飛沫によるウイルス拡散を効果的に防ぎますので人混みや換気の悪い場所での着用も有効です。

◎体調管理:十分な休養とバランスの取れた栄養摂取で免疫力を維持することが大切で体力が低下していると、感染しやすく重症化リスクも高まります。

⚠️ 重症化リスクの高い人

65歳以上の高齢者、5歳未満の小児(特に2歳未満)、妊婦、慢性疾患を持つ方などは、重症化のリスクが高いです。症状が現れたら速やかに医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

早期の流行シーズン入りは、インフルエンザが今年は例年以上に警戒すべき感染症であることを示しています。

皆で適切な対策を講じ、健康な冬を迎えましょう。


『インフルエンザが東京都でも流行シーズンに突入(2024年11月14日)』