血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2022年9月25日日曜日

帯状疱疹-6.顔面にできたときは注意-

 「眼部帯状疱疹」は、額や頭皮、眉毛部分、上まぶた、鼻の皮膚に相当する部分(三叉神経第1枝の領域)に病変が現れた場合をいいます。


 ピリピリ、チクチクと感じる痛みと発赤、水疱が出現しますが、 左右どちらかだけに起こるのが特徴的で、反対側にまで広がることはまずありません


特に顔面の三叉神経第1枝領域(眼神経)に出来た場合、ヘルペス性角結膜炎や、虹彩炎、網脈絡膜炎を引き起こし、視力低下等の症状をきたすことがありますので、眼科での精密検査が必要になります。


放置しておくと視力低下や失明に至ることもあります。


治療としては、抗ウイルス薬のアシクロビル眼軟膏や内服がありますが、重症の場合は、総合病院等で抗ウイルス剤の点滴静注が必要になることもあります。


その上に混合感染予防のための抗菌剤点眼や、炎症抑制のための低力価のステロイド点眼(角膜上皮型でなく、実質型の場合)を併用する必要がある場合もあります。


兎に角目の付近に帯状疱疹が出来たときには、直ちに眼科を受診して細隙灯顕微鏡でしっかりと観察、診断してもらわれることです。


2022年9月18日日曜日

帯状疱疹-5.帯状疱疹ワクチン-

 帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50代、60代、70代と加齢に伴ってさらに増加し、帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも加齢とともに高くなるといわれています。


『乾燥弱毒性水痘ワクチン』は、1987年に水痘(水ぼうそう)ワクチンとして認可され、2016年に帯状疱疹にも適用が拡大されました。


 『帯状疱疹ワクチン(シングリックス)』は2020年1月に帯状疱疹専用の予防接種として認可されたものです。


なお、帯状疱疹のワクチン接種の対象は、50歳以上の方です。


【帯状疱疹ワクチンの種類】


1.乾燥弱毒性水痘ワクチン


発症予防効果は約50%程度とされ、帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症を3分の1に抑えると言われています。


弱毒化されてはいるものの病原性をわずかに残すため、免疫不全状態の方やステロイドなどの薬を内服中の方は接種できません。


5年程度免疫が維持されるとされていますので、5年毎の接種が勧められています


 ※予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません※


皮下注射/1回て、費用は7300円前後です。


2.帯状疱疹ワクチン(シングリックス)


発症予防効果は50歳以上の人で約97%、70歳以上の人でも90%程度と報告されています。


帯状疱疹後神経痛(PHN)に関しても88%と高い予防効果が示されています


今のところ、9年間は効果が維持できることが確認されています。


1回目の接種から2か月後に2回目の筋肉への接種を行う。


※2か月を超えたら6か月後までに2回目の接種を行う※


ウイルスの感染性をもたない部分だけの組換えワクチンのため免疫低下している方にも接種できます。


このワクチンは1回目は25300円で、2回分の費用合計は50600円です。


費用はあくまでも目安で、接種は任意予防接種(自由診療)ですから全額自己負担での実施となりますから接種を希望され人は医療機関に直接確かめて下さい。


【副作用】


どちらのワクチンも注射を打った部分の腫れが生じることがあります。


一般的にはシングリックスの方が打った部分の痛みや腫れが強いと言われています。


副反応は3日から1週間以内にはおさまる一時的な症状です。


【どちらのワクチンを接種すればよいのか】

どちらのワクチンを接種するかは、費用・副作用・予防効果を加味して医師と相談の上判断されることです。

2022年9月11日日曜日

帯状疱疹-4.帯状疱疹の治療-

 帯状疱疹は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の全身投与を出来るだけ早期(発疹が出てから3日以内に飲みはじめるとよい)に開始することが大切です。 


重症なものは、入院して抗ウイルス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注が必要です。


抗ウイルス薬の塗り薬は、ごく軽症の場合や、すでにウイルスの活性化が抑えられている場合に使われます。


これは皮膚の表面でウイルスが増えるのを抑える効果が期待できます。


また痛みの激しいときには、痛み止めでの治療が行われます。


夜も眠れないほどの強い痛みが続く場合には、ペインクリニックなどで神経ブロックと呼ばれる治療が行われることもあります。


※神経ブロックは神経の近くに局所麻酔薬を注入して、神経の伝達をブロックする方法です※

2022年9月4日日曜日

帯状疱疹-3.帯状疱疹の症状-

 一般的に体の右側、または左側どちらか一方に出るのが特徴で、痛みを伴う皮膚症状が3週間ほど継続します。 


顔面、特に目の周りに出現することもあります。


特に目の周りに現れたものは「眼部帯状疱疹」とよばれ、特に注意が必要で、発症初期から結膜炎や角膜炎などが起こることもあります。


症状としてはまずピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛が出て、1週間程度で痛みがある部分に赤い斑点が見られるようになります。


発疹は、その後小さな水ぶくれに変化し水ぶくれは最初数ミリくらいの小さなものが数個みられるだけですが、次第に数を増していきます。


新しいものと古いものが混在し、帯状に分布します。


このように水ぶくれが帯状に集まって生じることから、「帯状疱疹」と呼ばれる由縁です。


水ぶくれは、血液を含んだ黒ずんだ色になることや膿がたまることもあり、水ぶくれや膿は1週間ほどで破れ、その後かさぶたとなり、皮膚症状は3週間前後で治まりますが、色素沈着や傷跡が残る場合もあります。


皮膚症状が治癒した後も痛みが残ることがあり、これは帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia:PHN)と呼ばれる合併症で、帯状疱疹の後に一定の頻度で発症してしまいます。