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2018年10月13日土曜日

甲状腺検査-1.甲状腺刺激ホルモン-(TSH)

甲状腺刺激ホルモン(TSH:Thyroid Stimulating Hormone)は、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞から分泌されるホルモンで、甲状腺に働きかけ甲状腺ホルモンの分泌を促す働きがあります。

【甲状腺の機能と働き】

甲状腺は、のどの下部にあり、大きさが縦4cm、重さが15~20g程度の蝶が羽を広げたような形で気管の前方(喉仏のすぐ下)に付いています。

薄くやわらかい臓器ですから普段はのどを触ってもわかりませんが、腫れてくると手で触ることができ、見ただけでも腫れがわかる場合があります。

甲状腺は脳の下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモンの刺激を受けて、食物に含まれるヨードを材料にし、トリヨードサイロニン(T3)と、サイロキシン(T4)という甲状腺ホルモンを合成し分泌します。

この2つのホルモンは、糖や蛋白のエネルギー代謝の調節に関与しているほか、心臓、消化管、骨、脳の発育を促進させるなどの重要な働きをしていますから、この甲状腺に異常があると、ホルモンが出過ぎたり、逆に不足したりしてさまざまな障害が出現します。

【検査をする目的】

血中TSHは視床下部-下垂体-甲状腺系の機能診断に有用で、主に甲状腺機能障害のスクリーニング、下垂体前葉機能検査などに用いられる。

健常人の血中TSHは、年齢、性別による差異はなく、食事、運動による変化もありません。

【甲状腺に異常があるときの症状】

甲状腺ホルモンが出過ぎる場合、これを甲状腺機能亢進と言います。

分泌が足りなくなる場合を甲状腺機能低下)と言います。

【検査方法】

電気化学発光免疫測定法(Electro Chemiluminescence Immunoassay:ECLIA)で検査。

【基準値】

0.33~4.05μU/mL

※使用する機器や施設によって若干異なる※

【異常がある場合】

1)高値の場合

原発性甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病)、慢性甲状腺炎(橋本病)、無痛性甲状腺炎、TSH産生下垂体腺腫

2)低値

甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病)、二次性(下垂体性)甲状腺機能低下症、亜急性甲状腺炎(急性期)

【追加事項】

甲状腺疾患の診断には主に、TSHと共にFT3(遊離トリヨードサイロキシン)とFT4(遊離サイロキシン)を検査しますが、TSHが最も鋭敏に異常を検出する事ができます。

甲状腺ホルモンは建てないの代謝に関するホルモンですから、機能が亢進すると微熱が続きます。

軽い微熱程度の発熱が長く続く場合や、寒気が続く、体重の増減などが激しい場合なども甲状腺の機能検査を行う必要性があります。

風邪を引いていないのに微熱が続く、寒気や悪寒が走るなどの自覚症状が長期的に継続して体感される場合は要注意です。

甲状腺機能に何らかの異常をきたしている可能性があります。

妊婦はTSHと同じ様な構造を持つヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human Chorionic Gonadotropin:HCG)が多量に分泌されますから、HCGの働きかけの結果、TSHの分泌を抑制させることからTSHの数値が減少します。

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