血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年3月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-18.PCR検査は万能検査ではない-

 新型コロナウイルスに感染しているかを判定する一番の検査は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」という検査と言われていますが、果たしてそうなんでしょうか?

そもそもPCR検査は、ウイルスの一部の核酸を増やして調べる検査で、ウイルスそのものを見つける検査ではありません。

検査材料としては、感染の疑いのある人の喉や鼻の粘液を採取し、そこに含まれる、新型コロナウイルスに特徴的な遺伝物質の一部を増やして検査をします。

そして検出レベルまで増えれば「陽性」、検出できなければ「陰性」と判断します。

ここで多くの人が勘違いしているのは、PCR検査は万能と思い込んでいる人が多いということです。

PCR検査は万能検査ではありません!!

感染の初期やウイルスが少ない検体の場合は、いくら核酸を増幅させても検出できないことも当然ありえます。

その事例としては、

・PCR検査を行う技術者や医師の技術力の未熟さから、結果が陰性から陽性になったり、逆に陽性が陰性になったりすることがある。

どの検査でもこのようなことは起こりえますが、検査の難しいPCR検査は特にこの間違いは発生しやすいのです。

これを防止するには、日頃からPCR検査を行える人材教育をしていくことが大切です。

付け焼き刃での研修では優秀な人材は育ちません。

・陽性から陰性になった後、再び陽性になった。

これは一度体内からウイルスが減ったが、再び増える「再燃(さいねん)」が起きた可能性が専門家から指摘されています。

・ある男性の一人は、喉からの粘液検査では陰性となり、その後肺炎と診断され、肺内のウイルスがわかる別の検体の検査で陽性になった。

これは喉から採取した検体の中のウイルスの量が少なかったからです。

新型コロナウイルス検査には、インフルエンザウイルスの迅速簡易キット検査が現在存在していません。

新型コロナウイルスの感染を迅速に判定できる簡易キットの開発を急ぐ必要があります。


2021年3月21日日曜日

新型コロナウイルス流行下でHIV検査を受ける人が激減!!

 2021年3月16日、厚生労働省のエイズ動向委員会は2020年の1年間に保健所などで行ったHIVの検査数が2019年に比べて半減したと発表しています。

検査件数は68998件と大幅に減少し、相談件数も2019年に比べて半減し66519件だった。

新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大し、HIVの検査や相談をためらう人が増えたほか、保健所の業務が新型コロナウイルス対応で逼迫し、その結果HIVの検査を取りやめた時期があったことなどが影響したとみられています

2020年にHIV感染が新たに判明した人は、2019年に比べて160人減の10761人(速報値)となっています。

内訳としては、エイズを発症した患者が前年比3人増の336人、無症状の感染者が前年比1631人減の740人だった。

HIV感染者数が減少したのは、検査件数などの減少で、無症状の感染者を十分に把握できていない可能性があり、真に減少したとは言えません。

不安な行為をしてしまったときには、必ず適切な時期にHIV検査を受ける必要があります。

新型コロナウイルスの影響でHIV検査を受けづらい場合は、郵送による検査を受けることも選択肢のひとつです。

検査を受ける人が減ればそれだけいきなりエイズも増加することになります。