血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年12月20日日曜日

新型コロナウイルスと季節型インフルエンザの関連性

2020年は季節インフルエンザの流行が例年に比べて極端に少ないです。

2020年は季節性インフルエンザのワクチンが全国で品薄になり、接種したくてもできない人が出ています。

インフルエンザワクチンの製造には、およそ6ケ月を必要とすることから今年はもう接種できない可能性が高くなっています。

2020年は未だインフルエンザ流行していません。

2020年12月13日時点で、379人(2019年は223600人)と非常に少なくなっています。

※毎年年末から翌年2月にかけて流行のピークを迎えることから安心はできません※

その理由としては以下の3点が考えられています。

1.新型コロナウイルスの影響で国際的な人の移動が制限された結果、インフルエンサザ・ウイルスを持ち込む人が非常に少ない。

2.新型コロナウイルスの感染対策として、"3密"を避ける対策が功を奏した。

3.あるウイルスの流行が他の種類のウイルスの流行を妨げる「ウイルス干渉」の可能性がある。

インフルエンザと同様に呼吸器に感染する新型コロナが流行しているため、インフルエンザウイルスの侵入が抑えられていると推測されている。

新型コロナの予防ワクチン接種が始まり感染力が衰えてくると、インフルエンザの流行が復活する可能性があります。

今後多くの人が新型コロナワクチンの接種を受けた後にインフルエンザの大流行が起こると指摘する専門家もいます。

2020年12月13日日曜日

検査に対する疑問点-3.乳びした血液は検査には使用できないのか?-

 【乳びとは】

「乳び」とは血清などの検体が乳白色を呈している状態を言います。

【乳び血清・血漿】

血液を遠心分離した上層部の血清または血漿の色調は、乳白色になります。


【乳びの起こる原因】

食事として口から摂取される脂肪の大部分は中性脂肪で、リポ蛋白リパーゼなどの酵素により分解され、脂肪酸などに代謝されてしまいますが、食後に時間をおかないで採血した場合は、脂肪があまり分解されず血液中に残り、その脂肪分が白くみえるため検体が白濁して乳白色に見えます。

【乳びは健康人でも見られる】

乳びは健常な人でも見られます。

接種した中性脂肪は食後徐々に上昇し、4時間でピークとなり、以後低下します。

【病的な乳びとは】

食後かなり時間をおいて採血しても検体が乳びする場合がありますが、この場合は病的な乳びが疑われます。

これは、脂肪を分解・代謝する酵素が足りないか、またはうまく働いていない、いわゆる高脂血症などの脂質代謝異常の可能性が考えられます。

【乳びによって影響を受ける検査】

総蛋白、総ビリルビン、直接ビリルビン、TTT、ZTT、リン脂質、ベーターリポタンパク、中性脂肪、尿酸、無機リン、血清鉄、CPK、CRP、アルブミンなどの検査。

あまりにも乳びの程度が高い強乳びの場合は、検査ができなくなることもあります。

【乳びの影響を受けない検査】

・PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)

・IRMA(Immuno Radio Metric Assay:免疫放射測定法)

・EIA(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)

・ELISA(Enzyme-Linked immunosorbent assay:酵素免疫測定法)

・CLEIA(Chemiluminescent Enzyme Immunoassay:化学発光・酵素免疫測定法)

・FEIA(Fluorescence Enzyme Immunoassay:蛍光酵素免疫測定法)

・CLIA(Chemiluminescent Immunoassay:化学発光免疫測定法)

・ECLIA(Electro Chemiluminescence Immunoassay:電気化学発光免疫測定法)

などの測定法を利用した検査は乳び血清の影響を通常受けません。

【乳びを防ぐには】

検査前少なくとも12時間絶食した空腹時に採血されることをおすすめします。