血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年11月8日日曜日

インフルエンザについて-2.予防接種健康被害救済制度-

 ワクチンの予防接種は、私達個人や社会を感染症から守るために大切な予防的な方法です。

しかし、ほかの医薬品や食品などと同様に副作用が起こるリスクはゼロではなく、とてもまれですが健康に被害をおよぼすことがあります。

そのため、予防接種によって健康被害を受けた方に対して公的な救済制度が設けられています、これが予防接種健康被害救済制度です。

予防接種健康被害救済制度に付いて以下に簡単に解説しますと、

予防接種法の定期接種によらない任意の接種については、ワクチンを適正に使用したにもかかわらず発生した副反応により、健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)による医薬品副作用被害救済制度又は生物由来製品感染等被害救済制度の対象となります。 

即ち予防接種を受けた、ある原因があって、ある出来事がおこったとき、その原因と結果の関係を因果関係といいます。

ワクチン接種と健康被害との間に因果関係が認められた場合、つまりワクチン接種が原因で健康被害がおきたと認められた場合に救済給付が実施されます。

給付の種類には、

①医療機関での治療に要した医療費や医療手当(医療を受けるために要した諸費用)

②障害が残った場合の障害児養育年金または障害年金

③死亡時の葬祭料および一時金、遺族年金がありますが、各制度によって給付額は異なります。

ここ注意しなければならないことは、国内未承認ワクチン(いわゆる輸入ワクチン)に対しては、輸入業者が独自の補償制度を設定している場合もありますが、これらの公的な制度は適応されないことです。

以下に参考サイトを紹介しておきます。

厚生労働省-1-

厚生労働省-2-

2020年11月1日日曜日

インフルエンザについて-1.インフルエンザワクチンの副反応-

新型コロナウイルスの流行している現在、インフルエンザの流行も危惧されています。

数回に渡りインフルエンザについて解説していきたいと思いますので、お付き合いください。

感染症に対する免疫をつけるためにワクチンを接種した際に、免疫がつく以外の反応がみられることがありますが、これを副反応といいます。

比較的多くみられる副反応には、接種した場所が赤くなる(発赤)、腫れる(腫脹)、痛み(疼痛)等があります。

この副反応は接種をした人の10~20%に起こりますが、まず2~3日で収まります。

また全身の反応としては、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが接種を受けた人の5~10%に起こることがありますが、これも通常2~3日で収まります。

以上は軽い副反応ですが、まれにショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、発赤、掻痒感、呼吸困難等の副反応が起こることもあります。

重い副反応の出現頻度は、およそ100万人に1人とされています。

ワクチン接種後のショックやアナフィラキシー様副反応の殆どは、接種後30分以内に起こりますから、接種後は医療機関で30分は安静にして様子を見る必要があります。

日本国内でのインフルエンザワクチン接種による死亡例は、残念ながら毎年数例起こっています。

副反応検討部会において専門家による評価を行ったところ、死亡とワクチン接種の直接の明確な因果関係があるとされた症例は認められていません。

死亡した人のほとんどが、基礎疾患等がある高齢者であったことがわかっています。

インフルエンザワクチンワクチンを接種する際には、熱がある時は当然できませんが、基礎疾患がある人は、いろいろな外的要因により、病気の状態が悪化する可能性もありますので、必要に応じて、主治医及び専門性の高い医療機関の医師に対し、接種の適否について意見を求め、接種の適否を慎重に判断してください。

※接種できない体温とは、接種当日37.5℃以上の熱がある場合※

※よくインフルエンザワクチンを接種してインフルエンザを発症したということが囁かれますが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですから、ワクチンに含まれるインフルエンザウイルスはウイルスとしての働きはないので、ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありえません。

※不活化ワクチンは、インフルエンザウイルスの感染性を失わせ、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して作ったもの※

【韓国での死亡例について】

2020年韓国でのインフルエンザ予防接種で死者が多く発生していますが、この原因は現在わかっていません。

※2020年10月29日時点で72人の死亡※

2020年日本国内におけるインフルエンザ接種での死亡例は報告されていません。