血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2024年2月25日日曜日

世界に広がる啓発のシンボル “U=U”をご存知ですか?

 【U=U とは?】

U=U は "Undetectable=Untransmittable" の略で、日本語では「検出限界値未満=HIV感染しない」という意味です。

これは、抗HIV療法を継続し、血中のHIV量が検出限界値未満(200 copies/mL未満)の状態を6ヶ月以上維持しているHIV陽性者は、性行為を通じて他の人にHIVを感染させることはないという科学的根拠に基づいたメッセージです。

【U=U の重要性】

U=U は、HIV陽性者とHIV陰性者双方にとって重要なメッセージです。


1.HIV陽性者にとって


U=U は、治療を続けることでHIVを他の人に感染させないことが可能であることを意味します。これは、HIV陽性者が安心してパートナーと性生活を送ることや、子供を持つことを希望する場合にも、大きな希望となります。


2.HIV陰性者にとって


U=U は、HIV陽性者との性行為による感染リスクが非常に低いことを意味します。これは、HIV陰性者が安心してHIV陽性者との恋愛や性生活を送ることができるようになることを意味します。


【U=U のシンボル】



【参考資料】


https://www.janpplus.jp/topic/599




2024年2月18日日曜日

無症候梅毒は多い!!ご注意!!

2023年の梅毒患者報告数は、感染症法に基づく調査が始まって以来、最も多い13226人でした。

その中でも梅毒トレポネーマに感染しても、梅毒特有の症状を引き起こさない無症候梅毒が多く存在しています。

その数を紹介しますと、


男性 1138人(1138/7664 14.8%)

女性 1413人(1413/4376 32.3%)

男女 2551人(2551/12040 21.2%)

男性で14.8%、女性で32.3%、男女で21.2%もの無症候梅毒患者が存在していました。

特に女性の場合に無症候梅毒が多い実態が明らかになっています。

無症候梅毒が多いということは、梅毒トレポネーマに感染しても梅毒特有の症状が出ないことから患者本人が梅毒トレポネーマの感染に気づくことなく、次々と感染者を広げていくことになります。

梅毒が大流行している現在、危険な行為をしてしまった時には必ず適切な時期に梅毒検査を受けることが重要となります。

また梅毒トレポネーマはHIVのようにコンドームでの感染予防効果は高くないと考えて、コンドームの仕様を過信しないことも重要です。

2024年2月11日日曜日

新しいHIV確認検査とは

HIVの検査は、感度の高いスクリーニング検査を実施て、陽性となれば特異度の高い確認検査で真の陽性化、偽陽性を調べます。


ご存知のように確認検査には、ウェスタンブロット法を使用していましたが、現在ではウェスタンブロット法は使用されていません。


その理由としては、


1.高感度なスクリーニング法が採用されたことにより、ウエスタンブロット法の感度が追いつかなくなりスクリーニング検査 で陽性の感染初期検体がウエスタンブロット法で陰性または判定保留になってしまう。


2.HIV-1 RNA定量法であるアンプリコアHIV-1モニターv1.5が、 2002(平成14)年度からは確認検査にも保険適応できるようになった。


これまではアンプリコアHIV-1モニターv1.5はHIV-1 RNA定量法としてHIV感染者の経過観察のみの適応でした。


2020年9月に保険収載された新しいHIV-1/HIV-2抗体確認検査法は「Geenius:ジーニアス」です。


【Geenius HIV 1/2キットについて】


・ 抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体の有無を、イムノクロマト法(IC法)を利用した検査。


【検査法】


・ 検体として血清・血漿(5μL)または全血(15μL)を使用可能。


・ 30分以内で結果判定可能。


・目での判定も可能ですが、 Geeniusリーダー、PC用ソフトウェアとコントロール試薬により、自動解析、結果の電子的保存、精度管理が可能。


※ スクリーニング検査陽性検体の確認検査用としてのみ使用可能※

【参考資料】

『Geenius HIV 1/2 キット(Geenius:HIV 1/2 Confirmatory Assay) 』


【メーカ バイオ・ラッド説明画像】


 

2024年2月4日日曜日

新型コロナウイルス感染者増加!!

2023年11月下旬頃から徐々に感染者が増え始めてきましたが、1医療機関あたりの患者数は12月の最終週で5.79人でしたが、年が改まり1月になると感染者が一気に増加し1月14日は8.961月21日は12.23人、直近の1月28日時点では14.93人になっています。


感染者増加の理由としては、以下のことが考えられています。


1.気温の低下


呼吸器の感染症は、気温が下がると感染が広がる傾向があります。室内に籠もりがちになり、換気もしないということが要因の一つとして考えられます。


2.ウイルスの変異


2023年12月に日本で多かったのは、XBB系統の「EG.5」というタイプでしたが、1月に入ると、BA2.86系統の「JN.1」が多くなったことでしょう。


1月25日に東京都が公表したデータによると、調査した検体の55.6%がJN.1でした。


JN.1は、EG.5とJN.1は、感染したりワクチンを接種したりして獲得した免疫から逃れる傾向にあると言われています。加えてJN.1は、EG.5よりも感染力がやや強いのではないかと考えられています。


今のところ、重症者が増えたという報告はありません。高熱が出るインフルエンザの方が、症状が重くなるという印象です。


※※感染予防対策を!!※※


1.接触感染を防ぐため、こまめに手洗い


2.可能な限り"密"を避ける。


3.マスクをする。


2,3ともに 飛ひ沫まつ によって感染が広がることから、人混みが激しい"密"の場所に行く場合は、マスクを着用が必要となります。


4.部屋の換気を行う。


この時期気温が低いので難しいかもしれませんが、30分に1回程度、部屋の窓を開けて換気をすることにより感染するリスクを下げることにつながります。


5.インフルエンザワクチンを打っていない人は、今からでも接種を検討するとよいと思います。


感染した場合の対応


自宅で様子をみて、症状が重い場合は医療機関を受診することです。


「人に感染させない」ことが大切です。


特に高齢者や、糖尿病や高血圧といった基礎疾患がある人はすぐ、主治医に相談してください。


今後大流行の可能性は?


今後も、インフルエンザも新型コロナも感染拡大は続くと考えられいますが、新型コロナに関しては、大きな流行は発生しないと考えられています。


大流行しないという理由とは?


欧米では202年12月の時点でJN.1の流行は確かに発生していましたが、重症者が多く出たり医療機関が 逼ひっ迫ぱく したりしているという状況は報告されていません。


現在感染者の数は減ってきている欧米の状況から考えると、日本国内においても医療機関が感染者であふれるような状況にはならず、2月に感染のピークを迎えるその後落ち着いてくると考えられています。


しかし、気を抜かずに各人が予防対策をして損はないでしょう!!