血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年9月27日日曜日

新型コロナウイルスについて-3.新型コロナウイルスに感染すると 重症化しやすい人とは?-

 新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある人です。

20代くらいまでは死亡する人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では26.9%という非常に高い致死率となっています。

以下のような状態の人は、年齢に関係なく新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高くなりますので注意が必要となります。

がん:重症化リスク3.6倍

慢性腎臓病:入院リスク増加

COPD(慢性閉塞性肺疾患):重症化リスク5.7倍

固形臓器移植による免疫不全状態:致命率上昇

肥満(BMI30以上):入院リスクが2.1倍、死亡リスクが1.5倍

心不全、冠動脈疾患、心筋症などの重篤な心疾患:重症化リスク3.4倍

2型糖尿病:重症化リスク2.3倍


【参考文献】

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/people-with-medical-conditions.html#asthma

感染予防はやはり、「手洗い」、「うがい」、「屋内でのマスク着用」、「3密を避ける」といった基本的な対策です。


2020年9月20日日曜日

新型コロナウイルスについて-2.ユニバーサルマスクとは-

 無症状の人も含めてマスクを着用するという考え方をユニバーサルマスク(Universal Masking)と言います。

新型コロナウイルスが流行し始めた当初は、感染予防に役立つというエビデンスがなかったためにマスク着用は日本人以外殆どの国の人は着用してませんでした。

現在ではユニバーサルマスクは、新型コロナウイルスやその他の感染症予防に役立つというエビデンスが大勢を占め、全世界的に感染予防対策にマスクを着用する様になってきています。

しかし正しくマスクを着用しないと意味がありません。

このユニバーサルマスクの考え方が浸透することで、新型コロナウイルス感染師の重症度が下がっているのではないか、一部の専門家が主張しています。

米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、2020年7月中旬時点で感染者全体のうち無症候性感染者の占める割合は40%と見積もっていますが、ユニバーサルマスクによってこの比率が80%以上になると主張しています。

専門家の分析によると新型コロナの流行初期には、無症候性感染者の割合は15%程度と見積もられていました。

ダイアモンド・プリンセス号で発生した大規模なクラスターでも無症候性感染者の割合は18%と推測されています。

別のクルーズ船で発生した最近のアウトブレイクイベントの報告では、船内で最初の新型コロナウイルス患者が報告された後、すべての乗客にサージカルマスクが配布され、すべてのスタッフにN95 マスクが提供されています。

その結果最終的に乗客乗員217人のうち128人が感染しましたが、船内の感染者の大多数(81%)は無症状のままだったとのことです。

しかし、こうした無症候性感染者の比率は、集団の平均年齢や基礎疾患を持つ人の割合などが関連する可能性があり、一概にマスクの効果とは言えない場合もあり得ます。

マスク着用が全面的に表に出すぎて、着用できない乳幼児や基礎疾患を持つ人にまで強制的にマスク着用を押し付けるのは間違いです。


20

2020年9月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-1.飛行機の中でのマスク着用は必要なのか?!

医学的に考えても飛行機の中では、マスクの必要はないと考えられています。

その理由としては、航空機では一般的に客室の空気は2~3分ごとに完全に入れ替わっています。

空気を50%は機外に出し、50%再循環させていますが、再循環させる際にはHEPAフィルターを通過させています。

新型コロナウイルスもこのHEPAフィルターで捕捉されると考えられており、機内での感染拡大は極めて少ないとされています。

また、エアロゾル感染と考えられる座席の離れた乗客への感染もほとんど報告されていません。

インフルエンザやSARSなどの他の呼吸器感染症の機内感染に関するこれまでの研究では、呼吸器感染症の患者の近くに座ることが感染の主要な危険因子であることが明らかにされており、例えばSARSの機内での感染事例では、感染源の乗客の周辺に限局していました。

機内でコロナに感染した「かもしれない」事例は海外で報告されています。

シンガポールから中国に飛んだ民間航空機に乗っていた325人のうち、12人が感染したと考えられる事例が報告されてますが、当時は乗務員は全員マスクを着けていたものの、2020年1月当時は乗客にはほとんどマスクを着けていた人はいなかったようです。

武漢からシンガポールに旅行していた人が感染源と考えられ、この人から11人に広がったものと考えられています。

この事例は本当に機内で感染したのか、例えば空港の待合で感染したのか、はっきりと断定することは出来ていませんが、感染源と考えられる人が機内でマスクをしていなかったことが一因である可能性は完全には否定できていませんし、感染したとも確定はされていません。

それでは飛行機内ではマスクを着用すべきなんでしょうか??!!

新型コロナでは、発症する前の症状がない時期にも感染するリスクがあることからして、人が密集した場所や屋内では症状がない人も含めてマスクを装着する「ユニバーサルマスク」という考えが新型コロナ以降定着してきており、それを支持する科学的根拠も集まってきています。

機内で大声で喋るような方や咳が出ている方は、周辺に飛沫が飛ぶ可能性がありますので、マスクを装着した方が良いと言えるでしょう。

しかし、咳などの症状もなく、喋ることもないようであれば、理論的にはマスクを装着しなくても換気の良好な機内では感染拡大のリスクは低いと考えられています。

しかし「機内ではマスクを着用しなくて良い」というほどのエビデンスは現時点ではありませんので、特にマスク着用に抵抗のない方は着けておく、マスクを着けたくない事情のある方は添乗員に事情を説明し食事中以外はできるだけ喋らない、などの対応で良いのではないかと思います。

何が何でもマスクを着用すべきと強要するのはいただけません。

航空会社の職員は、マスクの必要不要を医学的科学的に丁寧に説明できるよう勉強する必要があります。

殆どの職員がマスクが何故必要なのか、また必要でない場合はどうなのかを理解することなく、着用を一方的に乗客に押し付けているとしか言えないのが現状です。

いわゆるマニュアル人間としてしか対応していないのです、これではだめです。

航空会社も搭乗前にすべての乗客に何故機内でマスクの着用が必要なのかを丁寧に説明する必要があるのと、着用しなくても良い場合も説明する必要があります。

現実は、マスク着用の必要性については搭乗される航空会社によって異なることと、十分な対応をしていない航空会社もありますから、搭乗の際には必ず事前に確認をするほうが搭乗してから揉めることがなくなるはずです。

事前に問い合わせたり質問しても、納得の行く説明の出来ない航空会社はトラブルを防ぐためにも利用しないのが得策です。

納得のできる説明もしないし、利用者の話もろくに聞かずに威圧的に着用を押し付けてくる航空会社は、信用できません。

マスクの着用も重要ですが、それに加えて前述の事例のように環境からの接触感染も起こりえますので、トイレ後の手洗いなども重要ですよ。

2020年9月6日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-3.抗体検査-

【何を調べる】

新型コロナウイルスに感染したという感染抗体と感染を防止する中和抗体の有無を調べる。

※どちらの抗体が検出可能かは現時点では、はっきりしていない※

【調べる目的】

現時点で新型コロナウイルスに感染したことがあるかを調べる検査。

【検査に要する時間】

迅速検査で15~30分程度

【検査検体】

血液で検査。

【受ける適切な時期】

感染してから9~12日では陽性率は50%、13日以降では、96.9%の陽性率

【感度・特異度】

多くの資料から分析した結果、キットによってかなりの差が見られます。

感度は66.0~97.8%、特異度は96.6~99.7%

IgGの感度 30/30 100% 特異度 89/90 98.9%

IgMの感度 27/30 100% 特異度 88/90 97.8%

【今後の展望】

抗体検査は、見つける抗体が感染抗体か中和抗体の区別がつかない・感度や特異度にかなりの差があることなどからしてまだまだ改良の余地があります。