血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2018年6月22日金曜日

もっと知ろうHIV検査-5.感度と特異度-その2.特異度とは-

特異度とは、臨床検査の正確さを決める指標のひとつで、ある検査について"本来陰性であるべきものを正しく陰性と判定する確率"として定義されています。

すなわち特異度が高いということは、その疾患に罹患していない人の大部分が検査で陰性になることを意味しています。

HIV検査で特異度が高ければ高いほどニセの陽性者が少ないということになります。

従って特異度の高いHIV検査は、HIVに感染していない人を陽性と判断することはまずないと言えます。

従って陽性と判断されることがほとんどないHIV検査で陽性と判断されれば、絶対にHIVに感染していると診断することができます。

感度が高いHIV検査で陰性となれば、HIVに感染している確率は低いと言えますが、特異度が高いHIV検査で陽性となれば、HIVに感染ししている確率が極めて高いと言えます。

特異度の高いHIV検査は、確認用検査として利用されます。

これは感度の高いスクリーニング検査では、ニセの陽性反応が出現する可能性が高いことから、陽性となった確認用検査として利用されるわけです。

感度の高いHIV検査でスクリーニング実施し見落としを防ぎ、特異度の高いHIV検査で確認検査を行い真のHIV感染者を見つけるわけです。

【まとめ】

特異度が高いHIV検査とは、「HIVに感染していない人を正しく陰性と判定する可能性が高い」、あるいは「本来HIVに感染していない人を間違って陽性と判定する可能性が低い」ということになります。

しかし現実は特異度の高いHIV検査で陽性となった場合必ずしも全てが真の陽性とは言えません、なぜなら特異度100%のHIV検査は存在しないからです。

従っていくら特異度の高いHIV検査でもニセの陽性反応は存在します。

2018年6月19日火曜日

お見舞い申し上げます

2018年6月18日に大阪府北部を震源とした地震により、被害に遭われました皆様とそのご家族様及びご関係の方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。

皆様が一日も早く日常生活を取り戻すことが出来ますように心よりお祈り申し上げます。

2018年6月6日水曜日

もっと知ろうHIV検査-4.感度と特異度-その1.感度とは-

【HIV検査の感度とは何】

HIV検査の有用性を評価する指標として感度と特異度がありますが、感度及び特異度は特定の疾患(この場合HIVを例にとって話を進めます)について、その検査がHIV感染の有無をどの程度正確に判定できるかを示す定量的な指標ということになります。

そして感度とは、HIV感染者中の検査陽性者を検出する割合を言います。

従って、HIV検査の感度が高いということは、HIV感染者の大部分が検査陽性になることを意味しています。

要するに検査の感度が高ければ、HIV感染者の中で検査陰性になるもの、すなわち偽陰性者が少ないということになります。

感度が高いHIV検査は、HIV感染者のほとんど見逃すことがなく、HIV感染者の発見率が高い検査といえるのです。

逆に、感度が低いHIV検査はHIVに感染していたとしても陰性と判定される可能性が高いことになります。

HIV感染者を見逃すリスクの高い感度の低い検査は、HIVスクリーニング検査として利用できません。

【誤解しやすい点】

※感度の低いHIV検査は、HIVに感染していない人に対しても陽性になると考えられがちですが、感度が低いHIV検査は、HIVの感染を見つける能力が低いため陽性にはなりにくいのです※

【感度の高い検査を使用する理由】

一般的にスクリーニングに使用されるHIV検査は、陽性者を見逃さないために感度を高くしていることからどうしても僞陽性反応(ニセの陽性反応)の出現頻度は高くなってしまいます。

HIVスクリーニング検査は、多くの検査者の中からHIVの感染者を見つける検査ですから、感染者を見逃さないために検査の感度を高くしています。

HIV感染者をスクリーニングの時点で見逃すと以後見つけることは不可能となります、そのためには僞陽性反応が出現しても許されることになるわけです。

よってスクリーニング検査で陽性となっても、僞陽性反応の可能性が否定出来ないことから即HIVに感染しているとは言えないのです。

真のHIV感染者かニセの感染者の判断は、確認検査をする必要があるわけです。

【感度の高いHIV検査が陽性となったときの注意点】

陽性=HIV感染とは言えません、確認検査をして陽性とならない限りニセの陽性反応ということになります。

【HIVスクリーニング検査で偽陽性反応を出ないようにできないのか】

HIVスクリーニング検査は、HIV感染者を見逃さないように検査の感度を非常に高くしていますから当然のごとく僞陽性反応は出現してしまいます。

僞陽性反応が出ないように検査の感度を低くすると、今度は真のHIV感染者を見逃すことになってしまいます。

HIVスクリーニング検査で真のHIV感染者を見逃さないためには、検査の感度を高くすることが必要となります、感度を高くすれば当然のことながら僞陽性反応は出現することになります。

僞陽性反応が出現しても確認検査があり、ニセの陽性者か真の陽性者の区別は可能です。

HIVスクリーニング検査は、真の感染者を見逃さないためにも検査の感度は高くする必要があるのです。

【確認事項】

今回HIV検査の感度のことを解説しましたが、このことはHIV検査を適切な時期に受けて言えることです。

いくら感度の高い検査でも受ける時期が早すぎると、HIVに感染していたとしても陰性となってしまいます。

これは受ける時期が早く検査で見つかる十分なHIV抗体が体内にできていないからです。

※次回は感度とトレードオフの関係にある特異度について解説いたします※