血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2017年9月18日月曜日

キアゲン HPV Test

キアゲン HPV Test は、日本で初めて厚生労働省に承認された体外診断用医薬品です。

【検査の目的】

この検査は、子宮頸部の高度病変やがんを引き起こす可能性の高く臨床的にもっとも重要な13種類の高リスク型HPVグループに感染しているかどうかを判定します。

この検査はハイブリッドキャプチャー (HC2) 法と呼ばれる方法により“HPV DNA「キアゲン」HC II” により、子宮頸がんを引き起こす13種類の高リスク型HPV(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型) の感染の有無を検査します。

高リスク型HPV をダイレクトに発見できるすぐれた検査法として、アメリカやヨーロッパで広く認められています。

30歳以上の女性が細胞診とHPV 検査を併用すると、子宮頸がんに進行するリスクについて、細胞診だけを受診した場合よりも、より正確に調べることができます。

【検査原理】

子宮頸部から採取した細胞を検体として、HPV-DNAを、ハイブリッドキャプチャー法により検出する検査。

【検査方法】

検体中のDNAを検体抽出液により抽出し、HPV プローブ試薬を用いてハイブリダイゼーションを行い、検体中にHPV-DNAが存在するとDNA/RNA ハイブリッドが形成されます。

これをマイクロプレートに固相化した抗DNA/RNA抗体により捕捉し、更にアルカリフォスファターゼ標識抗 DNA/RNA 抗体を反応させ、得られた抗原抗体反応複合物と化学発光基質を反応させ、その化学発光を測定することにより検体中のヒト・パピローマウイルスのDNAを検出します。

【利用方法】

子宮頸がん検診でHPV 検査を従来から実施されている細胞診と併用することにより、前がん病変の段階でほぼ確実に発見することが出来るとされています。

欧米では子宮頸がん検診の標準の検査法として普及しており、日本でもHPV検査の普及により子宮頸がん検診による子宮頸がんの予防が期待されています。

【注意点】

この検査が陽性となってもどのタイプのHPVに感染しているとは判断できません。

13種類の高リスク型HPV(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型) のいずれかに感染していることしか分かりません。

2017年9月5日火曜日

血液凝固機能検査ー2.活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT)ー.

活性化部分トロンボプラスチン時間は、APTT(activated partial thromboplastin time)とも略されます。

先に紹介したプロトロンビン時間PTは、外因系の凝固異常を調べるのに対し、この活性化部分トロンボプラスチン時間APTTは、内因系の凝固異常を調べる検査です。

トロンボプラスチンは、血小板や白血球に含まれる物質で、血液を凝固させる働きを持っています。

【検査の目的】

血液が凝固するまでの時間を計る検査で、血友病のスクリーニング検査として最も重要な検査です。

内因系凝固系は異物面との接触により動き出す凝固系で、血友病ではこの内因系凝固因子が異常のため、活性化部分トロンボプラスチン時間は長くなります。

血液を凝固させるためには、12種類の血液凝固因子と呼ばれる物質が働くことが知られていますが、活性化部分トロンボプラスチン時間は、血友病の原因となる第Ⅷ因子と第Ⅸ因子の欠乏を調べるためのものです。

【検査法】

血液を採取し、血漿に部分トロンボプラスチンの試薬とカルシウムイオンを加えることによって、部分トロンボプラスチンを活性化し、血液が凝固するまでの時間を測定します。
現在では、殆どが自動分析装置で検査します。

【検査原理】

1.血液1にクエン酸ナトリウム9になるように採血し、直ちに遠心分離し得られた血漿を使用する。

2.患者血漿100μLに検査試薬100μL+塩化カルシウム100μLを加えて37℃でフィブリンが析出するまでの時間を測定する。

【基準値】

血液が凝固するまでの時間が、25~45秒なら正常。

※使用する検査機器や施設によって若干異なる場合がある※

【検査法による基準値】

Langdell法:26.0~38.0秒

エラジン酸活性化法:26.0~38.0秒

光散乱法:23.5~42.5秒

※採血方法や血漿のとり扱い方などによって測定値が変動するため、基準値より延長していも足以上と判定しないで、採血方法をかえたり、同一検体で再検査をする必要があります※

【検査結果の判定】

・時間短縮・・・血栓症(凝固亢進時)、生理的変動(高齢者)

・時間延長・・・先天性凝固因子欠乏症・異常症(Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ・?・?)肝機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)、尿毒症、多発性骨髄腫、線溶亢進、ヘパリン、ワルファリンカリウム等の抗凝固薬の使用時。

【異常が認められた場合どうするか?】

活性化部分トロンボプラスチン時間が著しく延長するのは、圧倒的に血友病の可能性が大となります。

血友病には第Ⅷ因子が欠乏している血友病Aと、第Ⅸ因子が欠乏している血友病Bとがあることからして、これらのいずれかの区別をするには凝固因子活性化検査などを追加検査する必要があります。