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2023年1月15日日曜日

現在の梅毒流行の現状-7.梅毒の怖さについての再認識-

梅毒の恐ろしさは梅毒トレポネーマに感染すると、3週間後、3ケ月後、3年後等各期ごとに、治療を受けないと自然に治ったと勘違いするところにあります。


潜伏期を3回挟みながら、更に悪化した病状が発現していき、最終的に死に至るという恐ろしさがあります。


症状が無くなってても体内に潜む梅毒トレポネーマは感染力を持ち、自身の体を蝕んています。


症状しては、


第1期は、梅毒トレポネーマに感染後3週間~3ケ月の状態を言います。


梅毒トレポネーマが侵入した部位に大豆くらいの大きさの痛みや痒みのない硬結が出来ます、これを初期硬結といいます。


時間経過とともにこの硬結は膿を出すようになります。


この膿の中には無数の梅毒トレポネーマが存在し、触れると感染します。


初期硬結の数は1個が普通ですが、2個以上できることもあり、この頃の初期硬結では、表面の皮膚が破れて潰瘍となる硬性下疳に変わりやすいといわれています


硬性下疳は、梅毒トレポネーマの侵入箇所で、よく出来る部位は、男性では陰部冠状溝・包皮・亀頭部、女性では大小陰唇・子宮頸部、キスやオーラルセックスによって口腔咽頭粘膜や肛門部も侵入門戸となります。


初期硬結はすぐ消えますが稀に潰瘍となることもあります。


またこの時期、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れてきますが、痛みもないまま大きく腫れてきます、これを無痛性横痃(むつうせいおうげん)といいます。


梅毒トレポネーマに感染して4週間を超えるとカルジオリピン使用したSTS検査で陽性反応となりますが、TPを使用したTP検査はこの時期は陰性のままです。


第2期は、梅毒トレポネーマに感染後3ケ月~3年の状態を言います。


この時期は梅毒トレポネーマは増殖しながら、血管やリンパ管を通過して全身に広がり、

皮膚や粘膜にいろいろの症状が出るようになってきます。


この時期の症状しては全身のリンパ節が腫れる、発熱、倦怠感、関節痛などの症状が現れ梅毒性バラ疹と呼ばれる特徴的な全身性発疹が現れることが多いです。


バラ疹は赤い目立つ発疹が手足の裏から全身に広がり、顔面にも現れ特に手掌、足底に小さい紅斑が多く出現し、皮がめくれた場合は特徴的な症状と言えます。


バラ疹はかゆみも痛みもなく、しばらくたつと自然に消えていきます。


この時期治療しなくても1ケ月でバラ疹が消えることから治ったと誤解しやすく、抗生物質で治療しない限りトレポネーマは体内に残っていて人に感染させたり、各臓器に影響を与え続けています。


バラ疹の次に出てくる皮疹は丘疹性梅毒疹で感染してから、4~6カ月ごろに出現します。


丘疹性梅毒疹の大きさは大豆から爪くらいで、皮膚面より盛り上がったかたい皮疹で、最初は赤い色をしていますが、時間の経過とともに茶色をおびた赤い隆起となります。


この丘疹性梅毒疹は、上半身の皮膚にたくさんできますが顔面にも出現します。


手のひらや足の裏にこの丘疹性梅毒疹ができると、丘疹の表面の角質が厚く、乾癬という皮膚疾患の症状によく似ていることから梅毒性乾癬と呼ばれています。


外陰部や肛門付近のように、皮膚や粘膜が向き合っている場所に丘疹性梅毒疹ができると、丘疹は牛乳のような白い色となり、表面がただれて分泌物が出てくるので、扁平コンジロームと呼ばれます。


扁平コンジロームの表面がただれて出てくる分泌物が中には、大量の梅毒トレポネーマが含まれていて性的接触によって梅毒トレボネーマが感染する重要な原因のひとつとなります。


この時期には、口腔粘膜に乳白色の斑点が生じる粘膜斑(乳白斑)や扁桃が赤く腫れる梅毒性扁桃炎も出現します。


潜伏期は、第2期の症状が消えるとともに始まり、潜伏期が始まってからの2~3年間は、第2期の症状を再発し、この時期を前期潜伏期と呼びます。


不顕性感染の期間で数年から数十年経過する場合を後期潜伏期といい、この期間は人には感染させませんが感染者の体内には梅毒トレポネーマが以前と存在し、各臓器に影響を与え続けています。


いずれにしても梅毒トレポネーマに感染すると抗生物質の治療を受けない限り治ることはなく、自然治癒はありえません。


一時期不治の病と呼ばれた歴史があることから難病のように思われがちですが、ペニシリン系の抗菌薬を用いた処置さえ行われれば比較的簡単に治療できる病気です。


第1期梅毒の場合は2~4週間程、第2期梅毒の場合には4~8週間程の治療期間で完治します。


第3期梅毒まで進行していても12週前後で治療できると言われています。


治療自体も1日3回の抗生物質の服薬を期間内続けるだけで完治しますが、自己判断で服用を中止したりすると完治する期間が長くなってしまいます。


2023年1月8日日曜日

現在の梅毒流行の現状-6.梅毒初期硬結や硬性下疳のできる場所-

 梅毒の大流行を踏まえて梅毒トレボネーマに感染したときの初期症状について再度解説させて頂きますのでお付き合いください


性的接触等で梅毒トレポネーマの侵入門戸となった部位にできる病変で、大豆くらいの大きさのかたいしこりが発生します。


オーラルセックスや性的接触のなかった箇所には出来ません。


梅毒トレポネーマに感染している人との性的接触の機会があってから約3週前後に、梅毒トレポネーマの侵入した部位に、大豆くらいの大きさのかたいしこりが発生します。


これが初期硬結という梅毒の最初の症状ですが、痛みもかゆみもありません。


男性では、陰茎の先や包皮の内側に、女性では、大小陰唇や腟の入り口にできます。


初期硬結の数は1個が普通ですが、2個以上できることもあります。


大きさは1cm前後の軟骨様のしこりで赤みを帯びた色をして、痛みも痒みもありません。

やがてしこりは硬く盛り上がり、硬く盛り上がり中心に潰瘍ができます、これを硬性下疳と呼びます。


このころの初期硬結では、表面の皮膚が破れて潰瘍となる硬性下疳に変わりやすいといわれていますし、感染機会から1~2週後というように最近では普通より早く発症するものが増加しています。


やがて鼠径部リンパ節が痛みもないまま大きく腫れてきます、これを無痛性横痃といいます。


病変部には菌が大量に存在するため、これに接触することからパートナーに感染させてしまうことが多いです。


放置していても2~3週間ほどで症状は消えて無症状になることから、治ったと錯覚してしまいますが、さにあらず身体の中には梅毒トレポネーマは常に存在して病気は静かに重症化していきます。


【初期硬結のできる箇所】


初期硬結は梅毒トレポネーマが侵入した箇所にしか出ません。


コンドームなしの膣性交をすれば、男性は陰茎、女性は大小陰唇や腟の入り口にできます。


キスやオーラルセックスで感染すると、唇や舌や喉の粘膜に出来ます。


【できる場所の実例】


キス・・唇や喉の粘膜や舌にできます。


性行為・・男性は陰茎の亀頭部分や包皮の内側、女性は大小陰唇や腟の入り口にできます。


肛門性交・・肛門付近や肛門の内部に出来ます。


オーラルセックス


1.クンニリングス:男性が女性器(クリトリス、尿道口、膣、小陰唇、大陰唇)を直接舌や唇や歯などで舐めて性的刺激を与える行為


男性の場合唇、咽頭、舌などに出来ます。


女性の場合・・尿道口、膣、小陰唇、大陰唇にできます。


2.フェラチオ:女性が男性性器を口または舌を使って刺激する行為・


男性の場合陰茎の亀頭部分や包皮の内側に出来ます。


女性の場合・・唇、咽頭、舌などに出来ます。


3.アニリングス:肛門に口をつけ舌や唇、歯などで肛門から性的刺激を与える行為


する側・・唇、咽頭、舌などに出来ます。


される側・・肛門付近や肛門の内部に出来ます。



2023年1月2日月曜日

現在の梅毒流行の現状-5.梅毒トレポネーマはオーラルセックスで簡単に感染する-

 梅毒トレポネーマは性行為で感染することを知っている人は多くいますが、オーラルセックスで簡単に感染することを知っている人は少ないと思います。


梅毒トレポネーマに感染した人の症状が出ているところ(病変部)や、精液、血液、腟分泌液に、喉に感染があれば唾液にも梅毒トレポネーマは存在します。


これらに触れることで梅毒トレポネーマは皮膚や粘膜の小さな傷から侵入することによって感染します。


※汗や涙の中には梅毒トレポネーマは存在しません※


1.キスでの感染


相手の口の中に梅毒トレポネーマ感染があれば、当然のことながらキスによって口の粘膜・喉・舌・唇に感染します。


2.フェラチオでの感染


・性器に梅毒トレポネーマ感染があれば、フェラチオをした人の口の粘膜・喉・舌・唇に感染します。


・喉に梅毒トレポネーマ感染があれば、フェラチオをされた人の性器に感染します。


3.クンニリングスによる感染


・性器に梅毒トレポネーマ感染があれば、クンニリングスをした人の口の粘膜・喉・舌・唇に感染します。


・喉に梅毒トレポネーマ感染があれば、クンニリングスをされた人の性器に感染します。


4.性器と性器をこすり合わせる


この場合も相手の性器に梅毒トレポネーマ感染があれば当然感染します。



特にオーラルセックスで、性器から口腔に感染した場合は無症状のことが多いので、自分が感染していることに気付かないままに、更に別の性交渉相手にオーラルセックスを介して性器に感染させてしまうことがよくあります。


オーラルセックスでの感染を防ぐには


男性用コンドームを陰茎に装着することや、女性の性器にラップ等を使用することで感染のリスクを低くすることができますが、皮膚と皮膚の接触でも感染するものについては、コンドームやラップ等で防ぎきれない場合もあります。


性器や口腔周囲に異変を感じる時は、オーラルセックスを含めた性行為を差し控え、早期に医療機関を受診する必要があります。


最近ではオーラルセックスによる梅毒トレポネーマの感染が増加しているので注意が必要です。


2023年1月1日日曜日

謹賀新年 2023年

 新年のご挨拶を申し上げます。


旧年中は、当サイトに格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。


本年もより一層努力し皆様のお役に立てる情報を発信してまいりますので、昨年同様、変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。








2022年12月25日日曜日

現在の梅毒流行の現状-4.無症候梅毒の怖さについてー

 2022年12月11日時点で12192人の梅毒患者が報告され、未だに大流行は収まっていません。


梅毒の大流行に関して、再度梅毒の各病期の症状について解説いたします。


梅毒トレポネーマは感染後に数時間でリンパ管や血液内に到達し全身に広がります。


初期症状が出る前に全身に広がります。


第1期では、梅毒トレポネーマが侵入した場所(感染部位)に初期硬結が出来てやがてこれが崩れて潰瘍化しますこれを硬性下疳といいます。


この初期硬結は痛みも痒みもなく(無痛性)、3~6週で完全になくなることから感染したと言う認識がなく、早期の治療機会を逃すことになります。


また、鼠径リンパ節も腫れますが痛みがまったくないことから、やはり感染を見逃すことになります。


この痛みのない鼠径リンパ節の腫れを無痛性横痃といいます。


第2期では梅毒で極めて典型的な梅毒性バラ疹が全身にできますが、すべての感染者に出るのではなく感染者の6.5%とその出現頻度は低いのが現実です。


一般的には梅毒性バラ疹の出現よりも丘疹性梅毒や梅毒性乾癬、扁平コンジローマの方が高頻度との報告がありますが、これもすべての感染者に出るのではなく17~25%の感染者にしか出現しません。


昔から言われている梅毒になるとバラ疹が出るということは成り立たないのが現実です。


要するにいつも注意を促していますように、今の梅毒は梅毒トレポネーマに感染しても、梅毒特有の症状が出ない無症候性梅毒が多いということです。


分析可能な直近の梅毒患者141人中無症候性梅毒は29人21%も存在しています。


このことは危険な行為をしてしまったときには必ず適切な時期に梅毒検査を受けないと感染の判断ができないということになります。

2022年12月18日日曜日

現在の梅毒流行の現状-3.先天性梅毒に注意-

 国内の梅毒患者は、2022年12月4日時点で11917人と依然として流行は収まっていません。


今回は女性の患者について見てみますと、梅毒に感染した女性の75%は20~30歳代で、当然のことながら患者の中には妊婦もいます。


要するに女性患者の増加とともに妊婦の患者数も増加しつつあります。


梅毒トレポネーマに感染した妊婦のうち4分の3は妊婦健診で見つかっています。


しかも本人に心当たりがなく、知らない間に感染しているケースが多いのが現実です。


残りの4分の1は、妊婦健診を受けていなかったり、受けていても不定期だったりする人です。


妊婦の感染者が多いことは、梅毒がすでに家庭内に広く侵入していることになります。


先天性梅毒とはどのようなものなのでしょうか?


新生児が梅毒トレポネーマに感染した状態で生まれた場合、この感染症は先天梅毒と呼ばれます。


妊婦が梅毒トレポネーマに感染すると、梅毒トレポネーマは胎盤を通じて胎児に感染し、死産になることもあります。


早産・死産にならなかった場合には生まれてきた場合は、生まれつき異常があったりします。


新生児の「梅毒抗体検査」で感染の有無が分かります。


妊婦が梅毒トレポネーマに感染してから日が浅い場合は、母子感染の確率が下がると考えられており、早期の検査や治療は非常に重要です。


疑わしい症状として、性器や校肛門付近の痛みのない出来物・潰瘍・痛みのないまたのリンパ腺の腫れなどが見られた時には必ず梅毒検査を受けてください。


妊娠がわかれば妊娠初期(4~12週)と妊娠後期(28~40週)に梅毒検査受けるのが先天性梅毒防止に効果があります。


先天梅毒に関しても梅毒合併妊婦に対しても国際的な標準治療薬は筋注のペニシリン系抗菌薬ベンジルペニシリンベンザチンですが、日本においてはアモキシシリンを中心とした治療が行われているのが現実です。


2022年12月11日日曜日

現在の梅毒流行の現状-2.2022年梅毒患者と新しい治療法-

 2022年11月27日までに日本国内の場毒患者は際に10000人を超えて、11586人となりました。


11ケ月で11000人を超えるのは予想された以上にハイペースの流行が起きていることです。


年間10000人超えは1999年以来のことです。


特に現在の患者は若者層に色がっています。


男性は20~50歳代に分散していますが、女性は60%が20歳代に集中しています。


感染拡大の要因としては、SNSやマッチングアプリを通じた不特定多数との性交渉の増加を指摘する専門家もいますが、実際のところ増加の原因は不明です。


梅毒は抗生物質で完治しますから、梅毒トレポネーマに感染するリスクのある行為をしてしまったときには必ず適切な時期に梅毒検査を受けることです。


早期梅毒であれば、2022年から開始されたペニシリンの1回の注射で完治します。


梅毒トレポネーマに感染すれば症状が出るから感染はわかると言う人もいますが、現在の梅毒は梅毒特有の症状を呈さないものが多く見られますから、症状からの感染の判断はできません。


コンドームは性行為感染症の感染予防に役立ちますが、梅毒は100%感染予防はできません。


梅毒トレポネーマは、性行為だけでなく、キスやオーラルセックスでも簡単に感染してしまいます。


兎に角現在梅毒の大流行が起きていますから、危険な行為をしたときには必ず梅毒検査を受けるしか対策はありません。


●新しい梅毒治療法として筋注用ペニシリン解禁●

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