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2025年4月13日日曜日

感染症速報-4.梅毒-

 日本国内における2024年の梅毒の患者報告数は、全国で14,663人(速報値)となり、2023年の14906人とほぼ同様の患者数となっています。


1948年から梅毒患者について報告制度※注がありますが始まり、患者数は減少傾向にありましたが2011年頃から報告数は再び増加傾向となり、2021年以降大きく増加しています。


この増加の原因としては、


1.出会い系サイトの普及による不特定多数との性交渉の頻度が増えれば、梅毒に感染するリスクも高くなります。


2.性の多様化による感染者の増加。


3.ピル(経口避妊薬)使用のハードルが低くなり、コンドームの使用率の低下。


などいろいろと言われていますが未だにはっきりとしていません。


梅毒はHIVのようにコンドームでは完全に予防できませんが、やはり感染防止には役立っていますので、過信することなく利用する必要があります。


不安な行為をしてしまったときには必ず適切な時期に梅毒検査を受けて、感染がわかればすぐに治療すれば短期間で完治します。


早期の場合はペニシリン注射一回で完治しますが、治療が遅れればそれだけ完治するのは遅れることになります。

2025年4月6日日曜日

感染症速報-4.日本国内において百日咳が患者が急上昇-

百日咳(pertussis, whooping cough)は、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症です。


乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6カ月以下では死に至る危険性も高い感染症です。


百日咳の咳は、短い咳が連続して出るのが特徴で、息を吸うときに「ヒューヒュー」という音がします。


咳発作は連続した咳き込み(スタッカート)の後、息を吸うときに笛の音のようなヒューという音が出る(ウープ)発作の繰り返し(レプリーゼ)が約2~3週間持続し、咳が治まるまで約100日間(3ヵ月程度)続きます。


百日咳の病名は、咳が約100日間(3ヵ月程度)続くことに由来しています。


百日咳特有の咳を紹介した貴重なサイトを以下に記載しておきまのので、参考にして下さい。

『百日咳とはこんな咳』


国立健康危機管理研究機構は、3月23日までの1週間で全国の医療機関から458人の患者が報告されたとの速報値を公表しています。


2025年に入ってからの累積は4100人で、すでに昨年1年間の累積4054人を超え都道府県別では大阪府が最も多く、336人。東京都が299人、新潟県が258人と続きます。


百日咳にはワクチン接種が最も予防に有効とされています。


ワクチンの普及とともに感染者数は減少してはいますが、世界各国でいまだ多くの流行が発生しています。


日本国内での百日咳流行を受けて日本小児科学会は、2025年3月29日付で「百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について」を公開し、日本国内でマクロライド系抗菌薬耐性菌の分離報告が増加していることについて注意喚起するとともに、現行の定期接種に加えて、任意接種での3種混合ワクチンの追加接種を推奨する旨を改めて周知しています。

【参考資料】


『百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について 』

2025年3月30日日曜日

感染症速報-3.サポウイルスによる感染症-

 感染経路】


感染経路は汚染された食品や患者と接触した手を介して感染します。


【潜伏期間と症状】


12~48時間で、嘔吐・下痢・発熱などの症状がある胃腸炎を引き起こしますが、症状からはノロウイルスとサポウイルスの区別はできません。


【感染源】


牡蠣などの二枚貝が有名です。


ノロウイルスもサポウイルスも人間の体内でしか増殖できず、患者の糞便から排泄され、下水を通って海に流れ、牡蠣などの二枚貝に取り込まれて濃縮され汚染された貝を生で食べることで感染します。


貝類を食べていないのに感染するのは人から人への感染です。


サポウイルスに感染した人が感染源になったり、患者の吐物や下痢を処理した人が、手袋着用や手洗いが不十分なまま調理すると食品が汚染されて感染源になります。


サポウイルスは1年中存在するので夏でも発生しますが、冬に多い傾向があります。


【治療法】


ノロウイルスなどと同様で特効薬がないために脱水に対する対症療法が中心となります。


有効な治療法としては水分と電解質を補充するための経口補液です。


嘔吐や下痢があると水分だけでなく塩分が失われますので、市販のスポーツドリンクは、糖分が多く塩分が少ないので、あまりお勧めできません。


OS-1やアクアライトなど小児の脱水の治療に使えると記載されたものが良いです。


いずれにして感染したと考えられる症状が出たときには、素人処置をしないですぐに受診することです。


【正しい予防法】


・牡蠣などの2枚貝は十分に加熱する。


・生鮮食品は十分に洗浄する。


・トイレの後や調理前、食事前には流水による丁寧な手洗いをする。


・手洗い後のタオルの共用を避けて使い捨ての紙タオル使用する。


・患者の吐物や下痢を処理する時は、必ず使い捨て手袋を着用する。


・汚染された衣類は他の衣類と分けて洗濯しましょう。


・胃腸炎のウイルスにはアルコール消毒は効果がないので石鹸を使い流水でよく洗う。


・汚染された器具などは塩素系漂白剤を100倍から200倍程度に薄めて消毒をします。


2025年3月23日日曜日

感染症速報-2.サポウイルスとは-

 1977年に札幌の児童福祉施設で胃腸炎の集団感染があり初めて報告されました。


当時は"サッポロウイルス"呼ばれましたが、2002年の国際ウイルス学会で「サポウイルス」と正式に命名されました。


※"サポ"という名前は、発見された地名(札幌)に由来しています※


小児の散発的な感染性胃腸炎の原因と考えられてきましたが、近頃では食中毒などの集団感染の報告が増加傾向にあります。


サポウイルスは、カリシウイルス科に属するRNAウイルスで、主な感染経路は経口感染で、汚染された食品や水、あるいは感染者との接触によって感染します。


特に、牡蠣などの二枚貝を生で食べることで感染するリスクがあります。


主な症状としては、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが一般的な症状です。


※これらの症状は、ノロウイルスによる感染症とよく似ています※


潜伏期間は12~48時間で、発症している期間は一般的には1~2日、長い場合は一週間程度続くこともあります。


感染しやすい年齢層としては乳幼児に多く見られますが、近年では成人や高齢者の感染事例も報告されています。


【感染予防法】


1.手洗いの徹底。


2.食品を十分に加熱する(特に二枚貝は、生食を避ける)。


3.感染者の吐物や糞便をビニール袋にいれるなどの処理し、第三者に触れないようにする。


当然のことながらサポウイルスは、ノロウイルスと同様にアルコール消毒は無効ですので、石鹸でよく手を洗い流水で洗い流す必要があります。


【治療療法】


特効薬はなく、対症療法が中心となります。


脱水症状を防ぐために、水分と電解質の補給が重要です。


※※サポウイルスによる胃腸炎は、ノロウイルスによるものと症状が似ているため区別がしにくいのが現実です※※


20年程前からサポウイルスによる胃腸炎も知られるようになってきており、ロタウイルスでもアデノウイルスでもノロウイルスでもないウイルス性胃腸炎は原因はサポウイルスか原因あると指摘する専門家も多くいます。


要するにサポウイルスはノロウイルスに比べて、まだ、詳細な情報が不足しているのが現実です。

2025年3月16日日曜日

感染症速報-1.ヨーロッパでハシカ流行-

世界各国の感染症の情報をいち早くお知らせします。

2025年3月13日、世界保健機関と国連児童基金はロシアやヨーロッパを含む53カ国でハシカ(麻疹)の感染件数が2024年に127352件に上り、21万件を超えた1997年以降最悪となったと発表しました。


5歳未満の子どもの感染が全体の43%と多く「肺炎や腎不全を併発し、生命に関わるケースもある」と警告を発し予防接種の重要性を訴えています。


世界保健機関と国連児童基金の報告書によりますと、ヨーロッパ地域では1997年以降、ハシカは減少し、2018年から再流行し始め新型コロナウイルスの世界的流行を経て2024年に急増しました。


このハシカは半数以上が入院が必要な重症であったと報告されています。


今回のハシカ再流行の一因としては、新型コロナウイルスの流行によるハシカの予防接種率の低下を指摘しています。


新型コロナ感染者への対応で医療施設は逼迫し、ロックダウンも影響し定期予防接種を含む医療サービスが混乱したのも一因とされています。


今後日本国内においてもハシカが流行する危険性は否定できません。


【ハシカ(麻疹)について】

麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染・飛沫感染・接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。


免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。


現在の日本国内における麻疹患者数はかつてより著しく減少していますが、未だ年間約10~20万人と推計されています。


小児にとって麻疹は重症度の高い疾患で、近年は成人での発症も問題となっていることから、その対策は国民全体の健康を守るという点でも重要とされています。 

2025年3月9日日曜日

HIVとAIDSの話-1.はじめにー

 HIVとAIDSについて解説していきますのでお付き合いください。


HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)は、体内の免疫細胞を破壊するウイルスでHIVに感染すると、免疫力が低下し、日和見感染症や悪性腫瘍などの重篤な病気にかかりやすくなります。


AIDS(acquired immunodeficiency syndrome:後天性免疫不全症候群)は、HIV感染によって引き起こされる病気の総称でHIVに感染してから2~5年程度と早く発症する事例が多く見られますが、早期発見・早期治療により、AIDSの発症を予防することができます。


HIVの感染経路は、主に以下の3つです。


1.性行為によって


男性同性間性交、異性間性交、肛門性交、激しいオーラルセックスなどによって起こります。


2.血液を介して


血液製剤の輸血、針刺し事故、刺青やボディピアスなどによって起こります


2.母子感染


妊娠中、出産時、授乳時などに母親から子供に感染することがあります。


HIVに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。


検査結果が陽性の場合、医療機関を受診して治療を受けることが大切です。


現在、HIVの治療薬は非常に進歩しており、適切な治療を受ければ、健康的な生活を送ることができます。


また、感染を予防するために、コンドームや注射針の共有を避けるなどの対策をとることも重要です。


以下に、HIVとAIDSの予防対策をまとめます。


1.性交渉の際には、コンドームを着用する。


2.針刺し事故に気をつけることや刺青・ボディピアスの際には、使い捨ての器具を使用する。


※針刺し事故は医療従事者以外に起こることはまずありません※


3.妊娠を希望する女性は、妊娠前と妊婦健診の際にHIV検査を受ける。


4.HIV感染のある女性は授乳を中止する。


5.日常生活でのHIV感染はまず起こることはありません。


HIVとAIDSは、適切な対策をとることで、予防や治療が可能な病気です。正しい知識を身につけ、感染予防に努めましょう。

2025年3月2日日曜日

薬を飲みやすくするために砕いて服用してもよいのか?

 薬の種類は多くあり飲みにくい薬もあります。

そのことから最近では薬を砕いて服用する人が増加しています。

果たして薬を砕いて服用してもなんの問題もないのでしょうか?

結論から言いますと砕いて飲んではいけない薬は存在します。

【薬の種類】

腸溶錠や徐放錠、舌下錠など、表面がコーティングされている薬や、胃への刺激性がある薬など多種あります。

【砕いてはいけない薬の理由】

・腸溶錠:胃酸によって変化したり、胃を刺激するために、胃では溶けにくく腸で溶ける膜が施されていることから粉砕すると胃に負担がかかります。

・徐放錠:薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように加工されていることから粉砕すると、一気に成分が吸収され、血液中の薬の濃度が上がりすぎてしまい危険です。

・舌下錠:口の粘膜から吸収されるように作られているので、粉砕して飲み込んでしまうと効果がありません。

※コーティング錠とは、錠剤の表面をフィルムや糖衣でコーティングした製剤で苦味や臭いのマスキング、光や湿気による安定性の向上、粉落ちの防止、体内での溶ける時間の調節などの効果があります。※

【砕いても良い薬】

口腔内崩壊錠(OD錠、チュアブル錠、 素錠)

・口腔内崩壊錠(OD錠)とは、口の中で唾液や少量の水で溶ける錠剤で水なしで服用でき、高齢者や嚥下機能が低下した患者、水分の摂取制限が必要な患者などに適しています。

・チュアブル錠とは、口の中で噛み砕いて服用する錠剤です

・素(裸)錠 :薬の成分を錠剤の形に圧縮し、表面は何も加工していないもの。 

※苦味や臭いをマスクしているため、嚥下機能低下患者に粉砕し調剤することで、苦味 が強く服薬が難しくなる可能性がありますし、薬の有効成分がゆっくり溶け出すようにした製剤のために砕くとその効果が発揮できません。

近年錠剤の薬を飲みやすくするため砕いて粉にする「便利グッズ」として「お薬クラッシャー」があり、ネット上では数多くの製品が販売されていて、すべての薬が砕くと飲みやすなるような宣伝がされていますが、砕いてはいけない薬を砕いて服用すると効果減少したり、思わぬ副作用が起こることがあります。

確かに服用しにくい薬もあったり、錠剤を飲み込むのが苦手な人のほか、飲み込む力が衰えた高齢者や錠剤に慣れない子どもいることは事実ですが、あくまでも薬は副作用が起こりにくく、そして効果があるように服用する必要があります。

そのためにはそれぞれの薬の服用方法を厳守して服用する必要があります。

飲みやすくなるから何でもかんでも砕いて服用することはやめてください。



2025年2月23日日曜日

非アルコール性脂肪性肝疾患検査-2.非アルコール性脂肪性肝疾患検査「イムニス サイトケラチン18F EIA」について-

 イムニス サイトケラチン18F EIA」は、血清中のCK-18F(M30)を測定する酵素免疫測定法試薬です。


【使用目的】


血清中のヒトサイトケラチン18フラグメント(CK-18F)の測定 (非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)診断の補助)


【検査原理】


特徴ワンステップのサンドイッチ酵素免疫測定法(EIA)でNASHの診断補助に使用する体外診断用医薬品


【特徴】


NASHの特徴のひとつである風船様変性、疾患活動性の病理学的指標とされるNAFLD activity score(NAS)を反映し、リスクの高いNASHの絞り込みに有用


【検査時間】


測定時間は1時間30分


【基準値】


260未満 U/L


1.260U/L以上:ほぼ確実に非アルコール性脂肪肝炎が高いので肝臓専門医の診察が必要となる


2.260未満 U/L:非アルコール性脂肪肝炎の可能性は低いことから経過観察


【参考資料】


『イムニス サイトケラチン 18F EIA』

2025年2月16日日曜日

非アルコール性脂肪性肝疾患検査-1.非アルコール性脂肪性肝疾患検査とは-

 非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)とは、アルコールを多量に飲まない人でも、肝臓に脂肪が蓄積する病気です。


主な原因は、肥満、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や、遺伝的要因などが考えられています。


NAFLDは、初期には自覚症状がないことが多いですが、進行すると肝炎、肝硬変、肝がんなどに進行する可能性もあります。


NAFLDの診断には、血液検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査などが行われます。


治療は、食事療法、運動療法、薬物療法などが行われます。


NAFLDは良性の経過をたどる単純性脂肪肝と、肝硬変や肝癌に進行する可能性がある非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis: NASH)に分かれます。

わが国にはNAFLDが約1,000万人、NASHが約100~200万人いると推定されます。


【参考資料】

2025年2月9日日曜日

薬局でジェネリックを拒否し先発薬希望で"特別の料金追加"加算の新たな仕組み

 2024年10月からジェネリックを拒否し先発薬希望で"特別の料金追加が発生する新しい仕組みをなかなか理解できずに薬局でトラブル事案が発生していることから、今回はこのことについて解説させていただきます。


【2024年10月から始まる薬に関する新しい仕組み】


10月から使用感や味など薬の有効性とは関係がない理由(患者の都合)で先発医薬品を

希望すると"特別の料金"がかかり、患者自身の負担となります。


その料金は先発医薬品とジェネリックの価格差の4分の1相当の料金のことを言います。


【対象となる薬とは】


いわゆる長期収載品と呼ばれる、同じ成分のジェネリックがある先発医薬品が対象と

なります。


 ※ジェネリックの存在しない薬は対象とはなりません※

 

【特別料金は誰にでもかかるのか?】特別料金は誰にでもかかるのか?


普段は薬局での薬代がかからないお子さんなどの場合でも、味の好みなどの理由から

先発医薬品を希望すると"特別の料金"が発生します。


例外としては、患者がそのジェネリックを使用して副作用を起こしたことがあるなど、

医療上の必要がある場合は"特別の料金"は発生しません。


薬局の製造流通が要因となり薬局にジェネリックの在庫がなく、先発医薬品で薬をも

らった場合も特別の料金はかかりません。


【どうしても先発医薬品を希望する場合はどうするの】


どうしても先発医薬品が欲しいという人は、まずは診察時に医師に相談してみてくだ

さい。


医療上の理由で先発医薬品による薬物療法が必要と医師によって判断された場合には

特別の料金はかかりません。


医師により医療上の必要性が認められると処方箋の「変更不可(医療上の理由)」欄

にチェックを入れてもらえば先発医薬品でも"特別の料金"は発生しません。


処方箋の「変更不可(医療上の理由)」欄にチェックがないと「患者希望」の欄にチ

ェックが記載されてしまいシェネリック処方となります。


医師が処方箋を発行する際に「変更不可(医療上の理由)」欄にチェックを入れない

で、薬局で変更はできませんので必ず診察時に医師に申し入れることです。


今回の改悪の趣旨を丁寧に説明しない薬局もありますので注意が必要です。

                 処方箋見本




2025年2月2日日曜日

2024年1年間の梅毒の現状

2024年の梅毒患者報告数は、全国で14,663人でこれは、感染症発生動向調査の全数把握感染症に定められた1999年以降で2023年に報告された14,906人に次ぐ2番目に患者数となっています。

細菌では10~20代の若年層の女性に多く感染しています。 

【調査できた11802人の梅毒の病期】

◯男性 同性愛感染者 1259

早期顕症Ⅰ 367

早期顕症Ⅱ 474

無症候  403

晩期顕症 15

◯男性 異性間感染者 6267

早期顕症Ⅰ 4014

早期顕症Ⅱ 1480

無症候  705

晩期顕症 68

◯女性 異性間感染者 4276

早期顕症Ⅰ 1049

早期顕症Ⅱ 1780

無症候  1428

晩期顕症 19

【無症候梅毒の分析】

◯男女合計

2536/11802 21.5%

◯男性

1108/7526 15.3%

◯女性

1428/4276 33.4% 

※梅毒とトレポネーマに感染しても梅毒特有の症状を呈さない患者がかなり見られ特に女性の場合に多い傾向があります※

※無症候梅毒は感染に気づくことなく感染者を広げる危険性が高いことから、不安な行為をしてしまったら必ず適切な時期に梅毒検査を受けることが感染者増加を防ぐ手段となります※

2025年1月26日日曜日

ヒトメタニューモウイルスとは

ヒトメタニューモウイルス(hMPV; human metapneumovirus)は、2001年にオランダで急性呼吸器感染症患児の鼻咽腔吸引液から初めて分離発見された比較的新しいウイルスで、風邪の原因の一つとして知られていて、特に乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は感染力が非常に強く、飛沫感染や接触感染によって広がります。

※抗体調査の結果からこのウイルスは50年以上前からヒトの間で流行しており、従来原因不明とされていた呼吸器感染症の病原体のひとつと考えられます(呼吸器感染症患者検体におけるHMPV陽性率は10-20%程度)※

【感染経路】

咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する飛沫感染。

ウイルスが付着した手や物に触れ、その手で口や鼻を触ることで感染する接触感染。

【感染期間】

症状が出る5日前から症状発症後1~2週間の間、他者にウイルスを伝播する可能性があるります。

解熱してからは感染力はかなり低下するといわれています。

【症状】

3~5日ほどの潜伏期間を経て、風邪に似た症状で咳、発熱、喘鳴などの症状が現れます。

一般的には症状は1週間ほどで治まることがほとんどですが、重症化することもありますので、乳幼児は特に注意が必要となります。

重症化した場合には、気管支炎、肺炎を発症します。

【治療】

インフルエンザに対するタミフルのような特効薬はなく、症状を緩和させる薬が中心に処方されるれ対処法となります。

抗生物質は効き目がないことから基本的には使用しません。

【検査法】

イムノクロマト法を利用とした『ヒトメタニューモウイルスキット  クイックチェイサーhMPV』があります。

詳しくは以下を参照してください。

『クイックチェイサーhMPV』

【感染経路・感染率】

ヒトメタニューモウイルス感染症の感染経路は、感染者の咳や飛沫がついたものに触れることです。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)の感染確率は、2歳までに約30%、5歳までに約75%、10歳までにほぼ100%と言われていて、感染力が強いウイルスで発症は繰り返されます。

【予防】

ヒトメタニューモウイルス感染症の感染対策としては、手洗いやマスクの着用など、飛沫感染および接触感染対策が重要です。

家庭内に感染者がいる場合は、食器やタオルを分けて使用しましょう。




 

2025年1月19日日曜日

インフルエンザ予防薬とは

 インフルエンザの大流行が続いていますので、今回はインフルエンザ予防薬に付いて解説させていただきます。

【インフルエンザ予防薬とは】

服用することで、発症を予防したり、発症しても症状を軽くする効果が期待される薬です。

【予防薬の働き】

インフルエンザウイルスが体内に侵入しても、予防薬を服用することで、ウイルスが増殖するのを抑え、病気にかかりにくくする効果があります。

【予防薬の種類】

主な予防薬には、タミフル、リレンザ、イナビルなどがありこれらの薬は、吸入型や飲み薬など、さまざまな形で服用できます。

これらの薬は、インフルエンザの治療薬として承認されており、予防効果も証明されています。

【予防効果】

予防薬の効果は、服用するタイミングや、個人の体質によって異なりますが、一般的には、発症を完全に防ぐものではなく、発症を遅らせたり、症状を軽くしたりする効果が期待できます。

【予防接種との違い】

予防接種は、インフルエンザウイルスの一部を体内に注入することで、体内に抗体を作らせ、感染を防ぐ方法ですが、予防薬はすでにウイルスに感染してしまった場合に、その増殖を抑えることで、発症を防ぐまたは症状を軽くする薬です。

【投与方法】

インフルエンザの予防投与は、インフルエンザ患者との接触から48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用することで、インフルエンザの感染を予防する方法です。

【利用対象者】

原則、インフルエンザ患者と同居している人や共同生活をしている人で、次の条件にあてはまる人です。

1.65歳以上

2.呼吸器または心臓に慢性的な疾患がある人

3.糖尿病などの代謝性疾患がある人

4.腎機能障害のある人

【注意点】

予防薬薬の投与により、インフルエンザの症状は出にくくなりますが、100%予防できるわけではありません。

また、インフルエンザ患者との接触から48時間(リレンザは36時間)以上経過してからの投与や10日間以上の投与では、予防効果のあるデータが得られていませんので、予防投与はすみやかに決められた期間だけ行う必要があります。

予防効果があるのは、抗インフルエンザ薬を投与している期間のみとなります。

インフルエンザ予防薬は保険が適用されませんので、病院や薬局での支払いは自費(10割負担)となり、医療機関ごとに支払額が異なる点には注意してください。

およその費用の目安

診察費 およそ4000円

薬剤費 5000~6000円

※事前に受診される医療機関にお問い合わせください※

【参考資料】

『抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン 』


2025年1月12日日曜日

季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違いとは

 【季節性インフルエンザとは】

ウイルス粒子内の抗原性の違いからA型・B型・C型に分類されています。

A型は原因となる抗原性が小さく変化しながら毎年世界中のヒトの間で流行しています。

症状は38℃以上の高熱、悪寒、関節・筋肉痛などが特徴です。

多くの変異株が存在し、増殖力が速く、しかも感染力が強いので流行しやすいのが特徴です。

B型は突然変異を起こしにくく、A型の様に世界的な大流行を起こすことはありませんが、症状は重く、数年おきに流行して猛威をふるいます。

C型は感染しても軽症で済むことが多く、免疫を持っている人が多いのが特徴です。

【新型インフルエンザとは】

時折インフルエンザウイルスの抗原性が大きく異なるインフルエンザウイルスが現れますが、これを新型インフルエンザといいます。

多くの人が免疫を獲得していないことから、急速にまん延することによって起こる新型インフルエンザは、いつどこで発生するのか誰にも予測することはできません。

新型インフルエンザの代表的なものとしては、

1.1918から1919年にかけて世界的に流行したスペインインフルエンザ

2.1957から1958年にかけて世界的に流行したアジアインフルエンザ

3.1968から1969年にかけて世界的に流行した香港インフルエンザ

4.2009から2010年にかけて世界的に流行した新型インフルエンザA(H1N1)pdm2009

これらの新型インフルエンザウイルスが世界的に流行して、多くの人々が免疫を獲得すると新型インフルエンザではなくなり季節性インフルエンザという呼び方になります。

2025年1月5日日曜日

インフルエンザA pdm09型 大流行!!

 全国でインフルエンザの感染が急拡大しています。

現在流行しているのは、"インフルエンザA pdm09型"で、全国で検出されたインフルエンザの9割を占めています。

厚生労働省が2024年12月27日発表した、全国平均の定点数は42.66です。

【参考資料】

『インフルエンザの発生状況について』

今シーズンのインフルエンザのおよそ90%が"インフルエンザA pdm09型"で、このウイルス株は2009年にパンデミックとなったインフルエンザの型で、2009の09とパンデミックのpdmが名前の由来で、当時は"新型インフルエンザH1N1型"と呼ばれていました。

呼称が変わったのは、当時は『新型』でしたが、流行が繰り返されるということで、季節性のインフルエンザの一つとして扱われるようになったからです。

"インフルエンザA pdm09型"の特徴はとにかく感染力が強いという一言につきます。

家族内で一人が感染すると、ほぼ間違いなく家族全員が感染するほ感染力が強いわけです。

主な症状としては、

発熱・せき・喉の痛み・筋肉痛・全身の倦怠感です。

またこのウイルスは『下気道感染』を引き起こすことが多いことも特徴のひとつです。

感染が肺の手前か下気道の辺りまで広がっていくと、下気道感染を引き起こし、痰の量が増えたりとか咳がひどくなったりとか、ひどい場合は酸素化が悪くなって呼吸困難感が出現します。

感染予防対策

1.帰宅度の丁寧な手洗いとうがい。

2.マスク着用。

3.部屋の換気。

2025年1月1日水曜日

年賀 2025年

 謹 賀 新 年

本年もよろしくお願いします。