血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年10月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-5.新型コロナウイルスワクチンの接種についての問題点-

 2020年10月2日、厚生労働省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、新型コロナウイルスのワクチンは特例的に全員無料で接種できるようにし、接種費用の全額を国が負担する方針を示し了承されました。

本年10月下旬に召集予定の臨時国会に予防接種法改正案を提出するとしています。

今回の予防接種について国の考えていることを以下に解説してみます。

1.2021年前半までに全国民に行き渡る量のワクチンを確保する方針。

2.タイミングが良けれは2021年明けから接種が始まる見通し。

3.蔓延予防を考えて緊急の必要があるとして、予防接種法が規定する「臨時接種」の規定を準用する。

4.実施主体となる市町村は原則として住民に接種を勧奨し、住民には接種を受ける努力義務を課す。※現時点でワクチンの有用性と副作用についての殆どわかっていない時期に、接種勧奨と努力義務を付けることに強い抵抗感があるとの指摘もあります※

5.ワクチン接種の副作用で健康被害が生じた場合に医療費や障害年金などを支給する救済措置も臨時接種と同様、高水準とする。

6.救済措置の財源は全額国が負担し、訴訟となった場合に製薬企業などに代わって国が賠償金などを払うための法整備も行う。

7.新型コロナウイルスの予防接種については同法を改正し国が全額負担する。

今後法律提出までにどの様に加筆訂正されるのか、法案可決時にはどの様に法律になるのかをよく見極める必要がありそうです。

現在ロシアや中国で使用されているワクチンは、安全性が十分に確認されていませんし、予防効果もどの程度あるのかもはっきりしていません。

予防ワクチンが利用可能となるのは、「十分な感染予防効果がある」、「重い副作用がない」ことが最低求められています。

2020年10月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-4.新型コロナウイルスのゼロ次予防とは-

 ゼロ次予防は、もともと循環器疾患の予防についての研究から生まれた発想です。

※ゼロ次予防とは、"primordial prevention"と呼ばれる発想※

WHOは、2006年に発行した『WHOの標準疫学 第2版』の中で改めて「primordial prevention」に言及し、日本語版で「ゼロ次予防」と訳されたことから、現在に至るまで訳語として定着しています。

"ゼロ次予防"とは、一人ひとりの体質に合わせて生活習慣などの改善を行い、病気の予防を推進するという考え方で、自分が親から受け継いだ遺伝子などを調べて、「どのような病気になりやすい体質なのか」を知ることで、効果的に生活習慣を見直すことを目指しています。

感染予防など意識する以前に、オフィスや住まいを健康的に整備し、そもそも感染症にかかりにくい環境を作るという取り組みのことを言います。

それでは1次予防、2次予防とは何なんでしょうか?

・1次予防とは、病気固有の原因やリスクファクターを減らすことで病気の発生を防ぐこと(病気にならないように気をつける)。

・2次予防とは、病気の初期段階において罹患期間を短縮し罹患率を減らそうということ(病気がひどくなる前に見つける)。

・3次予防とは、近年では、病気の後期で合併症の数や影響を減らす3次予防も注目されていいます(かかってしまった病気の悪化を防ぐ)。

千葉大学予防医学センターは、イオンモールや竹中工務店と協力し、ゼロ次予防に着目して、建築物などで利用者を知らず知らずのうちに健康に導く仕組みについて研究をしていることを報告しています。

2007年に長浜市長と京都大学医学研究科長が一体となってゼロ次予防コホート事業を展開してます。

ゼロ次予防の具体例としては、

・タバコの値上げや喫煙所の撤去などが分かりやすい事例で、健康に悪影響を及ぼすタバコを吸える環境を無くすことで禁煙を促していることになります。

・飲食店等でのカロリー表示も、その表示から適切な食事量を心がけるよう促す意味で同様の位置づけと捉えられます。

新型コロナウイルスの空気感染を防ぐ観点からも、こうした知らないうちにウイルスを消毒する仕組み作りは求められるに違いない。

健康でいることを目指すのではなく、意識しなくても人々を健康的な状態に導くにはどうすればよいのか?

ゼロ次予防の考え方は様々な場面で重要性を増してくるものと考えられます。