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2021年4月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-19.変異株について-

 どの種のウイルスも増殖の過程で変異を引き起こしますが、変異のスピードや変異によるウイルスの性質が変化するかは、それぞれのウイルスによって異なります。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、平均して2週間に1回程度のサイクルで変異していると考えられています。

この変異ではウイルスの性質が大きく変わることはまれですが、変異によって作られるたんぱく質を構成するアミノ酸が変われば性質が変わる場合が起こりえます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のSpikeタンパク質の多重変異を特徴とする変異株は、以下のものが確認されています。

・英国VOC-202012/01(B.1.1.7)

・南アフリカ501Y.V2(B.1.351)

・ブラジル501Y.V3(P.1)

新たな変異としてはE484Kが確認されています。

このE484K変異は磁石のNS極を逆転させるような極性を反転させる際立った変異とされていて、現在注目を浴びています。

このE484K単独でワクチンの効き目がなくなるわけではありませんが、少なからず効果が減弱する可能性が指摘されています。

次回からこれらの変異株について解説してきます。


2021年3月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-18.PCR検査は万能検査ではない-

 新型コロナウイルスに感染しているかを判定する一番の検査は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」という検査と言われていますが、果たしてそうなんでしょうか?

そもそもPCR検査は、ウイルスの一部の核酸を増やして調べる検査で、ウイルスそのものを見つける検査ではありません。

検査材料としては、感染の疑いのある人の喉や鼻の粘液を採取し、そこに含まれる、新型コロナウイルスに特徴的な遺伝物質の一部を増やして検査をします。

そして検出レベルまで増えれば「陽性」、検出できなければ「陰性」と判断します。

ここで多くの人が勘違いしているのは、PCR検査は万能と思い込んでいる人が多いということです。

PCR検査は万能検査ではありません!!

感染の初期やウイルスが少ない検体の場合は、いくら核酸を増幅させても検出できないことも当然ありえます。

その事例としては、

・PCR検査を行う技術者や医師の技術力の未熟さから、結果が陰性から陽性になったり、逆に陽性が陰性になったりすることがある。

どの検査でもこのようなことは起こりえますが、検査の難しいPCR検査は特にこの間違いは発生しやすいのです。

これを防止するには、日頃からPCR検査を行える人材教育をしていくことが大切です。

付け焼き刃での研修では優秀な人材は育ちません。

・陽性から陰性になった後、再び陽性になった。

これは一度体内からウイルスが減ったが、再び増える「再燃(さいねん)」が起きた可能性が専門家から指摘されています。

・ある男性の一人は、喉からの粘液検査では陰性となり、その後肺炎と診断され、肺内のウイルスがわかる別の検体の検査で陽性になった。

これは喉から採取した検体の中のウイルスの量が少なかったからです。

新型コロナウイルス検査には、インフルエンザウイルスの迅速簡易キット検査が現在存在していません。

新型コロナウイルスの感染を迅速に判定できる簡易キットの開発を急ぐ必要があります。


2021年3月21日日曜日

新型コロナウイルス流行下でHIV検査を受ける人が激減!!

 2021年3月16日、厚生労働省のエイズ動向委員会は2020年の1年間に保健所などで行ったHIVの検査数が2019年に比べて半減したと発表しています。

検査件数は68998件と大幅に減少し、相談件数も2019年に比べて半減し66519件だった。

新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大し、HIVの検査や相談をためらう人が増えたほか、保健所の業務が新型コロナウイルス対応で逼迫し、その結果HIVの検査を取りやめた時期があったことなどが影響したとみられています

2020年にHIV感染が新たに判明した人は、2019年に比べて160人減の10761人(速報値)となっています。

内訳としては、エイズを発症した患者が前年比3人増の336人、無症状の感染者が前年比1631人減の740人だった。

HIV感染者数が減少したのは、検査件数などの減少で、無症状の感染者を十分に把握できていない可能性があり、真に減少したとは言えません。

不安な行為をしてしまったときには、必ず適切な時期にHIV検査を受ける必要があります。

新型コロナウイルスの影響でHIV検査を受けづらい場合は、郵送による検査を受けることも選択肢のひとつです。

検査を受ける人が減ればそれだけいきなりエイズも増加することになります。


2021年3月14日日曜日

新型コロナウイルスについて-17.新型コロナウイルスの変異株のE484Kとは-

 国立感染症研究所が、国際的なデータベースに登録したウイルスの遺伝情報を慶応大の研究チームが解析した結果、2020年8月と12月に採取された新型コロナウイルス2個の突起先端部に「E484K」と呼ばれる変異があったことを確認しました。


この変異株は日本国内で変異したと考えられていますが、現在流行しているこの変異株は海外から流入したのとは別に、国内で以前から広まっていたウイルスにE484K変異が入った可能性が高いと判断されています。


E484Kは、これまでの感染で体内にできた抗体やワクチンの効果を低下させると懸念されています。


この変異株が国内からも発生したとすれば、今後も同様の変異ウイルスが生まれる可能性があることから懸念されています。


新型コロナウイルスの変異は今後も起こり、これから使用するワクチンの効果が悪くなる可能性があることからして、変異したウイルスの早期発見と早期対策が叫ばれています。

2021年3月7日日曜日

新型コロナウイルスについて-16.新型コロナワクチンに対する日本感染症学会からのCOVID-19ワクチンに関する提言-

 2021年2月よりわが国でも遅ればせながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まりました。

これを受けて2021年2月26日、「日本感染症学会」は、『COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)』を同学会のホームぺージで公開してます。

この提言の内容について解説してみます。

第1版は既に2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況・作用機序・有効性・安全性・国内での接種の方向性そして接種での注意点などが提言されています。

今回は、特にワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆が加えられ更に筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加されています。

まずはワクチンの有効性についてですが、

○COVID-19ワクチンの有効性の追加についてですが、

(1)ファイザーの臨床試験として、55歳以下で95.6%、56歳以上で93.7%、65歳以上で94.7%の有効率が認められたとしています。

しかし、75歳以上では対象者数が十分でなく評価できていないと述べています。

(2)モデルナの臨床試験結果としては、65歳未満で95.6%、65歳以上で86.4%の有効率が認められたとしています。

しかしそれ以上の年齢層では評価されていないとも述べています。

(3)アストラゼネカの臨床試験結果としては、接種群における70歳以上の割合は5.1%にすぎず評価不十分と述べています。

※これらをまとめますと、いずれのワクチンも、75歳を超える高齢者での有効性については今後の検討課題であり、接種群で基礎疾患のある人の割合は、ファイザーの臨床試験で20.9%、モデルナで27.2%、アストラゼネカで24.7%と比較的多く含まれているものの、それぞれの基礎疾患ごとの有効性の評価は十分ではなく、今後検討が必要と結論づけています※

一番気になる変異株とワクチンの効果についてですが、

この提言では「SARS-CoV-2の変異速度は24.7塩基変異/ゲノム/年とされており、2週間に約1回変異が起き、その変異によってウイルスのタンパク質を構成するアミノ酸に変化が起こることがある」とされ、「とくにスパイクタンパク質のACE2との結合部位近くのアミノ酸配列に変化が起きると、SARS-CoV-2の感染性(伝播性)やワクチンで誘導される抗体の中和作用に影響が出る」と述べられています。

更にイギリス変異株については、「感染力(伝播力)が36%から75%上昇すると推定されているものの、ファイザーのワクチンで誘導される抗体による中和作用には若干の減少がみられるが、ワクチンの有効性には大きな影響はない」と述べられています。

南アフリカおよびブラジルの変異株は、「COVID-19回復期抗体の中和作用から回避する変異であることが報告され、ワクチンの有効性に影響が出ることが懸念されている」と述べられています

ワクチンの安全性について

海外の臨床試験では、「活動に支障が出る中等度以上の疼痛が、1回目接種後の約30%、2回目接種後の約15%に、日常生活を妨げる重度の疼痛が、1回目で0.7%、2回目で0.9%報告された」と紹介されています。

「この接種後の疼痛は接種数時間後から翌日にかけてみられるもので、1~2日間ほどで軽快。注射の際の痛みは軽微と思われる」と推定しています。

そして、海外での高齢者や基礎疾患を有する者への接種では、「現在のところ死亡につながるなどの重篤な有害事象は問題になっておらず、COVID-19に罹患して重症化するリスクに比べるとワクチンの副反応のリスクは小さいと考えられる」と考えを呈しています。

一方日本国内での臨床試験における有害事象につていは、ファイザーのCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」では、海外での臨床試験の結果と比べ、「局所の疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛はほぼ同等、悪寒の頻度がやや高くなっていると述べられています。

発熱に関しては、37.5℃以上対象(国内定義/海外定義は38℃以上)で1回目が10%、2回目が16%と高い頻度で認められたが、発熱者のほぼ半数を37.5~37.9℃の発熱が占めているため、その割合は海外の結果と大きな違いはなかったと述べられています。

・mRNAワクチンによるアナフィラキシーに関して、

 1回目接種直後のアナフィラキシーの報告について、米国での当初の調査では、「100万接種あたりのアナフィラキシーの頻度が、ファイザーのワクチンで11.1、モデルナのワクチンで2.5と、すべてのワクチンでの1.31に比べて高くなっている。

両ワクチンのアナフィラキシーに関する報告をまとめると、女性が94.5%を占め、アナフィラキシーの既往をもつ者の割合は38.7%、接種後15分以内に77.4%、30分以内に87.1%が発症している。

その症状は、ほとんどが皮膚症状と呼吸器症状を伴うもので、アナフィラキシーショックを疑わせる血圧低下は1例のみであった。

なお、その後の米国の調査で、アナフィラキシーの頻度は両ワクチン合わせて100万接種あたり4.5と報告されています。

この提言では、ワクチンの有効性と安全性を評価したうえで、ワクチン接種を望む一方で、「ワクチン接種を受けることで安全が保証されるわけではなく、接種しても一部の人の発症、無症状病原体保有者として人に感染を広げる可能性があること」についても注意をうながし、COVID-19の蔓延状況が改善するまでは、マスク、手洗いなどの基本的な感染対策の維持を推奨しています。

日本感染症学会の提言の全文は以下を参照してください。

  ↓

日本感染症学会



2021年2月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-15.その2.二重マスク着用は二重かどうかよりも「フィットするかどうか」が重要-

前回の続きです。 

今回の実験の結果からは"二重がマスク最高!"ということではなく、飛沫が入り込む隙間をいかに減らすかが重要である、ということが理解できると思います。

二重マスクをする理由は「両端の隙間をなくしフィットさせるための方法」としてのものですので、重ねれば良いというものではありません。

1. マスクはノーズワイヤー(マスクの上部に沿った金属片)付きのものを選ぶ。

ノーズワイヤーを鼻の上で曲げて顔に密着させることで、マスク上部からの空気の漏れを防ぎます。

2. マスクフィッターやブレースを使用する。

サージカルマスクなどの使い捨てマスクや布製マスクの上にマスクフィッターやブレースを使用して、マスクの端の周りに空気が漏れないようにします。

3. 鼻、口、顎の上にぴったりとフィットすることを確認することが重要です。

マスクの両端に手を当てて隙間がないか確認してください。

目の近くやマスクの側面から空気が流れていないことを確認してください。

結論としては、顔にフィットさせるために二重マスクを使用することは浴びる飛沫の量を減らすためには有効なようです。

小顔の方は参考にして良いでしょう。

ただし、通常のマスク着用でも十分な効果が確認されています、これを二重マスクにしてよりフィットさせることでどれくらい実際の感染者が減るのかは未知数なのです。

実際には感染リスクは「マスクなし⇒⇒⇒マスク1枚⇒二重マスク」と考えられますので、二重にするかどうかよりも、会食などのマスクを装着していない場面での感染リスクをいかに減らすかの方が重要となるのです。

また、今は冬なので問題ないですが、夏に二重マスクをすれば熱中症のリスクも高くなるのではないかと推測されます。

マスク着用が推奨されるのはいまのところ換気が不十分となりやすい屋内や混雑した場面のみであり、人との距離が十分に保たれている場合は屋外でのマスク着用は推奨されていません。

メリハリをつけてマスクを装着するようにしましょう。


2021年2月21日日曜日

新型コロナウイルスについて-14.その1.二重マスク着用は感染防御効果大!!??-

 2021年2月10日、米国疾病予防管理センター(CDC)は二重マスクの効果に関する研究結果を発表し、これを受けて各メディアは 米国疾病予防管理センターは二重マスクを推奨と報じましたが、これは本当にマスク二重にした方が良いのでしょうか?

この事について分析してみます。

要するにこの論文は、着用時マスクをフィットさせることの重要性を強調しています。

ここで検証された三種類のマスクとは、

1.普通のサージカルマスクで、両側に隙間ができていることが強調されています。

2.二重マスクで、サージカルマスクの上に布製マスクを覆うことにより隙間がなくなっています。

3.結び目マスク(本文中では"knotted/tucked mask")で、両側に結び目を作ることで隙間をなくしています。

この三種類のマスクを使用して飛沫を排出する側と飛沫を浴びる側がそれぞれマスクを着けた場合、着けなかった場合の飛沫を浴びる量を比較しています。

この結果、排出する側/浴びる側がどちらもマスクを装着していた場合、普通のマスクではマネキンが浴びる飛沫の量が84.3%減ったのに対し、二重マスクでは96.4%、結び目マスクでは95.9%減ったとのことです。

確かに二重マスクと結び目マスクでは、普通のサージカルマスクよりも飛沫を浴びる量が減るようです。

普通のマスクの84.3%という結果も立派なものだとは思いますが・・・。

【つづく】