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2018年2月12日月曜日

人獣共通感染症-6.細菌性人獣共通感染症としてのサルモネラ症

サルモネラ感染症の原因菌はサルモネラ(サルモネラ・エンテリティディスなど)によって引き起こされます。

サルモネラはおよそ2,000種類以上の血清型に細分されており、チフス性疾患をおこすチフス菌およびパラチフス菌も含まれるが、ここではヒトに胃腸炎、つまり食中毒の原因となるサルモネラについて解説いたします。

サルモネラ菌は自然界のあらゆるところに生息し、家畜、ペット、鳥類、爬虫類、両生類が保菌し食中毒ならびに人畜共通感染症の重要な原因細菌のひとつです。

国内では、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)での感染報告が多く、国内で飼育されているカメ類のサルモネラ保菌率は18%、その他トカゲ類で75%、ヘビ類で90%であるとの報告があります

サルモネラ感染症は、近年ではペットの犬や猫をはじめ爬虫類や両生類から人へ感染した事例が多数報告されています。


【症状】

潜伏期間は、5~72時間(平均12時間)です。

小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症しますが、小児や高齢者はわずかな菌量でも感染してしまいます。

人への感染は、主として成人では急性胃腸炎を引き起こします。

小児や高齢者が感染した場合には、症状がより重篤化し、菌血症を併発しやすくなります。

サルモネラ菌に感染した犬・猫をはじめ小動物では、一般的に急性胃腸炎として嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失が認められ、特徴的な所見はほとんどないので見過ごされることが多いので注意が必要です。


【検査】

新鮮な糞便を分離・同定、抗生物質の感受性試験などを実施します。

サルモネラの特異的な迅速診断法は2018年現在存在しません。

【治療】

アンピシリン(ABPC )、ホスホマイシン(FOM )、およびニューキノロン薬に限られます。

【予防】

サルモネラの予防は原因食品、特に食肉および鶏卵の低温保存管理、またそれらの調理時および調理後の汚染防止が基本となりますが、ペット等からの感染も無視できません。

サルモネラ菌は、動物の消化管に保菌されており糞便から人の口に入り感染する場合も多いので、動物に触れた後は必ず早めに手をよく洗う必要があります。

ペットとの不用かつ安易な濃厚な接触(餌の口移しなど)をしない。

サルモネラ菌は、色々な消毒剤が有効です。

消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、逆性石けん液(ベンザルコニウム塩化物液)など、市販されているほとんどの消毒剤が有効です。

2018年2月4日日曜日

人獣共通感染症-5.細菌性人獣共通感染症としてのコリネバクテリウム・ウルセランス感染症

犬や猫などから人間にうつるとされる人獣共通感染症「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」による死者が2018年1月14日国内で初めて確認されました。

国立感染症研究所調べによりますと、国内では2001年から2017年11月末までに25例の発生が確認されています。

【感染経路】

コリネバクテリウム・ウルセランス感染症は、家畜やペットの動物が持つ「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」に感染することで起きる人獣共通感染症です。

コリネバクテリウム・ウルセランスはジフテリア菌に類縁なグラム陽性の短桿菌で、おもに家畜などの動物に常在しており、ウシの乳房炎の原因となることがあります。

人から人に感染することはほとんどありません。

【症状】

症状としては、基本的にジフテリアと類似した臨床症状を示します。

喉の痛みや咳など風邪の症状が出て、重症化すると呼吸困難などで死亡することもあります。

【検査】

患者の体液を培養し、病原菌を単離、同定するか、PCRを用いて検査する。

【治療法】

マクロライド系抗菌薬が有効とされています。

【予防法】

人での国内感染事例の多くは犬や猫からの感染であることが確認されていることから、この菌に感染した動物と接する場合には注意が必要となります。

感染した動物は、くしゃみや鼻汁などの風邪に似た症状や皮膚病を示すことがあり、動物間で感染が拡大することも報告されていますので注意が必要となります。

無症状の保菌動物の存在も報告されています。

日常生活において過度に神経質になるのではなく、一般的な衛生管理として動物と触れあった後は手洗いを確実に行うことなどにより、感染のリスクを低減することが可能となります。

【感染対策】

国内では、人に対する定期の予防接種の対象である3種混合(最近では4種混合)ワクチンにジフテリアトキソイド(ワクチン)が含まれていますので、このワクチンはコリネバクテリウム・ウルセランス感染症に対しても有効であると考えられています。