血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2025年6月15日日曜日

感染症速報-12.新型コロナウイルスの流行状態-

 新型コロナウイルス感染者の全国の定点数は、

2025年5月26日~6月1日まで0.84人でしたが、6月2日~6月8日まででは0.92と上昇傾向にあります。


特に沖縄3.91、熊本1.07、愛媛1.76、京都1.49、奈良1.02、愛知1.05、長野1.11、埼玉.28,神奈川1.07,千葉1.27,茨木1.24、新潟1.11の都道府県では定点数が1を超えています


定点当たり報告数とは、対象となる感染症について、すべての定点医療機関からの報告数を定点数で割った値のことで、言いかえると1医療機関当たりの平均報告数のことです。


季節性インフルでは、1定点当たりの患者数が1人以上になると「流行入り」、10人以上で「注意報」、30人以上で「警報」が発令されるが、新型コロナに同様の仕組みはないことから、多くの専門家し確立すべきと指摘しています。


しかし定点数を参考にすることにより新型コロナが、流行しつつつある・流行している・沈静化している等の判断目安にはなります。


現在中華人民共和国に置いては、2025年4月から新型コロナウイルスの陽性率が週を追うごとに上昇しつつあります。


中華人民共和国は情報統制を行い本当のことを発表しませんので、詳しくはわかりませんが、その他の情報から総合的に判断して現在新型コロナウイルスの変異株の流行は間違いないようです。


日本国内への侵入もありえますから、引き続き、手洗いやマスクの着用、体調がすぐれないときの受診など、日常的な感染対策を心がける必要がありそうです。

2025年6月8日日曜日

感染症速報-11.マクロライド耐性百日咳菌による百日咳患者増加-

百日咳の潜伏期は通常5〜10日間で、かぜ様症状で始まり、百日せき含有ワクチン未接種の場合は特徴的な発作性の咳込みや吸気性笛声へと進行していきます。

日本国内では60年以上前から百日せき含有ワクチンが定期接種となっているため、多くの小児や成人は複数回の百日せき含有ワクチンを接種していることからワクチン既接種者の場合は百日咳に特徴的な咳は認められることは少なく、長引く咳や息が詰まるような咳など、いわゆるかぜ症候群に認められる咳とは異なる咳症状を呈することが多いです。

2024、2025年は2023年以前と比べて10~19歳が大きく増加し全体の約50%を占め、次いで5~9歳が約20%と報告されています。

確定症例の多い5歳以上はワクチン既接種者が多く、症状は典型的でないことに注意が必要です。

治療の基本はマクロライド系抗菌薬を使用しますが、痙咳期(咳の激しい時期)の抗菌薬治療は症状の改善効果はあまり見られませんが、他者への感染を低減させるため感染拡大防止策としては重要とされています。

日本国内おいて、重症化しやすい生後3カ月未満の乳児がいる場合はマクロライド系抗菌薬に加えST合剤の併用します。

ただしST合剤は、低出生体重児、新生児、妊婦には禁忌であることに注意が必要となり、集中治療を必要とする重症百日咳を疑う症例の抗菌薬選択については、地域の小児感染症専門医師を受信する必要があります。

※ST合剤とは、スルファメトキサゾールとトリメトプリムという2つの成分を配合した抗菌剤です※

現在全国的な百日咳の流行拡大を受け、DPTの接種希望者が急増し、2025年4月以降の需要は供給量を大幅に上回る状況となり、2025年5月から限定出荷の措置が講じられているのが現状です。

DPTが供給制限されている現状では、重症化リスクが高い早期乳児への感染を防ぐためのワクチン接種を最優先とし、次いで乳児と頻回に接触する感受性者への接種を優先する必要となります。

※DPTとは、ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)の3つの病気を予防するワクチンを指します※


日本国内での百日時期患者をこれ以上増やさないためには、

1. 定期接種対象である乳児に対して、生後2カ月から遅滞なく5種混合ワクチンを確実に接種する。

2. 妊婦がDPT接種を希望する場合には、地域内での供給調整を図る。

3. 就学前の幼児、学童、医療関係者等へのDPT追加接種については、新生児や早期乳児との接触頻度の高い者を優先対象とし、地域の供給状況を踏まえて段階的に実施を検討する必要があります。

DPT追加接種とは、ジフテリア、百日咳、破傷風の予防接種(三種混合ワクチン)の追加接種のことです※

2025年6月1日日曜日

感染症速報-10.手足口病-

口の中や、手足などに水疱を伴う複数の発疹が出る感染症で、例年6~8月に流行する"こどもの三大夏風邪"の1つといわれています。


感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背(足の甲)などに2~3mmの水疱を伴う複数の発疹が出現し発熱は約3分の1にみられますが、38℃以下のことが多く高熱が続くことは通常はありません。


ほとんどの発病者は、3~7日のうちに治る病気です。


しかしながら、まれに、髄膜炎、小脳失調症、脳炎といった中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、重篤な合併症を伴うことがあります。


手足口病は2歳以下が半数を占めますが、小学生でも流行的発生がみられることがあります。


成人を含めた小学生以上の大半は、すでにウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いため、成人での発症はあまり多くありません。  


【大人にも感染することがあるので注意】

子どもに比べて症状が重く出る傾向があり、発疹の痛みや発熱、悪寒、全身倦怠、関節痛、筋肉痛などの症状が出ることもあり、特に足の裏に発疹が出ると歩くのが困難になることもあります。


【原因となるウイルス】

主にコクサッキーウイルスA6(CA6)、CA16、CA10、エンテロウイルス71(EV71)などです。


【感染経路】

飛沫感染、接触感染、糞口感染が知られています。


【治療法】

予防ワクチンはなく、特別な治療方法はありません。

基本的には軽い症状の病気のため、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。

まれに髄膜炎や脳炎といった中枢神経系の合併症や心筋炎などが起こる場合があるため、経過観察をしっかりと行い病態の変化が認められれば直ちに受診することです。


※現在全国的に増加傾向にありますので今後注意が必要となります※






解熱剤: 発熱や痛みがある場合に、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤を使用します。

口内炎の緩和: 口内炎が痛む場合は、局所麻酔薬を含むゲルやうがい薬を使用したり、冷たい飲み物やゼリー、プリン、柔らかく煮たうどん、豆腐など、喉に優しいものを与えたりすると良いでしょう。熱いものや酸っぱいもの、辛いもの、塩辛いものは避けるのが賢明です。

水分補給: 脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給が重要です。

ほとんどは軽症で治りますが、まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。以下の症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。