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2022年12月25日日曜日

現在の梅毒流行の現状-4.無症候梅毒の怖さについてー

 2022年12月11日時点で12192人の梅毒患者が報告され、未だに大流行は収まっていません。


梅毒の大流行に関して、再度梅毒の各病期の症状について解説いたします。


梅毒トレポネーマは感染後に数時間でリンパ管や血液内に到達し全身に広がります。


初期症状が出る前に全身に広がります。


第1期では、梅毒トレポネーマが侵入した場所(感染部位)に初期硬結が出来てやがてこれが崩れて潰瘍化しますこれを硬性下疳といいます。


この初期硬結は痛みも痒みもなく(無痛性)、3~6週で完全になくなることから感染したと言う認識がなく、早期の治療機会を逃すことになります。


また、鼠径リンパ節も腫れますが痛みがまったくないことから、やはり感染を見逃すことになります。


この痛みのない鼠径リンパ節の腫れを無痛性横痃といいます。


第2期では梅毒で極めて典型的な梅毒性バラ疹が全身にできますが、すべての感染者に出るのではなく感染者の6.5%とその出現頻度は低いのが現実です。


一般的には梅毒性バラ疹の出現よりも丘疹性梅毒や梅毒性乾癬、扁平コンジローマの方が高頻度との報告がありますが、これもすべての感染者に出るのではなく17~25%の感染者にしか出現しません。


昔から言われている梅毒になるとバラ疹が出るということは成り立たないのが現実です。


要するにいつも注意を促していますように、今の梅毒は梅毒トレポネーマに感染しても、梅毒特有の症状が出ない無症候性梅毒が多いということです。


分析可能な直近の梅毒患者141人中無症候性梅毒は29人21%も存在しています。


このことは危険な行為をしてしまったときには必ず適切な時期に梅毒検査を受けないと感染の判断ができないということになります。

2022年12月18日日曜日

現在の梅毒流行の現状-3.先天性梅毒に注意-

 国内の梅毒患者は、2022年12月4日時点で11917人と依然として流行は収まっていません。


今回は女性の患者について見てみますと、梅毒に感染した女性の75%は20~30歳代で、当然のことながら患者の中には妊婦もいます。


要するに女性患者の増加とともに妊婦の患者数も増加しつつあります。


梅毒トレポネーマに感染した妊婦のうち4分の3は妊婦健診で見つかっています。


しかも本人に心当たりがなく、知らない間に感染しているケースが多いのが現実です。


残りの4分の1は、妊婦健診を受けていなかったり、受けていても不定期だったりする人です。


妊婦の感染者が多いことは、梅毒がすでに家庭内に広く侵入していることになります。


先天性梅毒とはどのようなものなのでしょうか?


新生児が梅毒トレポネーマに感染した状態で生まれた場合、この感染症は先天梅毒と呼ばれます。


妊婦が梅毒トレポネーマに感染すると、梅毒トレポネーマは胎盤を通じて胎児に感染し、死産になることもあります。


早産・死産にならなかった場合には生まれてきた場合は、生まれつき異常があったりします。


新生児の「梅毒抗体検査」で感染の有無が分かります。


妊婦が梅毒トレポネーマに感染してから日が浅い場合は、母子感染の確率が下がると考えられており、早期の検査や治療は非常に重要です。


疑わしい症状として、性器や校肛門付近の痛みのない出来物・潰瘍・痛みのないまたのリンパ腺の腫れなどが見られた時には必ず梅毒検査を受けてください。


妊娠がわかれば妊娠初期(4~12週)と妊娠後期(28~40週)に梅毒検査受けるのが先天性梅毒防止に効果があります。


先天梅毒に関しても梅毒合併妊婦に対しても国際的な標準治療薬は筋注のペニシリン系抗菌薬ベンジルペニシリンベンザチンですが、日本においてはアモキシシリンを中心とした治療が行われているのが現実です。


2022年12月11日日曜日

現在の梅毒流行の現状-2.2022年梅毒患者と新しい治療法-

 2022年11月27日までに日本国内の場毒患者は際に10000人を超えて、11586人となりました。


11ケ月で11000人を超えるのは予想された以上にハイペースの流行が起きていることです。


年間10000人超えは1999年以来のことです。


特に現在の患者は若者層に色がっています。


男性は20~50歳代に分散していますが、女性は60%が20歳代に集中しています。


感染拡大の要因としては、SNSやマッチングアプリを通じた不特定多数との性交渉の増加を指摘する専門家もいますが、実際のところ増加の原因は不明です。


梅毒は抗生物質で完治しますから、梅毒トレポネーマに感染するリスクのある行為をしてしまったときには必ず適切な時期に梅毒検査を受けることです。


早期梅毒であれば、2022年から開始されたペニシリンの1回の注射で完治します。


梅毒トレポネーマに感染すれば症状が出るから感染はわかると言う人もいますが、現在の梅毒は梅毒特有の症状を呈さないものが多く見られますから、症状からの感染の判断はできません。


コンドームは性行為感染症の感染予防に役立ちますが、梅毒は100%感染予防はできません。


梅毒トレポネーマは、性行為だけでなく、キスやオーラルセックスでも簡単に感染してしまいます。


兎に角現在梅毒の大流行が起きていますから、危険な行為をしたときには必ず梅毒検査を受けるしか対策はありません。


●新しい梅毒治療法として筋注用ペニシリン解禁●

        ↓ ↓

https://voxsangman.com/sys/sys33.html





2022年12月4日日曜日

現在の梅毒流行の現状-2.現在の梅毒の特徴-

 梅毒は2015年ごろまではMen who have Sex with Men(MSM)、つまり同性間で性交渉をする男性患者が多くを占めていましたが現在は患者の3分の1は女性が占めています。


女性の梅毒患者は20歳代が圧倒的に多い一方、男性は若年~中高年層に多いのが特徴です。


国立感染症研究所の報告では、2022年の梅毒感染者の内訳としては、「性風俗産業を利用した男性」または「性風俗産業に従事している女性」が約40%を占めています。


また30%は感染源が「不明」であることを考慮すると、過半数は性風俗店で梅毒に感染したと推測されています。


現在の梅毒の大流行の原因としては、出会い系サイトやマッチングアプリを使って知り合った不特定多数との性交渉と推測されていますが、その根拠ははっきりしていません。

いずれにしても梅毒の大流行は続いていますので、各自が正しい予防対策を取ることが望まれています。


2022年11月27日日曜日

現在の梅毒流行の現状-1.2022年の梅毒患者の現状-

 ここ数年来の梅毒大流行についてシリーズで解説していきますのでお付き合いください。

2022年11月6日までに日本国内の場毒患者は際に10000人を超えて、10744人となりました。

10ケ月で10000人を超えるのは予想された以上にハイペースの流行が起きていることです。

2022年第2四半期の報告では、男性患者の39%に性風俗利用歴が、女性患者の40%に性風俗従事歴があった。

患者の年齢層をみると、男性は20~50代まで満遍なく増加しているのに対し、女性は20~24歳が突出して多いことから推測すると性風俗が感染経路になっているのは否定できないようです。

若い女性の梅毒感染は先天性梅毒のリスク増につながる危険性が高くなります。

しかし現在では妊娠以前、あるいは妊娠後でも、持続性ペニシリン製剤のベンジルペニシリンベンザチン水和物で適切に治療をすれば先天性梅毒を防ぐことは可能です。

梅毒治療に抗生物質の服用は1日3~4回を数週間飲み続ける必要がありその間に勝手に服用をやめたり飲み忘れたりして治療が不成功に終わってしまう人も見られるのが現実でした。

2022年1月から使用可能となった持続性ペニシリン製剤のベンジルペニシリンベンザチン水和物は、効果が1週間以上続くため、早期なら1回の筋肉注射で、感染が心血管や神経まで拡がった後期でも、週1回、合計3回の注射で治療が終了する。

更に妊娠中の梅毒患者への適切な投与で、先天性梅毒を予防できるという結果が得られています。


2022年11月20日日曜日

新型コロナウイルス-68.ケルベロスとグリフォンと呼ばれる変異株の今後の流行は-

どの様なウイルスも生き残るためには変異をし続けます。


新型コロナウイルスも変異をし続けています。


オミクロン株のBQ1から変異したBQ.1.1は、冥界の番犬で頭が3つある怪物ケルベロスと呼ばれています。


オミクロン株のBA.2から変異したXBBは、上半身がワシで下半身がライオンの架空の生物グリフォンと呼ばれています。


これらの変異株は免疫を擦り抜ける力が強いことから日本国内においてもオミクロン株のBA.5から置き換わると考えられています。


これらの変異株は海外では、重症化しにくい可能性が指摘されていますが、確定的ではありません。


これら変異株によって日本国内では第8波が押し寄せつつあります。


第8波を抑えるには、ハイブリッド免疫とワクチンの接種が重要と専門家は指摘しています。


※ハイブリッド免疫とは、コロナ感染による免疫とワクチン接種による免疫の両方を持つこと※


ワクチンの追加免疫は、ウイルスが変異しても変異していない共通の部分残っていて、複数回のワクチン接種でその共通部分に対する免疫ができるのが蔓延を防止することになることからワクチンの複数回接種は有効とされています。

2022年11月13日日曜日

2022年における梅毒患者の病型の分析

2022年1月から10月30日梅毒患者は、10465人と10000人の大台を超えました。


未だに大流行は収まっていません。


梅毒患者9311人の内分析できた6902人の病型の分類をしてみました。


【男性同間感染者 887人】


・早期顕病Ⅰ 219人(24.7%)


・早期顕病Ⅱ 383人(43.2%)


・無症候梅毒 266人(30.0%)


・晩期顕症梅毒 19人(2.1%)


【男性異性間感染者 3648人】


・早期顕病Ⅰ 2456人(67.3%)


・早期顕病Ⅱ 830人(22.8%)


・無症候梅毒 333人(9.1%)


・晩期顕症梅毒 29人(0.8%)


【女性異性間感染者 2367人】


・早期顕病Ⅰ 614人(25.9%)


・早期顕病Ⅱ 1024人(43.3%)


・無症候梅毒 718人(30.3%)


・晩期顕症梅毒 11人(0.5%)


【無症候梅毒の比率】


男性 4535人中599人(13.2%)


女性 2367人中718人(30.3%)


男女 6902人中1317(19.1%)


※無症候梅毒が多く、特に女性の場合は男性の2倍以上となっています※

梅毒トレポネーマに感染しても梅毒特有の症状を引き起こさない症例が多いことは、症状で梅毒感染を知ることはできませんので、不安な行為してしまったときには必ず梅毒検査を受ける必要があります。


2022年11月6日日曜日

眼梅毒にご注意!!

 【2022年の10月時点での梅毒流行の現状】


2022年10月23日時点の梅毒患者は、10141人と遂に10000人を突破しました。


未だ大流行は収まる気配はありません。


感染対策を怠らず感染には気をつけてください。


【眼梅毒とは】


梅毒トレポネーマの感染により引き起こされる眼の充血、かすみ目、視力低下などの眼の症状を言います。


最近の梅毒患者の増加によって眼梅毒の増加が見られます。


実際日本眼炎症学会の2016年の調査では、1年間に梅毒関連ぶどう膜炎が報告されていますが、実際もっと多くの患者が存在していると推測されています。


眼梅毒は基本的には、梅毒のあらゆる時期に目の様々な部位に症状が発生することから、眼梅毒は特徴的に初見を伴わないことから見落とされる確率が高いとされています。


眼梅毒の主な自覚症状は白目の充血、かすみ目、視力低下など炎症の場所によっては目の痛みを感じることもあります。


早期梅毒第1期に、眼科領域では眼瞼や結膜に下疳(潰瘍)を生じるとされていますが、眼科医からの報告はほとんどないと言っていいぐらいです。


梅毒トレポネーマ感染による眼部の下疳に対する眼科医の認識が低いことと、自然に症状が消失することから眼科を受診しても梅毒と診断に至らない症例が存在すると推測されています。


早期梅毒第2期は、梅毒性バラ疹、丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなど多彩な皮膚症状が見られる時期ですが、眼科領域では梅毒性ぶどう膜炎がこの時期に生じることが多いです。


梅毒性ぶどう膜炎は、主な発症部位によって、前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、さらに前部から後部まで広い範囲に炎症が見られる汎ぶどう膜炎に分類されます。


梅毒性ぶどう膜炎は、汎ぶどう膜炎が最多を占めますが、初期に前部ぶどう膜炎に相当する虹彩毛様体炎として急性発症することが多く、重症度も様々という特徴があります。


梅毒性ぶどう膜炎に付いては以下を参照してください。

     ↓

梅毒性ぶどう膜炎について


更に眼梅毒では動脈炎を生じるとされていますが、静脈炎も多く見受けられますし、白線化(血管が著しく細くなる)に至る症例もあります。


梅毒に感染するような行為をして眼瞼や結膜の原因不明な硬結や、虹彩炎や強膜炎がみられた場合、梅毒トレポネーマ感染を疑う必要があるとされています。


※強膜炎の症状は、眼の深いところに激しい痛みが見られます※


※虹彩炎症状には、流涙、眼が赤くなる、眼の強いうずきなどがあり、一般的に明るい光に当たると軽いかすみ目または痛みが起こります※


要するに梅毒に感染するような行為をして眼瞼や結膜の原因不明な硬結や、虹彩炎や強膜炎がみられた場合は、必ず梅毒検査を受ける必要があります。


眼梅毒の場合、視力予後はおおむね良好とされていますが、診断から治療までに時間がかかると生涯にわたり視力が悪いままになる危険性をはらんでいます。


兎にも角にも梅毒が大流行している現在、梅毒トレポネーマに感染するリスクのある行為をした場合は必ず適切な時期に梅毒検査を受けることです。


梅毒は抗生剤治療で完治します。


2022年10月30日日曜日

新型コロナウイルス-67.ケルベロスとグリフォン-

新型コロナウイルスの新しい変異株ケルベロスとグリフォンについて解説いたします。


ケルベロスとグリフォンは、神話や伝説に登場する怪物ですが、どのようなものかのイメージをつかめるようにこれらが描かれたものも一緒に紹介しておきます。


●ケルベロス オミクロン株(BQ.1.1)●


ケルベロスとは、ギリシア神話に登場するハーデスが支配する冥界の入り口を守る三つの頭を持つ番犬で犬の怪物です。


英雄ヘラクレスがケルベロスを捕えて地上に連れ出したこの際にケルベロスは太陽の光に驚いて吠え、飛び散った唾液から猛毒植物であるトリカブトが発生したという話も残っています。


切手は1970年モナコ発行の「ヘラクレスの試練切手」の中の一枚で、ヘラクレスが連れ帰った番犬ケルベロスが描かれています。




アメリカ、イギリスなど48カ国で報告されアメリカの最新データでは全体の7.2%と推計されています。日本でも検疫11件、国内6件が確認されています。


●グリフォン オミクロン株(XBB)●


グリフォンは、鷲の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物です。


クリミア共和国の国章にはグリフォンが描かれています。





インドなど21カ国で確認されていて、シンガポールの最新データでは全体の54%と推計されています。9月時点で6%だったので、1ヶ月で急増したということがわかります。日本では検疫で7件確認されています。


どちらもオミクロン系統でBQ.1系統はオミクロン、XBBは2つの株が一緒になって合体したような形のウイルスです。


ケルベロスとグリフォンは、現時点ではどちらも感染力は強いと考えられていますが毒力が強くなっているとは考えられていません。


ただしワクチンや感染によって得られた免疫をすり抜けるものが広がる株なので、そういう株がこれからも広がっていく可能性は十分考えられます。


これら変異株について現在判明していることを速報としてお伝えしましたので、今後新たな事が判明次第追加報告させていただきます。

2022年10月23日日曜日

梅毒治療の現状-2022年-

 2022年10月9日時点で9562人の梅毒患者が報告され、未だに大流行は収まっていません。

このまま増加すれば2022年は10000人を超えることはまず間違いはなさそうです。

2022年の梅毒治療に関して解説していきます。

治療に関しては、『性感染症診断・治療ガイドライン2020』では経口ペニシリン系抗菌薬アモキシシリンを第一選択薬とし、アレルギーなどによりペニシリン不耐容の場合はテトラサイクリン系抗菌薬ミノサイクリン、妊婦ではマクロライド系抗菌薬スピラマイシンといった経口薬が治療選択肢となっています。そして神経症状や髄液初見から神経梅毒と判断した場合は、ペニシリン系抗菌薬ベンジルペニシリンカリウムを点滴静注する事になっています。


この治療指針は日本特有で国際的には、筋注のペニシリン系抗菌薬ベンジルペニシリンベンザチン(以下BPBと略します)が標準治療となっています。

日本国内ではBPB使用は認められていませんでしたが、早期梅毒に対しては単回筋注で治療可能かつ耐性菌の報告もないことから、厚生労働省において医療上の必要性が高い未承認薬と評価され2021年9月に遅ればせながら日本でも承認された経緯があります。

これを受けてガイドラインも改訂され、アモキシシリンと同様にBPBも第一選択薬として推奨される様になりました。

BPBは細胞壁合成阻害により梅毒トレポネーマに対する殺菌作用を発揮し、血中濃度が長時間持続することから(血中半減期188.8時間)、成人では早期梅毒に対して240万単位を単回筋注し、後期梅毒には240万単位を週に1回計3回筋注することでその効果があるとされています。

先天梅毒に関しても梅毒合併妊婦に対しても国際的な標準治療薬はBPBですが、日本においてはアモキシシリンを中心とした治療が行われているのが現実です。

実際アモキシシリンが妊婦の初期/後期梅毒に対し、BPBの代替薬となりうるかについての報告件数が少ないのが実情です。

梅毒合併妊婦のでは、母子感染率は21%と高いことが知られていますが、これはアモキシシリンによる治療が行われていたことに起因します。

梅毒予防に関しても早期に治療すれば母子感染を防ぐことが可能となってきています。

【用法用量】

・成人および2歳以上の小児では「早期梅毒に240万単位を1回、後期梅毒に1回240万単位を週1回、計3回を筋注」使用する。

・2歳以上13歳未満については「いずれも年齢、体重により適宜減量は可能」となっています。

・2歳未満の小児では「早期先天梅毒及び早期梅毒に5万単位/kgを1回、筋注」となっています。

【注意点】

アモキシシリンと同様にBPB使用においても"ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応"の懸念があることから、改訂ガイドラインでは「妊婦でBPB筋注製剤を使用する場合、"ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応"による胎児切迫仮死に対応できるよう、入院下の観察を勧める意見がある」と付記されています。


※ ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応とは、梅毒治療薬投薬による梅毒トレポネーマの大量死により倦怠感、発熱、悪寒、頭痛などの症状が生じる現象※


2022年10月16日日曜日

新型コロナウイルス検査の抗原検査について

 新型コロナウイルスの感染者は、減少傾向にありますが、依然として感染リスクは高い状態が続いていますので、各人が感染予防対策には十分気をつける必要が依然あります。


現在新型コロナウイルス感染の有無を調べる抗原検査キットが薬局やインターネットで販売されるようになっています。


今回は抗原定性検査キットについて解説していきたいと思います。


抗原検査は、鼻のぬぐい液や唾液を検査検体として用いて、新型コロナウイルスに特有のたんぱく質があるかどうかを調べます。


抗原検査は、「定性検査」と「定量検査」の二種類があります。


定性検査は簡易検査ですが、定量検査は専用の装置を用いて検査を行います。


定量検査は陽性か陰性かに加え、検体に含まれるウイルスの量も間接的に調べることができます。


一般向けに販売されている検査キットは「抗原定性検査」で、検体と試薬を混ぜて検査キットに垂らし、15~30分ほど待って特有のたんぱく質が検出されれば、「陽性」と判定します


要するにインフルエンザの検査と同じ検査法です。


定性検査は、定量検査のように、ウイルスの量までは調べることは出来ず、単に陽性と陰性の区別しか出来ません。


検査をする適切な時期とは、


発熱やのどの痛み、だるさといった症状が半日ほど続いた時期に検査をすると信頼できる結果が得られます。


鼻のぬぐい液を使うタイプの場合、綿棒を2センチほど、鼻の粘膜に沿って入れ、ゆっくり5回程度、回転させます。


綿棒にぬぐい液を十分にしみこませると検査精度が上がります。回転させたら、数秒間、そのまま綿棒をとどまらせるようにしましょう。


唾液を使うタイプの場合は、検査をする30分前から、飲食やうがい、歯磨きをすることは控えてから唾液を取るようにしてください。。


いずれにしてもそれぞれの検査キット添付されている説明書をよく読んで検査を実施してください。


※、感染して間もなかったり検体の取り方が不十分だったりすると、感染していても検出されない可能性があります※


検査キット購入時の注意点


市販されているものには「体外診断用医薬品」と「研究用」と表示されているものがありますが、研究用は、厚生労働省の承認を受けた検査キットはありませんので、「体外診断用医薬品」と表記したものを購入してください。


2022年10月9日日曜日

HIV被曝前予防について-2.曝露前予防の方法とは-

デイリーPrEPとして『エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシル(TDF/FTC、商品名ツルバダ)』または『エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド(TAF/FTC、デシコビ)』を1日1錠内服する方法と、


オンデマンドPrEPとして、性交渉前後の決められたタイミングにTDF/FTCを内服する方法があります。


 まとめますと、


【ディリー PrEP薬を服用するタイミング】


男性同性間の性行為、男女間の性行為、トランスジェンダーの人、薬物静注によるHIV感染リスクのある人、すべての方に有効性が確認されている方法です。


リスク行為のあるなしに関わらず毎日継続して服用する方法で、1日1回1錠、同じ時間に服用します。


【オンデマンド PrEP薬を服用するタイミング】


男性同性間の性行為のみに有効性が確認されています。


性行為の2時間~24時間前に2錠、最初の内服から24時間後に1錠、更に最初の内服から48時間後に1錠を内服し(2-1-1)、終了する方法です。


【重要事項】


PrEP開始にあたっては、医師によるHIVの検査、他の性感染症の感染の有無、副作用の有無などが必要です。


HIVに感染するリスクがなくなったり、コンドームの使用や他の予防方法を使いセーファーセックスあるいはセーフセックス(Safer sex, Safe sex)ができるのであれば、PrEPは必要ありません。


【PrEPを開始したにもかかわらずHIVに感染した事例はあるのか】


PrEP開始後にHIVに感染した人は、以下の2つのパターンが存在します。


第1パターン:PrEP開始時にすでにHIVに感染していたにもかかわらず、ウインドウピリオドであったために、感染していることに気付かずにPrEPを開始し、その後HIV感染が判明した事例。


第2ターン:PrEP開始後に正しく薬を服用しなかったり、勝手に服用をやめたためにHIV感染が判明した事例。

2022年10月2日日曜日

HIV被曝前予防について-1.HIV被曝前予防とは-

 今回はHIV被曝前予防についてついて数回に分けて紹介させていただきます。


【曝露前予防とは】


"Pre-Exposure Prophylaxis:PrEP"のことです。


※PrEPはプレップと読みます※


男性間性交渉者(Men who have Sex with Men:MSM)や性風俗産業従事者(Commercial Sex Worker:CSW)などHIVの感染リスクの高いHIV陰性者が、リスクのある性行為の前に抗HIV薬を服用することによって、自身のHIVへの感染を予防することです。


【曝露前予防の効果】


感染リスクを99%低減させる効果があると分析されています。


【外国における曝露前予防の現状】


2015年に世界保健機関(WHO)がHIV感染予防目的に曝露前予防を推奨して以降、2019年には44ケ国が曝露前予防の使用を承認しています。


曝露前予防はHIV感染予防に有効であることから多くの医療機関、政治家、研究者が曝露前予防の認知度を高める努力をしていますが、いまだに認知度が低いことは歪めません。


【日本国内における曝露前予防の現状】


日本では曝露前予防の導入が他国より遅れていて、個人輸入やクリニックでの自由診療で行われているのが現状です。

※自費診療ですから、1ケ月30万円を超える場合もありますので、事前に費用は問い合わされることをおすすめします※


要するに処方前の検査などは曖昧で、尚且つルールがない状態であったことから、2022年7月日本エイズ学会は『日本におけるHIV感染予防のための暴露前予防(PrEP)利用の手引き(案)』」を公式サイトで発表し、パブリックコメントを募っています。


近い将来、日本国内においてもルールが整備されていくと期待されていますが、諸外国に比べて極めて遅いことにはかわりありません。


2022年9月25日日曜日

帯状疱疹-6.顔面にできたときは注意-

 「眼部帯状疱疹」は、額や頭皮、眉毛部分、上まぶた、鼻の皮膚に相当する部分(三叉神経第1枝の領域)に病変が現れた場合をいいます。


 ピリピリ、チクチクと感じる痛みと発赤、水疱が出現しますが、 左右どちらかだけに起こるのが特徴的で、反対側にまで広がることはまずありません


特に顔面の三叉神経第1枝領域(眼神経)に出来た場合、ヘルペス性角結膜炎や、虹彩炎、網脈絡膜炎を引き起こし、視力低下等の症状をきたすことがありますので、眼科での精密検査が必要になります。


放置しておくと視力低下や失明に至ることもあります。


治療としては、抗ウイルス薬のアシクロビル眼軟膏や内服がありますが、重症の場合は、総合病院等で抗ウイルス剤の点滴静注が必要になることもあります。


その上に混合感染予防のための抗菌剤点眼や、炎症抑制のための低力価のステロイド点眼(角膜上皮型でなく、実質型の場合)を併用する必要がある場合もあります。


兎に角目の付近に帯状疱疹が出来たときには、直ちに眼科を受診して細隙灯顕微鏡でしっかりと観察、診断してもらわれることです。


2022年9月18日日曜日

帯状疱疹-5.帯状疱疹ワクチン-

 帯状疱疹の発症率は50歳以上で増加し、50代、60代、70代と加齢に伴ってさらに増加し、帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも加齢とともに高くなるといわれています。


『乾燥弱毒性水痘ワクチン』は、1987年に水痘(水ぼうそう)ワクチンとして認可され、2016年に帯状疱疹にも適用が拡大されました。


 『帯状疱疹ワクチン(シングリックス)』は2020年1月に帯状疱疹専用の予防接種として認可されたものです。


なお、帯状疱疹のワクチン接種の対象は、50歳以上の方です。


【帯状疱疹ワクチンの種類】


1.乾燥弱毒性水痘ワクチン


発症予防効果は約50%程度とされ、帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症を3分の1に抑えると言われています。


弱毒化されてはいるものの病原性をわずかに残すため、免疫不全状態の方やステロイドなどの薬を内服中の方は接種できません。


5年程度免疫が維持されるとされていますので、5年毎の接種が勧められています


 ※予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません※


皮下注射/1回て、費用は7300円前後です。


2.帯状疱疹ワクチン(シングリックス)


発症予防効果は50歳以上の人で約97%、70歳以上の人でも90%程度と報告されています。


帯状疱疹後神経痛(PHN)に関しても88%と高い予防効果が示されています


今のところ、9年間は効果が維持できることが確認されています。


1回目の接種から2か月後に2回目の筋肉への接種を行う。


※2か月を超えたら6か月後までに2回目の接種を行う※


ウイルスの感染性をもたない部分だけの組換えワクチンのため免疫低下している方にも接種できます。


このワクチンは1回目は25300円で、2回分の費用合計は50600円です。


費用はあくまでも目安で、接種は任意予防接種(自由診療)ですから全額自己負担での実施となりますから接種を希望され人は医療機関に直接確かめて下さい。


【副作用】


どちらのワクチンも注射を打った部分の腫れが生じることがあります。


一般的にはシングリックスの方が打った部分の痛みや腫れが強いと言われています。


副反応は3日から1週間以内にはおさまる一時的な症状です。


【どちらのワクチンを接種すればよいのか】

どちらのワクチンを接種するかは、費用・副作用・予防効果を加味して医師と相談の上判断されることです。

2022年9月11日日曜日

帯状疱疹-4.帯状疱疹の治療-

 帯状疱疹は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の全身投与を出来るだけ早期(発疹が出てから3日以内に飲みはじめるとよい)に開始することが大切です。 


重症なものは、入院して抗ウイルス薬(アシクロビル、ビダラビン)の点滴静注が必要です。


抗ウイルス薬の塗り薬は、ごく軽症の場合や、すでにウイルスの活性化が抑えられている場合に使われます。


これは皮膚の表面でウイルスが増えるのを抑える効果が期待できます。


また痛みの激しいときには、痛み止めでの治療が行われます。


夜も眠れないほどの強い痛みが続く場合には、ペインクリニックなどで神経ブロックと呼ばれる治療が行われることもあります。


※神経ブロックは神経の近くに局所麻酔薬を注入して、神経の伝達をブロックする方法です※

2022年9月4日日曜日

帯状疱疹-3.帯状疱疹の症状-

 一般的に体の右側、または左側どちらか一方に出るのが特徴で、痛みを伴う皮膚症状が3週間ほど継続します。 


顔面、特に目の周りに出現することもあります。


特に目の周りに現れたものは「眼部帯状疱疹」とよばれ、特に注意が必要で、発症初期から結膜炎や角膜炎などが起こることもあります。


症状としてはまずピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛が出て、1週間程度で痛みがある部分に赤い斑点が見られるようになります。


発疹は、その後小さな水ぶくれに変化し水ぶくれは最初数ミリくらいの小さなものが数個みられるだけですが、次第に数を増していきます。


新しいものと古いものが混在し、帯状に分布します。


このように水ぶくれが帯状に集まって生じることから、「帯状疱疹」と呼ばれる由縁です。


水ぶくれは、血液を含んだ黒ずんだ色になることや膿がたまることもあり、水ぶくれや膿は1週間ほどで破れ、その後かさぶたとなり、皮膚症状は3週間前後で治まりますが、色素沈着や傷跡が残る場合もあります。


皮膚症状が治癒した後も痛みが残ることがあり、これは帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia:PHN)と呼ばれる合併症で、帯状疱疹の後に一定の頻度で発症してしまいます。


2022年8月28日日曜日

サル痘-5.犬がサル痘感染の初報告受けWHOが注意喚起-

 2022年8月17日世界保健機関(WHO)は、サル痘の人から犬への感染が初めて報告されたことを受け、感染者に対して動物への接触を避けるよう呼び掛けた。


米国疾病対策センター(CDC)も、2022年8月12日、サル痘に感染する可能性のある動物のリストをウェブサイトに掲載し、犬を「感染する恐れあり」と表示しています。


これはフランスで感染した男性と同じベッドで寝ていたペットの4歳の雄犬がサル痘に感染した事例を受けたものです。


ネコの感染は「不明」とされ、他にリスなどが感染する恐れのある動物とされています。


人から犬への感染事例は、仏パリで同居している男性2人とイタリアングレイハウンドの間でのもので、英医学誌ランセット(The Lancet)で先週発表された。


WHOでサル痘の技術責任者を務めるロザムンド・ルイス(Rosamund Lewis)氏は記者会見で、人から動物への感染が報告された初の事例であり、犬が感染した例としても初めてとみられると説明しています。


現在犬から犬への感染、またはイヌからヒトへ感染することを示す証拠はみつかっていません。


こうした感染が起こり得ることは以前から認識されており、各保健機関は感染者に対し、自らをペットから隔離するよう助言していました。


また、野外に生息するネズミなどへの感染リスクを下げるため、廃棄物の管理が重要だと注意を促しています。


ウイルスが種の壁を越えて感染すると、変異により危険性が増す懸念が生じることが多い場合があります。


これに関して現時点ではサル痘ウイルスが変異したという報告はないと強調されています。


世界保健機関は2022年7月、サル痘について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しています。


【参考文献】


【サル痘ウイルスの人から犬への感染の証拠】

2022年8月21日日曜日

梅毒増加に伴うHIV感染に注意!!

 2022年新規梅毒患者数が年間10000人を超えるペースで増加していますが、この影に隠れてHIV感染者の増加が危惧されています。


梅毒トレポネーマに感染している人は、HIV感染リスクが非常に高いということをよく知っておいてください。


新型コロナウイルス感染症の流行でHIV検査をする人が減っており、知らぬ間に感染が拡大している可能性が指摘されています。


HIVに感染すると梅毒トレポネーマに感染するリスクは高くなり、逆に梅毒トレポネーマに感染するとHIVに感染するリスクは増していきます。


これは梅毒だけに限らずクラミジアなどの他の性感染症に感染している人も粘膜の防御力が落ちており、HIVに感染するリスクは高くなります。


梅毒トレポネーマやHIVに感染するリスクのある行為をしてしまったときには、必ず適切な時期にHIVや梅毒検査を受けることです。


早期発見・早期治療によって梅毒は早く完治します。


HIV感染は早く知り早く治療すれば、95%以上は発症を抑えられ、他人への感染を防げるようになっています。


検査を先延ばしして『いきなりエイズ』を告げられることは避けなければなりません。

2022年8月14日日曜日

新型コロナウイルス-66.ブレークスルー感染とは?-

 もともとブレークスルーとは「通り抜ける」という意味で、文字通りワクチンの網から「通り抜けて」感染してしまうことを言います。


新型コロナワクチンの場合は、2回目の接種から約2週間で十分な免疫の獲得が期待されるので、それ以降に感染した場合にブレイクスルー感染と呼んでいます。


新型コロナワクチンを接種してブレイクスルー感染が起きることから、ワクチンを接種しても意味がないのでしょうか?


いいえワクチン完全接種者では、ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示されていますからワクチン接種は意味があります。



ある調査から明らかになったことは、2,717人のブレイクスルー感染者のうち、10人(0.37%)の死亡を確認され、年代はすべて60代以上でしたが65歳未満の死亡者はゼロでした。


一方、103,357人のワクチン未接種の感染者のうち、366人(0.35%)の死亡を確認されています。


60代以上の死亡割合についてワクチン接種の有無で比較すると、ワクチン未接種の感染者の死亡割合は4.22%であり、ワクチン接種後の感染者の死亡割合は、0.76%と明らかに差が認められています。


ブレイクスルー感染はどうしても一定程度発生しますが、ワクチンを2回接種することで、死亡や入院に至る率が低下することがわかっています。


そのことから、ワクチンには死亡や重症化による入院を防ぐ有効性があります。


更にワクチン完全接種者では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示されてます。


【参考資料】

『 ワクチン接種および非ワクチン接種者における感染性SARS-CoV-2放出動態』

※このサイトは5回まで会員登録なしに見ることが出来ます※



2022年8月7日日曜日

サル痘-4.従来の症状と異なる新たな症状-

 世界保健機関の報告ではこれまでに75ケ国から16000件以上の症例が報告されてます。


一方米疾病対策センター(CDC)によると、2022年7月29日時点の感染者数は5189人と報告されています。


欧米を中心にサル痘ウイルスの感染拡大がまることなく、2022年7月末時点で米国の感染者数はスペインを抜いて世界最多となり、スペイン、ブラジル、インドでは死亡者が出ています。


ロンドンの重大感染症センター(High Consequence Infectious Diseases :HCID)で最初に確認されたサル痘患者197例のデータを解析してその特徴や症状をイギリス医師会誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal:BMJ)(2022; 378: e072410)に報告しています。

 【参考資料】

『2022年のアウトブレイク中のロンドン中心部のセンターにおけるヒトサル痘の臨床的特徴と新しい症状:説明的なケースシリーズ』


その結果ほぼ全例が男性間性交渉者(MSM)であることに加え、直腸痛や陰茎浮腫、孤立性の皮膚病変、扁桃浮腫、皮膚病変が全身症状に先行する症例など、これまでサル痘ウイルス感染の典型とされていなかった新たな臨床的特徴が確認されています。


アフリカにおける従来のサル痘はワクチン未接種の幼児を中心に発生していましたが、今回の症例は全例が男性で、年齢中央値は38歳(範囲21~67歳)、1例を除きゲイやバイセクシャルなどのMSMとの解析がなされています。


更に従来の流行と異なり、直腸痛と咽頭痛、陰茎浮腫が高頻度に認めらています。


皮膚粘膜病変の発生部位は性器(56.3%)、肛門周囲(41.6%)に偏っています。


これらのことからして従来の流行と異なり他疾患と誤認されやすい臨床像が多く含まれていて、サル痘の鑑別に支障をきたしています。

2022年7月31日日曜日

新型コロナウイルス-65.ケンタウロス-

 新型コロナウイルスのケンタウロスとは、新型コロナウイルスのオミクロン株の一種"BA.2.75"のことです


 新型コロナウイルスのオミクロン株の一種"BA.2.75"がインドを中心に増えています。


"BA.2.75"は2022年6月2日世界で初めてインドで確認されています。


世界の多くの地域では日本でもほぼ置き換わったオミクロン株の"BA.5"が主流で、"BA.2.75"の感染力や感染した場合に重症化しやすいかなどは現時点でははっきり分かっていません。


"BA.2.75"は、日本国内で2022年6月まで感染の中心となっていたオミクロン株の"BA.2"系統の変異ウイルスです。


欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control:OEDC)"BA.2.75"を「注目すべき変異株=VOI」に位置づけていますが、7月15日の報告では、感染力や免疫への影響、感染した場合の重症度はまだはっきりとはしていませんが、"BA.2"や"BA.5"よりも強い可能性はある程度想定されています。


"BA.2.75"は"BA.2"と"BA.5"の両方の特徴を持っていることから、ギリシャ神話に登場する上半身は人、下半身は馬の怪物、「ケンタウロス」と呼ばれています。


ケンタウロスという呼び方は世界保健機関が正式に命名したものではなく、研究者たちの間やSNS等で使用されるうちに普及した名称です。


日本だけでなく世界的に"BA.2.75"はケンタウロスと呼ばれていますが、名付け親は不明です。


"BA.2.75"は日本国内では、2022年7月時点で東京都や大阪府、神戸市ですでに確認されています。

以下に参考サイトを紹介しておきます。

『新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株BA.2.75系統について』


2022年7月24日日曜日

帯状疱疹-2.帯状疱疹ウイルスとは-

 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスの"水痘・帯状疱疹ウイルス"が引き起こす病気です。 


水ぼうそうになると、治った後もウイルスは症状を出さない状態で体内に潜み続けていることから、水ぼうそうになったことのある人なら、ウイルスが体内に潜み続けているため、帯状疱疹になる可能性があります。


初感染後の"水痘・帯状疱疹ウイルス"は、脊髄後根神経節に潜伏感染し宿主は長期間、無症状に過ごすし、加齢・過労・ストレスによって活動して帯状疱疹を引き起こします。


"水痘・帯状疱疹ウイルス"の保有者であれば誰でも帯状疱疹になる可能性があります。


日本人の殆どは幼少期に水ぼうそうに罹患しているため、日本の成人の90%以上の人がこのウイルスを保有しています。


活性化した"水痘・帯状疱疹ウイルス"は、潜伏している神経細胞の奥から体内の神経を経由して体表に出てこようとすることからまず神経が痛み(神経の炎症)、その皮膚の炎症が発症するという順序で帯状疱疹は進行します。


1度目の発症を水ぼうそう(水痘)と呼び、2度目の発症を帯状疱疹と呼びます。


帯状疱疹は1度発症すると、"水痘・帯状疱疹ウイルス"に対する強い抗体ができますので、再発することはほとんどありませんが、中には数年後に再発することもあります。


この原因は、免疫力の低下と関係があります。


帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹として感染ことはありません。 


帯状疱疹の患者から、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などに、水ぼうそうとして感染することがあります。

2022年7月17日日曜日

帯状疱疹-1.増加傾向にある-

 50歳を過ぎると発症率が上がる病気で、日本人が一生涯のうちで、大体3人に1人が経験するという非常に多くみられます。


2021年に入ってから、皮膚科では帯状疱疹にかかる人が多くなっていると指摘されています。


その原因としては、新型コロナウイルスに感染し発症で体力が落ちることや、新型コロナウイルス流行によるストレスが増えたと考えられています。


外出制限や在宅勤務で運動量が減れば体も弱り抵抗力が低下する可能性があり、帯状疱疹を発症するリスクをともなっています。


従来は加齢などで発症が増える傾向にありましたが、近年は若年層でも目立ち、コロナ禍で拍車がかかっている恐れがあります。


生活スタイルが激変することもストレスになり、生活リズムを崩して睡眠不足になったりしても、免疫力が低下することから発症します。


人によっては痛みが長期間続くこともあり、医師らは早期治療とワクチン接種の重要性を呼び掛けています。


2022年7月10日日曜日

新型コロナウイルスについて-65.新型コロナウイルス再流行のおそれ-

 新型コロナウイルスの感染が全国各地で再び増えつつあります、新規感染者数は5月中旬から減少傾向が続いていましたが、ここ1週間平均を見ると、32都府県で前週より増加傾向にあります(6月30日時点)。


その原因はオミクロン株の変異株のひとつ「BA.5」への置き換わりが進んでいることと、一時期感染者が減少したために自粛ムードが緩んだことにあります。


従って油断するといっきに感染者が増える恐れがあります。


6月20日までの1週間にBA.5の疑い例は25・1%を占め、前週の13・6%から倍増しつつあります。


今まで流行の主流だったBA.2に代わり勢力を伸ばしつつあることが増加の要因となっています。


世界保健機関は、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」がヨーロッパやアメリカ大陸で主流となり世界で確認された新型コロナウイルスの新規感染者数がこの2週間で30%近く増えたと発表しています。


米国疾病対策センターは、2022年7月2日現在、アメリカで新たに報告された新型コロナウイルスの感染者のうち、オミクロン株の「BA.5」の割合は53.6%、「BA.4」の割合は16.5%で合わせて70%を超えたと発表しています。


欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control:ECDC)はBA.5が、BA.2よりも12~13%感染者が増えやすいと報告しています。


さらにこれまでに体が免疫を獲得していても、BA.5系統には働きが悪くなると指摘されています。


2022年7月7日時点で全国の感染者数は47977人となっています。


これから人流が大幅に減るなど感染者数が大きく減少する要因がなければ、1か月後の来月25日でも一日およそ1万5000人と高い水準が続くという計算結果となることが発表されています。

呉れ呉れも機を緩めずに感染対策をして下さい。

2022年7月3日日曜日

2022~23年季節性インフルエンザ大流行の危惧

 2022年これから本格的な冬シーズンに入るオーストラリアで、直近2年はほとんど流行しなかった季節性インフルエンザの患者報告数が増えています。


すでに過去5年でもっとも多かった2017年のピーク時と並び、3月から報告が増え始め5月に入ると1週間あたり約5000人を超え、同月末には同約25000人に急増しています。


これは過去5年で最も流行した2017年8月中旬のピーク時とほぼ同じ水準となります。


流行の原因は、新型コロナウイルスへの対策が緩和されたことが影響しているとの見方もあり、専門家は、日本でも冬のインフルエンザ流行に備える必要があると、警戒をよびかけています。


日本国内においても2022年6月21、22日に東京都内の小学校で2年3ケ月ぶりとなるインフルエンザによる学年閉鎖がされています。


2022~23年にかけてのインフルエンザ流行期には、日本国内での大流行が危惧されています。


一般的にインフルエンザは、南半球で流行後北半球で同様に流行する傾向が強いことから、流行のなかった日本ではインフルエンザに対する免疫がない人が多いことから大流行の可能性が専門家の間で指摘されています。


【ご注意】


インフルエンザは冬場だけでなく、夏場の流行もあります。


数年前にも沖縄で流行がありました。


一昔前までは夏場にはインフルエンザキットは殆どなく、発熱患者にはインフルエンザ検査キットを使用できませんでしたが、現在は通年にわたりインフルエンザ検査キットは流通していますから、検査してインフルエンザと分かるようになってきています。


日本ワクチン学会は、2022年6月23日に『2022-23 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する日本ワクチン学会の見解』を学会ホームページで公開し今季インフルエンザワクチンの接種を強く推奨しています。


参考サイト

『2022-23 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する日本ワクチン学会の見解』

日本ワクチン学会

2022年6月26日日曜日

サル痘-3.間違った情報と正しい情報-

誤った情報がネット上に拡散していますので、呉れ呉れも惑わされないようにして下さい。


【誤った情報】


1.コロナワクチンの副反応


世界各国のSNSでは、最近のサル痘感染例が英アストラゼネカ製新型ウイルスワクチンの「副反応」だという誤った情報が広まっています。


その理由としては、同社製ワクチンがチンパンジーアデノウイルスを遺伝情報のベクター(運び手)として使用していることに関連していると推測されます。


サル痘を引き起こすのはアデノウイルスではなくポックスウイルスの一種であることなどから、この主張は誤りです。


サル痘の発見の経緯は、1958年研究に使われていたマカク属のサルから発見されたことからサル痘と命名されましたが、さる以外にも他の動物にも感染すます。


世界保健機関(WHO)は、サル痘の自然宿主はげっ歯類である可能性が高いと報告しています。


2.ファイザーがサル痘ワクチン製造


SNS上では、米食品医薬品局(FDA)が最近、米ファイザー製の新たなサル痘ワクチンを承認したとの投稿が広まっていますが、このような事実はありません。


米国内で唯一利用可能なサル痘ワクチンはデンマークの製薬企業ババリアン・ノルディック製で、2019年に承認されています。


ファイザー社は、同社製のサル痘ワクチンは存在しないと否定しています。


3.サル痘は帯状疱疹


SNS上では、カナダのCTVニュース(CTV News)の記事とされる画像が投稿され、カナダの当局が調査したサル痘感染例の95%が実は帯状疱疹だったとの情報が拡散されていますが、CTVニュースの親会社ベル・メディアの広報担当は画像に写っている記事はCTVニュースのものではなく、同局が「そのような記事を掲載したことはない」と否定しています。


サル痘も帯状疱疹も、水疱ができることから症状が類似する場合もありますが、原因となるウイルスはそれぞれ異なり、「全く別の感染症」です。


※呉れ呉れも誤った情報に振り回されることのないように、正しい知識を身に付けてください※


【正しい情報】


サル痘には天然痘のワクチンが有効とされています。


日本では1976年まで接種が行われていましたので、現在46歳以上の人は、そもそもサル痘にかかりにくい可能性が高いと指摘されています。


種痘中止後の世代(現在45歳以下)には天然痘やその仲間のウイルスに対する抗体がまったく認められませんが、種痘世代では調査時点で80%の人に抗体が認められています。


特に現在73歳以上の人たちは強い免疫を保持していたという調査結果があります。


これらのことからしてサル等に感染するリスクは若い世代に高いと指摘されています。

2022年6月19日日曜日

サル痘-2.流行状況-

 世界保健機関(WHO)は、2022年5月27日の総会で、動物由来のウイルス感染症「サル痘」が従来継続的に発生し、アフリカ以外で感染が広がっていることは「異例」として、警戒を発しています。


欧米を中心に36カ国以上で約2027人の患者が確認されたとし、今後の見通しは不透明としながらも、増加の恐れがあるとした(2022年6月15日時点)。


また世界保健機関は、疑い例を含めると3000人を超えると発表しています。


欧州疾病予防管理センター(ECDC)は2022年5月23日、患者の報告が相次ぐ「サル痘」について「欧州で複数の性交渉相手がいる人の間で拡散するリスクが高い」との評価を公表しています。


日本国内においては2022年6月17日時点では、患者の確認はされていません。


【参考サイト】


2022年6月12日日曜日

サル痘-1.概要-

 世界保健機関(WHO)は2022年6月8日、天然痘に似た症状が出るウイルス性疾患「サル痘」の発生状況について、世界の30ケ国で、1000件を超える患者を確認したと報告しています。


ではサル痘とはどのような感染症なのでしょうか。


サル痘(モンキーポックス:monkey pox)は、サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患で、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによって引き起こされます。


実験動物として採集されたサルの一部が感染し発症していたことが最初の発見契機であったため、サル痘と呼ばれますが、本来のウイルス保有動物は土着のリスやネズミ(げっ歯類)などです。


もともと中央・西アフリカの熱帯雨林などで確認されていましたが、現在欧米で広がりつつあります。


サル痘には、コンゴ民主共和国には強毒な「コンゴ盆地型」サル痘ウイルスが分布していますが、西アフリカには比較的弱毒の「西アフリカ型」サル痘ウイルスが分布します。


1.コンゴ盆地型は、強毒で致死率は1~1%で、人から人への感染が多く報告されています。


2.西アフリカ型は、比較で弱毒で致死率は低く、人から人への感染も認められています、現在流行しているのはこのタイプです。


【潜伏期間と症状】

サル痘の潜伏期間は5~21日(通常7~14日)とされ、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現します。


発疹は典型的には顔面から始まり、やがて体幹部へと広がります。


※重症例では天然痘と臨床的に区別できず、サル痘に特徴的な所見としてはリンパ節腫脹が患者に共通に認められる※


症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2~4週間で自然に回復しますが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もあります。


【感染ルート】

サル痘ウイルスの動物からヒトへの感染経路は、感染動物に咬まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触による感染が確認されています。


自然界ではげっ歯類が宿主と考えられていますが、自然界におけるサイクルは現時点では不明です。


ヒトからヒトへの感染は稀ですが、濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があり、患者の飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染があると考えられています。

 【治療】

治療としては対症療法が行われます。


一部の抗ウイルス薬について、実験室レベルおよび動物実験での活性が証明されており、サル痘の治療に利用できる可能性があるとされています。


天然痘のワクチンである痘そうワクチンがサル痘予防にも有効ですが、日本では1976年以降、痘そうワクチンの接種は行われていません。


サル痘ウイルス曝露後4日以内に痘そうワクチンを接種すると感染予防効果が、曝露後4~14日で接種した場合は重症化予防効果があるとされています。


【丘疹の参考】

1970年にギニアから発行された「天然痘撲滅記念切手」で、黒人の少年の背中に生じた天然痘丘疹がリアルに描かれていますので紹介します。



【参考サイト】

疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)

https://www.cdc.gov/poxvirus/monkeypox/about.html


世界保健機関


https://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/monkeypox


2022年5月29日日曜日

原因不明の小児急性肝炎-1.概要-

 ウイルス性肝炎は、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって起こります。


ウイルスは、HAV、HBV、HCV、HEVと呼ばれています。


※これらの肝炎ウイルスに関しては、当ブログでも解説しています※


A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物から感染し、B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液によって感染します。


特にB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性肝炎という持続的に肝臓に炎症を起こす病態に移行することがあり肝硬変となり最終的には肝がんへと移行するひとあります。


ウイルス性肝炎に感染したときに急性肝炎という激しい肝臓の炎症が起こることがあり、特に肝不全にまで至るほど重篤な病態を"劇症肝炎"と言います。


これらの重篤な劇症肝炎では、肝移植が必要になることもあります。


これらのA?E型の肝炎ウイルス以外にも肝炎を起こす病原体は知られています。


例えば、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルスなどがあります。


そして、現在海外では原因不明の肝炎の症例が報告されています。


2022年4月5日、イギリスにおいてこれまで健康だった10歳未満の小児の間で、原因不明の急性肝炎患者が増加していることが報告されています。


これらの症例の多くは重度の急性肝炎を呈しており、AST、ALTという肝酵素の数値が500IU/L以上の上昇を認め(正常値は40IU/L未満)、多くの症例で黄疸がみられました。


また、一部の症例では、過去数週間に腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状を訴えていましたが、ほとんどの症例に発熱はありませんでした。


イギリスではこれまでに108症例の肝炎の小児が報告されており、このうち8人の小児が肝移植を受けたとのことです。


イギリスだけではなく、現在はアメリカのアラバマ州、スペインでも小児の原因不明の肝炎の症例が報告されています。


肝炎の原因は、現時点でははっきりしていません。


そのような中、検査した症例の77%がアデノウイルスが陽性であったという結果が得られていることから、アデノウイルスがこの肝炎の原因ではないかという仮説が立てらているようです。


日本国内においても同様の症状が出た症例が認められています。


世界保健機関(WHO)の報告によると、今月21日までに12カ国で169例が確認され、1人が死亡した。このうち、74例で夏風邪や結膜炎などの原因ウイルスである「アデノウイルス」が検出されている。症状は黄だんや肝障害の程度を表す肝酵素の数値の異常のほか、一部の症例では腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などが報告されている。


 今回の症例は21日に自治体から国に報告があった。アデノウイルスは陰性で、肝移植はしていない。基礎疾患の有無は不明で、新型コロナウイルスは陰性だった。厚労省は症状や居住地、性別、年齢は明かしていない。


 WHOは23日、各国から情報を集めるために、原因不明の子どもの急性肝炎の暫定的な症例の中に「可能性例」を定義。16歳以下で、今年1月以降に確認された急性肝炎で、A~E型のウイルス性肝炎の症例は除外しています。


2022年5月22日日曜日

先天性梅毒増加

 先天性梅毒とは妊婦が梅毒トレポネーマに感染して治療を受けないと、梅毒トレポネーマが胎盤を通過して胎児に感染してしまいます。


新生児が梅毒トレポネーマ感染した状態で生まれた場合を先天梅毒と呼びます。


梅毒スピロヘータが胎盤を通過する妊娠16週から20週以前に母体の梅毒を十分に治療すれば、胎児への感染は予防可能です。


お母さんの梅毒トレポネーマがおなかの赤ちゃんに影響するのは、妊娠4ケ月以降です。

妊娠中の定期健診をきちんと受け、梅毒が発見されたらきちんと治療を受けることにより先天梅毒は防げます。


先天性梅毒の発生事例は、2013年以前は一桁にとどまっていましたが2014年以降二桁の患者が発生してます(2018年17人、2019年23人、2020年19人)。


先天性梅毒の増加は、若い女性の患者が増加しつつあることと、妊婦健診を受けない妊婦の増加が要因とされています。

2022年5月15日日曜日

不織布マスクマスクW折りで感染予防効果は上がる

 新型コロナウイルスの感染にはマスクの正しい付け方が大切です。


不織布マスクに付いているノーズワイヤを山折りにする人は多くおられると思いますが、ひと工夫してW折りにすることで顔との密着度が高まり、予防効果が上がります。


これはノーズワイヤをW折りにすることで鼻と?との隙間をふさぎ、感染リスクを減らすことができるということです。


要するにマスクをつける前に、鼻の形に合わせてノーズフィットを折り曲げW状にすることで、鼻の部分にすき間ができにくくなり予防効果が高くなるとともに、眼鏡が曇りにくくなります。


鼻出しマスク・あご掛けマスク・あご出しマスクは、予防効果がなくなりますからNGです。

参考動画

https://www.youtube.com/watch?v=KYWhIsgb7Gc

2022年5月8日日曜日

マスクの必要性について

 新型コロナウイルスの流行に伴い、世界中でマスクが着用され、義務化されている国も多く存在しています。


日本国内においては、強制着用はされていませんが着用が一律に推奨されたままの状態が続いています。


それではいつまでマスクは必要となるのでしょうか?


2022年4月20日日本医師会の中川俊男会長は、「ウィズコロナの状態でマスクを外す時期が日本に来るとは思っていない」と発言しています。


日本国内では新型コロナウイルスの感染拡大初期から、症状がなくてもマスクを着用する"ユニバーサルマスク"が推奨され、国民の多くが自主的に感染拡大防止に努めてきた事実があります。


中川俊男会長は国民の公衆衛生意識の高さが、感染者数や死者数を抑えるのに効果的だったと指摘し、「マスクを外すのは新型コロナが終息したときだ」と発言しています。


また日本政府も「マスクの着用が極めて重要であることは言うまでもない」と強調しています。


国立感染症研究所の脇田隆字(たかじ)所長は2022年4月27日の衆院厚生労働委員会で、「感染リスクが高くない場面では、着用は必ずしも必要ではない」との認識を示していますが、これからの季節は気温と湿度が高くなり熱中症リスクもあることから、「屋外で人との距離が十分ある場合は、マスクを外すことが推奨される」とも発言しています。


それに加えて「具体的にどのような場面でマスクを着けるか外すかまでは、直ちに提言できる状況にはない」とし、今後議論を進めていく必要性を強調しています。


一方海外に目を向けますと、英国は2022年1月下旬、オミクロン株対策として2021年12月に導入した公共施設でのマスク着用義務を撤廃し、同株の流行のピークが過ぎたことなどを考慮し、混雑した場所にいるときや普段会わない人と会うときなどは、引き続き着用が推奨されるとしています。


米国でも2022年3月下旬、ハワイ州を最後に全50州で着用義務が解除され、ほとんどの地域で、屋内でも着用が必須ではなくなっています。


米疾病対策センター(CDC)が2022年4月中旬にマスク着用義務の延長を決めましたが、フロリダ州の連邦地裁が「義務化は違法で無効」と判決を下したことから主要な航空・鉄道会社は乗客に着用を求めていません。


韓国でも見直しの動きがあり、屋内でのマスク着用義務は当面維持する一方、屋外については2022年4月2日から、スポーツ観戦時などを除き解除することを決めています。


日本においても一律のマスク推奨するのではなく、どのような場面で着用して、どのような場面では必要がないことを明確にし国民に理解しやすいように説明する必要があると思います。

2022年5月1日日曜日

百日咳について-2.百日咳抗原検査-

 2020年5月29日に承認され、2021年5月1日に保険収載されています。


販売名は、リボテスト百日咳です。


製造発売元 極東製薬工業 株式会社


【使用目的】


鼻咽頭拭い液中の百日咳菌抗原の検出


【測定原理】


鼻咽頭拭い液中の百日咳菌L7/L12 抗原を検出するイムノクロマト法です。


テストプレートは、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブレン、吸収パッドから構成されていて、コンジュゲートパッドには金コロイド標識抗百日咳菌L7/L12 モノクローナル抗体(マウス)が含まれています。


テストライン上には、抗百日咳菌L7/L12 モノクローナル抗体(マウス)が固相化されています。

 百日咳菌L7/L12 抗原を含む試料を試料滴下部に滴下すると、試料はサンプルパッドを通って、コンジュゲートパッドに移動し、試料溶液中の百日咳菌L7/L12 抗原が金コロイド標識抗体と反応して免疫複合体を形成され、この免疫複合体は毛細管現象によりメンブレン上を移動し、テストライン上の固相化抗体に捕捉されると、赤紫色のランが現れます。

また、百日咳菌L7/L12 抗原の有無に関わらず、金コロイド標識抗体はコントロールライン上に固相化されている抗マウス免疫グロブリンポリクローナル抗体に捕捉され、赤紫色のラインが現れます。


※リボテスト百日咳添付文書参照※


【測定時間】


15分


【判定】


肉眼で出現ラインを確認する。


陽性 コントロールラインとテストラインの両方に赤紫色のラインが確認される。


陰性 コントロールラインのみに赤紫色のラインが確認され、テストラインには確認されない。


判定不能 コントロールラインに赤紫色のラインが確認確認されないか不明瞭な場合。


※コントロールラインに赤紫色のラインが確認確認されず、テストラインにのみに赤紫色のラインが確認される場合も判定不能とします※


判定不能の場合は、再検査。


試料滴下後15分を過ぎてテストラインが出現した場合、陰性と判定する。



【PCRとの一致率】


陽性一致率 86.4%


陰性一致率 97.1%


陽性陰性一致率 95.9%

2022年4月24日日曜日

百日咳について-1.百日咳とは-

 百日咳は、主にグラム陰性桿菌の百日咳菌 (Bordetella pertussis) による呼吸器感染症の一種で、特有の痙攣性の咳発作を特徴とする急性気道感染症です。


主に1歳未満乳児が罹ると認識され、特に生後6ケ月未満では容易に重症化して死の危険も伴うなど、極めて重要な感染症とされています。


百日咳は世界的に見られる疾患で、乳幼児に限らずいずれの年齢でも感染します。


患者に占める成人の割合が2001年にはわずか2.8%でしたが、この10年間毎年増え続け、2010年(1~4月)には56%に達しまし、現在では半数以上が、おとなの患者なのです


【症状】


潜伏期間は通常7~10日で、次に普通の風邪症状を示すカタル期が1~2週間続き、さらに乾いた咳と発作性の咳嗽(がいそう)が特徴の痙咳期が3~6週間続きやがて回復します。


百日咳特有の咳は、短い連続した咳嗽(スタッカート)の後、息を吸い込むときに笛を吹くようなヒューという音(笛声 てきせい:ウープ)が出て、これが繰り返されます。


※ 咳が治まるまで約100日間(およそ3ケ月程度)続くことから、百日咳と呼ばれる※


※咳嗽(スタッカート)とは、顔をまっ赤にしてコンコンと激しく咳き込む発作※


※(笛声 てきせい:ウープ)とは、息もできないくらい咳き込んだあとヒューッと音を立てて大きく息を吸い込む発作※


咳嗽は夜間に多く、何かしらの誘発原因によって咳き込むと、息も詰まることから顔面浮腫や充血、そして最悪の場合は呼吸停止から突然死に至ることもまれにあります。


【検査法】


鼻咽頭を綿棒で拭いそのぬぐい液で遺伝子検査として、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法やPCR( polymerase chain reaction)法。


血液による血清抗体検査。


鼻咽頭を綿棒で拭いそのぬぐい液での抗原定性検査。


【治療法】


マクロライド系抗菌薬を投与します。


エリスロマイシン(EM)、クラリスロマイシン(CAM)、またはアジスロマイシン(AZM)が使用され、投与期間はそれぞれ14、7、5日間です。


【感染予防】


百日咳の防御はワクチン接種が基本となります。


全菌体を使用した単味の百日咳ワクチン(P)はジフテリアトキソイド(D)との二種混合(DP)、更に1968年からは破傷風トキソイド(T)も含めた三種混合(DTP)で接種が進められました。


日本国内における百日咳患者数は、全数届出が始まった2018~2020年の3年間に発生動向調査に届出された百日咳患者は31,909例となっています。


患者は, 2018年が11,190例(94%), 2019年が15,972例(95%), 2020年が2,671例(91%)、2022年(3月時点)132例となっています。


百日咳は、1年を通じて発生が見られますが、春から夏、秋にかけての発生が比較的多く、流行の周期は2~5年とされています。


2022年4月17日日曜日

新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年3月)

 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年3月版)を2022年3月11日に公開しました。

ここには、COVID-19の感染者数・病原性・感染性・検査・治療・変異株について、現在の状況とこれまでに得られた科学的知見を11の知識として見やすくまとめられています。


今一度確認されることをおすすめします。


内容は以下から確認してください。


https://corona.go.jp/proposal/pdf/chishiki_20220311.pdf


2022年4月10日日曜日

新型コロナウイルス-64.オミクロンXE-

 2022年1月19日イギリスでは「オミクロンXE」と呼ばれる、新たな変異株が出現しています。


イギリスの健康安全保障局によると、オミクロンXEは1月中旬にイギリスで初めて検出され、その後600件以上の症例が確認されています。


オミクロンXEと呼ばれるウイルスは、オミクロン株のうち「第6波」で広がった「BA.1」というタイプと、より感染力が高いとされるBA.2が組み合わさったタイプです。


ウイルスの表面にあり、人の細胞に感染する際の足がかりとなるスパイクたんぱく質を含むほとんどの部分がBA.2、ほかの部分がBA.1となっています。


オミクロンXEは、従来のオミクロン株BA.1より感染力が強いステルスオミクロン株BA.2の要素を含む混合株とされています。


オミクロンXEは感染力が強いBA.2を約10%上回る可能性があると指摘されています。


WHOはオミクロンXEを感染力や感染した際の重症度、ワクチンの効果などに対する影響の度合いがはっきり分からないとコメントしています。


感染の広がりやすさなどは、現時点でははっきり分かっておらず、専門家は注目して監視する必要があるとしています。

【2022年4月12日追加】

2022年4月9日時点では、日本国内ではオミクロンXEは確認されていませんでしたが、2022年4月11日、2022年3月36日に米国から到着した30代女性の空港検疫で、オミクロンXEが検出されたと厚生労働省が発表した。

日本で確認されたのは今回が初めてで日本国内での感染拡大は現時点で確認されていないと付け加えています


専門家は現時点ではBA.2の流行が主流になってきていますが、オミクロンXEであっても基本的な日常の感染対策は変わらないし、3回目のワクチン接種を引き続き進めてほしいという方針も変わらないとコメントしています。


2022年4月3日日曜日

新型コロナウイルス-63.新型コロナウイルスはエアロゾル感染する-

 国立感染症研究所は、新型コロナウイルスはエアロゾル感染しないとの立場を取ってきました。


国立感染症研究所は2022年1月13日に公表したオミクロン株についての報告書で、「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫感染と接触感染と考えられた」と発表して、世界保健機関や米疾病対策センターなどと異なる説明をしていました。


要するに国立感染症研究所の考え方としては、エアロゾル感染はしなく飛沫感染と接触感染しかしないという立場でした。


しかし世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)などは2021年春、主な感染経路としてエアロゾル感染と飛沫感染を挙げ、接触感染は起きにくいとする報告書を発表していました。


そのことから日本国内の専門家からは、「世界の知見とは異なる」と説明を求めて公開質問状を出していました。


国立感染症研究所は2022年3月28日に公表した文書で、主な感染経路として、○エアロゾル感染○飛沫感染○接触感染の三つの感染経路があるとの見解を新たに示しました、


このことは感染者が呼吸をすると粒子が放出され、大きな声を出したり、歌ったりすると、放出される粒子の量が増える感染リスクが高くなる。


感染者との距離が近い(約1~2m以内)ほど感染する可能性が高く、距離が遠い(約1~2m以上)ほど感染する可能性は低くなると説明しています。


※気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体をエアロゾル(aerosol)と言います※


※新型コロナウイルスを含んだ空気中に漂う微粒子をエアロゾルといいます※


【参考資料】

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/11053-covid19-78.html


新型コロナウイルスはエアロゾル感染するということは、取りも直さず新型コロナウイルスを含むエアロゾルで空間が汚染されているから換気が必要ということになります。


2022年3月27日日曜日

新型コロナウイルス-62.田辺製薬開発の新型コロナワクチン世界保健機関不承認-

 田辺三菱製薬株式会社と関連子会社メディカゴ社が開発した植物由来のウイルス様粒子ワクチンコビフェンが、2022年2月24日カナダにおいて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防ワクチンとして承認されました。


このワクチンはデルタ株、ガンマ株に対する有効性はそれぞれ75.3%、88.6%で、このワクチン投与に関連する重篤な副反応は見られていません。


日本においても、第1/2相臨床試験を2021年10月から実施中であり、カナダ申請に用いたデータに日本の臨床試験結果を加えて、2022年度第2四半期の承認申請をめざしています。


このワクチンの承認を世界保健機関に申請したところ、タバコ会社が関与してるとして不承認としました。


世界保健機関の言い分は、『世界保健機関はタバコと兵器産業への関与には厳しい方針をとっている』とのことです。


このワクチンに米国のタバコ大手のフィリップモリスが出資しているのが問題だそうです。


※田辺三菱製薬株式会社のカナダ子会社のメディカゴ社は、田辺三菱が78.68%、タバコ大手のフィリップモリスが21.32%出資※


ワクチンのデータを検討せずに『世界保健機関はタバコと兵器産業への関与には厳しい方針をとっている』だけで不承認とするのは納得がいかないです。


兎に角今の世界保健機関は、本当に信頼できない国連の機関となってきています。


田辺三菱製薬株式会社と関連子会社メディカゴ社は、世界保健機関を相手にせずに日本や欧米で頑張って承認をとって欲しいものです。


2022年3月20日日曜日

新型コロナウイルス-61.デルタクロン株-

 デルタクロン株とは、デルタ株とオミクロン株の両方の特徴を併せ持つ新たなウイルスと言われています。


デルタ株の特徴は重症化リスクが高く、オミクロン株は感染力の強さの両者の特性を持つウイルスとされています。


2022年1月に地中海に浮かぶ島国のキプロス大学で発見されています。


一部の専門家はデルタミクロン株は、研究室で技術的ミスによりデルタ株とオミクロン株が誤って混ざりあったと考えられていますが、発見したキプロスの研究者は技術的ミスを否定しています。


反面一部の研究者はデルタクロン株のような変異ウイルスが出ても不思議はないとしています。


しかし、2022年3月15日南米ブラジルのケイロガ保健相は、新型コロナウイルスのデルタ株とオミクロン株の両方の特徴を併せ持つとされる「デルタクロン株」の感染を、ブラジル国内で2例確認したと発表し、世界保健機関(WHO)や海外の報道によると、デルタクロンはこれまでにフランス、デンマーク、オランダ、米国などで確認されています。


現時点ではデルタクロン株の感染力の強さなどは不明で、これまでに確認された国でのデルタクロン株の急速な拡大は確認されていません。


これからデルタクロン株について詳細が明らかにされていきますので、逐次紹介させていただきます。

2022年3月13日日曜日

新型コロナウイルス-60.オミクロン株BA2は人の免疫から逃れる特性を持っている-

 オミクロン株BA2は2021年12月に見つかって以来、オミクロン株BA1から置き換わりが急速に進んでいます。


BA.1に比べBA.2は感染リスクが有意に高く、免疫を逃避する性質も備えていることを、査読前論文公開サイトmedRxiv(2022年1月30日オンライン版)に発表されています。



この論文から「BA.2による感染リスクはBA.1に比べて高く、BA.2がSARS-CoV-2ワクチンの予防効果をさらに低下させる免疫逃避の性質を備えていることが読み取れます。

ワクチン接種完了者とブースター接種者では伝播リスクが低く、ブレークスルー感染したワクチン接種者からの伝播リスクは上昇しないと考えられています。

そのことからして新型コロナウイルスの感染予防にはワクチン接種が依然として重要であることが読み取れます。

2022年3月6日日曜日

新型コロナウイルス-59.なぜこんなに新型コロナウイルスの変異株が増加するのか??-

ウイルスは生き残り子孫を増やすために変異するのが基本なんです!!


要するにすべての生物は、子孫を残すために変異していき、生き残れるものだけが生き残っていくのです。


このことは、進化生物学的に考えると、ウイルスに変異体が現れるのは至極当たり前なのです。


ウイルスは常に変異し続けて、半日から1日で世代交代をし続けます。


要するに変異株が出現するスピードは極めて早いわけです。


当然新型コロナウイルスは変異することにより、人の免疫カから逃れたり、ワクチンから逃れるわけです。


変異の過程で免疫力から逃れる、あるいはワクチンから逃れる仕組みを見に付けたウイルスは、その変異株が大勢を占めて流行してきます。


ワクチンの防御システムを破る変異株が出てくれば、感染源のある地域では、その変異株が一気に蔓延する可能性があります。


ワクチンは、その地域にある感染源に一気にできる限り多くの人に接種して、変異株が出現する前に感染源をなくすことが、進化生物学的に考えると大切なのです。


感染力のより強い変異株は、より生き残りに長けていたので、あっと言う間に従来のものと置き換わってしまうわけです。


無数の変異のなかに1個でも免疫をかいくぐる仕組みを持った変異株は、ワクチンの抵抗性を獲得したウイルスとして、あっと言う間に地域にそして全国に拡散してしまいます。


最も大事なことは、ウイルスにそのような変異を起こす時間的なゆとりを与え無いことなんです。


変異してて流行をの時間を与えることは限りなく危険な行為だということになります。


進化はその突然変異を決して見逃しません!!、


そして瞬またたく間に抵抗性を持った変異株が蔓延してしまいます。


ウイルスは絶えず変異していて進化生物学的に考えると、ワクチン抵抗性を持ったウイルスはいつ出現しても不思議ではありません。


いったん変異株が現れると、ワクチン接種というウイルスに対しての選択圧から逃れたその変異株は、一気に蔓延してしまいます。


それはワクチンの開発そのワクチンに対する抵抗性ウイルスとの「鼬ごっこ」を繰り返し続けなくてはならなくなってしまいます。

2022年2月27日日曜日

新型コロナウイルス-58.マスクの有効性-

 各種マスク予防効果について記載しておきます、


1.N95マスク・・吸い込み飛沫量2% 吐き出し飛沫量1%


2.不織布マスク・・吸い込み飛沫量30% 吐き出し飛沫量20%


3.布マスク・・吸い込み飛沫量55~65% 吐き出し飛沫量18~34%


4.ウレタンマスク・・吸い込み飛沫量60~70% 吐き出し飛沫量50%


以上の結果からして、N95が一番良く次に不織布マスクという結果となっています。


布マスクもまんざら捨てたものではありませんが、やはりウレタンマスクは効果が低いということになります。


https://www.tut.ac.jp/docs/201015kisyakaiken.pdf

現在多くのマスクが市場には出回っていますが、不織布マスクでも布マスクよりも性能が劣っているものも見られます。


予防効果の高いマスクはやはり"息が吸いにくいマスク"ということになります、これは吸い込み飛沫量と吐き出し飛沫量性能がともに良いということになります。


予防効果の高いN95マスクでも、顔にぴったりと合ったマスクを着用した場合場合しか高い予防効果は得られません、多くの人が息苦しくなることから隙間を開けるなど正しい着用をしないと予防効果は低下してしまいます。


次にマスクの2枚重ねについてですが、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は2021年2月、マスクを2枚重ねると、1枚よりも新型コロナウイルス感染を防げるという研究結果を発表しています。


マスクを2枚重ねる場合、フィルター性能の高いマスクを最初に着用することがポイントとなります。


https://www.huffpost.com/entry/cdc-double-masking_n_602417bbc5b6d78d444bbc91


血液の鉄人は、不織布マスク1枚を顔とマスクの隙間をなくすようにつけることが良いと思っています。


最も大切な感染予防対策は、マスクを完全に信用することなく、マスクをしていても安心と思い込まずに十分な距離をとったり、接触時間を短くしたり、換気の悪い空間に長いしないなどの基本的感染予防対策を取る必要があります。

2022年2月20日日曜日

新型コロナウイルス-57.新型コロナワクチンのブースター接種はファイザーとモデルナのどちらが良いか?-

 多くの専門家の意見は、どちらでも良いのでとにかく接種することが大切と述べています。


3回目のブースター接種によって、重症化予防効果を再び高めることが重要となるからです。


しかし日本国内では、ファイザーの人気が高く、モデルナの人気は今一つが現実です。


この理由としては、今までの2回接種によってファイザーよりもモデルナの方が発熱、倦怠感、頭痛などの副反応が多いことに起因しています。


モデルナは3回目のブースター接種の際は投与量が従来の半分になっていることから、2回目と比べて3回目の副反応の頻度が大きく下がっています。


にもかかわらず3回目のブースター接種は、ファイザーよりもモデルナの方が少し副反応は多いという報告がなされています。


基礎疾患のある人や高齢者は、ファイザー、モデルナと言わずに受けやすいワクチンを選択して、3回目のブースター接種を受ける必要性があります。


ワクチン接種による効果は、感染・発症を防ぐだけでなく、重症化を防ぐ効果もあります。


3回目の副反応はファイザーもモデルナも大きな差はないというのが専門家の意見でもあります。


ファイザーとモデルナのそれぞれのワクチンの1回目、2回目、3回目接種後の副反応の頻度に関しては以下の文献を参照してみてください。


CDC 罹患率と死亡率の週報(MMWR)


※MMWR (Morbidity and Mortality Weekly Report)は、米国連邦政府公衆衛生局の下部機関であるCDC(the Centers for Disease Control and Prevention)の発行する疾病週報で病院感染対策に関連する記事を掲載しています※


2022年2月13日日曜日

新型コロナウイルス-56.ステルスクラスター-

 ステルスクラスター(感染者集団)とは、本人でさえオミクロン株に感染している自覚がない段階で感染を広げてしまうことを言います。



オミクロン株では、感染しても無症状や軽症にとどまるケースが目立ち、症状を自覚せずに周囲に広げてしまう事例が確認されています。


オミクロン株は感染力が非常に強く、水面下で急拡大する「ステルスクラスター(感染者集団)」が引き起こされています。


要するにオミクロン株は感染していることがわからずに、第三者に感染を広げているのが恐ろしいのです。


オミクロン株に感染して引き起こされる症状は、従来株でみられた特徴的な嗅覚や味覚の異常が起こらず発熱や鼻水、のどの痛みが目立ち、風邪かな、花粉症かなと思い込み感染に気づくことなく周囲に感染を広げているのです。


オミクロン株は健康な人では症状が軽かったとしても、高齢者や基礎疾患のある人には命取りになる可能性もあることから、少しでも体調に違和感を覚えたら必ず検査を受けル必要性があります。

2022年2月6日日曜日

新型コロナウイルス-55.母乳から新型コロナウイルスは感染しない-

 新型コロナウイルスに感染した母親が、母乳を通じてウイルスを赤ちゃんに感染させる恐れはないという研究結果が2022年1月19日、医学ジャーナルの『Pediatric Research』に掲載されましたま。


この論文から、 新型コロナウイルスに感染後やワクチンの接種後に子どもに母乳を与え続けてもよいとする専門機関の推奨が裏付けられたことになります。


カリフォルニア大学の研究者らが110人の女性のサンプルを分析した結果によると、最近ウイルスに感染した母親のうち、母乳に新型コロナウイルスの原因となる遺伝物質が含まれていた割合はわずかで、6%から9%だったという。


しかし、研究者らは母乳に感染性のウイルスやウイルスの複製を示す遺伝物質が含まれていたことを示す「証拠はない」と述べ、サンプルからウイルスを培養することはできず、遺伝物質は「一時的に存在する」だけだと述べています。


また、新型コロナウイルスに感染した母親から母乳を与えられた乳児が感染したことを示す「臨床的証拠」もなく、「母乳による育児は危険ではないと思われる」と論文の中で述べられています。


この論文からしてCDC(米国疾病対策センター)やWHO(世界保健機関)は、母親が母乳での育児を継続することを推奨しているが、これらの推奨が補強されたことになります。


母乳での育児には多くの利点があることは周知の事実ですが、ごくまれに母乳が病原体を媒介する場合も存在しています。


HIVやヒトT細胞白血病ウイルスは母乳からの感染も報告されていています。


WHOは、新型コロナウイルスに感染した女性が乳児に母乳を与える場合は、マスクを着用し、赤ちゃんに触れる前と後に十分に手を洗うなどの予防策を講じることを求めています。




2022年1月30日日曜日

新型コロナウイルス-54.ステルスオミクロン株-

 ステルスオミクロン株とは、現在流行しているオミクロン株の「BA.1」が変異し、「BA.2」となったウイルスを言います。


このオミクロン株の「BA.2」は、現在日本国内で実施しているPCR検査では検出可能ですが、「BA.2」か否かの判別は詳細な遺伝子検査をしないとステルスオミクロンであるということが判断できません。

海外の一部のPCR検査では、オミクロン株の「BA.2」をデルタ株と判定してしまうという報告もあります。


現在イギリスでは、オミクロン株の「BA.1」という型が現在流行の主流になっています。


ところがイギリス国内では「BA.2」という亜種が増加しつつあります。


2022年1月25日現時点の分析では、「BA・2」は、従来型より増殖が早いなどと分析されていますが、「BA.2」が従来型に比べて重症化しやすいかなどの詳細は分析中とされています。


PCR検査では、新型コロナウイルスが陽性か陰性かの判断は可能ですが、詳細な遺伝子検査をしないとステルスオミクロンであると判別出来ないと言うことです。


オミクロン株は、多くのPCR検査が標的とする3つの遺伝子のうち1つが検出されない「S遺伝子ドロップアウト」という特長を持つため、PCR検査の段階で他の新型コロナウイルスと容易に区別できましたが、新たに発見されたオミクロン株はS遺伝子ドロップアウトを持たないことから、PCR検査での変異株特定が困難になります。


ウイルスそのものを検出できることからPCR検査は引き続き有効ですが、従来のオミクロン株かステルスオミクロン株価の判断は、PCR検査では出来ないことになります。


このステルスオミクロン株の感染力は、従来のオミクロン株の約2倍あると言われています。


現実ステルスオミクロン株は、すでに40ケ国以上で既に確認されていて、そこには日本も含まれています。


従来のオミクロン株が減少傾向のデンマークでは、2021年から増え始めて、今は減少傾向にありますが、逆にステルスオミクロンは、2021年12月から増え始め、一気に主流になり置き換わっていいます。


日本の空港検疫1826例を分析したところ、従来のオミクロン株(BA.1)が1626例で全体の約89.1%、ステルスオミクロン(BA.2)が198例で全体の約10.8%となっています。


感染力が強いことからして、ステルスオミクロン株は今後日本でも増えていく可能性があります。


このまま行けばステルスオミクロン株による第7波がやってくる可能性は否定できません。


日頃から従来の感染予防対策を怠らないようにする必要があります。


※オミクロン株には、3つの亜種(BA.1、BA.2、BA.3)が存在していますが、現在流行しているのはBA.1ですが、デンマークではBA.2が台頭して来ており、英国、ノルウェー、スウェーデンでも小規模ではあるが増加傾向が見られています※

2022年1月23日日曜日

新型コロナウイルス-53.オミクロン株が増殖する場所-

 従来の変異株は、肺組織で増殖することから肺炎を起こしやすくまた重症化しやすい特徴があります。


一方オミクロン株は、上気道で増殖しやすく肺では増殖しにくいことから鼻水や喉の痛みがあって飛沫感染しやすいですが重症化しにくいという特徴があります。


※糖尿病・高血圧などの基礎疾患のある人や高齢者は重症化しやすいとの報告もあります※


※新型コロナワクチン未接種者は、感染しやすく重症化しやすいとのデータも増えつつあります※


感染してから発症するまでの期間は、平均3日と従来の変異株の5日に比べて短くなってきています。


これは潜伏期が短い方が感染者が増加するスピードが速くなっている所以です。


オミクロン株は新型コロナワクチンを2回接種している人が持つ免疫や、過去に感染した人が持つ免疫からも逃れて感染が成立しやすいという特性もあります。


このことから、オミクロン株の感染の広がりやすさの一部は、これら特性によるものと考えられています。


オミクロン株は特殊な経路で感染するようになったわけではなく、これまでと同じ感染経路で、これまで以上に感染しやすくなっただけですので、これまでの感染対策が無効になったわけではありません


従って従来の感染対策は有効です。


・接触感染対策としては、ウイルスで汚染した物、感染した人の手などに触れることで自分の手などにウイルスが付着し、その汚染した手で目や鼻など粘膜に触れない。


・飛沫感染対策としては、会話などで発生する飛沫を浴びないようにする。


・エアロゾル感染対策としては、特に換気の悪い屋内での長居はしない。


・オミクロン株は上気道で増殖することからして、念入りなうがいは感染予防に役立つとも考えられます。


※以上に気をつけて、こまめで念入りな手洗い・マスク着用・3密を避ける基本的な感染対策をしていく必要があります※

2022年1月16日日曜日

新型コロナウイルス-52.フルロナとは-

 新型コロナウイルス感染症(COVID19)とインフルエンザに同時に感染することを言います。


インフルエンザのインフル(flu)とコロナの(corona)の合成語でフルロナ(flurona)と呼ばれています。


フルロナの感染事例は世界各地で報告されており、専門家は感染力の強いオミクロン変異株の拡散に伴い、フルロナも増加する公算が大きいと考えているようです。


一部の専門家はフルロナについては、過度に心配する必要はないと指摘していて、新型コロナ陽性者がインフルエンザに感染すれば免疫システムの負担が増すため、インフルエンザに感染しないに越したことはないが、同時感染の確率はそれほど高くないとコメントとしています。


更にフルロナがオミクロン株に取って代わることはないと説明しています。


ウィスコンシン大学の研究者が2021年5月に公表したメタ分析によると、新型コロナ陽性者の19%が同時に他の病原体(ウイルスや細菌、真菌)にも同時感染していたということが明らかにされています。


更に新型コロナ感染者の24%が引き続いて別の病原体に重感染したということをも明らかにしています。


それではインフルエンザは再び大流行する可能性があるのでしょうか?


殆どの国や地域では、で2021年昨シーズンのインフルエンザ患者は少数にとどまっています。


しかし2022年今シーズンはこれまでのところ、コロナ禍前に近い水準で推移しているようです。


この原因としては、一時期の新型コロナウイルス感染者の減少に伴い、社会的距離や衛生への意識が希薄になり、感染予防対策を怠ったことに加えて、2021年にインフルエンザウイルスにさらされず免疫がつかなかったためだと分析しています。


2021年1月時点で、フルロナはイスラエル・スペイン・ブラジル・米国でも発生しています。


当然日本国内においても今後発生する危険性は十分ありますから、対策としては新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスへの感染予防対策を怠らないようにする必要があります。


2022年1月9日日曜日

新型コロナウイルス-51.オミクロン株の流行で新型コロナウイルスのパンデミックが収束??!!-

南アフリカでは、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が「前例のない速さ」で進みましたが、その症状は従来株に比べはるかに軽症で済んでいることと流行そのものが収まりつつあります。


2022年1月7日(現地時間)、南アフリカの研究陣がパンデミック(伝染病の世界的大流行)様相が終わりそうだという内容の研究結果を発表したことが注目されています。


南アフリカではオミクロン株が前例のないペースで急速に広がり、以前の変異株よりはるかに軽い症状を見せたというのがその根拠と指摘しています。


更にこうしたパターンが続き、世界的に繰り返されれば、"我々は感染者と死亡者の完全なデカップリング(脱同調化)を見ることができるだろう"と発言しています。


世界保健機関も2022年1月4日、オミクロン株について一部の地域の感染者数は過去最多となってるが、死亡者数は以前の流行と比べて少なく、デカップリング現象が表れていると伝えています。


こうした傾向はオミクロン株がコロナパンデミックの深刻な局面が終わる前兆になるというのが専門家らの分析です。


急速な伝染局面が終わり、特定の地域でインフルエンザのようなエンデミック(周期的流行)局面に入ったと言えるとしています。


オミクロン株が大流行している欧米に多いても南アフリカのように流行が、今後流行が収まるのかが注目されるところです。


我が国においてはこれからオミクロン株の大流行が始まる前夜と考えられています。


大流行すればその後収まると考えるのはあまりにも短絡的でしょう。


南アフリカの状況は、新型コロナウイルスの流行を告げる予兆とも考えられ、少し希望が見えてきたとも思われますが、やはり今まで通り感染対策をして、オミクロン株に感染しないように気をつけることです。


2022年1月3日月曜日

新型コロナウイルス-50.オミクロン株に対する注意-

 1.デルタ株より感染力が強い


2.多くの変異があることから、

1)免疫逃避があることからワクチンによる予防効果が低くなる


※免疫逃避能とは、人の免疫から逃避して感染させる可能性が高い※


2)発症予防効果はワクチンの2回接種では低く、3回接種でかなり高くなる


3)ワクチン接種により重症化しにくい


これらを踏まえて我々はどのように対処すればよいのか


1.3密を避ける


2.マスクを正しくつける


3.十分な手洗いをする


4.室内換気を行う


5.ソーシャルディスタンスを取る


6.ワクチン接種


以上基本的な感染予防対策は、従来と変わることはありません。

2022年1月1日土曜日

新年のご挨拶

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。


旧年中はお世話になりました本年も宜しくお願い申し上げます。


本年も皆様のお役に立つ情報を発信して行く所存です。


血液の鉄人