百日咳は、主にグラム陰性桿菌の百日咳菌 (Bordetella pertussis) による呼吸器感染症の一種で、特有の痙攣性の咳発作を特徴とする急性気道感染症です。
主に1歳未満乳児が罹ると認識され、特に生後6ケ月未満では容易に重症化して死の危険も伴うなど、極めて重要な感染症とされています。
百日咳は世界的に見られる疾患で、乳幼児に限らずいずれの年齢でも感染します。
患者に占める成人の割合が2001年にはわずか2.8%でしたが、この10年間毎年増え続け、2010年(1~4月)には56%に達しまし、現在では半数以上が、おとなの患者なのです
【症状】
潜伏期間は通常7~10日で、次に普通の風邪症状を示すカタル期が1~2週間続き、さらに乾いた咳と発作性の咳嗽(がいそう)が特徴の痙咳期が3~6週間続きやがて回復します。
百日咳特有の咳は、短い連続した咳嗽(スタッカート)の後、息を吸い込むときに笛を吹くようなヒューという音(笛声 てきせい:ウープ)が出て、これが繰り返されます。
※ 咳が治まるまで約100日間(およそ3ケ月程度)続くことから、百日咳と呼ばれる※
※咳嗽(スタッカート)とは、顔をまっ赤にしてコンコンと激しく咳き込む発作※
※(笛声 てきせい:ウープ)とは、息もできないくらい咳き込んだあとヒューッと音を立てて大きく息を吸い込む発作※
咳嗽は夜間に多く、何かしらの誘発原因によって咳き込むと、息も詰まることから顔面浮腫や充血、そして最悪の場合は呼吸停止から突然死に至ることもまれにあります。
【検査法】
鼻咽頭を綿棒で拭いそのぬぐい液で遺伝子検査として、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法やPCR( polymerase chain reaction)法。
血液による血清抗体検査。
鼻咽頭を綿棒で拭いそのぬぐい液での抗原定性検査。
【治療法】
マクロライド系抗菌薬を投与します。
エリスロマイシン(EM)、クラリスロマイシン(CAM)、またはアジスロマイシン(AZM)が使用され、投与期間はそれぞれ14、7、5日間です。
【感染予防】
百日咳の防御はワクチン接種が基本となります。
全菌体を使用した単味の百日咳ワクチン(P)はジフテリアトキソイド(D)との二種混合(DP)、更に1968年からは破傷風トキソイド(T)も含めた三種混合(DTP)で接種が進められました。
日本国内における百日咳患者数は、全数届出が始まった2018~2020年の3年間に発生動向調査に届出された百日咳患者は31,909例となっています。
患者は, 2018年が11,190例(94%), 2019年が15,972例(95%), 2020年が2,671例(91%)、2022年(3月時点)132例となっています。
百日咳は、1年を通じて発生が見られますが、春から夏、秋にかけての発生が比較的多く、流行の周期は2~5年とされています。
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