血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2017年8月3日木曜日

性行為感染症についてー6.梅毒の流行が依然として収まらない!!ー

梅毒診療の専門家は、患者が増えるにつれて非典型例(梅毒特有の症状を呈さない症例)も増えてくるとし、「見逃しを防ぐために、どの診療科においても梅毒抗体検査のルーチン化が肝要」と指摘しています。

梅毒を見た医師が少ないことや、正しい検査の受け方や解釈を分からない医師が多いことから、かなりの梅毒患者が見逃されているとの指摘もあります。

国立感染症研究所のIDWR速報データ(2017年第28週)によると、7月10日? 7月16日までの1週間で梅毒の報告数が61人だった。2017年累計では2880人となり、半年ですでに、昨年1年間(4518人)の60%を超えています。

 都道府県別では、2017年第28週までの累計で、東京都が905人と最多となっている。大阪が378人、愛知県が169人、神奈川県が163人、福岡県が136人、埼玉県が110人と続いている。島根県が0人だった以外、全ての都道府県から報告されており、地域的な広がりも見せています。

以下に2007年から2017年までの患者数を示しますが、患者の増加は衰える気配は一向にありません。

2007   719人
2008   839人
2009   691人
2010   621人
2011   827人
2012   883人
2013  1220人
2014  1661人
2015  2660人
2016  4518人
2017  2880人※(2017年7月16日時点)

梅毒はコンドームを使用しても完全には感染予防が出来ず、オーラルセックスでも簡単に感染しますから、オーラルセックスを含めて不安な行為を一度でもしてしまった場合は、必ず梅毒検査を受けることです。

梅毒流行の影にHIV流行があることを忘れてはなりません。

2017年7月18日火曜日

性行為感染症についてー5.口腔咽頭梅毒-

【口腔咽頭梅毒の症状とは】

梅毒トレポネーマに感染後、およそ3週間後に接触部位の口唇・舌・扁桃に1~2cm大の表面が平滑で暗褐色の大豆大の結節が出来る。

これを初期硬結と言い、初期硬結は数日経過すると周辺が隆起し表面に潰瘍のある硬い硬結すなわち硬性下疳となり、ほぼ1週間後にこの潰瘍は消えてしまいます。

※初期硬結は殆どの場合痛みも痒みもありません※

【口腔咽頭梅毒は見逃されている】

口腔咽頭梅毒の口腔咽頭病変の場合、ほとんどの人は口腔外科や歯科などを受診しますが口腔外科や歯科に梅毒患者が来ることは殆どないことと、医師自身が口腔咽頭梅毒の診察経験がないことからして診察した医師が「梅毒」を疑う事はまずなく、見逃している事例が多くあると考えられています。

結局は梅毒検査を受けないと感染がわからないということになります。

性交渉の際にオーラルセックスを行う人は各年齢階層に存在し、調査の結果では7割以上で行われており、その際にコンドームを使用するのは2割程度という調査報告があります。

そのことからしてオーラルセックスにより口腔咽頭梅毒も増加の傾向にあります。