血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年9月12日日曜日

新型コロナウイルスについて-40.ブレイクスルー感染とは-

 新型コロナワクチン接種を2回受けてるにも関わらずワクチンの予防効果を突破して新型コロナウイルスに感染することを意味します。

新型コロナのワクチンは、2回目の接種を受けてから2週間程度で十分な免疫の獲得が期待されますが、それ以降に感染した場合を"ブレークスルー感染"と言います。

どの感染症に対するワクチンでも、その効果は100%ではありません!!、この事をよく理解しておく必要があります。

ブレイクスルー感染が起きる原因

1.予防ワクチンの感染予防効果が十分に発揮されていない。

2.新型コロナウイルスの変異等でウイルスの感染性が高くなっている。

3.多くの新型コロナウイルスに被爆する。

4.予防ワクチンの効果が低下している。

現在"ブレークスルー感染"が増えているのは感染の中心が、デルタ株に置き換わっているからです。

"ブレークスルー感染"が発生しているからワクチン接種は意味のないことなのでしょうか?

いいえこれは違います!!

"ブレークスルー感染"であっても、ワクチン接種によって、重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されるということです。

ワクチン接種の先進国であるイスラエルにおいても、ファイザー製のワクチンは、従来型の新型ころなウイルスに対して、感染そのものを防ぐ効果が91.5%あったと報告されています。

イスラエルの場合、その後、感染の中心が、ほぼ「デルタ株」に置き換わったことからワクチンの感染や発病を防ぐ効果は、64%まで低下してしまったとされています。

しかし、イスラエルでの流行がデルタ株に置き換わっても、感染リスクは64%まで低下してしまいましたが、入院を必要としない症状は、93%と高いレベルを維持していることから、"ブレークスルー感染"であっても、ワクチン接種によって、重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されるという調査結果が得られています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告からも、2回のワクチン接種を済ませた人が、新型コロナウイルスのブレークスルー感染のために亡くなる恐れは0.001%未満と低頻度にとどまっているという報告もなされています。

日本国内においても、デルタ株に置き換わりつつあることから、ワクチンの予防効果が低下してこれからも"ブレークスルー感染"の発生は多くなると考えられていますが、感染しても重症化を防げる意味からもワクチン接種は重要となれます。

ワクチンを過信せずに従来から行っている、手洗い・正しいマスクの着用・密を避ける・ソウシャルディスタンスなどで感染予防をすることは一層大切なことと言えます。



2021年9月5日日曜日

新型コロナウイルスについて-39.新型コロナウイルスの変異株 ミュー株ー

 2021年9月1日厚生労働省は、南米コロンビア由来の変異した新型コロナウイルス"ミュー株(B.1.621)"が、2021年6月と7月に国内の2空港の検疫で初めて確認されたと発表しました。

この2例は2021年6月26日に、アラブ首長国連邦(UAE)から到着した40歳代女性と、2021年7月5日に英国から着いた50歳代女性から確認されたということです。

この2名はいずれも無症状だった。

世界保健機関(WHO)が2021年8月30日に注目すべき変異株(Variant of Interest VOI)と位置づけて"ミュー株"と命名しています。

この"ミュー株"は、ワクチンの効果を低下させる可能性があると指摘されています。

注目すべき変異株(Variant of Interest :VOI)は感染力が強いインド由来の"デルタ株"よりは警戒レベルが低い変異株に分類されています。

"ミュー株"は、今年1月にコロンビアで発見され、南米や欧州など30ケ国以上で報告されている変異株です。

英国ではこれまで30件のミュー株感染例が報告されいて、このうち一部は、新型コロナワクチンを2回接種したにもかかわらず感染しています。

2021年8月、ベルギーの特別養護老人ホームでは、2回のワクチン接種を受けた7人"ミュー株"に感染して死亡しています。

"ミュー株"の免疫回避の程度や感染力などについてはさらなる研究が必要で、今後より詳細な調査がなければ、いくつかの事例をもとに一般化することはできないということです。