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2025年12月18日木曜日

緊急告知-麻疹(はしか)大流行の兆し!!??

 ベトナムからの麻疹(はしか)の持ち込みと、各地での感染のニュースが増えています。

このことから麻疹(はしか)について以下解説して、日本国内にも大流行の兆しがあることから、ご注意させていただきます。

◎麻疹(はしか)について◎

1. 「空気感染」という最強の感染力

医学的に見て、麻疹の最大の特徴は**空気感染(飛沫核感染)**です。

飛沫を超えた拡散: 一般的な風邪やインフルエンザが「飛沫(しぶき)」で移るのに対し、麻疹ウイルスはさらに微細な粒子となって空気中を漂います。

マスクの限界: 通常の不織布マスクでは防ぎきれず、手洗いだけでも不十分で同じ空間(同じ車両や店舗など)にいただけで感染するリスクがあり、1人の感染者から最大12〜18人に感染を広げるという、感染症の中でもトップクラスの拡散力を持っています。


2. 世界的な「免疫の空白」とベトナム等の流行

疫学的には、パンデミック(COVID-19)による定期接種率の低下が世界的な再流行の引き金となっています。

ベトナムの状況: 2024年に数万件規模の疑い例が報告されており、背景には医療アクセスの停滞によるワクチンの未接種層の蓄積があります。

欧州の激増: 欧州でも2024年の報告数が前年比2倍となるなど、ワクチン忌避や接種漏れがある地域を中心に「感染の火種」が常に存在し、グローバルな人の移動によってそれが日本へ持ち込まれています。


3. 日本国内での「輸入症例」から「国内拡大」への警戒

2025年12月現在、国内の報告数はすでに250例を超えており、直近数年で最悪のペースです。

水際対策の難しさ: 潜伏期間が10〜12日と長いため、空港検疫での発見が難しく、帰国後しばらくしてから発症して周囲に広めるケースが目立ちます。

都市部でのクラスター: ベトナムや欧州など流行国からの持ち込み(輸入症例)を起点に、公共交通機関やイベントを通じて免疫のない若年層・未接種者に感染が広がるリスクが高まっています。


4. 20代〜40代に潜む「免疫の落とし穴」

日本特有の疫学的課題として、世代による免疫の差があります。

不完全な免疫: 過去の制度変更により、現在20代〜40代の中にはワクチンを1回しか接種していない人が多く、免疫が低下している(二次性ワクチン不全)可能性があります。

重症化リスク: 成人の麻疹は小児よりも肺炎や脳炎などの合併症を起こしやすく、重症化して入院が必要になる割合が高いことが医学的に懸念されています。


5. 最新の防御策:ワクチンこそが唯一の防壁

空気感染を防ぐための唯一かつ最大の手段は、2回のワクチン接種による抗体獲得です。

95%の壁: 集団免疫を維持し流行を抑え込むには、地域で95%以上の接種率が必要です。

行動指針: 海外渡航前はもちろん、流行ニュースが出ている地域に住む方は、自身の母子手帳を確認し、2回接種が不明な場合は追加接種を検討することが最新の医学的推奨となっています。

現在、日本を含む世界各所で麻疹が急増して欧州では2024年の報告数が12万7350件と前年の2倍、ベトナムでは2024年の疑い例が4万5554例。 

日本でも海外からの持ち込みをきっかけに報告が増え、2025年は、12月3日現在の速報値で麻疹の報告数は251例になっています。

麻疹は非常に感染力の強い感染症で、手洗いやマスクだけでは予防できません。


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