血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2025年5月18日日曜日

感染症速報-8.水ぼうそう大流行!!-

 水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる発疹性の感染症で、一般的に"水痘"とも呼ばれます。


症状としては主にかゆみを伴う水ぶくれ(水疱)が全身に現れるのが特徴で、空気感染、飛沫感染、接触感染で広がります。


その水ぼうそうが今大流行しています。


水ぼうそうは子供がかかる病気だと思われがちですが、大人もかかる可能性もあるので注意が必要です。


成人が水ぼうそうにかかると、重症化しやすく、肺炎や脳炎などを起こすリスクがあります。


2025年関東では初めて流行注意報を発令する自治体もあり、医師が警鐘を鳴らしています。


水ぼうそうは2025年4月下旬から増加し1週間に3〜4人程度の患者が出ていて、ゴールデンウイーク明けには1.5倍に増加しています。


本来水ぼうそうは乳幼児の感染が多い感染症ですが、現在は感染する人の年齢が上がっているといいます。


2014年から子供への水ぼうそうワクチンの定期接種が行われましたが、年令を重ねることによってワクチンの効果が弱まったタイミングで感染するケースが増えていると専門家は指摘しています。


子どもの時に水ぼうそうにならずに成長して大人になっている人も増加しつつあります。


このことからも大人の水ぼうそうはさほど珍しくない昨今です。


埼玉県では、2025年5月11日までの1週間で報告された水ぼうそうの患者数は、1医療機関辺り1.43人と国の定める注意報の基準である1人を大きく上回っています。


そのため埼玉県は5月14日、初の水ぼうそうの流行注意報を発令しています。


【追加の話】


ご存じの方もおられますが、実は水ぼうそうと帯状疱疹は同じウイルスで引き起こされます。


現在帯状疱疹は若者から高齢者まで幅広い世代で増加傾向にあります。


水痘ウイルスは非常に強い感染力を持っていてその感染力の強さはインフルエンザや新型コロナウイルスよりも強く、大人になってから水ぼうそうを発症すると重くなりやすいことから、水ぼうそうの人が身近にいたらマスク・うがい・手洗いとうの予防対策をきっちりと行い感染に注意する必要があります。


水ぼうそうに一度罹患するとほとんどの人は再発することはありませんが、免疫力が低下した際に帯状疱疹として発症することがありますので注意が必要となります。


成人が水ぼうそうになると重症化のリスクがあるため、特に成人や免疫が低下している人は注意が必要です。


今や水ぼうそうは子供だけの病気ではありません!!

2025年5月11日日曜日

感染症速報-7.リンゴ病増加!!-

2025年4月末時点で、過去10年でリンゴ病が最多を記録しています。


特に栃木県、群馬県、山形県、北海道で患者が増加しています。


【リンゴ病とは】

リンゴ病(伝染性紅斑)とは、ヒトパルボウイルスB19による感染症で両頬がリンゴのように赤くなるのが特徴です。


※リンゴ病は第5病、ほっぺ病とも呼ばれます※


※ほぼ5年ごとの流行周期で発生数の増加がみられます※


患者は小児に多く見られ、飛沫感染や接触感染で広がります。


通常は自然に治癒しますが、妊婦が感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。


【リンゴ病の症状】


・潜伏期間は10~20日間と長い。


・初期症状としては発熱や軽い風邪のような症状。


・両頬に赤い発疹が出てリンゴのように赤くなる。


.腕や足にレース状の発疹が出る。


【リンゴ病の感染経路】


1.飛沫感染:咳やくしゃみなどの飛沫。


2.接触感染:感染者との接触、タオルや食器の共有。


【リンゴ病の注意点】


◎妊婦が感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があるために注意が必要です。


※妊婦感染による胎児の異常(胎児水腫)および流産がありますが、妊娠前半期の感染の方がより危険であり、胎児死亡は感染から4~6週後に発生ことが報告されていますが、妊娠後半期でも胎児感染は発生ずるとの報告もあり、安全な時期について特定することはできないのが実情です※


【感染予防対策予防】


・こまめな手洗いや咳エチケットが大切です。


・発疹が出た後であれば、通常は登園・登校は可能ですが学校の指示に従う必要があります。


【治療】


子どもは一般的に1~2週間で自然に治ります。


大人では、関節痛や発熱などの症状が目立ち、頬の赤みは子どもほど顕著でないことが多いです。


一度感染すると終身免疫を得られるため、一度かかったことがあれば再感染はしません


特効薬やワクチンはなく、自然に治癒することがほとんどです。

 

2025年5月4日日曜日

感染症速報-6.百日咳増加!!-

 百日咳の感染拡大が、欧州やアメリカで再び深刻な問題となっています。

2023年にはEU/EEAで25,000件以上の症例が報告され、2024年初頭にはさらに増加、米国においても2024年には12月時点で35,435件と、前年の同時期と比べ5倍以上に急増しています。


特に注意すべきは、命に関わるリスクが高い0歳児への影響です。


ワクチン未接種の赤ちゃんは免疫力がないため、重症化しやすくなりさらに、ワクチンの効果は約4〜12年で低下するため、大人も免疫が失われがちです。


そのため、新生児や乳幼児に接する周囲の人々がワクチンを追加接種し、赤ちゃんを守ることが重要です。


しかしながら、日本では医療従事者を含む新生児や乳幼児に接する大人への百日咳ワクチンの追加接種が十分に行われていません。


この現状は非常に憂慮すべきことであり、早急な対策が求められます。


感染拡大を防ぐためには、ワクチン接種の重要性を広く啓発し、社会全体で予防に取り組むことが必要です。


百日咳は予防可能な感染症です。


私たち一人ひとりが意識を高め、行動を起こすことで、大切な命を守ることができるのです。


赤ちゃんの命を守るため、私たち一人ひとりが行動を起こす時です!