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2025年7月20日日曜日

感染症速報-15.2025年7月 日本の新型コロナウイルス最新情報:緩やかな増加傾向と今後の見通し②-

🌡️1.流行の現状(7月)

厚生労働省の定点報告によると、2025年6月下旬から7月上旬にかけて、新型コロナの感染者数は再び増加傾向にあります。

第26週(6/23–6/29):定点当たり1.40件

第27週(6/30–7/6):1.97件

第28週(7/7–7/13):2.4件

増加が顕著であり、注意が必要です 


🧬2.主流株と症状の特徴

現時点での主流株はオミクロン系統のNB.1.8.1株(約75%)とXFG株(約25%)。

KB.3株は2024年に流行しましたが、本年は報告されていません 

主な症状は「のどの痛み」「発熱」「咳」「倦怠感」「下痢」などの風邪様症状で、味覚・嗅覚障害は以前に比べ減少しましたが、後遺症として残るケースもあります 。


🏥3.医療現場と社会への影響

COVID-19は**季節性インフルと同等の感染症(5類相当)**に再分類されて以来、流行–沈静化–再流行の波が継続しています 


**2025年1月時点での医療費」において、COVID-19は入院外医療費で2位、入院医療費でも6位にランクされており、依然として医療制度上の負担が大きい状況です 。


🤒4.感染拡大の要因と注意点

増加の背景には:

2023年5月の規制緩和(5類移行)

マスク着用の減少

人の移動量の増加

新たな変異株の出現 が挙げられます 。

また、アジア各国では今年に入り再流行が確認されており、夏休みなどの人流で日本にも感染が持ち込まれるリスクが高まっています 。


🚧5.対策と今後の見通し

ワクチンの継続接種、基本的な手洗い・換気、体調不良時の外出自粛などは依然重要です 。

医療現場では依然として院内感染対策や訪問制限が継続しており、社会的な影響も残ります。 

夏から秋にかけての第11波に備える動きが求められています。


✅まとめ

・感染状況 6月下旬以降再び増加、定点当たり約2件に

・主流変異株 NB.1.8.1株(75%)、XFG株(25%)

・症状の傾向 感染力は強いが、重症化率は低め。風邪に近い症状中心

・医療・社会への影響 医療費負担は増加、訪問制限などの継続

・予防対策 ワクチン、マスク、換気、体調管理が中心

今後の展望 夏〜秋の流行再拡大に注意、アジア情勢との関連も重要



2025年7月13日日曜日

感染症速報-14.2025年7月 日本の新型コロナウイルス最新情報:緩やかな増加傾向と今後の見通し-

【はじめに】

皆さん、こんにちは!2025年7月に入り、いよいよ夏本番となりましたねぇ。

新型コロナウイルス(COVID-19)は、私たちの生活の一部として定着しつつありますが、現在の日本国内の流行状況はどのように変化しているのでしょうか?

今回は、最新のデータと医学的な視点から、現在の感染状況、今後の見通し、そして私たちが日常生活で引き続き気をつけるべきポイントについて、わかりやすくお伝えします。

【現在の感染状況は?「定点把握」で見る最新トレンド】

まず、厚生労働省が毎週発表している「定点把握」のデータを見てみましょう。

これは、全国約5,000カ所の医療機関からの報告をまとめたもので、インフルエンザなどと同様に、現在の感染者数のトレンドを把握するために使われています。

直近の定点把握データ

2025年6月2日~6月8日:3.99人

2025年6月9日~6月15日:4.16人

2025年6月16日~6月22日:4.61人

2025年6月23日~6月29日:5.79人

2025年6月30日~7月6日:8.07人

このデータを見ると、6月に入ってから感染者数の報告が緩やかに増加傾向にあることがわかります。

特に6月下旬から7月上旬にかけては、比較的上昇カーブが急になっている点に注目が必要です。

【このデータからわかること】

感染者数の緩やかな増加傾向は、 ピーク時に比べれば落ち着いているものの、ここにきて週ごとの報告数が増加しているため、感染が再び広がりつつある可能性が示唆されます。

夏に向けて人々の活動が活発になる時期でもあり、注意が必要です。

地域差の存在: 全国平均のデータですが、感染状況は地域によって異なります。

ご自身のお住まいの地域の最新情報も確認し、状況に応じた対策をとりましょう。

流行の波: 新型コロナウイルスもインフルエンザと同様に、感染の「波」を繰り返すことが予想されます。この上昇傾向は、新たな波の始まりである可能性も考えられます。

【今後の動向と私たちができること】

新型コロナウイルスは、完全に消滅するのではなく、今後も私たちの社会に存在し続ける「風土病」のような形に移行していく可能性が高いと考えられています。

そのため、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

1. ワクチン接種の重要性

ワクチン接種は、重症化や死亡のリスクを大きく低減する上で非常に有効です。

特に高齢者や基礎疾患のある方は、最新の変異株に対応したワクチンを含め、追加接種(ブースターショット)を検討しましょう。

予防効果だけでなく、万が一感染した場合の症状を軽くする効果も期待できます。

2. 変異株への継続的な警戒

新型コロナウイルスは絶えず変異を繰り返しています。

新たな変異株の中には、これまでの株よりも感染力が強かったり、ワクチンの効果が一部低下したりするものも出現する可能性があります。

政府や専門機関からの情報に常に注意を払い、必要に応じて感染対策を見直すことが肝心です。

3. 引き続き基本的な感染予防対策を

感染者数が増加傾向にある今こそ、基本的な感染予防対策を改めて徹底することが重要です。

4.手洗い・手指消毒: 外出後や食事の前など、こまめな手洗いやアルコールによる手指消毒を心がけましょう。

5.換気: 密閉された空間(特にオフィスや公共交通機関、飲食店など)では、定期的に窓を開けるなどして換気を確保しましょう。

6.状況に応じたマスク着用: 人混みの中や、医療機関・高齢者施設を訪れる際、あるいはご自身や周りの方が体調不良の時には、積極的にマスクを着用しましょう。

これは、ご自身を守るだけでなく、周囲への感染拡大を防ぐことにもつながります。

6.体調管理: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。

少しでも体調に異変を感じたら、無理せず休むようにしましょう。

7. 医療体制の維持と協力

医療機関では、新型コロナウイルス患者の受け入れと、通常の医療提供を両立させるために努力が続けられています。

重症患者向けの病床や集中治療室(ICU)の確保も引き続き重要視されています。

私たち一人ひとりが適切な受診行動(例えば、軽症の場合は自己判断で自宅療養するなど)をとることも、医療体制を守る上で大切な協力となります。

【まとめ】

2025年7月現在、日本国内の新型コロナウイルス感染状況は、緩やかな増加傾向にあります。

これは新たな流行の波の始まりである可能性も考えられます。

この状況を踏まえ、ワクチン接種の検討、手洗いや換気などの基本的な感染対策の継続、そして最新の情報の確認が、私たち自身の健康と社会全体の安全を守るために非常に重要です。

引き続き、冷静かつ適切に対応していきましょう、極度に恐れることはありません。

2025年7月6日日曜日

感染症速報-14.2025年夏も要注意!去年の流行から学ぶ「感染症」対策-その2-

 😷RSウイルス感染症

赤ちゃんや乳幼児がかかりやすく、重症化することもある呼吸器のウイルス感染症です。

対象: 生後6カ月〜1歳ごろの赤ちゃんが特に要注意!

症状: 咳、鼻水、ゼーゼー音、呼吸困難

2024年のピーク: 7月8日〜14日の週(1医療機関あたり1.84人)

💡対策ポイント: 咳があるときはマスク着用と環境の消毒をしっかり。


🦠ヘルパンギーナ

突然の高熱とのどの奥に水ぶくれができる夏風邪です。特に小さな子どもに多いです。

原因ウイルス: コクサッキーウイルスA群

症状: 38〜40度の高熱、のどの痛み、食べづらさ

2024年のピーク: 7月8日〜14日の週(1医療機関あたり2.42人)

💡注意点: 熱が下がってもウイルスは残っているので、便の処理や手洗いを忘れずに!


🚨梅毒(ばいどく)

少し異なるタイプの感染症ですが、2024年は夏に大きな流行が見られた性感染症です。

原因: 梅毒トレポネーマという細菌

感染経路: 性的接触(性器、口、肛門など)

再感染のリスクあり!

2024年のピーク: 9月30日~10月6日の週に232人が報告

💡ポイント: 梅毒は季節関係なく感染する可能性があり、パートナーとの健康管理と検査が大切です。


🧼感染予防の基本は「毎日の習慣」から!

2024年は、RSウイルス・手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱などが重なって流行し、子どもたちの間で広がりました。

それぞれ異なるウイルスですが、共通する予防策は以下の通り👇

🌟感染症を防ぐための5つのポイント

手洗いをこまめに&丁寧に(指先・爪・手首まで)

タオルや食器の共用を避ける

咳やくしゃみがあるときはマスクを着用

トイレ後・おむつ替えの後はしっかり消毒

体調が悪いときは無理せず休む&早めに受診


🏡家族全体で守る、夏の健康!

今年の夏も、去年と同じような感染症が流行する可能性は十分にあります。

でも、基本の感染対策をしっかり行えば、防げることもたくさん!

特に小さな子どもや高齢者のいる家庭では、日々の小さな習慣が、家族全体の健康を守る鍵になります。

ぜひ、今年の夏も元気に、楽しく、安全に過ごしましょう🍉✨


2025年6月29日日曜日

感染症速報-13.2025年夏も要注意!去年の流行から学ぶ「感染症」対策-その1-

こんにちは!今年も暑い夏がやってきますね🌻

海やプール、帰省に旅行…楽しい予定が盛りだくさんな時期ですが、忘れてはいけないのが 「夏に流行しやすい感染症」への備えです。

2024年の夏は、コロナ前と同じくらい多くの感染症が流行しました。

今年も同じような感染症が流行する可能性が高いため、いまのうちにしっかり予防と対策をしておきましょう!


1.🖐️手足口病(てあしくちびょう)

口の中・手・足に水ぶくれができる感染症です。主に 2歳以下の子どもに多いですが、小学生でもかかることがあります。

原因ウイルス: コクサッキーウイルス、エンテロウイルス

症状: 発熱、水ぶくれ、食欲不振

2024年のピーク: 7月8日〜14日の週(1医療機関あたり13.34人)

💡注意点: 治った後も便にウイルスが出ることがあるため、手洗い・おむつの処理は丁寧に!


2.👁️‍🗨️咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)=プール熱

**のどの痛み・発熱・目の充血(結膜炎)**が主な症状。昔はプールでうつることが多かったため「プール熱」とも呼ばれます。

原因ウイルス: アデノウイルス

症状: 高熱、のどの痛み、目やに、結膜の赤み

2024年のピーク: 1月初旬(年間最大)、夏にも再流行

💡注意点: タオルの共用を避けて、目・鼻・口をこすらないことが大事!


次回に続きます。

2025年6月22日日曜日

性感染症アラカルト-1.性感染症はトイレで感染することがあるのか?ー

 今回から数回に分けて性感染症についての間違った認識・わかりにくいこと・勘違いしやすいこと・巷の噂などについて解説していきます。

初回は性感染症はトイレで感染することがあるのか?に付いて解説します。

ここで取り扱うのは以下の性感染症です。

◯淋菌・クラミジア・梅毒トレポネーマ・HIV・HBV・HCV・THTLV-1・尖圭コンジローマ

●ヘルペス・トリコモナス・性器カンジダ

結論から申し上げますと、

◯印の性感染症はトイレでの感染は考えられません。

●印の性感染症はトイレでの感染のリスクはありえます。

【感染しない理由】

便座を介して性感染症に感染しない理由として、以下の3つが考えられます。

1.便座に血液や体液が付いても病原体の生存時間が短い

性感染症を引き起こす細菌やウイルス、寄生虫などの病原体は、人間の体内や粘膜の湿潤環境でのみ生存しやすい特徴を持っていることからして、トイレの便座やドアノブ、洗浄レバー洗面台の表面は乾燥しやすいため、病原体が長時間生存することはまずないと考えて間違いはありません。

・クラミジア・淋菌は、乾燥に弱く、粘膜の外では生存時間が極めて短い。

・梅毒トレポネーマは、空気に触れることにより酸素で死滅する。

・HIVは、熱、乾燥で容易に不活性化する。

・HBV・HCV・THTLV-1は、血液が体内に入ることから感染しますので、トイレで単に接触する程度では感染は起こりません。

・トリコモナスは、水分がある環境では数時間生存可能ですが、乾燥した便座環境では速やかに死滅する。

要するにほとんどの性感染症の病原体は、体外では長く生きられないため、便座を介して感染するリスクは極めて低いといえます。

2.感染に必要な粘膜同士の接触がない

殆どの性感染症は、感染者の体液が直接に他者の性器や口、肛門などの粘膜に接触することで感染しますが、トイレの便座を使用する際、通常は粘膜同士が直接触れ合うことはないことから感染は起こりません。

稀に便座に座ることで皮膚が触れることはありますが、通常、便座に触れる皮膚には性感染症の病原体が入り込むための傷口や粘膜がなく、感染が成立することは殆どありません。

ほとんどの性感染症は「皮膚感染症」ではなく「粘膜感染症」であることからしてトイレなどからの感染は起こらないのです。

3.日常生活では感染しない

仮の話として感染者の体液や血液が便座に付着していたとしても、通常の清掃やアルコール消毒、乾燥によってほとんどの病原体は死滅します。

また、座る前にトイレットペーパーで拭くことにより、血液や体液が付着していたとしてもペーパーで拭き取られて感染に必要な量以下になることから感染はやはり起こりません。

2025年6月15日日曜日

感染症速報-12.新型コロナウイルスの流行状態-

 新型コロナウイルス感染者の全国の定点数は、

2025年5月26日~6月1日まで0.84人でしたが、6月2日~6月8日まででは0.92と上昇傾向にあります。


特に沖縄3.91、熊本1.07、愛媛1.76、京都1.49、奈良1.02、愛知1.05、長野1.11、埼玉.28,神奈川1.07,千葉1.27,茨木1.24、新潟1.11の都道府県では定点数が1を超えています


定点当たり報告数とは、対象となる感染症について、すべての定点医療機関からの報告数を定点数で割った値のことで、言いかえると1医療機関当たりの平均報告数のことです。


季節性インフルでは、1定点当たりの患者数が1人以上になると「流行入り」、10人以上で「注意報」、30人以上で「警報」が発令されるが、新型コロナに同様の仕組みはないことから、多くの専門家し確立すべきと指摘しています。


しかし定点数を参考にすることにより新型コロナが、流行しつつつある・流行している・沈静化している等の判断目安にはなります。


現在中華人民共和国に置いては、2025年4月から新型コロナウイルスの陽性率が週を追うごとに上昇しつつあります。


中華人民共和国は情報統制を行い本当のことを発表しませんので、詳しくはわかりませんが、その他の情報から総合的に判断して現在新型コロナウイルスの変異株の流行は間違いないようです。


日本国内への侵入もありえますから、引き続き、手洗いやマスクの着用、体調がすぐれないときの受診など、日常的な感染対策を心がける必要がありそうです。

2025年6月8日日曜日

感染症速報-11.マクロライド耐性百日咳菌による百日咳患者増加-

百日咳の潜伏期は通常5〜10日間で、かぜ様症状で始まり、百日せき含有ワクチン未接種の場合は特徴的な発作性の咳込みや吸気性笛声へと進行していきます。

日本国内では60年以上前から百日せき含有ワクチンが定期接種となっているため、多くの小児や成人は複数回の百日せき含有ワクチンを接種していることからワクチン既接種者の場合は百日咳に特徴的な咳は認められることは少なく、長引く咳や息が詰まるような咳など、いわゆるかぜ症候群に認められる咳とは異なる咳症状を呈することが多いです。

2024、2025年は2023年以前と比べて10~19歳が大きく増加し全体の約50%を占め、次いで5~9歳が約20%と報告されています。

確定症例の多い5歳以上はワクチン既接種者が多く、症状は典型的でないことに注意が必要です。

治療の基本はマクロライド系抗菌薬を使用しますが、痙咳期(咳の激しい時期)の抗菌薬治療は症状の改善効果はあまり見られませんが、他者への感染を低減させるため感染拡大防止策としては重要とされています。

日本国内おいて、重症化しやすい生後3カ月未満の乳児がいる場合はマクロライド系抗菌薬に加えST合剤の併用します。

ただしST合剤は、低出生体重児、新生児、妊婦には禁忌であることに注意が必要となり、集中治療を必要とする重症百日咳を疑う症例の抗菌薬選択については、地域の小児感染症専門医師を受信する必要があります。

※ST合剤とは、スルファメトキサゾールとトリメトプリムという2つの成分を配合した抗菌剤です※

現在全国的な百日咳の流行拡大を受け、DPTの接種希望者が急増し、2025年4月以降の需要は供給量を大幅に上回る状況となり、2025年5月から限定出荷の措置が講じられているのが現状です。

DPTが供給制限されている現状では、重症化リスクが高い早期乳児への感染を防ぐためのワクチン接種を最優先とし、次いで乳児と頻回に接触する感受性者への接種を優先する必要となります。

※DPTとは、ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)の3つの病気を予防するワクチンを指します※


日本国内での百日時期患者をこれ以上増やさないためには、

1. 定期接種対象である乳児に対して、生後2カ月から遅滞なく5種混合ワクチンを確実に接種する。

2. 妊婦がDPT接種を希望する場合には、地域内での供給調整を図る。

3. 就学前の幼児、学童、医療関係者等へのDPT追加接種については、新生児や早期乳児との接触頻度の高い者を優先対象とし、地域の供給状況を踏まえて段階的に実施を検討する必要があります。

DPT追加接種とは、ジフテリア、百日咳、破傷風の予防接種(三種混合ワクチン)の追加接種のことです※