「インフルエンザは真冬の病気」…そんな常識が通用しない年になりました。
2025年の日本では、インフルエンザの流行が例年より約1ヶ月も早く始まり、東京をはじめ全国16都府県で流行開始の目安を超えています。
11月2日までの1週間に全国およそ3000の医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は、1医療機関あたり「14.90人」でした。
前週から2倍以上となり、11週連続で増加しています。
最も多いのは宮城県の「28.58人」で、次いで神奈川県の「28.47人」、埼玉県の「27.91人」となっているほか、25の都道府県で、注意報の基準となる「10人」を超えています。更に、インフルエンザの影響により、全国の2307の学校などで休校や学級閉鎖となっていて、こちらも前の週と比べて2倍以上増えています。
なぜこんなに早いのか? 最新の医学・疫学データに基づき、日本と世界の現状を交えながら、皆さんの「?」をわかりやすく解説し、今すぐ取るべき対策をお伝えします!
◎医学・疫学から見る「早期流行」の2大要因
今年の異例の早期流行には、医学・疫学的に納得できる明確な要因があります。
特に注目すべきは、ウイルスの生存環境と人々の移動の二点です。
1. 「記録的な猛暑」が招いた 乾燥と換気不足 🥵
インフルエンザウイルスが生存しやすいのは、**「低温」と「低湿度(乾燥)」**です。
1)医学的メカニズム
乾燥: 空気が乾燥すると、インフルエンザを含む呼吸器ウイルスの飛沫核(エアロゾル)が小さくなり、空気中に長く漂いやすくなりまた、乾燥は鼻や喉の粘膜のバリア機能を低下させ、感染しやすくなります。
猛暑の影響: 今年の記録的な猛暑により、多くの人が**「窓を閉め切り、長時間エアコンを使用する」生活を余儀なくされましたことにより、「乾燥」と「換気不足」**という、ウイルスにとって最高の環境を作り出してしまったのです。
2)疫学的影響
学校や職場など、多くの人が集まる屋内空間で、エアコンの冷風で空気が乾燥し、かつ換気が不十分な状態が続いたため、ウイルスの伝播(でんぱ)率が上昇しました。
夏休み明けの学校で学級閉鎖が去年の3倍以上と急増しているのは、この**「屋内の環境変化」**が大きく影響していると考えられます。
2. パンデミック後の 「免疫ギャップ」 と国際移動 ✈️
流行早期化のもう一つの大きな要因は、人々の免疫状況と国際的な人の流れです。
1)免疫ギャップ(Immunity Gap):
コロナ禍での徹底した感染対策(マスク、手洗い、外出自粛)により、ここ数年、多くの人がインフルエンザに感染する機会が激減しその結果、集団全体の免疫力(集団免疫)が低下している状態、すなわち**「免疫ギャップ」**が生じています。
免疫を持たない人が増えたため、一度ウイルスが侵入すると、例年よりも急速に、そして広範囲に流行が拡大しやすくなっていますがこれは、日本だけでなく、世界的な傾向です。
2)訪日外国人の増加(世界からのウイルスの持ち込み):
報道にもある通り、訪日外国人数は過去最多レベルで増加しています。
南半球(オーストラリア、南米など)は今の時期が冬であり、インフルエンザが流行中で、東南アジアなど熱帯地域では季節を問わずインフルエンザが通年流行しています。
これらの地域からの旅行者が増えることで、多様なインフルエンザウイルスが例年より早く日本国内に持ち込まれ、免疫ギャップの状態にある集団の中で火種となり、早期流行を引き起こしたと疫学的に分析されています。
🌎 世界と日本の最新状況 (2025年現在)
・世界全体:コロナ禍前のレベルへの復帰により世界保健機関(WHO)は、多くの国でインフルエンザの活動がパンデミック前の典型的な季節性パターンに戻りつつあると報告しています。
つまり、人々の行動が戻るにつれて、インフルエンザも本来の流行力を取り戻しています。
・南半球:2025年の南半球(特にオーストラリアなど)は、流行が例年より早く、かつ規模が大きい傾向が見られました。これは、日本への**輸入症例(ウイルスの持ち込み)**リスクを高める要因となり、日本の早期流行の一因と考えられます。
・日本においてはA型(H3N2)の優勢:現在、日本で多く検出されているのは、A型インフルエンザのH3というタイプでこの型は例年、高齢者などで重症化しやすい傾向があるため特に注意が必要です。
◎対策は**「先手必勝」**! 今すぐ始めるべきこと◎
「まだ寒くないから大丈夫」という油断は禁物です。
流行が1ヶ月早いということは、対策も1ヶ月前倒しで行う必要があります。
1. ワクチン接種の「超」早期化 💉
医学的理由: ワクチンを接種してから、インフルエンザに対する抗体ができるまでに約2週間かかります。
行動の指針: 例年のピークである12月〜2月よりも前に、しっかりと抗体を持っておくため、10月中の早い段階で接種を完了することが強く推奨されます。
特に、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を持つ方、そしてそれらの人と接触する医療従事者や家族は最優先で接種してください。
2. 感染予防の 「基本の徹底」 を再開 ✨
✅ 換気の徹底: 暑さが和らいだ今こそ、定期的な窓開けや換気扇の使用を徹底し、屋内の乾燥した空気を循環させましょう。
✅ 手洗い・手指消毒: 外出から帰宅時や調理・食事前は、石鹸を使った正しい手洗いを徹底しましょう。
✅ マスクの使い分け: 混雑した場所や、医療機関を訪問する際は、改めてマスクの着用を推奨します。
✅ 体調不良時の休養: 発熱や喉の痛みなど、少しでも体調に異変を感じたら、無理せず休養し、周囲への感染拡大を防ぎましょう。
インフルエンザは誰もが感染する可能性がある病気で今年の早期流行は、**「季節に関係なく感染対策が必要な時代」**になったことを私たちに突きつけています。
この情報を共有し、一人ひとりが意識を変えて、この冬を乗り切りましょう!
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