💉日本ワクチン学会は、2025/26年シーズンのインフルエンザワクチン接種を**「強く推奨する」との声明を発表しました。
昨シーズンはインフルエンザの報告数が過去最多**となり、国内外の人の移動増加も相まって、今シーズンも感染が拡大する懸念があります。
この記事では、インフルエンザワクチンの医学的な重要性と、最新の情報を分かりやすく解説します。
◎医学的視点:なぜインフルエンザワクチン接種が重要なのか?
インフルエンザは単なる「強い風邪」ではなく、インフルエンザウイルスは重症化すると、肺炎、脳炎・脳症、心筋炎などの深刻な合併症を引き起こし、命に関わることもあります。
ワクチン接種の最大の目的は、インフルエンザの発症そのものを予防することに加え、重症化や死亡を予防することにあります。
特に免疫力が低下しがちな方にとっては、身を守るための最も効果的な手段です。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が続くなか、インフルエンザとの同時流行を防ぎ、発熱外来などの医療機関の負担を軽減する「社会的意義」も非常に大きいとされています。
重症化リスクが高い方(接種が強く推奨される方)特に以下のグループは、インフルエンザが重症化するリスクが高いため、必ず接種を検討してください。
・65歳以上のご高齢者
・基礎疾患(心臓、腎臓、呼吸器、免疫機能などの慢性疾患や糖尿病など)を持つ方生
・後6ヶ月以上のお子様
・妊婦(胎児に影響はないとされており、重症化予防のメリットが大きい)
◎2025/26年シーズン:最新のワクチン情報と供給状況
1. 新型インフルエンザワクチンは「3価」に今シーズン、日本で主に供給されるインフルエンザワクチンは、従来の4価(A型2株+B型2株)から、B型株の一つが除外された**「3価ワクチン」**になります。
・A型株2種類*A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)+A/パース/722/2024(H3N2)
・B型株 1種類B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)
【背景にある疫学的な変化】
1.B型インフルエンザウイルスには山形系統とビクトリア系統の2つがありましたが、近年、B型山形系統のウイルスが世界的にほとんど検出されなくなったため、国際的な専門家の推奨に基づき、ワクチンから除外されましたがこれは、ウイルス流行状況を反映した最新の対策です。
2. 供給は潤沢に見込み今シーズンのワクチン供給量は約5,293万回分と、昨シーズン(4,581万回分)を上回る量が見込まれており、供給不足の心配はないとされています。
さらに、例年通り9月下旬から医療機関への出荷が開始されるため、早期の接種準備が可能です。
◎新しいワクチンの選択肢
近年、特に免疫効果を高めるための新しいタイプのワクチンが承認され、選択肢が増えています。
1.高用量ワクチン特徴: 従来のワクチンよりも抗原量が約4倍多く含まれています。
対象は60歳以上の成人で、効果としては高齢者は免疫反応が弱くなる傾向があるため、抗原量を増やすことで、**より高い免疫効果(防御効果)**が期待されます。
2024年12月に承認されました。
2.経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト):鼻にスプレーして噴霧するタイプの生ワクチンで針を使わないため、注射が苦手な方や幼いお子様にとって大きな利点です。
対象:は一般的に2歳から19歳未満で、効果:は接種部位(鼻粘膜)で局所免疫(粘膜免疫)が誘導されることも期待されます。
2024年3月に承認されました。
💡アドバイス: これらの新しいワクチンが自分に合っているか、接種が可能かどうかは、かかりつけ医とよく相談して決めましょう。
最適な接種のタイミングとその他の予防策接種のタイミングインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬に始まります。
ワクチンの効果は接種後約2週間で発現し、その後約5ヶ月間持続するため、流行開始に間に合わせるためには、10月から11月中の接種が最も推奨されます。
日常生活で大切な予防策ワクチン接種と並行して、日頃からの基本的な感染対策を続けることが、インフルエンザの拡大を防ぐ鍵となります。
※手洗い、手指消毒、外出後や食事前は、石鹸と流水での手洗いやアルコール消毒を徹底しましょう。
※咳エチケットとマスクの着用は 症状がある場合はもちろん、混雑した場所ではマスクを着用しましょう。
※こまめに窓を開けるなどして、室内の空気を入れ替えましょう。
※規則正しい生活:をして十分な睡眠とバランスの取れた食事で、免疫力を高めておきましょう。
【参考資料】
『2025/26 シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方とトピックス 』
【追加の話】
◎季節性インフルエンザは、ウイルスが少しずつ変異しながら毎年流行するもので、多くの人が免疫を持っています。
◎一方、新型インフルエンザは、抗原性が大きく異なる新しいウイルスが出現し、ほとんどの人が免疫を持っていないため、全国的に急速に広がり、社会に大きな影響を与える可能性があります。
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