血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年6月14日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-23.次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水の使用を間違えないように-

新型コロナウイルスの感染予防対策として次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水が広く使用されていますが、誤った使用をすると人体に悪影響を与えるので注意が必要です。

1.次亜塩素酸ナトリウムの使用について

次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、家庭用塩素系漂白剤(ハイター・キッチンハイターを薄めた溶液)を指し、除菌や抗菌をうたうスプレーなどに含まれる「次亜塩素酸水」とは全く別物です。

次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、ドアノブや手すりなどの消毒には使用できますが、その場合も皮膚を保護するためのゴム手袋が必須で、水拭きでぬぐう必要もあます。

次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒薬の噴霧は、吸引すると有害となり、嘔吐などの症状を引き起こす可能性があることから、絶対に噴霧してはいけません。

【次亜塩素酸ナトリウム液(希釈)の作り方】

1.原液濃度が5%?6%の塩素系漂白剤を用意。

2.500mlのペットボトル1本の水に、5ml(ペットボトルのキャップ1杯)の塩素系漂白剤を入れる。

3.ペーパータオルなどに十分に薬液を含ませて拭いた後、水拭きをしますが、直接手に触れないようゴム手袋をはめて使用するなどご注意ください。

2.次亜塩素酸水

次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解して作ることができます。

※次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)を水で薄めても次亜塩素酸水は出来ません※

経済産業省の独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)が、2020年5月29日、次亜塩素酸水の消毒の有効性について「判定に至らず、引き続き検証実験を実施する」と発表しています。

世界保健機関(WHO)も「消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない」とする見解を示しています。

次亜塩素酸水の噴霧器について、有効性や安全性が明確ではない現時点では人のいる空間での噴霧はしてはいけません。

しかし市場に出回っている次亜塩素酸水の消毒商品の多くが「空間除菌」を謳っていますが、その効果は疑問視されています。

※独立行政法人・製品評価技術基盤機構によると、販売状況を確認できた81品目中、少なくとも66品目が空間除菌をうたっていますが、効果は疑問視されています※

2020年6月9日現在、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません。

「次亜塩素酸水」で手指消毒に関しても、独立行政法人・製品評価技術基盤機構は手指、皮膚での利用の是非について何らかの見解も示していません。

あらゆる感染症に共通となりますが、新型コロナウイルスの感染対策としては、石鹸と流水による念入りな手洗いが基本となり最も有効な対策です。

次亜塩素酸水は紫外線に弱く揮発性が高いため有効期間が短く、ボトルなどで保管すれば半日程度で効果がなくなるものもあります。

食品工場などで使用される際にはその場で製造して使用されており、この場合は効果がなくなっていないので有効ですから、仮に使うなら使う直前に製造してすぐに使用する方法が間違いないということです。

各メディアの報道に振り回されることなく、何が正しいかを見極める必要があります。

2020年6月8日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-22.-新型コロナウイルスを予防すると表示している商品にご注意!!

新しい感染症が流行すると必ずと言ってその感染症の予防・治療効果があるなど効能を謳った商品が出現します。

例を上げると、免疫力向上によるウイルス対策などと表示された黒にんにくなどの健康食品や、光触媒と銀イオン新型コロナウイルス対策用コーティング剤などとしたスプレー剤や、感染しにくくなる食品などです。

新型コロナウイルスへの予防効果をうたった健康食品などには、その根拠がないので、くれぐれも騙されないように気をつけてください。

消費者庁も注意を呼びかけています。

消費者庁は、"免疫力を高める"などとして新型コロナウイルスに予防効果があるようにうたった黒ニンニク、ミカン、海藻類、お茶などを用いた健康食品や除菌スプレーなどを販売する35の事業者に対し、景品表示法違反などのおそれがあるとして改善要請などを行いました。

消費者には「効果を裏付ける根拠があるものはない」と注意を呼びかけていますので、騙されて購入しないようにしてください。

また、最近話題の次亜塩素酸水はついても、消費者庁は消毒・除菌をうたう商品情報を5月に公表し、名前の似ている「次亜塩素酸ナトリウム」も「噴霧して吸ったり目に入ったりする健康に害を及ぼす可能性がある」と注意喚起をしています。

※「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません※

※参照サイト
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200515_2.html

世界保健機関も消毒剤の人体への噴霧は推奨しないと、注意を呼びかけています。

経済産業省は、2020年5月29日、次亜塩素酸水の噴霧についてまとめた資料を公表し、「新型コロナへの有効性は確認されていない」ほか、世界保健機関の「消毒剤の人体への噴霧はいかなる状況でも推奨されない」という見解のほか、目の腫れや呼吸困難など健康被害とみられる国内の報告2例も紹介しています。

2020年5月31日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-21.次亜塩素酸水 噴霧使用は控えて-

独立行政法人製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation:NITE)は、新型コロナウイルスの消毒目的で利用が広がっている「次亜塩素酸水」について、2020年5月29日時点では有効性は確認されていないとする中間結果を公表しました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構では、噴霧での使用は安全性について科学的な根拠が示されていないなどとして、控えるよう呼びかけています。

検証では、2つの研究機関で酸性度や塩素の濃度が異なる次亜塩素酸水が、新型コロナウイルスの消毒に有効かどうかを試験した結果、一部にウイルスの感染力が弱まったとみられるデータもありましたが、十分な効果がみられないデータもあるなどばらつきが大きく、有効性は確認できなかったということです。

今回特に注意を呼びかけていることとしては、次亜塩素酸水は噴霧することで空間除菌ができるとして販売されるケースが少なくないことについて、人体への安全性を評価する科学的な方法が確立していないことや、国際的にも消毒液の噴霧は推奨されていないことなどを紹介する文書を合わせて公表しました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構は、"加湿器などで噴霧すること"、"スプレーボトルなどで手や指、皮膚に使用すること"は、安全性についての科学的な根拠が示されていないことから使用しないように呼びかけています。

そもそも消毒薬を空気中に噴霧して使うことはありませんし、本来の使用目的は「物の表面」の消毒です。

空気中に噴霧すると人が吸い込む可能性があり危険ですから行うべきではありません。

一部の販売業者は、"次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムと違って安全です、食品にも使えるくらいですから"というセールスをしているようですが、食品に使った場合も食べる前には残留しないように除去することが決められており、完全に除去されています。

次亜塩素酸水は口に入れることを前提に使われるものではありません。

このように間違った宣伝をしているのは、次亜塩素酸水そのものの効能を理解していないのか、儲け主義で誤ったことも平然と言っているのかは定かではありませんが、使用者として我々は気をつけなければいけません。

最近では居酒屋チェーン店でも、入店前に次亜塩素酸水を浴びる謎の装置をくぐることを求められるお店もあるようですが、これは全く殺菌効果がない上に健康被害が出る恐れがあり危険ですし、更に企業や自治体においても次亜塩素酸水の噴霧器を置いて加湿器のようにミストで“空中除菌”をしているのを見かけますが、これは全く効果がなく、健康被害が起こるリスクが高いことです。

厚生労働省の結核感染症課は、「もし物に対する効果があるとしても、噴霧に効果はない」と効果を否定していますし、また「空中を漂う有効成分がウイルスと出合う確率は極めて低い」としたうえで、「感染予防に役立つ見込みがなく、濃度など条件次第では有害になりうるので使用はやめてほしい」と求めています。

実際病院での使用例も確認していないそうです。

その上現時点において、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていません。

以上のことをまとめますと、

1.消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。これは、肉体的にも精神的にも有害である可能性があり、感染者の飛沫や接触によるウイルス感染力を低下させることにはならない(WHOの見解)。

目の腫れや呼吸困難など健康被害とみられる国内の報告2例があります。

2.消毒剤噴霧は、空気や表面の除染のためには不十分な方法であり、一般衛生管理には推奨されない(CDCの見解)。

3.消毒液噴霧による人体への安全性については、確立された評価方法が存在していない。

4.液体の販売にあたって、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されていないものが多い(品質に問題があるものが多く存在している)。

5.販売にあたって、製造日及び使用可能期間、使用可能期間中における次亜塩素酸濃度の低減について明記していないものが多い。

6.食品添加物であることを根拠として、人体への安全性を謳っているものがある(間違い)。

7.有人空間での「次亜塩素酸」等の噴霧によるウイルス対策が、公式に認められていると誤認させるような表示を行う例がある(過大広告)。

8.亜塩素酸水として販売されている製品は、製法(電気分解、混和等)や原料が明記されておらず、液性をpH値によって明記しないものも多く、安全性も根拠不明なものが多いと専門家や専門機関が指摘していますから、飛びついて使用することは避けるべきです。

9.次亜塩素酸水と従来から新型コロナウイルス対策として物品の消毒に使用することが推奨されている「次亜塩素酸ナトリウム」とは別のものです。

2020年5月24日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-20.新型コロナウイルス感染は発症前から発症5日が最多、6日以後はほとんど感染しない!-

台湾衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)からJAMA Internal Medicine(2020年5月1日オンライン版)に「台湾のCOVID-19感染ダイナミクス」という論文が出ました。

100人の感染確定者と2,761人の接触者について追跡を行い、その時期による感染力の違いが明らかにされています。

この論文の最大のポイントは「COVID-19感染は発症前から発症5日が最多で、6日以後はほとんど感染しない!」ということです。

まとめますと、

1.接触者追跡は発症4日前までさかのぼれ

2.COVID-19は発症前から発症5日までに感染リスクがあり、6日以降はない!
COVID-19の二次感染までの期間(serial interval)は4~5日、SARSは8.4日

3.すなわちCOVID-19患者が肺炎を起こして入院するころにはもう感染しにくくなっているというのです。

これら3点には医療者にとっては非常に有益なこととなります。

発症6日以後にCOVID-19患者に接触した852人で発症はなんと0(95%CI 0~0.4%)という結果が得られています。

多くの国においても、医療従事者は病院でなくて家庭で感染する方が多かったというのです。

ドイツにおいても発症1週以後、生存新型コロナウイルスは分離されていません。

この論文の内容に関してもさらなる検証が必要となりそうです。

2020年5月17日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-19.抗体検査が陽性となっても第三者に感染させないという保証はない!!-

世界的に新型コロナウイルス抗体検査を実施する傾向にありますが、抗体検査が陽性となっても人に感染させないという保証はありません。

その理由としては、見つける抗体の種類によって異なります。

1.見つける抗体が感染予防抗体すなわち中和抗体であれば、この抗体を持つ人は既に体内の新型コロナウウイルスを駆逐していることから人へ感染させることはなく、当人も治癒していると考えられます。

しかし持つ中和抗体の量が少ない場合は、感染防御は出来ず再感染したり、他人に感染させてしまうこともあります。

中和抗体の量が問題となります。

2.見つける抗体が感染予防抗体すなわち感染を示す抗体であれば、体内にウイルスが存在していて、自分も感染していて他人へ感染させる状態です。

これはHIV抗体と同じことです。

現にWHOも新型コロナウイルスに感染して回復した人など抗体を持つ人が2度目の感染を阻止できるという根拠は、現時点(220年4月26日)ではないという見解を示しています。

要するに見つける抗体が、感染予防に役立つ中和抗体か、感染を示す感染抗体かが重要なのです。

一部の国で抗体が確認された人々への「免疫証明書」の発行を検討していますが、完全な安全性の証明にはならず、感染拡大のリスクを高めるおそれがあるとWHOは警告しています。

2020年5月10日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-18.新型コロナウイルスの生命力-

2020年4月23日米国土安全保障省の高官は、新型コロナウイルスは日光が当たる場所や高温・高湿度の環境下では、より短い時間で威力が弱まる傾向が示されたと発表しました。

政府の研究者らは、新型コロナウイルスが最も生存しやすいのは屋内の空気が乾燥した環境下で、気温と湿度が上がれば威力を失い、特に日光に弱いとの研究結果を報告されました。

インフルエンザなど他の呼吸器系疾患と同様に、新型コロナウイルスの感染力が夏季に弱まるとの期待を強める内容となっていますが、現実はシンガポールなどの温暖な場所でも強い感染力を発揮していることから一概には信用はできません。

暗くて湿度が低い環境では、新型コロナウイルスはステンレス鋼など通気性のない素材の上で、18時間かけて威力を半減させるが、高湿度の環境ではこの時間が6時間に減り、高湿度の環境で日光に当てれば、2分に短縮されるという結果が得られています。

空気中の新型コロナウイルスは、暗い室内で1時間かけて威力が半減したのに対し、日光に当てた場合は90秒に短縮されたことも明らかにしています。

この発表が信頼できるか否かは、今後の追試が必要となります。

新型コロナウイルスの感染予防は、やはり3密を避けて、うがい・丁寧な手洗い・マスク使用が大切なことは言うまでもありません。

2020年5月3日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-17.死亡率と致死率-

よく死亡率と致死率という言葉を耳にしますが、これらについてわかりやすく解説します。

【死亡率】

死亡率とは、人口学において、一定人口に対する、その年の死亡者数の割合を言います。

【致死率】

致死率は、致命リスク、致命率ともいい、疫学における、特定の疾病に罹患した母集団のうち死亡する割合のことを言います。

ある地域社会で同じ病気と診断された1000人のうち90人が死亡したとしますと、これは正式に病気と診断された1000人のうち90人が死亡し、910人は回復したことを意味しています。

従って致死率は9%ということになります。

分母が患者数である致死率は、しばしば死亡率と混同されていますが、死亡率と致死率は全く異なります。

死亡率は、人口に対する死亡者数を調査したもので、人口数と期間を定めて計算し分母は人口です。

例えば人口10000人あたり1年間にインフルエンザに起因する50人の死者が生じた場合、糖尿病の死亡率は 10000:50 または 1000:5 になります。

【致命率と生存率と死亡率の関係】

致死率=死亡数/患者数

生存率=1-致命率

死亡率=死亡数/人口数


2020年4月26日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-16.布マスクは有効は本当に有効なのか??!!-

新型コロナウイルスの大流行に伴いマスクが品不足となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環で、安倍晋三首相が洗濯して繰り返し使える布マスクを5千万余りある全世帯に2枚ずつ配る方針を表明しましたが、布マスクの効用をめぐっては、専門家の間でも懐疑的な見方が多いのが事実です。

※このマスクは異物の混入やカビが生えて生えていたりして不良品が多く、回収され未だ行き渡っていません※

その理由としては、布マスクは織り目のサイズが大きいため、を防ぐ効果が小さい。

また繰り返し洗って使う場合、管理が悪いと雑菌がはびこる可能性があり、かえって不衛生になる可能性が指摘されています。

2015年に英国の医学誌に発表された論文では、1607人の医療従事者を、医療用マスクをつける人と、布マスクをつける人、マスクをつけたり外したりする人にわけて感染リスクを比べた結果、布マスクをつけた人がもっとも呼吸器疾患やインフルエンザ症状を示した人が多かったと報告されています。

WHO(世界保健機関)は、新型コロナ感染拡大期における布マスク使用について「いかなる状況においても勧めない」と公言しています。

WHO(世界保健機関)は、現在でも症状のある人や介護や医療現場に従事する人以外のマスクの着用は推奨していません。

一方、米国疾病予防管理センター (CDC)も、一般の方にはこれまでマスクを推奨しないとしてきましたが、ガイダンスを変更し布製フェイスマスクの使用を一般の人に勧めるという勧告を出した上、サイト上で布製フェイスマスクの作り方も掲載しています。

CDCは、あくまでも、人と社会的距離をとる(少なくとも1.8メートル程度)ことが重要で、追加の感染拡大防止策として、布マスクの使用を勧めるというスタンスです。

布マスクには他者からの感染を防ぐ効果はまったく期待できないことは、多くの専門家もして指摘しています。

要するに布マスクがどれほど効果があるかのエビデンスは少ないために効果があるとは言いにくいわけです。

大きな飛沫をせき止め、のどを保湿する可能性はあるため他人にうつさないという目的を考えれば、つけないよりつけたほうが良いということになります。

布マスクをつけるだけでコロナウイルスの感染が防止できると思いこむのは危険なことです。

布マスクが感染拡大予防に効果がある可能性もあるかもしれませんし、鼻や口を物理的に何かで覆って飛沫飛散を防ぐことは一理ありますが、やはり大切なことは手洗いが重要となります。

2020年4月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-15.日本国内におけるPCR検査の現状-

PCR(polymerase chain reaction)検査は、遺伝子の検査に用いられる手法のひとつの検査法で、特定のDNA断片(数百から数千塩基対)だけを選択的に増やして調べやすくするために用いられる遺伝子増幅技術です。

これは、遺伝子そのものをコピーして増やす酵素を使って、直接遺伝情報を読み出してやろうという革命的かつ画期的な方法なのです。

PCR検査はウイルスそのものを増やして検査するのではなく、ウイルスの遺伝子を増やして検査するのです。

そのため検査技術が未熟であったり、検査をする部屋が不潔であったりすると外界の何らかの遺伝子が混入してこの混入した関係のない遺伝子を間違ってコピーして増やしてしまうことからニセの陽性反応が起こってしまいます。

要するに検査検体には新型コロナウイルスはいないのにも関わらず、外界から混入したDNAのかけらが増幅され検査結果は陽性(偽陽性反応)となってしまう訳です。

更に新型コロナウイルスのPCR検査では、新型コロナウイルスの遺伝子だけを調べていることから、新型コロナウイルスのカプセルが破壊されて機能していなくても(感染性のない新型コロナウイルスの死骸)PCR検査で陽性となることもありえます(偽陽性反応)。

従ってPCR検査は、外界からの遺伝子の購入を防ぐ施設、熟練した技術者が検査を実施しないと、偽陽性反応や偽陰性反応の出現率が極めて高くなってしまい信頼できない検査となってしまいます。

現在日本国内において実施可能なPCR検査の実施件数は、1日現在1日地方衛生研保健所約4900件・民間検査会社約3600件・検疫所約1800件など合わせて約1万2800件と言われています。

現在のように急激な新型コロナウイルスの感染者発生に伴い場当たり的に検査件数を増やすことは信頼性を低下させることになってしまいます。

施設の拡充は出来てもPCR検査に熟練した技師を短期間に養成することは不可能です。

日本国内で急激に検査件数を増やして検査を実施する体制はできないということなのです。

検査は出来るが、信頼性の低い検査を実施しても意味がありません、混乱を招くだけです。

2020年4月13日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-14.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状-

【潜伏期間】

2~12日(平均7日)

【症状】

初期症状は、鼻水や咳、発熱、軽い喉の痛み、筋肉痛や体のだるさ(倦怠感けんたいかん)など、風邪のような症状が生じ、特に、37.5℃程度の発熱と強い体のだるさを訴える人が多いという特徴があります。

初期症状では比較的軽症で、発熱や咳など風邪のような症状がみられるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがあります。

人によっては鼻詰まりや鼻水、頭痛、痰や血痰けったん、下痢などが生じることがあります。

発熱やせき、それに息苦しさや、呼吸困難といった呼吸器の症状が出現し、重症化すると、肺炎を引き起こしたり、腎臓の機能が低下したりして、死亡することもあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状に結膜炎があることも理解しておく必要があります

ただし、これらの症状は感染した人全員にみられるとは限らず、無症状で経過する例もありますし、軽症の段階でも重症化した段階でも感染力があり、人に感染させると考えられていますが、無症状の人から感染する可能性は高くはないと考えられています。

初期症状はおよそ5~7日間程度続き、重症化しなければ次第に治っていきます。


【致死率】

世界保健機関(WHO)によると致死率は3%から4%程度と考えられていますが、10%を超えている国もあります。

2020年4月10日時点で世界全体の致死率は6.1%と報告されています。


【重症化する人】

これまでに死亡した人のほとんどには、高血圧や糖尿病、それに心臓や血管の病気といった、免疫を低下させるような持病があったということです。

しかし最近では若年層の人も重症化して死亡しています。

2020年4月5日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-13.新型コロナウイルスの感染経路について-

※ここで言う新型コロナウイルスとは、「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2」(SARS-CoV-2)のことです※

呼吸器系の感染症の感染は、空気感染・飛沫感染・接触感染が考えられます。

これら感染について解説いたします。

1.空気感染

飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3フィート(91センチメートル)以上の長距離を移動し続けます、呼吸によりこの粒子を吸い込むことにより感染することを言います。

埃や粉塵と一緒に、ウイルスを吸い込む場合でも感染します。

要約しますとウイルスが入っている飛沫が、気化して5ミクロン以下の大きさとなる飛沫核が空中を浮遊するということです。

麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・天然痘・結核が代表的な空気感染をする感染症です。

※※新型コロナ空気感染の可能性が示唆されていますが、2020年4月現在その確証は得られていません※※

2.飛沫感染

咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴が飛び散りますがこの細かい水滴を飛沫と言います。

この飛沫に病気の原因となる細菌やウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染するのが飛沫感染です。

風邪やインフルエンザを始め、上気道炎症状を伴うウイルス感染症(RSウイルス、ジフテリア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)の多くや細菌性肺炎が代表的感染症です。

新型コロナウイルス、SARSやMERSの原因となったコロナウイルスについても、この経路が主体だと考えられている。

3.接触感染

皮膚や粘膜の接触、または医療従事者の手や聴診器などの器具、手すりやドアノブなど、患者周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着しその結果感染が成立する事を言います

流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的な感染症ですが、精液や膣分泌液をを介した性行為感染症もこの感染様式を取ります。

新型コロナウイルスも接触感染で感染します。


2020年3月30日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-12.オーバーシュートとは何?-

予測の範囲を超えた突発的な感染者数の急上昇のことを意味する言葉としてオーバーシュートという言葉が使用されます。

言い換えますと爆発的拡大をオーバーシュートと呼びます。

どこかで感染に気付かない人たちによるクラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまうというのが新型コロナウイルス感染症対策の難しさなのです。

日本国内での新型コロナウイルスの感染者は、2020年3月20日時点では何とか持ちこたえており、拡大防止の取り組み強化が必要性が強調される一方で、感染が確認されていない地域では学校活動や屋外スポーツなどの再開も奨励しています。

政府は、臨時休校などの自粛要請の一部を解除する方針です。

北海道においては、週末の外出自粛やイベント自粛、休校などの対策が進み、クラスター感染を把握して制御下に置くことができた結果、ある程度の新規感染者の増加を抑えられていると評価されているようですが、どのような対策や市民の行動の変化が最も効果を上げたかははっきり分かっていないのが現実です。

北海道以外においては、感染者1人からの2次感染者数の平均値(実効再生産数)が3月上旬以降は1を下回っていますが、感染経路不明の感染者が増えるとオーバーシュートが起きかねない状況です。

今後は、全国一律の対策を講じるのではなく、患者推計に基づく医療提供体制を整えた上で、感染状況別にバランスを取った対策を各地域に求めていく必要があります。

それは感染が拡大中の地域は一律自粛の必要性などの検討し実施していく。

一定程度に収まっている地域はリスクの低い活動から徐々に解除することを検討し実施していく。

感染が確認されない地域では学校活動などの再開していく。

症状が軽い患者や症状がない人は自宅療養とするなど重症者を優先する医療体制の準備必要となります。

感染者全てが医療機関を受診すれば現在の医療体制では対応できなくなり、医療体制が崩壊していきます。

2020年3月22日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-11.-新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は二種類存在する!!??

新型コロナウイルスは、2種類のタイプがあり感染力が違う可能性があると、北京大などの研究チームが2020年3月6日までに中国の英文科学誌ナショナル・サイエンス・レビューに発表しています。

国の内外で解読された103例の新型コロナウイルスのリボ核酸(RNA)を解析し、遺伝子を構成する塩基配列の違いから、L型とS型の存在が確認されたとしています。

L型が70%を占めるS型は30%存在していると報告しています。

そしてL型はS型から変化して出現し、感染力が強い可能性があり、中国武漢市ではL型が大半を占めたと報告しています。

L型(ロイシン)はS型(セリン)から変化して出現し、感染力が強い可能性があるとも報告しています。

L型はこのうち70%を占めてS型に比べて感染力が強く、「S型」は遺伝子の特徴がコウモリから検出されたウイルスに近く、「L型」より古い型とみられるとしています。

研究チームは地元メディアの取材に対し、「『L型』が、どうやって『S型』から進化したのかや、どちらのほうが毒性が強いのかはまだ分かっていない」としています。

また、多くの患者は1つの型にしか感染していませんが、湖北省・武漢に旅行歴のあるアメリカの患者など2人は、両方の型に感染した可能性があるとしています。

研究チームは、今後、突然変異が起きる可能性は排除できないとして、さらに遺伝子の分析を進める必要があると指摘しています。

今回の調査に直接関与していない専門家らは、調査結果は興味深いが、こうした暫定的な調査をもとに結論を急ぐべきではないとの指摘を行っています。

いずれにしても今後更に多くの新型コロナウイルスのリボ核酸(RNA)を解析し、遺伝子を構成する塩基配列の違いを調べる必要があります。

2020年3月15日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-10.クラスター感染とは-

これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の人は、他の人に感染させていない一方で、一定条件を満たす場所においては、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています発表しています。

これは具体的にはどのようなことなのでしょうか?

具体的に言いますと、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウスなどクラスターの屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、クラスターが発生する可能性が示唆されます。

そして、クラスターが次のクラスターを生むことによって感染の急速な拡大を招くと考えられます。

※クラスターとは集団という意味で、クラスター感染=集団感染という意味で使用されています※

クラスター発生の三条件とは

1.近距離での会話

2.手の届く距離に多くの人がいる

3.密閉された空間で換気が悪い

上記の三条件がすべて重ならなくても、これらのうちの1つないし2つの条件があれば、なにかのきっかけに三条件がそろうことがあります。

クラスターの発生のリスクを下げる三原則とは

クラスターの発生のリスクを下げるための原則としては以下の三原則があります。

1.換気を励行する

2.人の密度を下げる

3.近距離での会話や発声、高唱を避ける

窓を開け換気を励行するとクラスターの発生は抑えられることは分かっていますが、どの程度の換気が十分であるかの確立したエビデンスはまだ十分にはありません。

人が多く集まる場合には、会場の広さを確保し、お互いの距離を1~2メートル程度あけるなどして、人の密度を減らす。

周囲の人が近距離で発声するような場を避ける、やむを得ず近距離での会話が必要な場合には、自分から飛沫を飛ばさないよう、咳エチケットの要領でマスクを装着する。

そして何よりも大切なことは、こまめに石鹸を使って流水での手洗いです。

2020年3月9日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-9.「飛沫感染」と「空気感染」の違いについて-

最初に結論を言いますと「飛沫感染」と「空気感染」は全く異なるものです。

それでは「飛沫感染」と「空気感染」の違いについて解説していきます。

咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴が飛び散りますこの細かい水滴を飛沫と言い、この飛沫に病気の原因となる細菌やウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染するのが飛沫感染です。

飛沫は最大でも2m程度しか飛ぶことができませんので、飛沫感染する病原体に感染した人がいたとしても、その人から2m以上の距離を保てば感染しないのです。

医学的にクシャミをすると約およそ0,000個以上の飛沫が飛び散り、5分間話す、咳をすると3,000個の飛沫核が飛び散るといわれています。

しかし、実際には口や鼻から飛び出す飛沫や飛沫核の数については、咳やくしゃみの程度によって異なりますので一概には言えません。

飛沫感染する病原体としてはインフルエンザ、百日咳、おたふくかぜなどがあります。

新型コロナウイルスも飛沫感染します。

感染者の体内から体外に新型コロナウイルスが放出される時は、"飛沫(水分)"に包まれて飛び出します。

唾液や鼻汁などの"飛沫(水分)"に包まれて新型コロナウイルスは体の外に放出され、第三者の顔や手指などの体やその他の手すり・ドアノブ・机などに付着することななります。

このとき飛沫に含まれたウイルスを医療用語で"飛沫核"と呼びます。

飛沫感染するウイルスの場合、飛び出た飛沫の水分が蒸発してしまうと、飛沫核(ウイルス)は感染力はなくなります。

要する新型にコロナウイルスは、飛び出た飛沫の水分が蒸発してしまうと、感染力はなくなり感染しなくなるということです。

飛び出た飛沫の中の新型コロナウイルス感染力を持っている時間は、完全に判明していないので、インフルエンザウイルスなどを参考にして平均で2~8時間と考えられています。

反面空気感染するウイルスは、飛沫の水分が蒸発して"飛沫核"となってもウイルスの感染力はありますので感染するということになります。

これが「空気感染」で、"飛沫核"は小さいし、水分がなくて軽い訳ですから、空気中にふわふわと漂いこれを吸い込んだ人は感染するというわけです。

新型コロナウイルスは、2020年3月9日現在「空気感染」はしないと確認されています。

一方空気感染とは、別の呼び方として飛沫核感染ともいいます。

飛沫核とは、飛沫の水分が蒸発した小さな粒子のことでこれを吸いこむことで感染するのが飛沫核感染、つまり空気感染ということなのです。

飛沫は水分を含んでいるためそれなりの重さがあり、体内から放出された後、すぐに地面に落ちてしまいますが、飛沫核は水分が無いぶん軽いため、長い時間たっても空気中に浮遊し、しかも遠くまで飛んでいくことができます。

病原体の中には、飛沫に含まれる水分が蒸発するとそのまま空気中を漂うものがあります。

しかも感染力を保ったまま空気中をプカプカ浮いている状態で存在していますから、このタイプの病原体は同じ空間にいると感染者から遠い場所にいても感染してしまう危険があるのです。

空気感染できる感染症は、麻疹、水痘、結核の3つしかありません。

これら3つ病原体は「空気感染」することから感染力が非常に強いということなのです。
部屋を換気して空気を入れ替えればウイルスを含んだ飛沫は乾燥して蒸発して飛び散り、そこで伝染性を失いますから、部屋の換気は十分にする必要があります密室は感染を広げますから、このことはライブハウスなど空気の入れ替えがなく空気の淀んだ閉鎖空間での新型コロナウイルス感染者の報告からも明らかなことです。

部屋を閉鎖空間とすることなく十分に換気を行うことにより新型コロナウイルスの感染は予防可能となります。

2020年3月1日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-8.新型コロナウイルスの家庭における消毒について-

ウイルスはその構造からエンベロープ(脂質性の膜)のあるウイルス(エンベロープウイルス)と、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープウイルス)に分けられます。

エンベロープウイルスは、アルコール消毒剤によりダメージを受けやすい特徴があります。

新型コロナウイルスは、エンベロープウイルスですから消毒用アルコールで死滅させることが出来ます。

【消毒用エタノール】

消毒用エタノールの濃度は、76.9~81.4 vol%のエタノールが、殺菌として最も強い作用を有していることから、この濃度のものを使用します。

日本薬局方では消毒用エタノールは、76.9~81.4 vol%と規格が定められています。

【イソプロピルアルコール】

イソプロピルアルコールはエタノールに比べて、脱脂作用が強く、やや毒性と刺激性が強いため、手指が脱脂されて手指が荒れる欠点があります。

消毒には50~70%のものが使用されています。

イソプロパノールはエタノールとほぼ同等の消毒効果を示すものの、親水性ウイルス(ノロウイルス、アデノウイルスなど)に対する効果はエタノールに比べて劣っています

【おまけ】

次に市販されている"ビオレu 手指の消毒液はエタノール"にはアルコールも含まれておりますが、有効成分はベンザルコニウム塩化物であることから新型コロナウイルスへの効果は確認できておりません。

【消毒用アルコールの作り方】

無水エタノールは、アルコールの一種で主に電気製品の掃除に使われます。

無水エタノールを76.9~81.4 vol%になるように調製すれば消毒用エタノールとして使用できます。

無水エタノールの注意事項に、「用途以外には使用しないでください」とありますが、希釈すれば「手指や皮膚の消毒液」として使うことができます。

作り方は以下のとおりです。

100ml作る場合を例に紹介しておきます。

無水エタノール80mlに精製水20mlを加え十分に混ぜる

これで無水エタノールと水の割合は、おおよそ8:2となります。

手作り消毒液を入れる容器は「高濃度のエタノール(アルコール)対応」の商品を使用します。

無水エタノールや精製水は薬局で購入出来ます。

消毒用エタノールが品不足で買えない場合は、無水エタノールと精製水で消毒用エタノールを家庭で作ってみてください。



2020年2月23日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-7.市中感染症と院内感染症の違いについて-

新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)が原因で神奈川県の80代の日本人女性が死亡、東京都の70代タクシー運転手や、和歌山県の50代男性外科医ら日本人3人が感染し、感染者が増加しています。

そして北海道内で2月19日までに4人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、この4人の間に濃厚な接触がなく、いつどこで感染したか追跡できないことから"市中感染"の可能性が出ています。

市中感染とはどのようなことなのでしょうか?

市中感染とは病院外で体内に入った微生物によって発症した感染症を指す用語です。

健康な社会生活をしている人に起こる感染症の多くは、体外から侵入した病原体により発症する「外因性感染症」です。

要するに市中感染症とは、社会生活をしている健康人に起こる感染症で、多くは外因性感染症を指します。

一方院内感染とは、病院内で体内に入り込んだ微生物によって引き起こされる感染症を指す用語です。

院内感染は病院内での感染対策すれば感染防止は可能ですが、市中感染は何にどう気を付けていいか分からないことから、一般市民の間には不安が募ることになります。

一般市民が市中感染を防ぐ対策としては、以下のことがあります。

1.電車の吊り革、エスカレータの手すり、ドアノブを触った後には石鹸を使い流水で手洗いをする、手洗いができないときには携帯用アルコール消毒液で良く消毒する。

2.マスクは基本的には感染を広げないために着用するもので、混み合った場所や、屋内や乗り物などの換気が不十分な場所では1つの予防策と考えられます。

3.使い捨てマスクをそのまま再利用するのは、衛生的な観点から推奨できません。

4.マスクを外すときにはマスクの表面に触れないようにする、触れたときには十分に手洗いをする。

5.ウガイも感染予防にはあまり役立たないと言われていますが、しないよりするほうが良いでしょう。

2020年2月16日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-6.新型コロナウイルスの正式名称決定-

2020年2月11日、世界保健機関(WHO)は、中国武漢を中心に流行している新型コロナウイルスによる病気の正式名称を"COVID-19(コービッド・ナインティーン)"に決定したと発表しました。

COVID-19(コービッド・ナインティーン)は「コロナ(Corona)」、「ウイルス(Virus)」、「病気(Disease)」という単語と、この病気がWHOに報告された「2019年」の組み合わせでできています。

この新型ウイルス自体の名前は、国際ウイルス分類委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)によって"SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2)"と名付けられています。

国際ウイルス分類委員会とは、分類学的見地から、ウイルスの分類と命名法の認可を行なっている組織のことです。

ウイルスの分類と命名は国際ウイルス命名委員会で決めます、これは大原則であり、ここで決定されない限り正式名称にはなりません。

国際ウイルス分類委員会の分類では、全部で3万種くらいのウイルス存在しています。

まとめますと、新型コロナウイルスによる病気の正式名称は"COVID-19(コービッド・ナインティーン)で、これを引き起こすウイルスは"SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2)"ということになります。

2020年2月10日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-5.新型コロナウイルスはマスクで感染防止できるのか-

基本的にマスクではかぜやインフルエンザそして新型コロナウイルスの感染予防はできません。

そもそもマスクは、感染予防のために使うものではなく、感染してしまった人が周囲に広げないために使うものなのです。

せきやくしゃみをすると、医学的見地からして1mから2mも唾液などの飛まつが飛ぶと言われています、そのため感染者の飛まつがウイルスを広げる大きな要因となります。

これはインフルエンザや通常のコロナウイルスそして新型コロナウイルスなど多くのウイルス性感染症で共通する特徴なのです。

従ってせきやくしゃみの症状がある人が正しくマスクをつけることは、他の人に感染させない、感染を広げないための"基本原則"と理解しておく必要があります。

では健康な人がマスクを付けることにはどの様な意義があるのでしょうか?

専門機関のホームページで確かめてみました。

1.WHO(世界保健機関)

マスクだけでは感染を防げる保証は無いとして、貴重な資源をむだにせず、また間違った使い方をしないためにも、症状のある人だけがマスクをするよう呼びかけています。

さらに「マスク使用のアドバイス」には、マスクで予防できるという科学的根拠は無いため、症状が無い場合はマスクは必要ないと記載されています。

※新型コロナウイルスの患者の看病などをする場合はマスクをつけるべきだとしています※

2.CDC(アメリカ疾病対策センター)

特別な状況にないかぎり、感染を避けるという目的で症状のない人がマスクを着用することは推奨しないとしています。

人混みを避けられない場合や、妊婦や高齢者など発症するとリスクが大きい人や、家族などでそうした人と接触する場合は、マスクを使用してもいいと記載しています。

結論としては、マスクだけでは、予防効果はあまり期待できないけれど、人混みの中など一定の環境では、ある程度の予防に役立つ可能性は否定できないが、感染予防に役立つという科学的なエビデンスは存在しないと解釈できます。

マスクで感染予防が出来るというエビデンスはなぜないのでしょうか?

その理由は以下のように考えられます。

マスクで感染予防が出来るということを確かめるには、統計処理の出来るできる多くの人たちを2グループに分け、必ずマスクをつけて生活するグループとマスクを全くしないグループで、どれだけ感染するかを調べる必要があります。

当然その調査期間は、長くなり感染症の流行している間ずっと続ける必要があるかもしれません。

そしてマスクをしたグループとしなかったグループにおいての感染者数を統計処理する必要がありますが、現実この様な調査は不可能で実施されていないことから、マスクによる感染予防のエビデンスはないというわけです。

最後にマスクの確かな効果についてまとめてみますと、

1.症状の無い人は、マスクはしないよりはした方がマシ程度に考えるべき。

2.マスクが無いならば、あまり気にせず、手洗いや睡眠をしっかりとって体調を整えておくなどの対策に力を入れるべき。

3.持病があったり、高齢であったり、またウイルスに感染しやすくなっている妊婦であったり、感染症のハイリスクとされる人たちは、マスクをつけるほうがつけないよりまし。

4.いくらマスクを使用しても正しく付けられていないマスクは感染予防の意味がまったくないことを理解しておく。

※マスクをしていても鼻が出ていたり、あごにかけているだけだったりと間違った使い方をしていると予防効果は無い※

5.以上のことからして現在、マスクが品薄と報じられていますが、パニックになる必要はありません。


2020年2月3日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-4.新型コロナウイルスの実質感染者とは-

今回武漢からの帰国者の1.4%が新型コロナウイルスに感染していたことになり、このことは武漢の人口が1108万人ですから、単純計算で武漢では10万人くらいの感染者がいるということになります。

ランセットに発表された論文によりますと武漢市での感染者数は75815人と推定しています。

Nowcasting and forecasting the potential domestic and international spread of the 2019-nCoV outbreak originating in Wuhan, China: a modelling study

ランセット(The LANCET)2020年1月31日DOI:https ://doi.org/10.1016/S0140-6736(20) 30260-9

今後感染者は、減ることはなく更に増加すること多くの専門家は分析しています。

こと更に怖がらず正しい知識を身に着けて感染予防をするしか現時点では対策はないようです。


【感染予防対策】

最も大事なことは手洗いです(アルコール消毒を含む)、外出して帰宅した際には念入りに手洗いをする必要があります。

手洗いは、流水で洗うか、アルコール消毒薬で手を消毒するかですが、家庭なら石鹸で洗い流水で念入りにすすげばよいでしょう。

手またなどは70%消毒用アルコールでの消毒、環境表面をふく場合は同様にアルコール消毒薬や次0.1%亜塩素酸ナトリウム(台所用亜塩素酸ナトリウムを薄める)などが有効とされています。

【マスクは感染対策に有用か】

感染予防にマスク着用を勧める人がいますが、症状のない人が予防的にマスクを着用することに確かなエビデンス(証拠・根拠)が少ないというのが国内外の専門家の認識です。

マスクを着用しても鼻が出ていたり、皮膚に密着していなかったりすると感染を防ぐことはできません。

更にマスクの着脱で触った手が最も汚れているので、その手で色々な環境表面を触ると、そこで2次感染が起きます。

多くの人たちは、マスクをして守られていると思っている人が多い様ですが、効果は限定的であることを理解して使用すべきです。

またマスクは飛沫を飛ばさないための「咳エチケット」と考えておくことです。

感染対策に粒子状物質の吸入防止に用いるN95マスクは、本来製造・建設現場のマスクとして使用されるマスクです、が結核・SARSなどの感染症防止に効果を上げたことからこのマスクを感染予防に使用することをすすめる人がいますが息苦しく気分が悪くなることから一般の人が使用することは適切ではありません。

医療専門家の間で一般的にN95マスクを着用するのは、はしかなどの空気感染するウイルスに対応する医師だけです。

2020年1月28日火曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-3.新型コロナウイルス感染症についての速報(2)新型コロナウイルスの感染力とは-

便宜上感染症の人から人へのうつりやすさを「感染力」とします。

感染症の人への感染のやすさの指標として、"基本再生産数"がよく使われます。

【基本再生産数とは?】

基本再生産数(R0; R naught)とは、簡単に言うと「1人の感染症患者から何人に感染させるか」を表す数です。

正確には1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値のことを指し、感染症別の感染性の指標として利用されています。

これまでの患者の発生状況などから、推測して新型コロナウイルスの基本再生産数は1.4~2.5と暫定的に見積もられています。

1人の感染者からだいたい2,3人に感染するということになります。

その他の感染症の"基本再生産数"

インフルエンザは、1.4~4(1人のインフルエンザ患者から1人、最大4人に感染させる)

SARSは2~5人(1人のSARS患者から2人、最大4ー5人に感染させる)

麻しん(はしか)は、12~18人(1人の麻しん患者から12人、最大18人に感染させる)

風疹は、6~7人1人の風疹患者から6人、最大7人に感染させる)

以上のことからして、現時点では新型コロナウイルス感染症はSARSよりは広がりにくい性質を持っている考えられています。

しかし、今後この新型コロナウイルスが変異して、今以上に感染力が強くなる可能性も否定できていません。

※世界保健機関(WHO)や各国の疾病予防管理センターなどから収集した情報をもとに、米国ジョンズ・ホプキンス大学は、新型コロナウイルスの感染状況を地図上で可視化できるWEBページを公開していますので紹介しておきます※





2020年1月22日水曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-2.新型コロナウイルス感染症についての速報(1)-

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症患者増加に伴い急遽"中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について"の現状をお知らせしておきます。

【発見日時】

2020年1月7日、新型コロナウイルスと特定されています。

【命名】

初期段階では原因不明であるため、「原因不明の肺炎」と呼ばれていましたが、2020年1月7日、香港の保健機関は「重度の新型感染性病原体呼吸器疾患」と命名しています。

世界保健機関(WHO)は、このウイルスを正式に「2019年の新型コロナウイルス」(2019-nCoV)と命名。

中国側は「新型コロナウイルスの感染による肺炎」と呼んでいます。

【最初の報告】

新型肺炎の最初の発症報告は2019年12月12日で、病原体の候補として新型のコロナウィルスが検出されたのが2020年1月9日。

魚市場の関係者が感染したという事実以外、まだ潜伏期間や感染経路は十分に解明されておらず、そんな中、春節を迎えて大量の帰省客が武漢を訪れ、そのまま中国各地に戻っていくこと、さらにその後日本をはじめとする海外へ渡航することを考えると、場合によってはそれがパンデミックにつながる可能性が危惧されていました。

【中国政府の対応】

武漢市当局によると、新たに発症したのは25~89歳の男女136人、1月18日までに発症した計198人の患者のうち、3人が死亡、35人が重症で、25人が退院したと発表していますが、本当の患者数を発表しているとは考えにくいです。

以前から中国は自国(中国共産党)のためにならないことは、隠したり、偽ったりする傾向があることから今回の新型コロナウイルス感染患者数の発表も信頼できません。

現にイギリスインペリアル・カレッジ・ロンドンのチームは、2020年1月19日中国の湖北省武漢市で集団発生している新型コロナウイルスによる肺炎患者は公式発表よりはるかに多く、1700人を超えている可能性があるとの研究結果を発表しています。

2020年1月21日に習近平国家主席が対応を支持すると、国民は感染を期にし始め、行政当局も感染者が増加していると報告し始めています。

前回のSARSの時も中国政府の対応が遅く感染が広まった経緯があります。

【人から人への感染は】

この新型コロナウイルスは人から人へ感染することが明らかになっています。

そして人から人に感染するため、帰省や旅行で人の往来が増える春節(旧正月)の連休(24~30日)に、さらに発症者が増えるとの見通しも示しています。

【感染予防対策はどうすればよいのか】

この新型コロナウルスは、SARSウイルスやインフルエンザウイルスよりも感染力が弱く、重症化しにくいと言われていますが、手洗い・マスク着用・うがいなどをして予防するしかありません。

間違った情報などに振り回されることなく、日本国内で発表される報道をしっかりと読み正しく対応することです。

※信頼できる情報が入り次第逐次紹介します※

2020年1月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-1.コロナウイルスについて-

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について解説していきますが、第一回目としてはコロナウイルスについての解説です。

【コロナウイルスとは】

風邪などの呼吸器感染症を起こすウイルスで、表面に花弁状の突起があり、太陽のコロナのように見えることからコロナウイルスと呼ばれています。

飛沫感染や接触感染で伝播し、一般的には軽度から中等度の呼吸器症状を起こすが、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスのように重症化するものもあります。

コロナウイルスは人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスで、人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られています。

風邪を引き起こす4種類のウイルスと、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られていましたが、2020年1月中国武漢で新種のコロナウイルスが発見されています。

風邪を引き起こす4種類のコロナウイルス(HCoV:Human Coronavirus)は、、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1です。

風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする事が多く、冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験すると言われています。

多くの感染者は軽症ですが、中には高熱を引き起こす場合もあります。

特に深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、感染しても通常の風邪などの重度でない症状を起こすだけです。

次回は重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)
について解説していきたいと思います。