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2023年3月19日日曜日

現在の梅毒流行の現状-16.梅毒トレポネーマ感染予防はどうすればよいのか-

 2023年3月19日時点でも梅毒の流行は収まることはなく、患者数は全国的に増加しています。


今回は梅毒トレポネーマの感染防止について解説させていただきますので、再度確認されて感染予防に努めてください。


梅毒は梅毒トレポネーマによって引き起こされる性感染症の1つで、感染者との性的接触によって感染します。


梅毒は放置すると、神経系や心臓に深刻な障害を引き起こす可能性があるため、予防は非常に重要です。


そして感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受けて早期に治療することが必要です。


梅毒は抗生物質の投与で完治します。


以下は、梅毒感染を予防するためのいくつかの方法です。


1.セックスの安全を確保する


梅毒は、感染者との性的接触によって感染しますから、感染者がいる場合、セックスの際にはコンドームを使用することが重要です。


しかしコンドームでは完全に感染予防ができないということもお忘れなく。


2.定期的な検査を受ける


性的活動をする人は、梅毒の検査を受けることが推奨されます。


検査は、感染がなくても定期的に受けることが望ましいです。


感染が疑われる場合は、早期に治療を受けることが重要です。


3.感染が疑われる場合は早期に治療を受ける


梅毒は、早期に発見して治療を受けることで完治しますので、感染が疑われる場合は、速やかに皮膚科を受診してください。


4.他の性感染症の予防も重要


梅毒と同様に、他の性感染症も性行為によって感染しますので予防のためには、セックスの際には常にコンドームを使用することが重要です。


以上のような方法で、梅毒感染を予防することができますし、仮に感染していたとしても早期に発見され早期に治療することによって早期に完治します。


性的な健康を維持するためにも、定期的な検査と感染予防の意識を持つことが大切です。

2023年3月12日日曜日

現在の梅毒流行の現状-15.2023年2月下旬の梅毒患者の現状-

 2023年2月26日時点での梅毒患者数は、1937人と依然として高水準となっています。


直近の梅毒患者173人の病期を分析しますと、下記の通りです。


1.早期顕症Ⅰ期梅毒  75人


2.早期顕症Ⅱ期梅毒  54人


3.晩期顕症梅毒  3人


4.無症候梅毒  40人


5.先天性梅毒  1人


以上の病期を分析してみますと、


※1.梅毒トレポネーマに感染しても症状のない無症候梅毒が40人23%(40/173)も存在していることです。


このことは取りも直さず梅毒トレポネーマに感染しているにも関わらずそのことを知らずに放置している人が多いことを著しています。


従いまして、梅毒トレポネーマに感染するような行為をしてしまった場合は必ず適切な時期に梅毒検査を受けることです。


※2.先天性梅毒が1人存在していますが、これは梅毒が家庭内に深く浸透して、妊婦検診で梅毒検査を受けていないことが推測されます。


※3.梅毒トレポネーマに感染後3週間程度で症状の現れる早期顕症Ⅰ期梅毒患者は75人43.4%(75/173)と患者全体の半数以下しかないことは、早期に症状の出ない患者が多いことを物語っています。


※4.梅毒トレポネーマに感染後6~8週間程度で症状の現れる早期顕症Ⅱ期梅毒患者は54人31.2%(54/173)と患者全体の30%前後しかないことは、やはり早期に症状の出ない患者が多いことを物語っています。


3と4からも梅毒トレポネーマに感染しても明らかな症状の出ないことが多いので、梅毒トレポネーマに感染するような行為をしてしまった場合は必ず適切な時期に梅毒検査を受ける必要が有ることを証明しています。

2023年3月5日日曜日

現在の梅毒流行の現状-14.2023年2月中旬の梅毒患者の現状-

 国立感染症研究所は、2023年2月28日の感染症発生動向調査週報2023年第7週(2月13日~2月19日)で2023年の新規梅毒患者は、1687人と発表しています。


この患者数は、2022年年同期の累計報告件数1182件を40%以上も上回る数となっています。


このままの状態で患者数が増加すれば、2023年1年間の新規感染者報告件数は18000人を超える可能性となってきています。


要するに日本全国で梅毒流行が依然として続いていることになります。


この流行に危惧して多くの保健所では無料の検査を拡充しています。


梅毒トレポネーマに感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受けてください。


受けるときの注意としては、保健所で実施している検査法をよく調べてどの様な検査を実施ているかを確かめて、適切な時期に検査を受けるようにしてください。


参考資料として以下に【東京都性感染症ナビ】を紹介しておきますので参考にしてください。


【東京都性感染症ナビ】

2023年2月26日日曜日

現在の梅毒流行の現状-13.TP法による梅毒即日検査を受ける際の注意点-

 イムノクロマト法によるTP梅毒即日検査は、梅毒トレポネーマに対する抗体(TP抗体)を検出する簡易検査法です。


血液で検査をして、およそ15分程度で結果が分かる簡易検査のため、一般的に広く利用されています。


この検査は梅毒トレポネーマに対する抗体を検出することから、カルジオリピンによるSTS検査(RPR検査)より偽陽性反応の出現率が低いのが特徴です。


STS検査(RPR検査)は、梅毒トレポネーマに感染しておよそ4週で陽性となりますが、TP法による梅毒即日検査は8週間が経過しないと陽性とはなりません。


即ち梅毒トレポネーマに感染する機会があってから、8週間が経過して受けないと信頼できる結果が得られません。


それ以前に受けるとTP抗体の量が少なく、梅毒トレポネーマに感染していても陰性(偽陰性)となってしまいます。


そのためTP法による梅毒即日検査を受ける時期は、感染する機会があってから8週間経過して受ける必要があります。


ここで注意しなければならないことは、保健所で実施している無料の梅毒即日抗体検査の殆どがTP法による梅毒即日検査です。


そのために早く感染を知りたいと考えて不安に行為から8週間前に検査を受けてしまいますと、仮に感染していたとしても陰性となってしまいます。


従いまして、保健所で実施している梅毒検査はどの様な検査であるかを事前に確かめて受ける必要があります。


かなりの人が保健所で誤った検査の受け方をしている人がいることが確認されています。


2023年2月19日日曜日

現在の梅毒流行の現状-12.梅毒トレポネーマ感染をいち早く知るには-

 2023年2月5日時点での梅毒患者数は、1113人と依然として日本国内で梅毒が大流行しています。


梅毒トレポネーマは性行為やキスなどのオーラルセックスでも感染します。


最近では梅毒トレボネーマに感染しても典型的な症状の出ない無症候性梅毒が増加しているしていることから、感染するリスクのある行為をしてしまったら、必ず適切な時期に梅毒検査を受ける必要があります。


早期発見して早期治療することにより服用する抗生物質の期間は短くなり、注射による治療も1回で済みます。


梅毒トレポネーマ感染をいち早く知る検査法として"IgM-FTA-abs検査"があります。


★※梅毒トレポネーマ感染を早く知ることが出来る検査法は、IgM-FTA-abs検査です※


IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。


梅毒に感染した初期には、IgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。


このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ信頼出来る結果が得られます。


★IgM-FTA-abs検査は、特殊な検査法ですが、どこの医院でも検査会社に依頼て受けることができますが、受けたいと医師に行っても、"当院では検査していない"・"そんな検査は知らない"・"そんな検査はない"と、言われるとの相談をよく受けますが、IgM-FTA-abs検査はどこの医院で受けることは可能ですが、現実としてIgM-FTA-abs検査を知らない医師も多くいます★


本来梅毒の専門診療科は皮膚科です、従って皮膚科専門医はIgM-FTA-abs検査のことを熟知していますのでIgM-FTA-abs検査を受けるのであれば皮膚科だけの看板を上げている皮膚科専門医を受診されることです。


ここで注意しなければならないことは、IgM-FTA-abs検査と勘違いしてしまう検査法としてFAT-abs検査があります。


FAT-abs検査は、IgG型のTP抗体を見つけますから、IgM-FTA-abs検査より遅く陽性となります。


FAT-abs検査は、感染後3~4週後にTPHA検査より早く陽性となりことから、STS陽性、TPHA陰性の場合の梅毒鑑別に利用されます。


梅毒トレポネーマ感染後早く陽性となる順番は、以下のとおりとなります。


1.IgM-FTA-abs検査


感染後1週間


2.FTA-abs検査


感染後3週間


3.STS検査(ガラス板法、RPR検査)


感染後4週間


4.TPHA検査


感染後5~6週間


5.迅速TP抗体検査


保健所等で使用されている検査


感染後5~6週間

2023年2月12日日曜日

現在の梅毒流行の現状-11.梅毒の曝露後予防(Post Exposure Prophylaxis*PEP)について-

 性行為後に抗生物質を内服する曝露後予防(PEP)により梅毒だけでなく、クラミジアや淋菌といった性感染症を予防するという最新研究の結果が報告されましたのでその概要を紹介します。


2022年年8月にカナダ・モントリオールで開かれた『第24回国際AIDS会議』で発表されたドキシサイクリン曝露後予防(DoxyPEP)の効果についての研究です。


『ドキシサイクリン曝露後予防(DoxyPEP)とは』


テトラサイクリン系の抗生物質ドキシサイクリン(Doxycycline)を性行為後に服用することにより、性感染症のリスクが66%低下することが明らかにされました。


ドキシサイクリンは、安価で半減期が比較的長いことから諸外国では曝露後予防に使用する薬剤として用いられています。


日本では、クラミジアに対してはアジスロマイシン、梅毒にはペニシリンが使用されていて、一般的にドキシサイクリンは性感染症治療には使用されていません。


2021年、米疾病対策センター(CDC)はクラミジア治療にアジスロマイシンではなくドキシサイクリンを用いるよう提唱しており、海外では性感染症に対して瀕用される薬剤となっています。


これまでは、曝露後予防としてドキシサイクリンがとして機能するかどうかは明らかにされておらず、過去に被爆前予防としてドキシサイクリンを服用する研究が2015年に米国で、2017年にはフランスで行われています。


この結果はどちらも梅毒発生率の低下が示されたが、米国の研究ではクラミジアに対するPrEPの効果が確認されず、両研究とも淋菌への効果は認められなかった。


その理由として、淋菌はテトラサイクリン系に対する耐性菌が多いことが考えられる。


しかし、今回の研究では、HIV陰性・陽性の両者において、3種の性感染症発生率の低下が示された。


クラミジアに対する有効性は、HIV陽性者で88%、非陽性者で74%と高いものであった。


梅毒に対しても、HIV陽性者で87%、非陽性者で77%と高い有効性を示したが、患者数が少なかったために統計学的には有意差を認めなかった。


淋菌では、HIV陽性者で55%、非陽性者で57%とクラミジアと比較すると軽度な差であるが、有意な有効性を認めた。


他の研究でも、DoxyPEPにより梅毒への感染を予防できるという結果が報告されている。


【参考資料】


梅毒の増加に対抗する:ドキシサイクリン曝露後予防の役割?


DoxyPEPを有効に用いることができれば、「性感染症予防薬」としてドキシサイクリンが広く用いられるようになるかもしれない。


DoxyPrEPに比べDoxyPEPは服用回数が少ないため費用の節約になり、抗菌薬の過剰使用による薬剤耐性や副作用への懸念も軽減されると考えられる。


ただし、抗生物質の開発と細菌の抗生物質耐性化が「いたちごっこ」であるのはご存じの通りである。例えば、淋菌は多剤耐性化が進んでおり、現時点で有効な薬剤はセフトリアキソンまたはスペクチノマイシンの注射剤しかない。


DoxyPEPが淋菌の抗菌薬耐性化を促進しうるかどうかは、さらに大規模な研究が必要である。


 また、フランスのDoxyPEP研究では、淋菌に対して適度な有効性(33~40%)を持つ髄膜炎ワクチンが検討されている。将来的には「性感染症ワクチン」も登場するかもしれない。


本研究は、性交渉後にドキシサイクリンを内服するという、極めてシンプルな介入で、性感染症リスクを抱える人たちの健康に大きな変化をもたらす可能性があるインパクトのある研究であった。続報に期待したい。


一般名:ドキシサイクリン塩酸塩水和物は、テトラサイクリン系の抗生物質でビブラマイシンと呼ばれています。


ビブラマイシンの内服を始める初日に200mgを1回又は2回に分けて経口投与します。2日目以降は初日の半分である100mgを1日1回内服します。なお、感染症の種類及び症状によって投与量は適宜増減します。


食事の影響を受けにくいと言われているため食後の内服にこだわる必要はありません。


性感染症として代表的な梅毒、クラミジアや淋病など、多くの細菌感染症に対して治療効果を持ちます。


主な副作用として、吐き気・嘔吐、食欲不振、発疹、発熱、じんましん、光線過敏症(光にあたった部分が赤くなる)、多形紅斑(皮膚の赤み)などが報告されています。


2023年2月5日日曜日

現在の梅毒流行の現状-10.2022年の梅毒ー

 2022年1年間の梅毒の新規感染者の累計は1万2966人でした。


2023年1月22日時点での患者数は、501人となっています。


2022年は10月5日までに届け出のあった梅毒の病期は、下記のとおりとなっています。


早期顕症梅毒Ⅰ期 3289人  


早期顕症梅毒Ⅱ期 2237人


潜伏梅毒 1317人


晩期顕症梅毒 59人


現在若い男女は梅毒に対するの識・情報不足が顕著であることから、梅毒トレポネーマに感染して初期症状があっても気づかないのが大半です。


初期症状が比較的わかりやすい性感染症ですが、正しい知識不足からそれすら知らないというのが現実です。


されにそれに拍車をかけて無症候梅毒が多いのも事実です。


また医師側にも性感染症を診ることが少ないという問題があるため、あまり深刻に考えていないこととから見逃しも多いようです。


これらが相まって発見の遅れと感染拡大につながっているのです。


特に問題なのは晩期顕症梅毒の段階で見つかった新規感染者が59人もいることです。


晩期梅毒とはゴム腫や進行性の大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、進行麻痺といった神経梅毒に発展する段階です。


梅毒は抗生物質で完治することから晩期梅毒は、これほど発生することはありえないことです。


これは見逃さない限りここまで進行することはありえないはずです。


大切なことは危険な行為をしてしまったときには、適切な時期に必ず梅毒検査を受けることです。