血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2022年2月20日日曜日

新型コロナウイルス-57.新型コロナワクチンのブースター接種はファイザーとモデルナのどちらが良いか?-

 多くの専門家の意見は、どちらでも良いのでとにかく接種することが大切と述べています。


3回目のブースター接種によって、重症化予防効果を再び高めることが重要となるからです。


しかし日本国内では、ファイザーの人気が高く、モデルナの人気は今一つが現実です。


この理由としては、今までの2回接種によってファイザーよりもモデルナの方が発熱、倦怠感、頭痛などの副反応が多いことに起因しています。


モデルナは3回目のブースター接種の際は投与量が従来の半分になっていることから、2回目と比べて3回目の副反応の頻度が大きく下がっています。


にもかかわらず3回目のブースター接種は、ファイザーよりもモデルナの方が少し副反応は多いという報告がなされています。


基礎疾患のある人や高齢者は、ファイザー、モデルナと言わずに受けやすいワクチンを選択して、3回目のブースター接種を受ける必要性があります。


ワクチン接種による効果は、感染・発症を防ぐだけでなく、重症化を防ぐ効果もあります。


3回目の副反応はファイザーもモデルナも大きな差はないというのが専門家の意見でもあります。


ファイザーとモデルナのそれぞれのワクチンの1回目、2回目、3回目接種後の副反応の頻度に関しては以下の文献を参照してみてください。


CDC 罹患率と死亡率の週報(MMWR)


※MMWR (Morbidity and Mortality Weekly Report)は、米国連邦政府公衆衛生局の下部機関であるCDC(the Centers for Disease Control and Prevention)の発行する疾病週報で病院感染対策に関連する記事を掲載しています※


2022年2月13日日曜日

新型コロナウイルス-56.ステルスクラスター-

 ステルスクラスター(感染者集団)とは、本人でさえオミクロン株に感染している自覚がない段階で感染を広げてしまうことを言います。



オミクロン株では、感染しても無症状や軽症にとどまるケースが目立ち、症状を自覚せずに周囲に広げてしまう事例が確認されています。


オミクロン株は感染力が非常に強く、水面下で急拡大する「ステルスクラスター(感染者集団)」が引き起こされています。


要するにオミクロン株は感染していることがわからずに、第三者に感染を広げているのが恐ろしいのです。


オミクロン株に感染して引き起こされる症状は、従来株でみられた特徴的な嗅覚や味覚の異常が起こらず発熱や鼻水、のどの痛みが目立ち、風邪かな、花粉症かなと思い込み感染に気づくことなく周囲に感染を広げているのです。


オミクロン株は健康な人では症状が軽かったとしても、高齢者や基礎疾患のある人には命取りになる可能性もあることから、少しでも体調に違和感を覚えたら必ず検査を受けル必要性があります。

2022年2月6日日曜日

新型コロナウイルス-55.母乳から新型コロナウイルスは感染しない-

 新型コロナウイルスに感染した母親が、母乳を通じてウイルスを赤ちゃんに感染させる恐れはないという研究結果が2022年1月19日、医学ジャーナルの『Pediatric Research』に掲載されましたま。


この論文から、 新型コロナウイルスに感染後やワクチンの接種後に子どもに母乳を与え続けてもよいとする専門機関の推奨が裏付けられたことになります。


カリフォルニア大学の研究者らが110人の女性のサンプルを分析した結果によると、最近ウイルスに感染した母親のうち、母乳に新型コロナウイルスの原因となる遺伝物質が含まれていた割合はわずかで、6%から9%だったという。


しかし、研究者らは母乳に感染性のウイルスやウイルスの複製を示す遺伝物質が含まれていたことを示す「証拠はない」と述べ、サンプルからウイルスを培養することはできず、遺伝物質は「一時的に存在する」だけだと述べています。


また、新型コロナウイルスに感染した母親から母乳を与えられた乳児が感染したことを示す「臨床的証拠」もなく、「母乳による育児は危険ではないと思われる」と論文の中で述べられています。


この論文からしてCDC(米国疾病対策センター)やWHO(世界保健機関)は、母親が母乳での育児を継続することを推奨しているが、これらの推奨が補強されたことになります。


母乳での育児には多くの利点があることは周知の事実ですが、ごくまれに母乳が病原体を媒介する場合も存在しています。


HIVやヒトT細胞白血病ウイルスは母乳からの感染も報告されていています。


WHOは、新型コロナウイルスに感染した女性が乳児に母乳を与える場合は、マスクを着用し、赤ちゃんに触れる前と後に十分に手を洗うなどの予防策を講じることを求めています。




2022年1月30日日曜日

新型コロナウイルス-54.ステルスオミクロン株-

 ステルスオミクロン株とは、現在流行しているオミクロン株の「BA.1」が変異し、「BA.2」となったウイルスを言います。


このオミクロン株の「BA.2」は、現在日本国内で実施しているPCR検査では検出可能ですが、「BA.2」か否かの判別は詳細な遺伝子検査をしないとステルスオミクロンであるということが判断できません。

海外の一部のPCR検査では、オミクロン株の「BA.2」をデルタ株と判定してしまうという報告もあります。


現在イギリスでは、オミクロン株の「BA.1」という型が現在流行の主流になっています。


ところがイギリス国内では「BA.2」という亜種が増加しつつあります。


2022年1月25日現時点の分析では、「BA・2」は、従来型より増殖が早いなどと分析されていますが、「BA.2」が従来型に比べて重症化しやすいかなどの詳細は分析中とされています。


PCR検査では、新型コロナウイルスが陽性か陰性かの判断は可能ですが、詳細な遺伝子検査をしないとステルスオミクロンであると判別出来ないと言うことです。


オミクロン株は、多くのPCR検査が標的とする3つの遺伝子のうち1つが検出されない「S遺伝子ドロップアウト」という特長を持つため、PCR検査の段階で他の新型コロナウイルスと容易に区別できましたが、新たに発見されたオミクロン株はS遺伝子ドロップアウトを持たないことから、PCR検査での変異株特定が困難になります。


ウイルスそのものを検出できることからPCR検査は引き続き有効ですが、従来のオミクロン株かステルスオミクロン株価の判断は、PCR検査では出来ないことになります。


このステルスオミクロン株の感染力は、従来のオミクロン株の約2倍あると言われています。


現実ステルスオミクロン株は、すでに40ケ国以上で既に確認されていて、そこには日本も含まれています。


従来のオミクロン株が減少傾向のデンマークでは、2021年から増え始めて、今は減少傾向にありますが、逆にステルスオミクロンは、2021年12月から増え始め、一気に主流になり置き換わっていいます。


日本の空港検疫1826例を分析したところ、従来のオミクロン株(BA.1)が1626例で全体の約89.1%、ステルスオミクロン(BA.2)が198例で全体の約10.8%となっています。


感染力が強いことからして、ステルスオミクロン株は今後日本でも増えていく可能性があります。


このまま行けばステルスオミクロン株による第7波がやってくる可能性は否定できません。


日頃から従来の感染予防対策を怠らないようにする必要があります。


※オミクロン株には、3つの亜種(BA.1、BA.2、BA.3)が存在していますが、現在流行しているのはBA.1ですが、デンマークではBA.2が台頭して来ており、英国、ノルウェー、スウェーデンでも小規模ではあるが増加傾向が見られています※

2022年1月23日日曜日

新型コロナウイルス-53.オミクロン株が増殖する場所-

 従来の変異株は、肺組織で増殖することから肺炎を起こしやすくまた重症化しやすい特徴があります。


一方オミクロン株は、上気道で増殖しやすく肺では増殖しにくいことから鼻水や喉の痛みがあって飛沫感染しやすいですが重症化しにくいという特徴があります。


※糖尿病・高血圧などの基礎疾患のある人や高齢者は重症化しやすいとの報告もあります※


※新型コロナワクチン未接種者は、感染しやすく重症化しやすいとのデータも増えつつあります※


感染してから発症するまでの期間は、平均3日と従来の変異株の5日に比べて短くなってきています。


これは潜伏期が短い方が感染者が増加するスピードが速くなっている所以です。


オミクロン株は新型コロナワクチンを2回接種している人が持つ免疫や、過去に感染した人が持つ免疫からも逃れて感染が成立しやすいという特性もあります。


このことから、オミクロン株の感染の広がりやすさの一部は、これら特性によるものと考えられています。


オミクロン株は特殊な経路で感染するようになったわけではなく、これまでと同じ感染経路で、これまで以上に感染しやすくなっただけですので、これまでの感染対策が無効になったわけではありません


従って従来の感染対策は有効です。


・接触感染対策としては、ウイルスで汚染した物、感染した人の手などに触れることで自分の手などにウイルスが付着し、その汚染した手で目や鼻など粘膜に触れない。


・飛沫感染対策としては、会話などで発生する飛沫を浴びないようにする。


・エアロゾル感染対策としては、特に換気の悪い屋内での長居はしない。


・オミクロン株は上気道で増殖することからして、念入りなうがいは感染予防に役立つとも考えられます。


※以上に気をつけて、こまめで念入りな手洗い・マスク着用・3密を避ける基本的な感染対策をしていく必要があります※

2022年1月16日日曜日

新型コロナウイルス-52.フルロナとは-

 新型コロナウイルス感染症(COVID19)とインフルエンザに同時に感染することを言います。


インフルエンザのインフル(flu)とコロナの(corona)の合成語でフルロナ(flurona)と呼ばれています。


フルロナの感染事例は世界各地で報告されており、専門家は感染力の強いオミクロン変異株の拡散に伴い、フルロナも増加する公算が大きいと考えているようです。


一部の専門家はフルロナについては、過度に心配する必要はないと指摘していて、新型コロナ陽性者がインフルエンザに感染すれば免疫システムの負担が増すため、インフルエンザに感染しないに越したことはないが、同時感染の確率はそれほど高くないとコメントとしています。


更にフルロナがオミクロン株に取って代わることはないと説明しています。


ウィスコンシン大学の研究者が2021年5月に公表したメタ分析によると、新型コロナ陽性者の19%が同時に他の病原体(ウイルスや細菌、真菌)にも同時感染していたということが明らかにされています。


更に新型コロナ感染者の24%が引き続いて別の病原体に重感染したということをも明らかにしています。


それではインフルエンザは再び大流行する可能性があるのでしょうか?


殆どの国や地域では、で2021年昨シーズンのインフルエンザ患者は少数にとどまっています。


しかし2022年今シーズンはこれまでのところ、コロナ禍前に近い水準で推移しているようです。


この原因としては、一時期の新型コロナウイルス感染者の減少に伴い、社会的距離や衛生への意識が希薄になり、感染予防対策を怠ったことに加えて、2021年にインフルエンザウイルスにさらされず免疫がつかなかったためだと分析しています。


2021年1月時点で、フルロナはイスラエル・スペイン・ブラジル・米国でも発生しています。


当然日本国内においても今後発生する危険性は十分ありますから、対策としては新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスへの感染予防対策を怠らないようにする必要があります。


2022年1月9日日曜日

新型コロナウイルス-51.オミクロン株の流行で新型コロナウイルスのパンデミックが収束??!!-

南アフリカでは、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が「前例のない速さ」で進みましたが、その症状は従来株に比べはるかに軽症で済んでいることと流行そのものが収まりつつあります。


2022年1月7日(現地時間)、南アフリカの研究陣がパンデミック(伝染病の世界的大流行)様相が終わりそうだという内容の研究結果を発表したことが注目されています。


南アフリカではオミクロン株が前例のないペースで急速に広がり、以前の変異株よりはるかに軽い症状を見せたというのがその根拠と指摘しています。


更にこうしたパターンが続き、世界的に繰り返されれば、"我々は感染者と死亡者の完全なデカップリング(脱同調化)を見ることができるだろう"と発言しています。


世界保健機関も2022年1月4日、オミクロン株について一部の地域の感染者数は過去最多となってるが、死亡者数は以前の流行と比べて少なく、デカップリング現象が表れていると伝えています。


こうした傾向はオミクロン株がコロナパンデミックの深刻な局面が終わる前兆になるというのが専門家らの分析です。


急速な伝染局面が終わり、特定の地域でインフルエンザのようなエンデミック(周期的流行)局面に入ったと言えるとしています。


オミクロン株が大流行している欧米に多いても南アフリカのように流行が、今後流行が収まるのかが注目されるところです。


我が国においてはこれからオミクロン株の大流行が始まる前夜と考えられています。


大流行すればその後収まると考えるのはあまりにも短絡的でしょう。


南アフリカの状況は、新型コロナウイルスの流行を告げる予兆とも考えられ、少し希望が見えてきたとも思われますが、やはり今まで通り感染対策をして、オミクロン株に感染しないように気をつけることです。


2022年1月3日月曜日

新型コロナウイルス-50.オミクロン株に対する注意-

 1.デルタ株より感染力が強い


2.多くの変異があることから、

1)免疫逃避があることからワクチンによる予防効果が低くなる


※免疫逃避能とは、人の免疫から逃避して感染させる可能性が高い※


2)発症予防効果はワクチンの2回接種では低く、3回接種でかなり高くなる


3)ワクチン接種により重症化しにくい


これらを踏まえて我々はどのように対処すればよいのか


1.3密を避ける


2.マスクを正しくつける


3.十分な手洗いをする


4.室内換気を行う


5.ソーシャルディスタンスを取る


6.ワクチン接種


以上基本的な感染予防対策は、従来と変わることはありません。

2022年1月1日土曜日

新年のご挨拶

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。


旧年中はお世話になりました本年も宜しくお願い申し上げます。


本年も皆様のお役に立つ情報を発信して行く所存です。


血液の鉄人

2021年12月26日日曜日

新型コロナウイルス-49.オミクロン株について現在分かっていること-

 2021年12月25日時点でオミクロン株について分かっていることをまとめてみました。


オミクロン株は現在世界100ケ国以上で流行していおり、今後益々感染者が増えると懸念されています。


日本国内に置いても感染者数は増加しつつあります。


以下にオミクロン株で分かっていることをまとめてみました。


1.デルタ株よりも感染性が高い(実効再生産数がデルタ株の4倍)


※実効再生産数は、ある時点において1人の感染者が全感染期間に感染させる人数の平均値※


2.入院頻度はデルタ株より低く、重症化することはデルタ株より高くないとされていますが、今後感染者が増えれば重症者が増加することが懸念されており、感染者の増加が医療体制を圧迫してくることが懸念されています。


3.オミクロン株は免疫逃避があることから感染しやすいことが分かっていますが、新型コロナワクチン2回接種で重症化を抑制することが可能となり、3回接種でブレイクスルー感染・重症化を抑制する効果があることが確認されています。


4.オミクロン株は新型コロナワクチン接種した人は軽症、場合によっては「ただの風邪」でとどまる可能性があると言われていますが、現時点での毒性は未知数です。


5.高齢者など体力が弱っている人や基礎疾患のある人が感染すると、これまでの新型コロナウイルスと同様、重症化する可能性があるので見くびってはいけません。


現在日本国内では新型コロナウイルス感染者は、以前に比べて激減していますが、完全に収束はしていません。


一部の地域では感染者が増加する傾向が見られています。


感染は終わったなどと軽々しく考えず感染予防を怠ると欧米のように国中がオミクロン株感染者で埋め尽くされる危険性は十分にあります。


従って従来通りマスク着用・こまめな手洗い・3密を避ける、といった基本的な感染対策を続けていく必要があります。

2021年12月19日日曜日

新型コロナウイルス-48.オミクロン株とワクチンの追加接種について-

 新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種でオミクロン株による重症化を約85%防ぐことができるとする分析結果をイギリスの研究チームが2021年12月16日公表しました。


しかし新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種による効果は、オミクロン株ではその他の変異株よりも低いことも発表されています。


オミクロン株の流行は世界的にも極めて速いスピードで拡散していて、全世界で流行するのは時間の問題となっています。


当然日本国内での感染者も増加しつつあります。


急速に流行が拡大し続けるオミクロン株についての医学的・科学的情報は少なく、ワクチンの効果がどの様になるのが、またオミクロン株に感染した場合、どれほど軽く済むのか、あるいは重症化するのかの研究を世界中の専門家が精力的に行っていますが、現時点では確定的なことは分かっていません。


2021年12月18日時点では、酸素吸入や人工呼吸器を必要としている患者は少なく、入院期間も短いこと、が言われていますが今後患者数が増えればこの現実は覆ることもありえます。


ワクチンを2回接種していても、すでに感染した人が多く存在することからして、このことがワクチンがオミクロン株の感染を防ぐ効果は低くなっていると言えます。


しかしワクチンが重症化は防いでいることも事実です。


現在の見解ではオミクロン株の毒性がほかの変異株より弱いという事も言えません。


従来通り感染予防対策に心がける必要があります。

2021年12月12日日曜日

新型コロナウイルス-47.オミクロン株に感染した場合の症状-

2021年12月11日現在世界50カ国以上で感染者が報告されていて、国内では4人の日本人の感染者が出ています。


オミクロン株に感染した場合の症状としては、現時点では無症状の人もかなり多く、強い頭痛、喉の痛み、体の痛み、気分が悪くなることが主な症状です。


一方、他の株感染でみられた現時点では、味覚・嗅覚異常はほとんどなく、酸素吸入療法を必要とするケースは無いようです。


更にオミクロン株に感染してで死亡したという報告はありません。


反面他の株に比べてオミクロン株は感染力が極めて高いのが特徴で、海外での報告では3倍ほど感染力は強いとされています。


南アフリカなどでは、2~3週間で75%の感染者がデルタ株からオミクロン株に変化しているとの報告が課されています。


オミクロン株が出現してから僅かしか経過していないことから、ワクチンの有効性や死亡率などは現時点でははっきりと分かっていません。


感染者が今後増加するにつれて死亡率が高くなる危険性は否定できていません。


2021年12月5日日曜日

新型コロナウイルス-46.オミクロン株の現状-

 オミクロン株は、2021年11月11日にボツワナで採取された検体から初めて発見され、その後南アフリカ共和国からも見つかっています。


その後南アフリカ共和国では新規感染者数が急増しています。


2021年12月3日時点でオミクロン株の症例が確認された国や地域は日本を含め36カ国になっています。


これまでに世界中で報告されているオミクロン株による症例のうち、重症度に関する情報が得られているものでは、約半数は無症状で、残り半数は軽症とのことです。


現時点では、重症化した症例や入院、死亡例は報告されていません。


今後ワクチン非接種者、高齢者にも感染が広がれば重症者が増えてくる可能性はあり得ることです。


オミクロン株は、30を超える変異を持ち、感染成立に関わるスパイク蛋白にも多くの変異があることから、ワクチンの効果を低下させ、再感染のリスクを高める可能性が懸念されています。


実際にこれまでにワクチン接種者でも感染例が報告されていますが、ワクチン接種による感染予防効果は時間とともに低下しますので、この報告だけでオミクロン株のワクチンへの影響を推し量ることはできません。


ワクチン接種者や回復者の血清のオミクロン株や疑似ウイルスに対する中和能力を評価する研究が必要ですが、この結果が得られるまでは数週間はかかるものと思われます。


2021年12月3日世界保健機関(WHO)の緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は「オミクロン株」に対して、「既存のワクチンを改良する必要性を示す根拠はない」と述べていますが、現在の世界保健機関の言うことは説得力がありません。


2021年12月の時点ではオミクロン株は、デルタ株より感染力が強く、病原性も高い変異ウイルスなのか、感染力は強いものの、重症化の割合は低い変異ウイルスなのか全くわかっていません。


私たちができる対策は、三密を避ける・マスク着用・十分な手洗いなどこれまでと変わりません。


厚生労働省の専門家会合も、ワクチン接種の推進に加えて、マスクの着用、消毒や密を避けるといった基本的な対策を続けるよう呼びかけています。

2021年11月28日日曜日

新型コロナウイルス-45.南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの変異株オミクロン-

 2021年11月26日世界保健機関は南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異株「B.1.1.529」に対して、懸念される変異株(Variant of Concern : VOC)に指定し、オミクロンと命名しました。


この変異株は2021年11月9日に南アフリカで初めて見つかり、同月24日に南アフリカによって世界保健機関に初めて報告されています。


オミクロン株は多数の変異があり、デルタ株など他の懸念される変異株(VOC)よりも再感染リスクが高いことを示す「暫定的な証拠」があり、感染拡大のペースも速い可能性があるとした。

従来のPCR検査で検出は可能ですがオミクロンの感染力・重症度・ワクチンに対する効果・治療などに関しての分析は今後数週間以上かかるとされています。


※懸念される変異株(VOC)は最も危険視される変異株の分類に属し、現在世界の主流株となっているデルタ株や、アルファ株やベータ株、ガンマ株が指定されています※


この変異株は南アフリカで急速に感染が拡大し、周辺国にも広がっていることから、感染力が強い可能性があり警戒が必要とされています。


ここでひとつ素朴な疑問がおこります。


世界保健機関は、新型コロナウイルスの変異株の命名方法として24文字のギリシャ文字を順番に使うと言っていながら今回はその順番を変えたことです。


一つ前の変異株はミュー株ですから本来ならこの変異株には、ミューの次のニューを使うはずですが、今回はなぜかニューとクサイのふたつを飛ばしてオミクロンを使いました。

これは何故なのでしょうか?


現在の世界保健機関のやることは全てといつて良いくらい一貫性がなく、信用できない国際機関となっています。


このことは多くの人が疑問に思っていることと思います。


【日本国内の動き】


2021年11月26日国立感染症研究所は、オミクロン株の警戒レベルを3段階中2番目に高い「注目すべき変異株(Variants of Interest:VOI)」に位置づけました。


日本国内では2021年11月26日までに国内や検疫で見つかってはいません。


このオミクロン株の性質は「十分な情報が得られていない」発表されていて監視態勢を強化しています。

2021年11月21日日曜日

HIV感染のタイムテーブル

 1.感染後5日間は、暗黒期(eclipse period)と呼ばれどの検査法でも感染を証明することは不可能です。


2.感染後6~8日においては、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で検出可能とされていますが、実際は11日以降に受けることで感染を見逃すことはありません。


3.感染後13~18日においては、HIV-1ウイルス蛋白(p24抗原)が検出可能となるりますが、その量が少ないと見逃す可能性が高いことから、感染後30~50日以内に受ければ見逃すことはありません。


※p24抗原は、HIV-1のカプシドの構造蛋白で、感染初期に検出され抗体陽転(seroconversion)すると消失します※


※HIV抗体が産生される前比較的初期HIV感染を検出できます※


3.感染後20日でIgM抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgM抗体が少ないと見逃してしまいます。


4.感染後30日でIgG抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgG抗体が少ないと見逃してしまいます。


第四世代のHIVの簡易検査は、HIV-1の「構造蛋白」p24抗原とIgM、IgGの抗体検出可能とされていてp24が感染後13~18日からわかることからして、不安な行為から3週間経過していればほぼ判定可能と言われていますが、人によっては血液中のp24抗原とIgM、IgGの抗体の量が少ない場合偽陰性となってしまいます。


従って第四世代のHIVの簡易検査は不安な行為から30日以降に受ければ偽陰性は防止できます。


5.確認検査


HIVスクリーニング検査で陽性となった場合、HIV-1とHIV-2をWestern Blotting(WB)法で鑑別確認を行いますが、この検査は感度が悪いことから、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で陽性となった場合や抗原抗体検査の早い時期に陽性となった場合は、あまり役に立たない検査です。


早期に陽性となった場合は、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で確認検査を行います。


HIV-2とはHIV-1発見より数年後に発見されたウイルスで西アフリカに多く、HIV-2に感染してもAIDSはめったに発症しません(LTNPs : long-term non-progressorsと言います)。


HIV感染して5年後AIDSを発症しないのはHIV-1が67%、HIV-2は100%という調査結果があります。


HIV-2が特に多い地域は、象牙海岸、ブルキナファソ、ギニアビサウ、セネガル、ガンビアなどの西アフリカ諸国です。


HIV-2は核酸増幅検査(リアルタイムPCR)やp24抗原で見つけることは出来ず、抗体検査のみでしか検出できませんので、HIV-2の感染を疑った場合は、確認検査としてWB法を行います。


HIV-2抗体は感染後12週で検出可能となりますから、現在でもHIV抗体検査でしか見つけられません。


日本国内でのHIV-2感染者は数例しか見つかっていません。

2021年11月14日日曜日

新型コロナウイルス-44.新型コロナワクチンの種類-

2021年11月 時点で使用されている新型コロナワクチンについて解説いたしします。


1.ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製は、mRNAというウイルスの遺伝子コードの一部を注射することで人間の免疫システムを活性化して感染予防するワクチンです。

※有効性 90%


2.英国アストラゼネカ製は、チンパンジーがかかる風邪ウイルスを遺伝子操作したもので、「スパイクたんぱく質」と呼ばれる新型コロナウイルスの一部の「設計図」が含まれ、これを体内に接種することで生体はスパイクたんぱく質を作り始めます。


そして人の免疫系がこれを攻撃することを学習し、やがて実際に新型コロナウイルスが体内に入ったときには、同じようにこれを攻撃できるようになるワクチンです。


※有効性 76%


3.中国製ワクチンは、新型コロナウイルスを化学的に処理して不活性化した新型コロナウイルスの一部を使って体の免疫系を刺激する不活化ワクチンです。


※有効性 79%とされていますが、実際はもっと低いと考えられています※


※※妊婦に対する安全性や、高齢者や基礎疾患のある人への安全性と有効性のほか、承認後の安全性監視手続きで発覚した副反応の評価について、信頼できる科学的証拠が足りないとも指摘されています※※


4.ロシア製スプートニクスVワクチン


ロシア2020年8月、世界に先駆けて国産ワクチンのスプートニクVを承認し使用し始めましたが、最終段階の大規模な治験の結果が出る前だったため、安全性を疑問視されています。


このワクチンはアデノウイルスウイルスベクターワクチンで、コロナウイルスのタンパク質を作る遺伝子を改良したヒトの風邪ウイルスを使って体内に運び、免疫反応を引き起こす。


医学雑誌ランセット誌のコメントは批判の背景として、開発のスピードや透明性の欠如があったと指摘しています。


有効性は91.6%とされています。


まとめ


新型コロナワクチンの開発で、異なる有効性のデータが表れるのは中国製ワクチンだけでなく、スプートニクスV、英アストラゼネカ、ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製も同様です。


問題は中国やロシアの開発メーカーは欧米企業に比べて安全性や試験に関する情報の開示が少なく、疑いを高めているということです。


2021年11月時点では、日本国内に置いて認可されたワクチンは、ファイザー製、モデルナ製、英アストラゼネカ製の三種類だけです。


中国製とロトア性ワクチンは日本国内では認可されておらず使用されていません。


日本製ワクチンは未だ1社も認可されていません。

2021年11月7日日曜日

2020年1年間のHIV感染者とAIDS患者数

 1.新規HIV感染者数・・・750人


2.新規AIDS患者数・・・345人


3.新規HIV感染者数と新規AIDS患者数総数・・・1095人


4.新規HIV感染者の感染経路と年齢層


・同性間感染・・・543人(全HIV感染者報告数の約72%)


・異性間感染・・・96人(全HIV感染者報告数の約12%)


・薬物注射・・・5人


・母子感染・・・1人


※年齢別では特に 20~40 歳代が多い※


5.新規AIDS感染者の感染経路と年齢層


・同性間感染・・・190人(全AIDS感染者報告数の約55%)


・異性間感染・・・57人(全AIDS感染者報告数の約16%)


・薬物注射・・・3人


・母子感染・・・0人


※年齢別では特に 30~50 歳代が多い※


6.まとめ


1)2020年の新規HIV感染者報告数は、2019年より減少しており、4年連続での減少となっていますが、新型コロナウイルス流行による検査者の減少が影響している可能性は否定できません。


2.新規HIV感染者及び新規AIDS患者報告の感染経路は、性的接触によるものが80%以上を占めており、やはり男性同性間性的接触によるものが多い。 


2021年10月31日日曜日

新型コロナウイルス-43.マスクの種類別の新型コロナウイルスの予防効果-

 まずマスクの正しい使用法とは、


1.マスクは鼻にフィットさせてしっかりとした着用を徹底し、感染リスクの比較的高い場面では、過能な限りフィルター性能の高い不織布マスクを着用し、三密のいずれも避け、特に人と人との距離は十分に取る。


2.いくらマスクをしっかりと着用していても、室内で会話時間は可能な限り短くし、大声は出さないように心がける。


3.当然換気には注意する。


国立研究開発法人・理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーション結果から判明した、マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率は以下のとおりです。


【マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・80%


2.ウレタンマスク・・50%


3.布マスク・・66~82%


【他人から吐き出される飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・70%


2.ウレタンマスク・・35~45%


3.布マスク・・30~40%


この結果からして不織布マスクとそれ以外のマスクの性能差、とりわけ頻用されているウレタンマスクの性能の低さは明白となっています。


この差からして感染力の非常に強いデルタ株でこの差はかなり大きいと推測されます。


※敏感肌や皮膚疾患があるため、かぶれ防止で不織布以外のマスクを選択している方は、不織布マスクと皮膚の間に綿ガーゼを挟む・マスクの接触部分の汗をこまめに拭くなどで、一定のかぶれ防止効果が得られます※


マスクでの感染予防において装着法が重要となります。


不織布マスクを着用する際には鼻の部分をフィットさせ、着用時はまずノーズピースをきちんとフィットさせ、そこを抑えたままプリーツを引き延ばして顎にかけ、最後に耳ゴムをかけることでマスクと顔面の隙間を過能な限り少なくすることが感染対策して重要となります。


外出は必要最低限しかしなかった、更に外食もせず、職場でも常にマスクをしていたが感染してしまったと嘆く話をよく耳にすることがありますが、これは何故なんでしょぅか?


これらを分析しますと以下のことが明らかになっています。


1.勤務先でマスクをしていたが、窮屈になり顎マスクにした時に隣席の人と会話をした。


2.休憩所や更衣室でマスクを外した時に他の人と会話をした。


3.混み合っていた喫煙所に入ってタバコを吸った時。


デルタ株が流行している現在1~3の行為は当然感染リスク高い行為となってしまいます。


また、ウイルス量が多いデルタ株の場合、当然ながらマイクロ飛沫感染のリスクが高まるため、室内の換気も今まで以上に重要となります。


換気を行う場合は、窓や扉を2ケ所以上開けて空気の流れを作ることが重要です。


窓が1箇所しかない場合は、空気の流れを作るために扇風機や換気扇を併用して空気の流れを作り換気できるようにすることです。

2021年10月24日日曜日

2021年冬インフルエンザ大流行の可能性!!??

 新型コロナウイルスが猛威を振るった昨季(2020~2021)はインフルが全くと行って良いくらい流行せず、今季(2021~2022)も2021年10月現時点で患者はほぼ報告されていません。

しかし日本感染症学会関連学会は、今季は流行の可能性があると予測していて、ワクチン接種を検討してほしいと呼び掛けています。


厚生労働省は2020年、秋から春にかけて全国の医療機関から届出があった患者数は9人で、流行の兆しは見られていないとしています。


ところが世界保健機関は、バングラデシュやインドなどで今夏に流行が確認されていて、海外では今後の流行を警戒する動きが出ており、英国政府は今年は例年の1.5倍の流行になる可能性があるとして注意を呼び掛けています。


日本感染症学会は、新型コロナウイルス感染防止で2020年から定着したマスク着用などの感染対策が効果を発揮したと指摘しています。


反面今季については、海外からの人の往来が再開されれば、世界中へインフルエンザウイルスが拡散されると懸念しています。


現時点ではインフルエンザと新型コロナウイルス感染症との症状の見分けがつかないことから、治療の遅れも懸念されています。


2019~2020年シーズン、インフルエンザに罹患した人は極めて少なかったことからして社会全体の集団免疫が形成されていないことから、一度流行が始まれば大流行する危険性が指摘されています。


個人的な意見となりますが、2021~2022年シーズンにおいても、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨します。


ただしインフルエンザワクチンを接種するか否かは、メリット、デメリットを良く判断して決めてください。


日本感染症学会の『2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方』のリンクページを以下に記載しておきますから、よくお読みください。


https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=44


日本感染症学会 https://www.kansensho.or.jp/

2021年10月17日日曜日

新型コロナウイルス-42.新型コロナウイルス抗原検査キットについて-

 現在ネット等で販売されている新型コロナウイルス抗原検査キットは、国が承認した体外診断用医薬品ではなく、研究用として販売されている検査キットです。


この研究用検査キットは、感度や特異性など検査キットが本来有する性能等が確認されていません。


研究用検査キットは、新型コロナウイルス感染の有無を調べることを目的としているものではありません。


研究用検査キットの中には、あたかも国が承認したものであるかのような表示をしている物もあることから購入時には十分注意して体外診断用医薬品を購入してください。


【購入時の注意点】


薬局にて薬剤師に相談して必ず「体外診断用医薬品」と表示されたキットを購入してください。


2020年5月エスプラインSARS-CoV-2(富士レビオ)、2020年8月クイックナビ-COVID19Ag(デンカ株式会社)、2020年10月イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2(株式会社タウンズ)が順次承認を受けた、2021年10月現在14社16製品のイムノクロマト法による抗原簡易検査キットが承認されて薬局で販売されています。


【特徴】


・感度はPCR検査に比べてかなり低い。


・特異性は非常に高い。


【検査検体】


鼻の奥、鼻咽頭の中に綿棒を入れる「鼻咽頭ぬぐい液」の採取がもっとも感度がよい方法ですが、一般の人にはなかなか難しい手技であるため、「鼻腔ぬぐい液」を採取するのが一般的です。


【判定】


15~30分で結果が分かります、この時間はメーカ添付文書に記載された時間を厳守する必要があります。


・陰性・・・抗原検査陰性即ち感染していないことを正しく判定できる感度は約40~90%と製品ごとにばらつきがあります。


※無症状の場合、ウイルス量がとても少ない可能性があるので、感染していても陽性とならない「偽陰性」が起こることは否定できません※


※検査が陰性であっても新型コロナウイルス感染症の症状がある場合は、迷わず医療機関を受診してください※


・陽性・・・抗原検査陽性即ち感染しているを正しく判定できる特異度はほぼ100%です。


・判定保留・・・陰性又は陽性の判断がつきにくい場合ですが、再度検査をする必要があります。


【抗原検査を薬局販売した目的】


厚生労働省の承認を受けた新型コロナの抗原検査キットは、現時点では「健康なときに薬局であらかじめ購入しておき、症状が出た場合に自宅で検査をおこなう」という使い方を想定していますので、体調不良時に近所の薬局へ抗原検査キットを買いに行くのではなく、このような場合は薬局ではなく医療機関を受診する必要があります。


【購入時の注意点】


承認された抗原検査キットを購入する場合、薬剤師から検体の採取方法などの説明を受け、最後に内容を理解したかどうか確認する書類に署名が必要です。

2021年10月10日日曜日

新型コロナウイルスについて-41.デルタ株“空気感染”する?!-

 感染力が強いデルタ株の流行が主流になるにつれ"新型コロナは空気感染する"と考える人が多く出てくるようになりました。

新型コロナウイルスは本当に空気感染するのでしょうか??!!

今、わかっていることをまとめました。

2020年2月当初は新型コロナウイルスの感染対策にあたっていた日本の専門家は、下記のような感染の特徴に気付きました。

新型コロナウイルス流行の最初の頃、世界保健機関や各国の権威ある研究機関は、新型コロナウイルスの感染は、以下の2つと考えていました。

1.咳をしたり、大声を出した際に出される飛沫に含まれるウイルスからの"飛まつ感染"。

2.ウイルスが付着した手で鼻や口を触ることで感染する"接触感染"。

その後の感染経路を調査した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛沫がしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。

咳などで口から出た飛沫は、空気中に漂わずすぐに落ちてしまいますが、空間を漂う"マイクロ飛沫"による感染があることに気付いたのです。

この発見をもとに、日本で考え出された感染対策として、手洗いや消毒・マスク無しでの会話を避ける・「密閉・密集・密接」の3密を避けるという対策が生まれ、世界保健機関や世界各国の研究機関などでも紹介されるようになった訳です。

それでは感染力が強いと言われているデルタ株が主流になった現在、さらに感染しやすくなって"空気感染"が発生しているのでしょうか??

その前に空気感染とは どのような感染なのでしょうか。

感染者から体の外へ出た唾液などの飛沫が乾燥し、その中のウイルスが感染力を持ったまま空気に漂って広がり、これを吸い込むことで起きるのが空気感染と言います。

この空気感染は、直径5マイクロメートル(1000分の5ミリ以下)の"飛沫核"が数時間空中を漂い、同じ空間にいる人が吸い込んで感染することから、対策は極めて難しいとされています。

空気感染は同じ部屋の離れた場所で咳をしても、同じ部屋の中にいる多くの人が感染するとされています。

米国の疾病対策センター(CDC)によりますと、空気感染するのは結核菌・はしか・水ぼうそう・帯状疱疹の各ウイルスに限られているとしています。

はしかのウイルスの感染力は強く、感染対策を取らない場合、1人から12~18人に感染すると言われています。

新型コロナウイルスは、飛沫よりは小さいものの飛沫核ほど小さくはなく、一定の時間空間を漂うマイクロ飛沫での感染があるとされてきました。

米国疾病予防センターは、デルタ株の感染力や広がり方は、従来の株より2倍以上の感染力があり、ワクチン接種なしではより重症化する可能性があることなどウエブサイトには記載されていますが、"空気感染"についての記載は見当たりません。

日本国内でも政府の分科会が2021年8月中旬にまとめた提言でも「感染力の強いデルタ株で感染拡大が起きやすくなっている」と言いつつ、「主な感染様式はこれまでと変わらず、飛沫、もしくはマイクロ飛沫と考えられ、これまでの対策を徹底する必要がある」としています。

一方、米国疾病予防センターの内部資料では、従来の新型コロナウイルスでは、1人の患者は平均1.5人~3.5人程度に感染させていたのに比べ、変異株のデルタ株では平均5~9.5人程度に感染させる可能性がある記載されいて、最も高い感染力の場合には「水ぼうそうと同程度の感染力」がある可能性があると推定しています。

日本国内の専門家の多くは、デルタ株の感染力が強いが、現在時点では空気感染するという証明はされていないと発言しています。

デルタ株で感染力が強いのは患者が排出するウイルス自体の量が多いことが影響している可能性を指摘しています。

感染者から吐き出されるウイルス量が非常に多くなっていることから、あたかも空気感染するように見えるの可能性も否定できず、今後さらなる分析が必要とされています。

2021年10月時点において新型コロナウイルスは空気感染するという確たる証明はされていません。

しかし現実デルタ株には、空気感染を疑わせるほどの感染力があることは事実です。


2021年10月3日日曜日

抗体依存性感染増強とはなに

 抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)とは、ワクチンの接種などにより起こりうる現象です。


本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、本来体を守るべきシステムがあろうことか症状を悪化させてしまうという現象ということになります。


現在抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについてはほとんど解明されていません。


これまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告が一部されています、例えば、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)や中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、これは抗体依存性感染増強が原因と考えられています。


今まで新型コロナウイルスに感染し、自然免疫を獲得した人の間では抗体依存性感染増強のような問題は見られないことが複数の研究で示されています。


しかし最近では新型コロナウイルスに感染すると、感染を防ぐ中和抗体ばかりでなく、感染を増強させる抗体(感染増強抗体)が産生されることが発見されています。


新型コロナウイルスワクチンによる抗体依存性感染増強の危険性は2020年から一部の専門家らにより指摘されてきましたが、影響はないとする見方が大半でした。


またデルタ株に関して、ウイルスのトレードマークであるスパイクタンパク質に対する親和性が驚くほど高まったことにより、ワクチンが感染を促進したと考えられています。


そのことからして一部の専門家は、新型コロナワクチン接種により、SARS-CoV-2感染時に抗体依存性感染増強が起こることを懸念しています。


ファイザー社、或いはモデルナ社のワクチンでは中和作用のある抗体が十分に産生され、Th1細胞活性化も誘導されるため、抗体依存性感染増強が起こる可能性は極めて低いと考えられています。


実際にこれらのワクチンは、感染防御だけでなく、重症化防止にも有効であることが証明されています。


そのことからして新型コロナワクチン接種により誘導される抗体が結合しにくい新規変異株の出現や、経年的な抗体価低下への懸念は当然残こりますが、抗体依存性感染増強によるデメリットがワクチンのメリットを上回る可能性はどの段階においても極めて低いと考えられています。


2021年9月26日日曜日

エンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義

最近良く目にするエンデミック、ハイパー・エンデミック、エピデミック、 アウトブレイク、パンデミックの違いと定義について解説いたします。


 ・エンデミック(endemic:特定感染)

定義・・ある感染症が一定の地域で一定の患者が発生したり、一定の季節に繰り返し発生すること

【例】アフリカの一部の地域で一年を通じて流行しているマラリア。


・ハイパー・エンデミック(hyperendemic:特殊感染)

定義・・特定の地域の集団で他の地域と比較して感染症がより高い確率で持続的に流行していること。

【例】A国において患者が300人に1人なのに対し、他の一部のBやCの地域では、5人に1人が患者が発生している場合、A国でハイパーエンデミックが起こっていると言える。


・エピデミック(epidemic:過感染)

定義・・ある集団や一定の地域の中で予想以上に感染症の患者数が増加すること。

【例】毎年発生する季節性のインフルエンザ


・アウトブレイク(outbreak:感染症集団発生)

定義・・ある一定期間内に、ある限られた範囲内あるいは集団の中でたちの悪い疾患や感染症感染者が予想よりも多く発生すること。

医療施設内で起こる院内感染によるアウトブレイクは「院内アウトブレイク」と呼ぶこともある。

【例】2018年に福岡県内で発生した医療機関の接触者を中心とした麻疹患者の発生

2010年5月に始まり2011年10月に終息宣言が出された藤沢市民病院での「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)によるアウトブレイク」


・パンデミック(pandemic:人獣共通感染症の世界的大流行を表す意味)

定義・・世界各地の国や地域でエピデミックが発生すること。

【例】現在の新型コロナウイルスの流行

【アウトブレイクとパンデミックは似た概念】

アウトブレイクは限られた範囲における感染の流行を言いますが、パンデミックは感染が世界的規模に発展した状態を言います。

両者は相対的な表現であるためパンデミックとアウトブレイクの境界はそれほど明確ではありません。