血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2019年7月2日火曜日

性行為感染症アラカルト-6.第1期梅毒-

性行為感染症は減少傾向にあるのにもかかわらず、梅毒だけは2015年から急激に増加しています。

2019年6月16日現在2959人の患者が報告されています。

この数字は医療機関から保健所に届けられただけの数字ですから、実際この数倍の患者が存在していると推計されています。

何故梅毒が増加しているかについては、種々取り沙汰されていますが、その原因は未だはっきりしていません。

【梅毒とは】

梅毒トレポネーマによって引き起こされる性行為感染症です。

コンドームでの感染予防は完全ではありませんが、当然使用して感染予防をする必要があります。

性行為だけでなく、キスを含めたオーラルセックスでも簡単に感染してしまいます。

【第1期梅毒の症状】

梅毒トレポネーマに感染するとおよそ3週間後に、感染した部位に初期硬結・硬性下疳が出来るが、一般的に痛みなどはなく無症候状態で経過します。

陰部に病変があるときには、鼠径リンパ節が左右対称に腫れますが痛みはありません、これを"無痛性横痃(むつうせいおうげん)"と言います。

※"無痛性横痃(むつうせいおうげん)"は、一般的には"よこね"と言われています※

これらの症状は治療をしなくても自然に消滅しますが、体内には梅毒トレポネーマが存在し、第三者に感染させてしまいます。

この時期が特に感染力が強いことから、梅毒の流行阻止には第1期梅毒の症状が現れた時に治療を開始することが重要とされています。

最近の梅毒は、昔の梅毒に比べて典型的な第1期梅毒の症状を起こさないものが多く報告されています。

【第1期梅毒の検査方法】

この時期は、血液中に産生されたカルジオリピン抗体もTP抗体の量も少なく、STS検査もTP検査も陰性となるリスクが極めて高く検査の信頼性は低いです。

1.パーカーインキ法

硬性下疳の潰瘍の表面をこすって刺激したあとに出てくる分泌液には多量の梅毒トレポネーマが含まれていることから、分泌液をパーカーインクで染めて、光学顕微鏡で分泌液中の梅毒トレポネーマを検査する方法が一番手っ取り早い検査法ですが、最近ではこの方法で検査をする医師が少なくなってきています。

2.暗視野顕微鏡検査

また、暗視野顕微鏡で分泌液中の梅毒トレポネーマを調べる検査法もあります。

※パーカーインク法や暗視野顕微鏡検査は、医師や検査技師の技術や病変部位の梅毒トレポネーマの数に依存していることにくわえ、非病原性トレポネーマとの鑑別が難しく精度が低い検査法です※

3.IgM-FTA-abs検査

この時期信頼性の高い検査法は、IgM-FTA-absです。

梅毒トレポネーマに感染した初期には、IgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。

このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ 信頼出来る結果が得られます。

従って梅毒トレポネーマに感染後1ケ月を経過して、IgM-FTA-abs検査を受けると血液中のIgM抗体が減少していることから 偽陰性反応を起こすことがあります。

このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ 信頼出来る結果が得られます。

そのことからして、早く感染の診断を下したい時に利用される検査法です。

よくIgM-FTA-absを受けるところがわからない、医師に検査を受けたいと言って医師がIgM-FTA-absの事を知らない、 この医療機関では検査をしていないなどと言われて受けることが出来ないという相談を受けますが、IgM-FTA-absは全国どこでも検査は受けられます。

自施設で検査をしていなくても全国どこでも検査専門の会社に検査を依頼して受けることは出来ます。

梅毒は皮膚科が専門診療科となりますから、皮膚科を受診することです。

皮膚科専門医は、IgM-FTA-absのことを正しく理解していますから問題なく受けることが出来ます。

2019年6月25日火曜日

性行為感染症アラカルト-5.咽頭淋菌感染症-

近年の性の多様化によるオーラルセックスの増加により淋菌が咽頭から検出される症例が増加しており、男女問わず性器淋菌感染者の約30%の咽頭から淋菌が検出されています。

咽頭に淋菌が感染していても炎症症状が自覚されない場合が多く、感染に気付くことが少ないのが現実です。

オーラルセックスで咽頭に淋菌が感染すれば咽頭炎などを起こし風邪などの症状がでることがありますが、ほとんどの場合自覚症状がありません。

咽頭の淋菌感染は治療後の性器感染の再発の原因となるので、感染機会がなく再発した場合には咽頭感染も疑うべきです。

オーラルセックスの増加により、淋菌が咽頭から検出される例が増加し、男性、女性ともに性器の淋菌感染症例の30%程度が咽頭淋菌陽性です。

性器から淋菌が検出された男性の12~29%に咽頭から淋菌が検出率されています。

また、性器から淋菌が検出された女性の33~70%に咽頭から淋菌検出率されています。

【咽頭淋菌感染症の現状】

性風俗産業で働いている人の咽頭からは淋菌が多く検出されています

しかしほとんどの症例において何の症状もなく、また咽頭が赤く腫れる・扁桃が腫れるなどといった症状も殆ど見られず、医師が診察しても見落とすし事例が多く発生しています
性風俗産業で働いている人は、性器への淋菌感染よりも咽頭への淋菌感染が多いという調査結果があります。

これらのことから風俗店でのキスを含めたオーラルセックスでの咽頭感染が多いと考えられています。

【淋菌の特殊な感染ルート】

性器に淋菌感染があった場合、排尿などで性器に触れた後十分に手洗いをしないで、眼をこすることで眼に感染することがあります。

淋菌がついた手指で眼をこすったりすると、そこから鼻涙管や下鼻道を通り、咽頭感染してしまうこともあります。

【咽頭淋菌の検査の盲点と誤り】

咽頭淋菌の検査にPCR法を受けてはいけないことは絶えず申し上げています。

何故なら遺伝子増幅法であるPCR法はナイセリア属と交差反応を示すため、咽頭に常在している非病原性のナイセリア属の細菌を淋菌と間違えて検出してしまい、淋菌に感染していなくても陽性となってしまうのです。

いわゆる"偽陽性反応(ニセの反応)"が起こるわけです、そのために淋菌の性器感染検査に使用される遺伝子増幅法であるPCR法は咽頭感染の検査には適していません。

よく咽頭に淋菌感染が認められて治療を幾らしても検査が陰性とならないということを聞きますが、これは検査に遺伝子増幅法であるPCR法をしたために淋菌でない非病原性のナイセリア属を検出していることからいくら抗生物質で治療してもPCR検査が陽性となっている結果です。

医師の中には咽頭淋菌の検査に遺伝子増幅法であるPCR法を使用できないことを知らない医師もいることは事実です。

咽頭淋菌検査が陽性となり、幾ら抗生物質を服用しても治癒しない症例を詳細に調べた結果、咽頭淋菌の検査をPCRで受けた人が殆どという調査結果があります。

PCR検査は性器淋菌感染には有用な検査法です。

※咽頭淋菌検査をPCRでしてしいけないことを理解していない医師が多いことも事実です※

※咽頭淋菌検査をPCR検査を受けてはいけません※

咽頭淋菌の検査

咽頭淋菌感染の検査は、ナイセリア属と交差反応をしめさないSDA法(Strand Displacement Amplification)または、TMA法(Transcription Mediated Amplificatio)による検査を行います。

咽頭に淋菌が感染しているかどうか、SDA法やTMA法検査を受けhttp://voxsangman.blogspot.jp/2012/06/10sda.html
http://voxsangman.blogspot.jp/2012/06/11tma.htmlないと分かりません。






2019年6月18日火曜日

性行為感染症アラカルト-4.淋菌感染症-

淋菌感染症は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の感染によって引き起こされる性行為感染症です。

淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅することから性交やオーラルセックス以外で感染することは極めて稀です。

【感染経路】

殆どがコンドームなしの性行為やオーラルセックスで感染します。

【感染場所】

男性の場合は尿道、女性の場合は膣。

最近の性の多様化から男女とも咽頭や肛門への感染も多く報告されています。

【潜伏期間】

2~9日の潜伏期を経て特に男性には症状が現れやすいですが、女性の場合は症状がない場合が多く認められます。

【淋菌の感染確率】

1回の性行為による感染伝播率は約30%と言われています。

【症状】

男性の多くの場合膿性の分泌物が尿道から排泄され、排尿時に疼痛を生ずる。

しかし最近では、男性の場合でも昔からの淋菌感染症特有の症状が現れることは少なくなり、尿道からの膿性の分泌物が出ることなく粘液性の分泌物であったり、排尿時の疼痛もなく無症状に経過することが多く報告されています。

女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、上行性に炎症が波及していくことがあり、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛を引き起こします。

その他、男女ともに咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となっています。

【検査】

市販キットとしては酵素免疫法(EIA法)・液相ハイブリダイゼーション法・PCR法・LCR 法があり、特にPCR法やLCR法は検出感度が非常に高く、分泌物と尿が検査の保険適用で検査を受けることができます。

酵素免疫法と液相ハイブリダイゼーション法は分泌物のみ保険適用となっている。

淋菌は死滅しやすい細菌で培養には特に注意が必要となります。

淋菌感染症では血清診断法は、信頼性が乏しく検査としての有用性は低い。

【治療】

スペクチノマイシン(筋注)、セフィキシム(経口)、オフロキサシン(経口)、ビブラマイシン(経口)などが一般的に使用されている。

セフトリアキソン(静注)も有効な抗生剤ですが、我が国では現在保険適用とはなっていない。

※特に淋菌性尿道炎に対する治療においては、抗生物質を内服するより注射薬の十分量を1回のみ投与し淋菌を確実に除菌する単回投与療法が推奨されています※

症状が全くなくなっても副作用が出ない限り抗生物質は医師に処方された分をきちんと服用しきることが大切で、途中で自己判断で服薬を中止すると再び淋菌が勢いを盛り返し完治しない可能性があります。

近年、ニューキノロン系薬に対して抵抗性を示す淋菌が増加してきています。

【日本人の感染実態】

男性の場合20歳代前半の年齢層に多く、10歳代後半の罹患率は20歳代後半より高い傾向が見られます。

女性においては男性に比べより若い世代に感染者が分布していて、男性と同様にその罹患率は年々上昇傾向にあります。

※女性の数が男性より極端に少ない理由としては、女性は自覚症状に乏しく受診の機会が少ないことも要因の一つと考えられています※

【感染予防】

コンドームを正しく使用することで感染予防が可能と言われています。

感染部位がコンドームに覆われない部位にあった場合にはその感染部位から感染してしまう可能性があることから、いくらコンドームを正しく使用しても感染予防はできません。

淋菌に一度感染しても免疫は得られず何度でも再感染します。

【HIV感染との関連性】

淋菌に感染して性器粘膜や尿道の粘膜がただれていることから、HIVの感染リスクが極めて高くなることが報告されています。

2019年6月11日火曜日

性行為感染症アラカルト-3.保険適応されているクラミジア・トラコマチスの核酸増幅検査-

現在我が国で保険適応されているクラミジア・トラコマチスの核酸増幅検査を以下に紹介します。

1.TMA法(Transcription mediated Amplification)

製品名 アプティマCombo2 クラミジア/ゴノレア

製造発売元 富士レビオ

検査に使用する検体:男性尿道擦過物・子宮頚管擦過物・男性尿・咽頭擦過物・うがい液

2.SDA法(Strand Displacement Amplification)

製品名 BDプローテック クラミジア・トラコマチス ナイセリア・ゴノレア

製造発売元 日本ベクトン・ディッキンソン

検査に使用する検体:男性尿道擦過物・子宮頚管擦過物・男性尿・咽頭擦過物

3.TaqMan PCR法

製品名 コバス4800システムCT/NG

製造発売元 ロッシュ・ダイアグノスタィックス

検査に使用する検体:子宮頚管擦過物・男性尿・咽頭うがい液

4.Real-timePCR法

製品名 アキュジーンm-CT/NG

製造発売元 アボットジャパン

検査に使用する検体:男性尿道擦過物・子宮頚管擦過物・男性尿・膣擦過物

5.PCR法

製品名 ジーンキューブ クラミジア・トラコマチス/ナイセリア・ゴノレア

製造発売元 東洋紡

検査に使用する検体:子宮頚管擦過物・男性尿

6.TRC法(Transcription Reverse-transcription Concerted Raction)

製品名 TRCReady CT/NG

製造発売元 東ソー

検査に使用する検体:男性尿道擦過物・子宮頚管擦過物・男性尿・咽頭擦過物・うがい液

上記核酸増幅検査は、感度特異度共に極めて高くクラミジア・トラコマティスと共に淋菌も検出可能です。

特に男性の検査の場合、痛みの伴う尿道にスワブ(綿棒のようなもの)を挿入して尿道の擦過物を採取しての検査の必要がなく、初尿での検査が可能となったことです。

【注意】

核酸増幅検査はクラミジア・トラコマティスの検査としては、極めて感度特異性の高い検査ですが、咽頭の淋菌検査に使用すると咽頭内常在の非病原性と交差反応を起こし、偽陽性反応を引き起こすことから咽頭の淋菌感染には使用できません。

2019年6月4日火曜日

性行為感染症アラカルト-2.クラミジア・トラコマチス感染症 その2-

【検査】

1) クラミジア抗原の検出

現在クラミジアに感染しているかどうかがわかります。

2)即日検査

【男性】 採尿による検査

※クラミジアの感染がその日に判明することから、多くの施設で検査されていますが即日検査は精度が落ちることから、翌日~翌々日に結果報告が出るPCR検査等の検査を受けることをお勧めいたします※

【女性】

子宮口ぬぐい液や膣分泌液による検査。

3)血中クラミジア抗体(IgA、IgG検査)

男女とも血液で検査が可能ですが、以下のような欠点があります。

1.クラミジアが完全に体の中からいなくなって治癒後にも、IgG抗体だけでなくIgA抗体も陽性となることから、現在感染しているのか、治癒後なのかが正確に判断できません。

2.クラミジア抗体検査が陽性で、尿や粘膜からの検査を受け直した結果、現在クラミジアの感染はなく、過去に感染して治っていて、治療の必要のない事例が多く見られます。

3.血液でクラミジア抗体検査を受けても結局、通常の尿検査や粘膜検査を再度受け直す必要があることからして、クラミジアの血液検査を受けることはお勧めできません。

4.正確に感染判断をするには最初から尿検査や粘膜検査を受けることをお勧めします。

5)PCR検査

患部分泌物や尿およびうがい液検体中のクラミジア・トラコマチスを遺伝子診断法(リアルタイムPCR法)により迅速、高感度に検出する方法で極めて高感度で検出できます。

【治療】

男性でも女性でも、抗生剤の内服による治療となります。

(1) アジスロマイシン単回内服

(2) クラリスロマイシン・ミノサイクリン・ドキシサイクリンなどの7~14日間の内服

・有効率は90%前後となり100%ではないため、治癒したかどうかの確認検査が必要となります。

・服用中に飲酒をすると治癒率は下がります。

・内服中でも新しい交渉を持つと再感染する可能性があります。

・精巣上体炎や前立腺炎などの尿道以外の臓器にも感染が広がっている時は、(1)(2)を併用したりすることもあります。

【治癒の確認】

クラミジア抗原の検出によってクラミジア感染が診断された場合は、治療後にクラミジア抗原の消失を確認する必要があります。

治癒確認の抗原検査は薬剤投与後およそ3週間程度の間隔をおいて再検査し、クラミジア抗原が陰性となれば治癒判定とします。

【日本人の感染実態】

クラミジアは性行為感染症の中で最も多い感染症で、最近の報告では18~19歳の女性の10人に3人、20代では20人に3人が感染しているという統計調査があります。

風俗で働いている女性では、クラミジアの血清抗体が約9割陽性であったとの報告があり、さらに子宮頸管からクラミジアが60%程見つかったとの報告もありることから、風俗での感染拡大が指摘されています。

更に女性の感染者の5人に4人までが自覚症状がないことから、感染に気づくことがありません。

クラミジアは性器だけに感染するのではなく、咽頭に感染します、特に最近の性の多様化から、一般の若年者の性器や喉への感染が増加しています。

要するに一昔前までは性器感染がほとんどでしたが、近年の性行動が多様化し、男女とも咽頭への感染が増加してきているのもひとつの特徴です。


【感染予防】

コンドームなどの使用による性器粘膜の接触を伴わない行為や、お風呂場や空気感染などの間接的な感染はまずありません。

従ってコンドームの正しい使用で感染は防げます。

【HIV感染との関連性】

クラミジア感染により性器粘膜がただれることから、HIVへの感染率が通常の数十倍になるという統計もあるので、検査する際は併せてHIV検査もすることをお勧めします。

2019年5月28日火曜日

性行為感染症アラカルト-2.クラミジア・トラコマチス感染症 その1-

クラミジア・トラコマチス感染症は、クラミジア・トラコマチスが引き起こす性行為感染症のひとつです。

クラミジア・トラコマチスはトラコーマを引き起こす病原体で一昔前まではトラコーマを引き起こす眼感染症でしたが、現在では性行為感染症の病原体として知られています。

クラミジアは、性行為感染症の中で最も多い性行為感染症で、最近の報告では18歳から19歳の女性の10人に3人が、20代では20人に3人が感染しているという調査報告があります。

更に世界中で感染が問題となっています。

【感染経路】

性交・オーラルセックス・キスなどにより粘膜に感染する。

【感染確率】

クラミジアは感染力が非常に強く、感染者との1回の性交渉で50%以上の感染するとの報告があります。

【感染場所】

感染部位は、男性は尿道、女性は膣内に感染し、咽頭や直腸には男女ともに感染する。

相手が咽頭感染している場合通常の口づけでは感染する可能性は低いが、ディープキスの場合は感染率が高くなる。

クラミジアの感染は、クラミジアが存在する場所に接触することによって感染しますので、性器に感染していても口中にクラミジアがいなければキスで感染することはありません。

【潜伏期間】

感染して1~3週間後に症状が現れる。

【症状】

1.男性

比較的サラッとした尿道分泌物や軽い排尿痛が出現します。

痛みや激しいかゆみなどの症状があれば病院を受診し治療が行われますが殆どの場合、全く無症状のない場合が多いことから感染に気付くことはまずありません。

尿道にクラミジア感染がある場合、咽頭からクラミジアが検出される割合は4~13%と報告されています。

2.女性

おりものが増える事がありますが、自覚症状が殆どないことからやはり感染に気付くことはまずありません。

感染機会後1~3週間後で、帯下が多少増加する子宮頸管炎を発症し、放置すると卵巣や卵管の周りに癒着を起こし、子宮付属器炎や骨盤腹膜炎を発症します。

この場合下腹部痛が見られることもありますが、女性でも無症候感染が半数以上で見られ、知らないうちに卵管周囲の癒着を起こし、将来の子宮外妊娠や不妊症の原因となることもあるので注意が必要です

喉頭感染では喉が痛くなり痰が増えたりしますが、やはり無症状のことが多く感染に気付くことはまずありません。

子宮頸管からクラミジアが見つかった場合、咽頭からクラミジアが検出される割合は10~25%と報告されています。

※海外では咽頭クラミジアの感染は、男女差は認められませんが、日本では女性の方が咽頭クラミジアの感染は多い傾向にあります※

2019年5月21日火曜日

性行為感染症アラカルト-1.膣トリコモナス症-

性行為感染症についての正しい知識としての症状・検査法・予防法・注意点などを習得して感染予防に役立つように解説していきます。

初回は膣トリコモナス症について解説していきます。

単細胞生物であるトリコモナス原虫は,腟トリコモナス,口腔トリコモナス,腸トリコモナスが知られており,それぞれの形態学的な区別は難しく感染部位に特異的な性質をもっています。

性行為によって生殖器に感染し,また明らかな病原性をもっているものは腟トリコモナスだけで、膣トリコモナスが引き起こす人の性行為感染症のひとつです。

【感染経路】

殆どがコンドームなしの性行為で感染しますが、下着やタオル、便座や、出産時に母から感染する可能性もあります。

【感染場所】

男性の場合は尿道、女性の場合は膣と尿道。

【潜伏期間】

感染して10日前後で症状が現れる。

【症状】

膣炎・子宮頸管炎・尿道炎を引き起こし、悪臭を伴う、黄白色の泡沫状の帯下、性交・排尿時の不快感、掻痒感、灼熱感、下腹部の痛みなどが発現する。

男性の場合殆どが無症状ですが、稀に尿道にかゆみを感じたり、排尿・射精時に軽い痛みを感じたりする場合もあります。

男性の場合治療せずに放置していると、前立腺癌のリスクを高めると言われています。

またトリコモナスに感染している男性は前立腺炎を有しているケースが多いという報告があります

女性の場合は、最悪、不妊症や早産等の原因となり、妊娠中に女性が感染すると、早期破水や早産を引き起こすことがあります。

膣炎ではトリコモナスだけが原因ではなく,臭いの原因となる嫌気性菌や大腸菌、球菌の増殖による混合感染の形態をとることが一般的で,膣炎の病態,臨床症状はこの混合感染によって起きています。

【検査】

男性の場合は、尿沈渣や前立腺分泌物中に運動する虫体の存在を顕微鏡で調べる。

※男子の尿からは培養法による検査を行う必要がある※

女性の場合は、膣から綿棒で粘膜を採り、スライドグラス上に塗布しギムザ染色を行って顕微鏡で調べる。

核酸増幅法TMA(Transcription Mediated Amplification)法を用いた,「Aptima トリコモナス ヴァギナリス Assay」が最近利用されつつあります。

【治療】

メトロニダゾールやチニダゾールなどの抗原虫薬を用いる。

男性は1回の投与による治療が効果的かどうかは不明ですが、通常は抗菌薬を5~7日間投与すれば治癒します。

女性の95%は、抗菌薬のメトロニダゾールかチニダゾールを1回、経口で投与することで治癒します。

【日本人の感染実態】

女性の5~10%、男性の1~3%が感染しているといわれていますが、実際はもっと多くの感染者が存在していると言われています。

【感染予防】

コンドームを使用することで感染予防が可能と言われています。

【HIV感染との関連性】

膣トリコモナスに感染して性器粘膜や尿道の粘膜がただれていることから、HIVの感染リスクが極めて高くなることが報告されています。

2019年5月14日火曜日

風疹について-4.風疹ウイルス遺伝子検出法について-

急性期の咽頭ぬぐい液、血液、尿からRT-PCR法、リアルタイムRT-PCR法などの方法で風疹ウイルスの遺伝子を検出する方法がありますが、この検査法は早期診断に有用ですが、検査を受けられる医療機関は少ないのが実情です。

【風疹ウイルス遺伝子検出法の特徴】

どの検体を使用しても発疹出現時期に近いほど検出率が高く, 特に咽頭ぬぐい液や尿では7日目程度まで検出可能です。

その一方, 血液中の風疹ウイルスは抗体の出現とともに急速に検出率が低くなります。

特異的IgM検出で偽陰性になりやすい発疹出現後0~3日目が, ウイルス遺伝子検出に適した時期であるため, 両検査を実施することでより正確な検査診断が可能となります。

【風疹ウイルス遺伝子検出法の種類】

風疹ウイルス遺伝子検出法としてリアルタイムRT-PCR法とコンベンショナルRT-nested PCR法があります。

RT-nested PCR法は検出感度がリアルタイムRT-PCR法よりも若干高いものの, 操作が多く, 結果を得られるまでにより時間を必要とすることと共に実験室コンタミネーションの危険性が非常に高いために偽陽性反応が起こりやすいことから 適切な環境で熟練した検査担当者が十分に注意して実施する必要があります。

逆にリアルタイムRT-PCR法は, RT-nested PCR法と比較して実験室コンタミネーションの危険性も低く, 検出に適した時期の検体を使用することや複数種の検体を使用することで, RT-nested PCR法と同様に十分に信頼のおける結果を得ることが出来ます。

このような理由からして 現在診断目的にはリアルタイムRT-PCR法を使用する医療機関が増加しています。

2019年5月7日火曜日

風疹について-3.風疹ウイルス抗体検査の解釈について-

風しん抗体検査の試薬としては、日本国内では10社から販売されています。

検査方法としては、以下のものがあります。

赤血球凝集法(HI法)
酵素免疫法(EIA法)
蛍光酵素免疫法(ELFA法)
ラテックス免疫比濁法(LTI法)
化学発光酵素免疫(CLEIA法)
蛍光免疫測定法(FIA法)など

【抗体価】

各メーカの検査キットによって異なります。

一般的には赤血球凝集法で風疹HI抗体価によって以下のように解釈します。

・8倍未満は陰性

・16倍以下では発症予防効果はあるが体内でのウイルス増殖が起こる

・32倍以上では体内でのウイルス増殖を抑制する

【風疹IgM特異抗の出現時期】

風疹ウイルスに感染して発疹出現から28日以内の血液中に風疹IgM特異抗体検出が出現します。

この風疹IgM特異抗体を調べることによって風疹の診断が可能となります。

【ペア血清とは】

ペア血清とは、とは同一患者から採取されたペア血清(ぺあけっせい、英: paired serum)とは同一患者から採取された1組の急性期血清および回復期血清のことを言います。

要するに同一患者から採血した急性期血清および回復期血清を使用して抗体検査を実施します。

ペア血清を用いて、CF、HI試験、ELISA法などで4倍以上の上昇が認められれば風疹ウイルスに感染していると判断します。

2019年4月28日日曜日

風疹について-2.風疹ウイルス特異的IgM検出法-

風疹抗体検査は、血液で簡単に実施可能です。

【検査方法】

検査法にはHI法とEIA法があります。

【基準値】

1)HI法で陰性かあるいは32倍未満。

2)EIA法で陰性かあるいは8.0未満の場合。

上記1)2)の場合は共に過去に風疹ワクチンを接種していても、あるいは風疹に罹患した既往があっても、風疹感染防御抗体の量が少ないことから風疹にかかる可能性があります。

【どの程度の抗体価があれば感染予防ができるのか】

一般的には赤血球凝集法で風疹HI抗体価が8倍未満は陰性と判断します。

16倍以下では発症予防効果はありますが、体内での風疹ウイルス増殖が起こります。

32倍以上では体内での風疹ウイルス増殖を抑制する事ができます。


【風疹の抗体がないあっても低い場合の対応】

風疹抗体検査の結果、抗体がない、あるいは抗体があってもその量が少ない(抗体価が低い)場合は、風疹ワクチンの予防接種を受けて、風疹に対して免疫をつける必要があります。

※妊娠している女性や妊娠の可能性がある女性は風疹ワクチンを受けることができません※

風疹ウイルスの初感染の場合, 発疹出現後3日目までは特異的IgMが検出限界に満たず偽陰性となることがありますが、感染後4~28日後にはほぼすべての例で検出されるようになります。

【風疹抗体検査の偽陽性反応】

パルボウイルスB19感染症などの他の感染症に伴い, 偽陽性反応が起きることが知られていますが、これらの偽陽性反応の場合はIgM抗体価が低値であることがほとんどであることから, 抗体価も考慮に入れて総合的に診断することが重要となります。

2019年4月19日金曜日

風疹について-1.風疹とは-

風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。

風疹の症状は子供では比較的軽く、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が2,000人から5,000人に一人くらいの割合で発生することがあります。

また、大人がかかると、発熱や発疹の期間が子供に比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。

一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります

【風疹の流行について】

2013年に14,344 人の流行以降、2014年319人、2015年163人、2016年126 人、2017年93 人と減少傾向であったが、2018年には一転して2,917人の患者がが報告され、2019年3月末で 1,112 人が報告されています。

【感染経路】

風疹ウイルスは、上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播されます。

要するに患者の飛まつ(唾液のしぶき)などによって飛沫感染します。

【潜伏期間】

風疹ウイスルの感染から14~21日(平均16~18 日)の潜伏期間の後発症します。

【臨床症状】

発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現しますが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です。

また不顕性感染が15%程度存在します。

風疹の3徴候のいずれかを欠くものについての臨床診断は困難であることに加え、溶血性連鎖球菌による発疹、伝染性紅斑、修飾麻疹、エンテロウイルス感染症、伝染性単核球症など似た症状を示す発熱発疹性疾患や薬疹との鑑別が必要になり、確定診断のためには検査室診断が必要となります。

【検査】

風疹ウイルスの分離が基本ですが健康保険適応でないことから一般的には実施されていません。

急性期の咽頭ぬぐい液、血液、尿から風疹ウイルス遺伝子をRT-PCR法、リアルタイムRT-PCR法等の方法で検出する方法が最も早期診断に有用ですが、実施可能な機関は一部の研究所や大学等に限られていることからあまり実施されていないのが実情です。

血清診断は健康保険適応となっていることから一般的に最も多く用いられています。

検査については次回詳しく紹介致します。

【治療】

発熱、関節炎などに対しては解熱鎮痛剤が用いられますが、特異的な治療法はなく、症状を和らげる対症療法のみしかありません。

【風疹に伴う最大の問題点】

妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染することより、胎児に風疹ウイルスが感染し、先天異常を含む様々な症状を呈する先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)が出現することがあります。

妊娠中の感染時期により重症度、症状の種類が様々発現します。

先天異常として発生するものとしては、先天性心疾患(動脈管開存症が多い)、難聴、白内障、色素性網膜症などがあります。

先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜脳炎などがあります。

進行性風疹全脳炎、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることもあります。

2019年4月12日金曜日

腎臓の働きを調べる推算糸球体濾過量(eGFR)

腎臓がどれくらい働いているかは、推算糸球体濾過量(eGFR:estimated glemerular filtration rate)で表します。

推算糸球体濾過量は、腎臓の中の糸球体が1分間に濾過している血液の量のことで、「年齢」「性別」「クレアチニン値」から計算します。

慢性腎臓病は、その重症度に応じてステージ1からステージ5の5段階に分けられます。

その指標となるのが推算糸球体濾過量(eGFR)です。

推算糸球体濾過量とは、腎臓がどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。

【慢性腎臓病(CKD)の重症度分類】

G1 (GFR90以上)・・・腎臓の働きは正常
G2  (GFR60以上90未満)・・・腎臓の働きは正常な腎臓の2/3くらい
G3  (GFR30以上60未満)・・・腎臓の働きは正常な腎臓の1/3~2/3くらい
G4  (GFR15以上30未満)・・・腎臓の働きは正常な腎臓の1/6~1/3くらい
G5  (GFR15未満)・・・腎臓の働きは正常な腎臓の1/6未満

【計算式】

eGFRは体表面積が1.73m2の標準的な体型(170cm、63kg)に補正した場合のGFR(mL/分/1.73m2)が算出されるため、体格の小さな症例では腎機能が過大評価されます。

さらに標準的な体格と大きく異なる場合は体表面積(BSA)で補正します。
 
 eGFR(ml/分/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢(歳)-0.287
                  (女性は×0.739)

※年齢・性別・クレアチニン値を入力するだけで簡単に自動計算が出来るサイトが多くありますから計算してみてください※

2019年4月4日木曜日

HIV検査を受ける際の注意点-10.HIV抗体検査が陽性となれば必ずHIVに感染しているのか??!!-

1.HIV抗体検査が陽性となった場合

適切な時期に受けて陽性となっても必ずHIVに感染しているとは言えません。

何故ならHIV抗体検査にも偽陽性反応があるからです。

この場合以下の確認検査を行います。

1)日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施する、異なる検査法で実施するのふたつの方法があります。

日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。

陽性となった場合、HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかの判断はできません。

HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかは、HIV-1とHIV-2の鑑別検査をする必要があります。

2)確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。

本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。

3)リアルタイムPCR検査を実施する。

本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。

※但しこの場合は、HIV-1の感染で、HIV-2の感染の判断はできません※

2.抗原抗体検査が陽性

1)30~50日で陽性となる。

この場合はHIV-1の抗原が検出された可能性がありますので、リアルタイムPCR検査で確認検査をします。

確認検査のウエスタンブロット法ではこの時期検査をする時期として早すぎるために感染していても陰性(偽陰性反応)となってしまいます。

2)12週で陽性となる

・この場合はHIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれか、また両方の抗体が検出された可能性がありますので、日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施するか、異なる検査法で実施する方法があります。

日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。

・確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。

本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。

・陽性となった場合、HIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれかに感染しているかの鑑別検査が必要となります。

・リアルタイムPCR検査を実施する。

本当にHIV-1に感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIV-1に感染していないと言えます。

※HIV-2の判断はできません※

3)リアルタイムPCR検査が陽性

ほぼ100%近くHIV-1に感染しているといえます。

確認検査としては日にちを改めて採血して、再度リアルタイムPCR検査を実施し、陽性となればHIV-1に感染していたと言えます、陰性となった場合は前回のリアルタイムPCR検査が偽陽性ということになります。

現実全自動で検査するリアルタイムPCR検査の偽陽性反応は、極めて低い確率でしか発生しません。

2019年3月22日金曜日

HIV検査を受ける際の注意点-9.HIV抗体検査が陰性であれば必ずHIVに感染していないといえるのか??!!-

"HIV抗体検査が陰性であれば必ずHIVに感染していないといえるのか"について解説してみます。

最終の感染機会から3カ月以上経過している時期にHIV抗体検査を受けて陰性であれば、感染は限りなく100%近くありません。

HIV抗体検査は、HIVに対する感染抗体を調べていることから、陽性になるまでに当然時間(血液の鉄人は12週と考えています)の経過が必要となります。

HIVに感染すると、まず血液中にHIV-1の抗原が増えてからHIV抗体ができることからして、現在大病院の検査室および検査依頼会社で主流で実施されている第四世代の抗原抗体検査では、不安な行為から30日でHIV-1の抗原を検出することが可能となっています。

それに比べて、スクリーニング検査の主流となっている即日抗体検査では、HIV-1/-2の抗体ともに感染するような行為があってから12週が経過しないと検出しづらいのが実情です。

HIVに感染すれば4~6週でHIV抗体は体の中に出来ますが、出来た抗体の量が充分でないとこの時期にHIV抗体検査を受けても陰性となってしまいます。

大切なことは、体内に検査で見つかるHIV抗体の量が十分にある時期にHIV抗体検査を受けることです。

言い換えると、HIVスクリーニングが陰性であることは、そこからさかのぼって3ケ月前から以前の不安な行為での、HIV感染はなかったということになります。

しかし、定期的に不安な行為をしていればいつ感染するかわかりませんので、HIV抗体検査が陰性であってもHIVに感染しているとは言い切れません。

このことに関して事例を上げて説明しますと、


HIV検査を受けた時期から数えて、3ケ月前、2ケ月前、20日前に感染する危険性のある行為をした場合、HIV検査が陰性であれば、3ケ月以前の行為でのHIV感染は否定できますが、2ケ月前、20日前の行為での感染は否定できません。

兎に角HIV検査が陰性であっても、本当に感染がないと言えるのはその検査に合った的確な時期に検査を受けないと本当に陰性であったとは言えないということです。

よく保健所では30日、60日で検査を受けても大丈夫と言っていますが、多くの人はこのことばかりを目にして肝心なことを見逃しています。

それは再度3ケ月で検査を受ける必要があるということを見逃しています。

2019年3月14日木曜日

HIV検査を受ける際の注意点-8.通販検査の落とし穴-

保健所や医療機関でHIV検査を受ける場合、プライバシーの保護を危惧する人が多くいることは周知の事実です。

特に保健所での検査がいくら無料であっても受けるのを躊躇している人が多いのも事実です。

その上保健所の都合で受ける日時が一方的に決められ、受けたい時に受けられない不便さもあります。

その為に通販でHIV検査キットを購入して自宅で検査をする人や、穿刺器具で血液を採取してその血液を民間の会社に郵送して検査を受ける人が増加しています。

現実、民間の郵送検査の利用件数が増加しつつあることは事実です。

人気の理由としては、以下が考えられます。

1.数千円の費用で気軽に検査ができる。

2.検査の際に他人と顔を合わせる煩わしさがない。

3.いつでも自分の希望した時に検査を受けられる。

しかし冷静に考えてみて、本当に自宅検査や郵送による検査には問題点がないのでしょうか?

問題点を以下に上げてみます。

1.検査を受ける時期が適切であったか。

2.正しく採血や検査が実施できたか。

3.陽性となった時の業者の対応は十分か。

4.検査キットそのもの信頼性。

5.検査を受ける業者の信頼性はどうなのか。

等が挙げられます。

これらを加味して自宅検査や郵送検査を受ける際の注意点を以下にまとめてみました。

1.検査を受ける前に自分が受けようとする検査の種類を確認する必要があります。

何故なら検査の種類によって受ける時期が異なるからです。

2.それぞれの検査に適した検査を受ける適切な時期に検査を受ける必要がある。

早すぎると信頼できる結果が得られません。

3.指示書通りに正しく検査を実施する。

4.自宅検査は、厚生労働省は認可していませんので、受けるのは自己責任で受ける。

5.郵送検査は検査を実施する会社が許可を受けて実施していますが、全ての会社が精度の高い検査で実施しているとは限らない事を理解して注意して選ぶ必要がある。

6.陽性となった場合は、即HIVに感染しているとは限りませんので、追加試験や確認試験などのフォロー体制のしっかりした会社を選ぶ必要があります。

実際検査が陽性なった場合のフォロー体制が不十分な会社も存在します。

自分で検査を実施して陽性となった時には、医療機関で追加試験や確認試験を受ける必要があります。

簡単で便利な検査は、それに伴うリスクが有ることを十分に理解して利用する必要があります。

2019年3月5日火曜日

HIV検査を受ける際の注意点-7.NAT検査は何処で受けることが出来るのか?-

NAT検査は何処で受けられるのかという質問を受けますので、今回はNAT検査の受けられる施設について解説致します。

ここで言うNAT検査は、リアルタイムPCR検査です。

本当のNAT検査は、血液センター専用の検査で医療機関では受けることは出来ません。

何度も申し上げていますが一般的にNAT検査と呼ばれるのは、リアルタイムPCR検査のことです。

NAT検査は全国何処の医療施設でも受けることが出来ます。

医療施設の大小(大学病院から個人のクリニック)は関係ありません。

検査の種類は膨大な数あり、幾ら大学病院でもすべての検査を自施設で検査することは不可能です。

当然中小の病院やクリニックではなおさら検査することが出来ません。

その為に医療機関から検査を請け負う検査専門の会社があります。

検査を請け負う会社は全国にあり、全国全ての医療機関の検査を請け負って検査します。

NAT検査ができない医療機関は、検査専門の会社に検査を依頼することになります。

全国の医療機関は大小にかかわらず全て検査専門の会社と契約をしています。

従ってNAT検査を受けることの出来ない医療機関はありません、全国どこの医療機関でも検査は受けることが出来ます。

では、何故NAT検査を受けられない医療機関があるのでしょうか?

以下に分析してみます。

1.医師がNA検査を検査専門の会社に依頼できることを知らない。

2.多くの人がNAT検査ということから、NAT検査は血液センター専用の検査で当然検査専門の会社でも検査できないと勘違いしている。

これは、NAT検査とリアルタイムPCR検査の区別ができない医師に多い。

3.HIV検査としてのNAT検査の依頼を受けること自体を嫌い、検査できないという医師がいることも事実です。

要するにHIV検査に関わりたくない医師もいることは事実です。

それではNAT検査を受けるためにはどうすればよいのか?

1.HIV検査のことを理解している性病専門の医師に検査を依頼する。

2.NAT検査という表現を避けてHIVのリアルタイムPCR検査を受けたいと申し出る。

3.自分の施設では出来ないと言われた時には、検査専門の会社に検査を依頼してほしいて申し出る。

上記のようにすればNAT検査は、全国何処の医療機関で受けることが出来ます。

お役に立ちましたでしょうか??!!

最後に一言、HIVのリアルタイムPCR検査は、2019年3月現在HIV-1しか検査できません。

HIV-2のPCR検査はありますが、一部の研究施設で研究として検査されていますが、検査として認可されていませんので当然保険適応もなく、医療機関で受けることは出来ません。

2019年2月28日木曜日

HIV検査を受ける際の注意点-6.リアルタイムPCR検査検査について-

リアルタイムPCR検査は、HIV-1の核酸の一部の見つける検査法です。

HIV-1の核酸を化学的な方法で1億倍程度に増幅して検査をすることから、非常に少ないHIV-1の検出が可能です。

検出感度も非常に高く血液中の微量のHIV-1を調べることが出来ることから、HIV-1感染の早期判断検査として広く用いられています。

またHIV-1感染者の治療指針として血液中のHIV-1の量を調べる検査法としても利用されています。

リアルタイムPCR検査は、コバスTaqMan HIV-1「オート」と呼ばれます。

リアルタイムPCR検査は、一般的にNAT検査と呼ばれていますが、本当はNAT検査は血液センター専用の検査ですから、医療機関や一部の保健所で受ける検査はNAT検査ではありません。

便宜上NAT検査と呼ばれているだけで、真のNAT検査ではなくリ正式名称はアルタイムPCR検査です。

前回に述べましたように真のNAT検査は、血液センター専用の検査ですから医療機関や保健所では受けることはできません。

本来リアルタイムPCR検査は、HIV感染者の治療の際に血液中に存在するHIV-1の数を調べて、治療効果の判定をする検査法ですが、検査の感度がよく感染初期から血液中のHIV-1を検出可能なことから、HIV-1のスクリーニング検査に利用されています。

不安な行為から11日以降いつ受けてもHIV-1に関しては信頼できる結果が得られます。

まことしやかに囁かれていることに、感染するリスクのある行為から、3ケ月以降受けると血液中のHIV-1の量が少なくなることから偽陰性反応が起きと言われていますが、これは誤りです。

リアルタイムPCR検査は、2019年2月現在も、HIV-2の検出は出来ません。

リアルタイムPCR検査は、以下の二つの検査があります。

1.TaqMan HIV-1「オート」

2.アキュジーン m-HIV-1

TaqMan HIV-1「オート」とアキュジーン m-HIV-1は、感度、特異性、検出可能なHIV-1は同じです。


2019年2月19日火曜日

HIV検査を受ける際の注意点-5.NAT検査について-

NATとは核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test)の頭文字を取ったものです。

HIVの遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を倍々で増やし増えた核酸を検出することでHIV遺伝子の有無を確認する検査法です。

NATを使用したウイルス検査法はウイルスの持つ遺伝子を一億倍以上に増やして検出するため極めて感度の高い検査法です。

NAT検査は、血液センター専用の検査法で日本赤十字社は1999年より、血液の安全性向上を図る目的でB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)について特に有効なNAT検査を世界に先駆けて導入しました。

以下に核酸増幅検査の導入の推移を簡単に記載しておきます。

1.1999年10月:HBV・HCV・HIVの3種のウイルスに対するミニプールNAT(500検体プール)スクリーニングを初めて導入。

2.2000年 2月:検体のプールサイズを50検体に変更。

3.2004年 8月:検体のプールサイズを20検体に変更。

4.2014年 8月:新たなNATシステムに変更し、さらに1検体ごとのNAT(個別NAT)スクリーニングを開始。

要するにプール法では感度が低くなり検出できなかった事例が発生したことから、ブール法を廃止してひとりひとりの血液を検査する個別NATに切り替えたわけです。

病院等の医療機関ではNAT検査を実施しておらず、そのかわりにHIV-1リアルタイムPCR検査を実施しています。

従って病院で受ける場合は、HIV-1リアルタイムPCR検査が本当の呼び方ですが、NAT検査が有名になりすぎて、HIV-1リアルタイムPCR検査を総称してNAT検査と呼んでいます。

※医療機関で受けるリアルタイムPCR検査は、NAT検査ではありません※

NAT検査は病院・クリニック・保健所などの医療機関では受けることは出来ません。

その為に、医療機関で、NAT検査を受けたいと言っても、「当院では検査していません」と言う回答が返ってくるわけです。

その場合は、「HIV-1リアルタイムPCR検査を受けたい」HIV-1リアルタイムPCR検査を受けたいと申し出ることです。

2008年9月1日から、血液センターで採用された新しいNAT検査は、HIV-1とHIV-2の感染を同時に検出できるようになっています。

NAT検査のウインドウ期は11日です。

NAT検査は、輸血用血液のHIV・HBV・HCVを調べる検査です、この検査を医療機関では受けられないことから、検査目的で献血をすることは絶対にしてはいけません。



2019年2月11日月曜日

HIV検査を受ける際の注意点-4.HIV検査の世代とは-

【検査で言われる何世代とは】

HIV検査でよくこの検査は何世代の検査という言い方をしますが、現在のHIV検査は第四世代の検査が殆どを占めています。

HIV検査が最初に開発された時は、第一世代検査と言われていましたが、その後改良が加えられて第二世代から第三世代そして第四世代となっています。

【現在のHIV検査の世代は】

2019年1月時点では、第一から第二世代の検査は使用されていません。

HIV抗体検査は第三世代、抗原抗体検査は第四世代となっています。

【現在使用されているは何世代なのか?】

2018年10月からほとんどの大手の病院では第四世代に切り替わっています。

検査センター(検査を専門に請け負う会社)では、すべてが第四世代に切り替わっています。

従って検査センターに検査を外注しているクリニックで検査を受けた場合は、第四世代となっています。

※クリニックで検査を実施している場合は、殆どが迅速検査ですから、この場合は第三世代抗体検査と第四世代抗原抗体検査のどちらかということになります※

※保健所での迅速抗体検査は、第三世代抗体検査と第四世代抗原抗体検査のどちらかということになります※

【HIV検査の世代による検出できるもの】

第一世代から第四世代のHIV検査で検出可能なものを一覧にしてみました。


2019年2月3日日曜日

HIV検査を受ける際の注意点-3.迅速抗原抗体検査-


【迅速抗体検査とは】

イムノクロマトグラフ法を用いて、血清、血漿及び全血中のHIV-1の抗原であるp24及びHIV-1とHIV-2抗体の検出をおこなう第四世代(抗原+抗体)のHIVスクリーニング検査試薬です。

【迅速抗体検査の種類】

日本国内では、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboの2キットが厚生労働省から認可受け使用されています。

【検査の特徴】

血清、血漿は検体滴下の1ステップ、全血は検体滴下1分後に全血展開液を滴下する2ステップ、と操作が容易であり、短時間(20分~40分)で結果が得られます。

さらに、イムノクロマトグラフ法でオート機器装置に匹敵するような高感度化を実現し、血液遠心分離機など検査設備が整っていない場所や状況においても、高感度なHIVスクリーニング検査を実施できるメリットがあります。

【検査の原理】

検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。

この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。

結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来のライン(ダイナスクリーン・HIV Comboは赤色のライン・エスプラインHIV Ag/Abはブルーのライン)の有無により判定します。

【受ける時期】

HIV-1の抗原を検出するには、不安な行為から30~50日以内に受ける必要があります。

30日以前に受ければ感染していても抗原の量が少なく偽陰性となる可能性があります。

また、50日以降に受ければ感染していても抗原の量が少なくなっていることから偽陰性となる可能性があります。

HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週で受けないと信頼できる結果は得られません。

※HIV-2の抗原は検出することは出来ません※

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

HIV-1の抗原は不安な行為から30~50日以内にで受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応の起きる原因】

判定を厳格にしすぎることから機械で行う抗原抗体検査に比べて、偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。

判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。

※判定時間は厳守する必要があります※

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】

この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。

血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。

全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。

2019年1月20日日曜日

HIV検査を受ける際の注意点-2.迅速抗体検査-

【迅速抗体検査とは】

ダイナスクリーン・HIV-1/2は、イムノクロマト法により、検体( 血漿、血清又は全血) 中の抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体を検出する試薬です。

【迅速抗体検査の種類】

ダイナスクリーンは、アリーア メディカル株式会社から販売されています。

日本国内では、厚生労働省の認可を受けたキットはこれ一つだけです。

【検査の原理】

検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。

この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。

結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来の赤色のラインの有無により判定します。

【受ける時期】

血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。

受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。

【保健所では30~60日といっているが??!!】

HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体検査が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日では偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。

【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】

再度不安な行為から12週後に受けることです。

12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。

本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。

※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※

【保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いか】

保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。

なぜならその理由は以下のとおりです。

・この時期受けて陽性となる人もいます。

・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。

・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。

※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※

早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。

この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応】

どのような検査でも偽陽性反応は起きます。

HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。

これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。

特にイムノクロマト法を利用した検査は、肉眼で判定することからどうしても判定者の主観に左右されてしまいます、その結果どうしても偽陽性反応の発現率が機械を使用した検査法に比べて高くなる傾向にあります。

【偽陽性反応の起きる原因】

判定を厳格にしすぎることから偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。

判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。

※判定時間は厳守する必要があります※

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】

この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。

血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。

全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。

【まとめ】

1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。

2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。

3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えな
い。

4.判定時間の厳守。

5.コントロールラインに必ず赤のラインが出ている必要があります。

2019年1月8日火曜日

HIV検査を受ける際の注意点-1.第3世代HIV抗体検査-

HIV検査を受ける際の注意点について数回に渡って解説いたします。

初回は第3世代HIV抗体検査についてです。

【第3世代HIV抗体検査とは】

現在利用されているHIV抗体検査は、第三世代の抗体検査で、第一及び第二抗体検査は現時点では日本では使用されていません。

第三世代の抗体検査は、HIV-1とHIV-2の感染抗体を検出する検査法です。

【第3世代HIV抗体検査の種類】

検査法としては、イムノクロマト法・EIA法・エライザ法などがあり、国内では数社のメーカから販売されています。

メーカによって検出感度に大差はありません。

【受ける時期】

血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。

受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。

【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】

再度不安な行為から12週後に受けることです。

12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。

本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。

※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※

【保健所で30~60日で受ければよいと言っている理由とは】

保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。

なぜならその理由は以下のとおりです。

HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日ではHIV抗体の量が少ないことから偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。

・この時期受けて陽性となる人もいます。

・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。

・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。

※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※

早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。

この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応】

どのような検査でも偽陽性反応は起きます。

HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。

これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。

【偽陽性反応の起きる原因】

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【まとめ】

1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。

2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。

3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えない。

2019年1月1日火曜日

新年のご挨拶

恭賀新年

昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。

本年も皆様方のお役に立てるよう頑張っていきますので、なにとぞよろしくご愛顧のほどお願い申し上げます。