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2019年6月4日火曜日

性行為感染症アラカルト-2.クラミジア・トラコマチス感染症 その2-

【検査】

1) クラミジア抗原の検出

現在クラミジアに感染しているかどうかがわかります。

2)即日検査

【男性】 採尿による検査

※クラミジアの感染がその日に判明することから、多くの施設で検査されていますが即日検査は精度が落ちることから、翌日~翌々日に結果報告が出るPCR検査等の検査を受けることをお勧めいたします※

【女性】

子宮口ぬぐい液や膣分泌液による検査。

3)血中クラミジア抗体(IgA、IgG検査)

男女とも血液で検査が可能ですが、以下のような欠点があります。

1.クラミジアが完全に体の中からいなくなって治癒後にも、IgG抗体だけでなくIgA抗体も陽性となることから、現在感染しているのか、治癒後なのかが正確に判断できません。

2.クラミジア抗体検査が陽性で、尿や粘膜からの検査を受け直した結果、現在クラミジアの感染はなく、過去に感染して治っていて、治療の必要のない事例が多く見られます。

3.血液でクラミジア抗体検査を受けても結局、通常の尿検査や粘膜検査を再度受け直す必要があることからして、クラミジアの血液検査を受けることはお勧めできません。

4.正確に感染判断をするには最初から尿検査や粘膜検査を受けることをお勧めします。

5)PCR検査

患部分泌物や尿およびうがい液検体中のクラミジア・トラコマチスを遺伝子診断法(リアルタイムPCR法)により迅速、高感度に検出する方法で極めて高感度で検出できます。

【治療】

男性でも女性でも、抗生剤の内服による治療となります。

(1) アジスロマイシン単回内服

(2) クラリスロマイシン・ミノサイクリン・ドキシサイクリンなどの7~14日間の内服

・有効率は90%前後となり100%ではないため、治癒したかどうかの確認検査が必要となります。

・服用中に飲酒をすると治癒率は下がります。

・内服中でも新しい交渉を持つと再感染する可能性があります。

・精巣上体炎や前立腺炎などの尿道以外の臓器にも感染が広がっている時は、(1)(2)を併用したりすることもあります。

【治癒の確認】

クラミジア抗原の検出によってクラミジア感染が診断された場合は、治療後にクラミジア抗原の消失を確認する必要があります。

治癒確認の抗原検査は薬剤投与後およそ3週間程度の間隔をおいて再検査し、クラミジア抗原が陰性となれば治癒判定とします。

【日本人の感染実態】

クラミジアは性行為感染症の中で最も多い感染症で、最近の報告では18~19歳の女性の10人に3人、20代では20人に3人が感染しているという統計調査があります。

風俗で働いている女性では、クラミジアの血清抗体が約9割陽性であったとの報告があり、さらに子宮頸管からクラミジアが60%程見つかったとの報告もありることから、風俗での感染拡大が指摘されています。

更に女性の感染者の5人に4人までが自覚症状がないことから、感染に気づくことがありません。

クラミジアは性器だけに感染するのではなく、咽頭に感染します、特に最近の性の多様化から、一般の若年者の性器や喉への感染が増加しています。

要するに一昔前までは性器感染がほとんどでしたが、近年の性行動が多様化し、男女とも咽頭への感染が増加してきているのもひとつの特徴です。


【感染予防】

コンドームなどの使用による性器粘膜の接触を伴わない行為や、お風呂場や空気感染などの間接的な感染はまずありません。

従ってコンドームの正しい使用で感染は防げます。

【HIV感染との関連性】

クラミジア感染により性器粘膜がただれることから、HIVへの感染率が通常の数十倍になるという統計もあるので、検査する際は併せてHIV検査もすることをお勧めします。

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