血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年7月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-33.デルタ変異株-

 現在世界各国でデルタ変異株が大流行してます。

現在ワクチンしか予防策がないとされていますが、果たしてそうなんでしょうか?

デルタ変異株はインドで流行が始まり、イギリス、米国でも流行してます。

2021年7月9時点での報告では、先月の6月1ケ月の人口100万人あたりの感染者数はインドのデリーでは88%減少していますが、ロンドンでは逆に398%増加してます。

この違いはイベルメクチンを使用したインドは、デルタ変異株は大幅に減少しているとの分析がなされています。

ではなぜアフリカでは新型コロナウイルの感染は拡大していなのか?

現在のアフリカでのワクチン接種率は、1%以下です、この理由はワクチンの費用が高くて購入できない国が多いからです。

しかし新型コロナウイルの流行は先進国に比べて感染者数が少ないという事実があります。

アフリカでは寄生虫感染症のオンコセルカ症があります。

この治療薬としてイベルメクチンが使用されています。

その結果イベルメクチンは数億人のオンコセルカ症の患者を救いました。

アフリカではイベルメクチン使用後に新型コロナウイルスの流行が始まりましたが、先進国のように大流行していません。

この結果イベルメクチンは新型コロナウイルスに有効であると多くの専門家が指摘しています。

2021年7月8日のネイチャー誌には、デルタ変異株は過去の新型コロナウイルスの感染やワクチン接種で体内にできた抗体を回避するとの報告がされています。

ワクチン接種が進んだイギリスやイスラエルでのデルタ変異株の流行がこれを証明しています。

日本人の大村智博士の開発したイベルメクチンを再度見直、治療薬としての有効性を早急に科学的に分析すべきと思います。

海外ではデルタ変異株に対するイベルメクチンの効果は評価されているのになぜ日本政府や医療関係者は検討しないのかは疑問で思います。

更に日本のメデイアもデルタ変異株に対するイベルメクチンの有効性を報道をしないのはなぜなんでしょうか?

皆さん疑問に思われませんか??


2021年7月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-32.新型コロナウイルスは蚊によって媒介されることがあるのか?-

 蚊は日本脳炎、デング熱、マラリアなど媒介させます。

それでは蚊が新型コロナウイルスを媒介させることはないのでしょうか?

その可能性は限りなく低いと考えられています。

新型コロナウイルスが蚊によって媒介されるには、以下の条件があります。

1. ヒトが感染した際に新型コロナウイルスが血液中から検出される。

蚊が吸血した際に、吸血されたヒトの血液中にウイルスが存在しなければ蚊蚊が吸血した際に蚊の体内に入ることができません。

ヒトが感染した際に新型コロナウイルスが血液中に検出されるかに関しての調査では、新型コロナ患者から採取された血液検体から新型コロナウイルスが検出されたのは、1%と極めて低い結果が得られています。

軽症・中等症では血液中に新型コロナウイルスが検出されることは稀なんです。

2. 新型コロナウイルスが蚊の体内で増殖することが出来る

現時点では蚊の体内で新型コロナウイルスは増殖しないことが確認されています。

3. 蚊からヒトの血液に注入された新型コロナウイルスがヒトの体内で増殖することが出来る

この証明は極めて難しいのが現実です。

新型コロナウイルス感染者の血液を採血し、針刺し事故を起こして感染した事例が発生すれば血液からの新型コロナウイルスの感染はあると言えますが、現時点まで針刺し事故での新型コロナウイルスの感染は発生していません。

上記1~3のことからして、現時点では蚊からの新型コロナウイルスの感染はないと結論付けられています。

しかし蚊から感染する病気があることから、蚊に刺されないように虫よけを使ったり、肌の露出をできるだけ少なくするなどの対策をしておく必要はあります。

2021年6月27日日曜日

新型コロナウイルスについて-31.新型コロナワクチン接種後に発熱や頭痛が…市販薬は飲んでいいの?-

 厚生労働省が開設したサイト「新型コロナワクチンQ&A」にも、「ワクチンを受けた後に熱が出たら、どうすれば良いですか」「ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか」といった項目が開設されていますので一度ご覧ください。

これらの疑問に対し、サイトでは「ワクチンによる発熱は接種後1~2日以内に起こることが多く、必要な場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして、様子をみていただくことになります」などと回答されています。

市販の解熱鎮痛剤では、イブプロフェンやロキソプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:NSAIDs)やアセトアミノフェンなどがあり、厚労省のサイトでは「ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます」と記載されています。

アセトアミノフェンは妊娠中・授乳中の女性も使うことが可能です。

ただし、咳やのどの痛み、味覚・嗅覚がなくなる、息切れなどのワクチン接種後の副反応としては通常、起こりにくい症状が見られる場合や、薬によるアレルギー症状やぜんそくが起きた経験がある人、妊娠中・授乳中の女性や病気の治療中の人は、市販薬を服用する前にかかりつけ医によく相談されることです。

しかしワクチン接種後発熱や頭痛が起きることがあるからと言って、発熱や頭痛といった副反応の症状が出る前に予防的に解熱鎮痛薬を繰り返し飲むのは現時点で推奨されてないので予防のための服用はしないほうが良いでしょう。

ワクチン接種よる発熱か、新型コロナウイルス感染症かを見分けるには、発熱以外に、咳や咽頭痛、味覚・嗅覚の消失、息切れ等の症状がないかどうかが、手がかりとなります。

※ワクチンによる副反応の発熱では、一般的にはこれらの症状はみられません※

ワクチン接種後、2日間以上熱が続く場合や、症状が重い場合、ワクチンでは起こりにくい上記の症状がみられる場合には、自己判断で薬を服用せずに医療機関を受診することをお勧めします。

ワクチン接種後の発熱等に使用可能な薬剤の代表的な製品を一部紹介しておきますので参考にしてください。

○イブプロフェン系薬剤

・ブルフェン

・イブ

・エスタック

・ナロンメディカル

○ロキソプロフェン系薬剤

・ロキソニン

・バファリンEX

・エキセドリンLOX

・セレコックス

・ナスキサシン

○アセトアミノフェン系薬剤

※アセトアミノフェンは比較的、副作用が少ないですが、人によって肝機能障害を起こすことがあるため、市販のアセトアミノフェンは用量が低く抑えられているのだと思います※

・カロナール

・タイレノールA

・バファリンルナ

・ノーシン

・セデス

2021年6月20日日曜日

新型コロナウイルスについて-30.現在使用中の新型コロナワクチンは、変異株の感染予防となるのか??-

 多くの専門家は、幾つかの有効なワクチンが集団免疫の達成を助ける可能性があることに希望を抱いていましたが、これが打ち砕かれそうです。

ワクチン接種と過去の感染が組み合わさることで、他人への感染をほぼゼロにできる可能性があると期待していましたが、これが幻想となる可能性が高くなってきています。

2021年2月の南アフリカでのワクチン臨床試験データは、感染力の強い変異株がワクチンの効果を弱める可能性があるだけでなく、感染したことのある人の自然免疫をもくぐり抜ける恐れがあることが指摘されました。

南アフリカ型やブラジル型の新たな変異株を巡ってここ数週間に出てきたデータは、楽観的な見方を打ち砕いたと報じられています。

専門家らの考え方としては、新型コロナウイルスは一定の地域や季節に一定の罹患率で広がり続けるウイルスとして地域社会に残るだけでなく、今後何年も発症者や死者の多大な犠牲を招く可能性が大きいとの見方に変化しつつあります。

従ってワクチン接種が始まっても今後も、特に高リスクの人々は、習慣としてのマスク着用や、感染急増時の混雑回避などの対策が今後も必要となりそうです。

このことは米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長もワクチン接種後であっても、変異株が出てきているのならば「自分はこれからもマスクを着用したい」といみじくも語っています。

要するに小さな変異株が出現するだけで、これが次の流行急増を誘発し、いつ生活が正常化するかの見通しをがらりと変えてしまうということになりかねないということです。

新しく出現した新型コロナウイルスに関しては、人の免疫システムがどのように戦うのかが解明されていないことから今後も色々な問題か発生しても不思議ではありません。

しかし、予防接種により多くの国で、感染率の低下、優先接種された人々の重症化や入院が劇的に低下した例も報告されています。

2021年6月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-29.イベルメクチンは新型コロナウルス感染治療に有効なのか?-

 新型コロナの変異株の蔓延で感染爆発が起きていたインドで、2021年5月を過ぎてから、その状況に変化が生じています。

インドの各州が抗寄生虫病の特効薬「イベルメクチン」の本格投与に踏み切ってから、感染者数・死亡者数ともに減少し続けています。

イベルメクチンは、大村智・北里大特別栄誉教授が発見、開発し、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した抗寄生虫薬です。

イベルメクチンは今、新型コロナコロナウイルスのパンデミックで再び世界中の注目を集めている。

試験管レベルの研究で、新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、ウイルスのたんぱく質の核内移行を妨害し、増殖を抑制することが明らかにされています。

世界的に見てもその有効性が確認されています。

WHOはイベルメクチンは効果がないと言っていますが、これは信用できません。

その理由としては、WHOは以前、マスクは要らないという方針をとっていましたが、今は一転してマスクが重要だと言っています。

WHOの考え方はその時の政治的背景で左右されている可能性が高いです。

今のWHO言うことはあまり信用できません。

イベルメクチンの新型コロナへの効果が注目される端緒になったのはアフリカでした。

アフリカは医療体制が整っている国は少ないにも関わらず国によっては感染者数が思ったほど増えていない国があります。

内容としてはイベルメクチンを配った国は感染者が少なく、配っていない国は感染者が多かったという事実があります。

例をあげますとアフリカで「投与ありの国」の感染者数は、10万人当たり131人で、「投与なしの国」が925人となり、死亡者数は、投与国が10万人当たり2.1人で、投与していない国は28・4人と、13倍以上の開きがあります。

このデータからしてもイベルメクチンの有効性を推し量ることが出来るのではないでしょうか?

日本国内においての研究においても80%に効果があるというデータが得られています。

現在イタリア・イギリス・日本・フランス・アメリカなど、先進国も治験を開始していることからして、今後先進国の結果がオープンにされれば、イベルメクチンの使用に反対する一番の理由がなくなってしまうので、情勢は変化して効く使い方が明らかになってくると考えられています。

新型コロナウイルス感染者に対する有効な薬剤がない現在、副作用がほとんどなく、有効性の高いイベルメクチンの使用を国はもっと推し進めてほしいものです。

イベルメクチンの知名度はアビガンに比べて低いことと、本来は駆虫薬なので、新型コロナウイルスに効くという認識がほとんど持たれていません。

また新型コロナの治療なのにどうして虫下しの薬を飲ませるのかと、抵抗を抱いてしまう人も多いののが現実でしょう。

※日本ではイベルメクチンは厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症COVID-19診断の手引き」に記載されている治療薬です※

2021年6月6日日曜日

新型コロナウイルスについて-28.新型コロナウイルスの国内製造ワクチンの現状-

 国内の主なワクチンの開発現状を簡単に解説します。

1.塩野義製薬 国立感染症研究所/UMNファーマ

コロナウイルスのタンパク質を遺伝子組み換え技術で作成(遺伝子組み換えワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2020年12月から開始

2.第一三共 東大医学研究所

コロナウイルスのmRNAを使用(mRNAワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2021年3月から開始

3.アンジェス 大阪大学/タカラバイオ

コロナウイルスのDNAを人に投与(DNAワクチン)

※2021年3月、第Ⅱ/Ⅲ相の参加者500人全員に接種が終わり、今後数カ月の経過観察をした後、2021年内に大規模な第Ⅲ相試験に入る予定

4.KMバイオロジクス 東大医科学研究所/国立感染症研究所

不活化したコロナウイルスを使用(不活性化ワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)

いずれのワクチンもまだ第Ⅲ相試験が行われていないか、完了してないことから申請にはまだ先となります。

感染予防ワクチンは、有効性が高いことも必要ですが、安全性が更に必要となります。

2021年5月30日日曜日

新型コロナウイルスについて-27.ワクチン接種の際にシリンジを引く逆血の確認は必要なのか?-

 ワクチン接種をする三角筋などの筋肉注射では通常大きな血管はないため、海外では逆血確認のシリンジを引く必要はないとされています。

これはあくまで予防接種についてのみの場合です。

予防接種において、筋肉注射でも皮下注射でもシリンジを引くと「痛い」ので不利益を被る人のほうが多いことからCDCの予防接種ガイドラインにも逆血確認は必要ないと記載されています。

確かに一昔前まではワクチン接種で逆血確認が必要と言われていました。

しかし医学は日々進歩しており、時代とともに医学はどんどん新しい知識や知見を学んでいく必要があります。

予防接種の筋肉注射を受けて接種者が逆血確認のためにシリンジを引かなくても間違いではありません。

いつまでも旧態依然の方法に固執することは出来ません。

現在世界の多くの国々では、生ワクチン以外のワクチンはこの筋肉注射での予防接種が広く一般的に行われています。

これは痛みも少なく、ワクチンによっては効果もより高いからです。

人は誰でももそうですが、昔から慣習的に行っていることを急に変えるという事に躊躇する気持ちや不安になる気持ちを抱くのが常です。

ワクチン接種が多い小児科の分野では、以前より筋肉注射への理解や知識を深めようとする動きはすでに行われています。

筋肉注射は垂直に針を刺すことから見た目は痛そうに思われがちですが、実際は皮下注射と比べると痛みなども少なく利点が多いのです。

痛みは人それぞれ感じ方に差がありますから、筋肉注射が皮下注射より痛みが少ないというのは海外での研究や海外での経験からわかっている一般的な知識として申し上げています。

人によっては筋肉注射の方が皮下注射より痛いと感じる人もいて当然ですし、その逆もそうです。


2021年5月23日日曜日

新型コロナウイルスについて-26.新型コロナウイルスの変異株に対してワクチンはどの程度効果あるのか?-

 2021年5月12日、横浜市立大学の研究グループがファイザー製ワクチンを接種した医療従事者105人を対象に感染予防に役立つ中和抗体がどの程度作られているか調査した結果を発表しました。

2回接種では変異株別に見ると、

・イギリス株は94%

・南アフリカ株は90%

・ブラジル株は94%

・インド株は97%

・カリフォルニア株は97%

・ニューヨーク株は98%、

・E484K変異のある由来不明株は97%

・従来株は99%

の人に感染予防効果が期待できる量の中和抗体が確認されたということです。

このことは、2回のワクチン接種で90%以上の人に感染予防効果のある中和抗体が確認されたことになります。

1回接種では中和抗体の出来る割合は、平均で57%と低くなります。

この調査結果は調査対象者が100人と少ないことから、確定的に事は言えないと思いますが、取り敢えず感染予防効果があることが明らかになったことは明るい道がひらけそうです。

今後調査対象を増やしてさらなる分析が必要となります。

2021年5月16日日曜日

新型コロナウイルスについて-25.スポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機の有効性について-

2021年5月現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜できる空間除菌の家電や雑貨はありません。

従ってスポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機は、新型コロナウイルスの予防には全く意味がありません。

※新型コロナウイルス感染症対策として"空間除菌"をうたう空気清浄機は、人への有効性や安全性が未確立な技術であり、その有効性は医学的には証明されていません※

空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨してます。

感染症対策の専門家は、「空間除菌」については「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない」と、指摘してます。

スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きがあるとの誤解を一般に与えることから、極めて問題であると言えます。

役人は専門的な知識もなく、専門家に相談すること無く、税金を無駄に使用しているとしか言えません。

本当に嘆かわしいことです。


2021年5月9日日曜日

新型コロナウイルスについて-24.インド変異株-

 2020年10月頃インドのマハラシュトラ州で出現

特徴としては、スパイクタンパク質にふたつの変異

南アフリカ型及びブラジル変異株にみられるE484K変異と米国カリフォルニア州で確認されたL452R変異が同時に見られる二重変異株で、B.1.617と呼ばれています。

世界20ケ国で見つかっている。

日本国内では2021年4月26日時点で21件見つかっている。

「二重変異株」とも呼ばれ、免疫が働きにくくなったり、感染力が強まったりする可能性があるが、ワクチンの効果への影響ははっきり分かっていない。

現在、世界で拡大している新型コロナウイルスの変異株の中には、特に注意すべきものとしてVOC(variant of concern:懸念される変異株)やVOI(variants of interest:注意すべき変異株)などがあります。

VOCにはイギリス由来、南アフリカ由来、ブラジル由来の変異株が指定されています。

VOIには先日フィリピンからの入国者から見つかった変異株や、前述のカリフォルニア株などが指定されています。

このインド由来の変異株B.1.617が今後VOCやVOIに指定されるかどうかについては、

・感染性の増加の有無

・重症度の増加の有無

・再感染リスクの増加やワクチン有効性低下の可能性

などについての情報が集積されるのをもう少し待たなければなりません。

2021年5月2日日曜日

新型コロナウイルスについて-23.空間除菌グッズに騙されないように!!その2-

 某メーカーのサイトには「ウイルスを99%除去できる」などといった宣伝文句が書いてありますが、これは空間除菌グッズに空気中を漂うウイルスや細菌を不活化させる一定の働きがあるのは本当ですが、これは限られた、実験室の条件下でウイルスを除去出来るということにほかなりません。

日常生活で実際に使用される環境下でウイルスを除去出来る性能を持っていなければ何の役にも立ちません。

要するに消費者が、「ウイルスを99%除去できるから新型コロナの感染予防にも役に立つのだろう」と誤解するのは消費者の勝手ということになります。

消毒剤や治療薬は、試験管内や動物実験で良い効果が得られて、実際に使用すると全く効果がなく、逆に害が大きかったりすることはよくあります。

そのために世に出るまでには、大規模な臨床試験で効果や安全性を確認します。

このような大規模な臨床試験で効果や安全性を調べるには、多くの時間と多くの費用がかかります。

そのことから、「効果がありそう」という誤解を維持させ続けたまま「雑貨」で売り続けているのです。

感染を予防する可能性を否定出来なくても、空間除菌をやることはやらないよりはましだと考える人もいますが、これは空間除菌に害がなければの話です。

ウイルスに影響を及ぼす薬剤で、人体にはまったくの安全という化学物質はほぼ存在しません。

短時間で空気中のウイルスを不活化できる濃度の化学物質は、同時に人に有害である可能性が大なのです。

被害を防ぐために安全性を優先して濃度を薄くすると今度は効果がなくなってしまいます。

販売されている商品がそれぞれの使用条件下で、ウイルスを不活化できるが人体に害のない適正な濃度を維持できるとは限りません。

そもそもそんな適正な濃度があるのかどうかも疑問なのです。

空間除菌製剤による健康被害は実際発生しています。

咳、呼吸器、悪心のほか、重症度の高いものとして首からぶら下げるタイプの空間除菌製剤によって化学熱傷が起きたという事例が複数報告されています。

これらの被害に対して、製造販売しているメーカーは、『適切に使用すればこうした事故は起こらない』と言うかもしれませんが、本当に感染予防効果が明確であれはその言い訳は通用するかもしれませんが、効能があるのかどうかもわからないのに、使い方を間違えれば重大事故が起きうる製品を使うのは極めて非合理的です。

健康被害の起きるリスクの高い"雑貨"を念の為あるいは万が一のときのために使用するにはあまりにもリスクが大きすぎます。

空間除菌グッズには、医学的には感染予防効果が証明されていないこと、使い方によっては重大な健康被害が発生することを製造販売しているメーカーははっきりと告知する義務があると思います。

新型コロナウイルスの大流行で、人々は藁をもすがる思い出で製品を買って感染対策をせざるを得ない人々の弱みに付け込むことは許されるべきではないと思います。

国も指摘するだけでなく、取締をしてほしいものです。

少し長くなりましたが、ご容赦下さい。

2021年4月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-22.空間除菌グッズに騙されないように!!その1-

 空中に消毒薬を拡散させることで空気を消毒すると称する、いわゆる「空間除菌」は、数多く宣伝されています。

据え置きタイプ・首から下げるタイプ・スプレータイプなどさまざまな商品が販売されていますが、空間除菌によって新型コロナウイルスの感染を予防できるという臨床的証拠(医学的根拠)はありません。

先進国においても空間除菌を推奨している公的機関もありません。

厚生労働省のサイトには、下記の注意を促しています。

『消毒剤や、その他ウイルスの量を減少させる物質について、人の眼や皮膚に付着したり、吸い込むおそれのある場所での空間噴霧をおすすめしていません」「これまで、消毒剤の有効かつ安全な空間噴霧方法について、科学的に確認が行われた例はありません。また、現時点では、薬機法に基づいて品質・有効性・安全性が確認され、「空間噴霧用の消毒剤」として承認が得られた医薬品・医薬部外品も、ありません」』

それでは空間除菌グッズは何に分類されるのでしょうか?

そもそも空間除菌グッズは、医薬品や医薬部外品ではなく単なる"雑貨"なのです。

全てのメーカの宣伝文句を注意してよ~く読んでみますと、「新型コロナの感染予防に効果がある」とは一言も書かれていません!!

医薬品や医薬部外品ではなく"雑貨"であるのに、感染予防の効果効能をうたうと法律違反になります。

新型コロナの流行以前から、空間除菌グッズを販売する会社は、景品表示法に基づいて消費者庁からしばしば措置命令を受けています。

消費者にはあたかも感染予防効果があると誤認させる一方で、消費者庁からは処分を受けないように考えて広告表現を工夫して宣伝する才能は大したものと言わざるを得ません。

続く


2021年4月18日日曜日

新型コロナウイルスについて-21.新型コロナウイルス抗体検査について-

 新型コロナウイルス抗体検査には抗体即日検査と抗体精密検査の二種類があります。

抗体即日検査は15分ほどで検査結果が判明し、新型コロナウイルスのIgM抗体、IgG抗体どちらが陽性が出たかというのも判別することが可能です。

抗体精密検査は検査結果が判明されるまで2~4日ほどかかりますが、抗体即日検査よりも精度が高いと考えられています。

この検査の欠点としては陽性となった場合、IgM抗体、IgG抗体のどちらが陽性であったのか判別することはできません。

即日抗体検査はイムノクロマト法を利用した検査です、

【IgM抗体とIgG抗体について】

基本的にIgM抗体が感染初期に現れ、比較的早い段階で消失し検出できなくなります。

IgM抗体が陽性の場合は、過去1週間以内に感染した可能性が高いということになります。

それに比べてIgG抗体は比較的感染後遅い段階で現れ、長期間検出可能と言われています。

IgG抗体が陽性の場合は、過去数ヶ月以内に感染した可能性があり、抗体が体内に存在していることになります。

IgM抗体、IgG抗体ともに陽性だった場合は、現在進行形で新型コロナウイルスに感染している可能性が考えられます。

【注意す.べきこと】

IgM抗体、IgG抗体ともに陰性であっても新型コロナウイルスに対する抗体が検出できなかったことを確認しただけで、新型コロナウイルスの感染を完全に否定する事はできません。

また、新型コロナウイルスのワクチンを接種し、抗体ができると陽性となります。

【検査キットの信頼性】

・IgGの感度100% 特異度98.9%

・IgMの感度100% 特異度97.8%

※抗体陽性は、「過去に感染した可能性が?い」ということを意味するのみ※

?:抗体アリ≠感染防御免疫アリとは言えません

? :抗体検査は、ウイルスに対する免疫反応を検出することから、必ず特異反応であるとは言い切れません

キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、正確な診断をするための検査とは言いにくいです。

一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1~2週間(感染初期)、IgG抗体は2~3週以降(回復期)に出現します。

※国立感染症研究所の評価によりますと、イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59.4%、IgG抗体陽性率は96.9%と報告されています※

※2021年4月現在、厚生労働省が認可した簡易キットは『エスプラインR SARS-CoV-2(富士レビオ社製)』・デンカ株式会社の「クイックナビ-COVID19Ag」・株式会社タウンズの「イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2」がありますが、これ以外のネット通販のキットは厚生労働省が認可した簡易キットではないことからこれらキットを使用する場合は自己責任で利用することになります※


2021年4月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-20.変異株についてのまとめ-

 変異株についてまとめてみますと以下のようになります。

(1)英国型(N501Y変異)

スパイクタンパク質の501番目のアミノ酸がチロシンに置換したN501Y変異した株。

感染力の増加が懸念されています。


(2)南アフリカ型とブラジル型(N501Y変異+E484K変異)

N501Y変異に加えて、484番目のアミノ酸がリジンに置換した変異(E484K変異)株。

感染力の増加と免疫効果への影響が懸念されています。


(3)新たな変異株(E484K変異のみ)

N501Y変異を持たずE484K変異のみを持つ新たな変異株。

海外から持ち込まれたと推測されています起源は不明。


【N501Y変異株の問題点】

E484K変異が注目されるのは、「免疫逃避」と呼ばれる性質があるからとされています

E484K変異がない新型コロナウイルスに感染したり、既存のワクチンを接種したりして得た免疫の効果の一部が、E484K変異ウイルスに対しては十分に効かない可能性が複数の実験で指摘されていることです。

E484K変異株に対しては、既存のワクチンがある程度効果が認められるとする説と、効果がないという説に分かれています。


【日本国内での変異株の現状】

・英国型・・・803例

・南アフリカ型・・・16例

・ブラジル型・・・55例

・新たな変異株(E484K変異)・・・1123例

※2021年4月5日の国立感染症研究所の資料から作成※

2021年4月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-19.変異株について-

 どの種のウイルスも増殖の過程で変異を引き起こしますが、変異のスピードや変異によるウイルスの性質が変化するかは、それぞれのウイルスによって異なります。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、平均して2週間に1回程度のサイクルで変異していると考えられています。

この変異ではウイルスの性質が大きく変わることはまれですが、変異によって作られるたんぱく質を構成するアミノ酸が変われば性質が変わる場合が起こりえます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のSpikeタンパク質の多重変異を特徴とする変異株は、以下のものが確認されています。

・英国VOC-202012/01(B.1.1.7)

・南アフリカ501Y.V2(B.1.351)

・ブラジル501Y.V3(P.1)

新たな変異としてはE484Kが確認されています。

このE484K変異は磁石のNS極を逆転させるような極性を反転させる際立った変異とされていて、現在注目を浴びています。

このE484K単独でワクチンの効き目がなくなるわけではありませんが、少なからず効果が減弱する可能性が指摘されています。

次回からこれらの変異株について解説してきます。


2021年3月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-18.PCR検査は万能検査ではない-

 新型コロナウイルスに感染しているかを判定する一番の検査は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」という検査と言われていますが、果たしてそうなんでしょうか?

そもそもPCR検査は、ウイルスの一部の核酸を増やして調べる検査で、ウイルスそのものを見つける検査ではありません。

検査材料としては、感染の疑いのある人の喉や鼻の粘液を採取し、そこに含まれる、新型コロナウイルスに特徴的な遺伝物質の一部を増やして検査をします。

そして検出レベルまで増えれば「陽性」、検出できなければ「陰性」と判断します。

ここで多くの人が勘違いしているのは、PCR検査は万能と思い込んでいる人が多いということです。

PCR検査は万能検査ではありません!!

感染の初期やウイルスが少ない検体の場合は、いくら核酸を増幅させても検出できないことも当然ありえます。

その事例としては、

・PCR検査を行う技術者や医師の技術力の未熟さから、結果が陰性から陽性になったり、逆に陽性が陰性になったりすることがある。

どの検査でもこのようなことは起こりえますが、検査の難しいPCR検査は特にこの間違いは発生しやすいのです。

これを防止するには、日頃からPCR検査を行える人材教育をしていくことが大切です。

付け焼き刃での研修では優秀な人材は育ちません。

・陽性から陰性になった後、再び陽性になった。

これは一度体内からウイルスが減ったが、再び増える「再燃(さいねん)」が起きた可能性が専門家から指摘されています。

・ある男性の一人は、喉からの粘液検査では陰性となり、その後肺炎と診断され、肺内のウイルスがわかる別の検体の検査で陽性になった。

これは喉から採取した検体の中のウイルスの量が少なかったからです。

新型コロナウイルス検査には、インフルエンザウイルスの迅速簡易キット検査が現在存在していません。

新型コロナウイルスの感染を迅速に判定できる簡易キットの開発を急ぐ必要があります。


2021年3月21日日曜日

新型コロナウイルス流行下でHIV検査を受ける人が激減!!

 2021年3月16日、厚生労働省のエイズ動向委員会は2020年の1年間に保健所などで行ったHIVの検査数が2019年に比べて半減したと発表しています。

検査件数は68998件と大幅に減少し、相談件数も2019年に比べて半減し66519件だった。

新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大し、HIVの検査や相談をためらう人が増えたほか、保健所の業務が新型コロナウイルス対応で逼迫し、その結果HIVの検査を取りやめた時期があったことなどが影響したとみられています

2020年にHIV感染が新たに判明した人は、2019年に比べて160人減の10761人(速報値)となっています。

内訳としては、エイズを発症した患者が前年比3人増の336人、無症状の感染者が前年比1631人減の740人だった。

HIV感染者数が減少したのは、検査件数などの減少で、無症状の感染者を十分に把握できていない可能性があり、真に減少したとは言えません。

不安な行為をしてしまったときには、必ず適切な時期にHIV検査を受ける必要があります。

新型コロナウイルスの影響でHIV検査を受けづらい場合は、郵送による検査を受けることも選択肢のひとつです。

検査を受ける人が減ればそれだけいきなりエイズも増加することになります。


2021年3月14日日曜日

新型コロナウイルスについて-17.新型コロナウイルスの変異株のE484Kとは-

 国立感染症研究所が、国際的なデータベースに登録したウイルスの遺伝情報を慶応大の研究チームが解析した結果、2020年8月と12月に採取された新型コロナウイルス2個の突起先端部に「E484K」と呼ばれる変異があったことを確認しました。


この変異株は日本国内で変異したと考えられていますが、現在流行しているこの変異株は海外から流入したのとは別に、国内で以前から広まっていたウイルスにE484K変異が入った可能性が高いと判断されています。


E484Kは、これまでの感染で体内にできた抗体やワクチンの効果を低下させると懸念されています。


この変異株が国内からも発生したとすれば、今後も同様の変異ウイルスが生まれる可能性があることから懸念されています。


新型コロナウイルスの変異は今後も起こり、これから使用するワクチンの効果が悪くなる可能性があることからして、変異したウイルスの早期発見と早期対策が叫ばれています。

2021年3月7日日曜日

新型コロナウイルスについて-16.新型コロナワクチンに対する日本感染症学会からのCOVID-19ワクチンに関する提言-

 2021年2月よりわが国でも遅ればせながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まりました。

これを受けて2021年2月26日、「日本感染症学会」は、『COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)』を同学会のホームぺージで公開してます。

この提言の内容について解説してみます。

第1版は既に2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況・作用機序・有効性・安全性・国内での接種の方向性そして接種での注意点などが提言されています。

今回は、特にワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆が加えられ更に筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加されています。

まずはワクチンの有効性についてですが、

○COVID-19ワクチンの有効性の追加についてですが、

(1)ファイザーの臨床試験として、55歳以下で95.6%、56歳以上で93.7%、65歳以上で94.7%の有効率が認められたとしています。

しかし、75歳以上では対象者数が十分でなく評価できていないと述べています。

(2)モデルナの臨床試験結果としては、65歳未満で95.6%、65歳以上で86.4%の有効率が認められたとしています。

しかしそれ以上の年齢層では評価されていないとも述べています。

(3)アストラゼネカの臨床試験結果としては、接種群における70歳以上の割合は5.1%にすぎず評価不十分と述べています。

※これらをまとめますと、いずれのワクチンも、75歳を超える高齢者での有効性については今後の検討課題であり、接種群で基礎疾患のある人の割合は、ファイザーの臨床試験で20.9%、モデルナで27.2%、アストラゼネカで24.7%と比較的多く含まれているものの、それぞれの基礎疾患ごとの有効性の評価は十分ではなく、今後検討が必要と結論づけています※

一番気になる変異株とワクチンの効果についてですが、

この提言では「SARS-CoV-2の変異速度は24.7塩基変異/ゲノム/年とされており、2週間に約1回変異が起き、その変異によってウイルスのタンパク質を構成するアミノ酸に変化が起こることがある」とされ、「とくにスパイクタンパク質のACE2との結合部位近くのアミノ酸配列に変化が起きると、SARS-CoV-2の感染性(伝播性)やワクチンで誘導される抗体の中和作用に影響が出る」と述べられています。

更にイギリス変異株については、「感染力(伝播力)が36%から75%上昇すると推定されているものの、ファイザーのワクチンで誘導される抗体による中和作用には若干の減少がみられるが、ワクチンの有効性には大きな影響はない」と述べられています。

南アフリカおよびブラジルの変異株は、「COVID-19回復期抗体の中和作用から回避する変異であることが報告され、ワクチンの有効性に影響が出ることが懸念されている」と述べられています

ワクチンの安全性について

海外の臨床試験では、「活動に支障が出る中等度以上の疼痛が、1回目接種後の約30%、2回目接種後の約15%に、日常生活を妨げる重度の疼痛が、1回目で0.7%、2回目で0.9%報告された」と紹介されています。

「この接種後の疼痛は接種数時間後から翌日にかけてみられるもので、1~2日間ほどで軽快。注射の際の痛みは軽微と思われる」と推定しています。

そして、海外での高齢者や基礎疾患を有する者への接種では、「現在のところ死亡につながるなどの重篤な有害事象は問題になっておらず、COVID-19に罹患して重症化するリスクに比べるとワクチンの副反応のリスクは小さいと考えられる」と考えを呈しています。

一方日本国内での臨床試験における有害事象につていは、ファイザーのCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」では、海外での臨床試験の結果と比べ、「局所の疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛はほぼ同等、悪寒の頻度がやや高くなっていると述べられています。

発熱に関しては、37.5℃以上対象(国内定義/海外定義は38℃以上)で1回目が10%、2回目が16%と高い頻度で認められたが、発熱者のほぼ半数を37.5~37.9℃の発熱が占めているため、その割合は海外の結果と大きな違いはなかったと述べられています。

・mRNAワクチンによるアナフィラキシーに関して、

 1回目接種直後のアナフィラキシーの報告について、米国での当初の調査では、「100万接種あたりのアナフィラキシーの頻度が、ファイザーのワクチンで11.1、モデルナのワクチンで2.5と、すべてのワクチンでの1.31に比べて高くなっている。

両ワクチンのアナフィラキシーに関する報告をまとめると、女性が94.5%を占め、アナフィラキシーの既往をもつ者の割合は38.7%、接種後15分以内に77.4%、30分以内に87.1%が発症している。

その症状は、ほとんどが皮膚症状と呼吸器症状を伴うもので、アナフィラキシーショックを疑わせる血圧低下は1例のみであった。

なお、その後の米国の調査で、アナフィラキシーの頻度は両ワクチン合わせて100万接種あたり4.5と報告されています。

この提言では、ワクチンの有効性と安全性を評価したうえで、ワクチン接種を望む一方で、「ワクチン接種を受けることで安全が保証されるわけではなく、接種しても一部の人の発症、無症状病原体保有者として人に感染を広げる可能性があること」についても注意をうながし、COVID-19の蔓延状況が改善するまでは、マスク、手洗いなどの基本的な感染対策の維持を推奨しています。

日本感染症学会の提言の全文は以下を参照してください。

  ↓

日本感染症学会



2021年2月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-15.その2.二重マスク着用は二重かどうかよりも「フィットするかどうか」が重要-

前回の続きです。 

今回の実験の結果からは"二重がマスク最高!"ということではなく、飛沫が入り込む隙間をいかに減らすかが重要である、ということが理解できると思います。

二重マスクをする理由は「両端の隙間をなくしフィットさせるための方法」としてのものですので、重ねれば良いというものではありません。

1. マスクはノーズワイヤー(マスクの上部に沿った金属片)付きのものを選ぶ。

ノーズワイヤーを鼻の上で曲げて顔に密着させることで、マスク上部からの空気の漏れを防ぎます。

2. マスクフィッターやブレースを使用する。

サージカルマスクなどの使い捨てマスクや布製マスクの上にマスクフィッターやブレースを使用して、マスクの端の周りに空気が漏れないようにします。

3. 鼻、口、顎の上にぴったりとフィットすることを確認することが重要です。

マスクの両端に手を当てて隙間がないか確認してください。

目の近くやマスクの側面から空気が流れていないことを確認してください。

結論としては、顔にフィットさせるために二重マスクを使用することは浴びる飛沫の量を減らすためには有効なようです。

小顔の方は参考にして良いでしょう。

ただし、通常のマスク着用でも十分な効果が確認されています、これを二重マスクにしてよりフィットさせることでどれくらい実際の感染者が減るのかは未知数なのです。

実際には感染リスクは「マスクなし⇒⇒⇒マスク1枚⇒二重マスク」と考えられますので、二重にするかどうかよりも、会食などのマスクを装着していない場面での感染リスクをいかに減らすかの方が重要となるのです。

また、今は冬なので問題ないですが、夏に二重マスクをすれば熱中症のリスクも高くなるのではないかと推測されます。

マスク着用が推奨されるのはいまのところ換気が不十分となりやすい屋内や混雑した場面のみであり、人との距離が十分に保たれている場合は屋外でのマスク着用は推奨されていません。

メリハリをつけてマスクを装着するようにしましょう。


2021年2月21日日曜日

新型コロナウイルスについて-14.その1.二重マスク着用は感染防御効果大!!??-

 2021年2月10日、米国疾病予防管理センター(CDC)は二重マスクの効果に関する研究結果を発表し、これを受けて各メディアは 米国疾病予防管理センターは二重マスクを推奨と報じましたが、これは本当にマスク二重にした方が良いのでしょうか?

この事について分析してみます。

要するにこの論文は、着用時マスクをフィットさせることの重要性を強調しています。

ここで検証された三種類のマスクとは、

1.普通のサージカルマスクで、両側に隙間ができていることが強調されています。

2.二重マスクで、サージカルマスクの上に布製マスクを覆うことにより隙間がなくなっています。

3.結び目マスク(本文中では"knotted/tucked mask")で、両側に結び目を作ることで隙間をなくしています。

この三種類のマスクを使用して飛沫を排出する側と飛沫を浴びる側がそれぞれマスクを着けた場合、着けなかった場合の飛沫を浴びる量を比較しています。

この結果、排出する側/浴びる側がどちらもマスクを装着していた場合、普通のマスクではマネキンが浴びる飛沫の量が84.3%減ったのに対し、二重マスクでは96.4%、結び目マスクでは95.9%減ったとのことです。

確かに二重マスクと結び目マスクでは、普通のサージカルマスクよりも飛沫を浴びる量が減るようです。

普通のマスクの84.3%という結果も立派なものだとは思いますが・・・。

【つづく】

2021年2月14日日曜日

新型コロナウイルスについて-13.抗体依存性感染増強(Antibody-dependent enhancement:ADE)とは-

ワクチンの接種などにより起こりうる現象で、「抗体依存性感染増強(ADE)」と呼ばれます。

本来、ウイルスなどから体を守るはずの免疫抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その結果ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、あろうことか症状を悪化させてしまうという現象です。

それではこの抗体依存性感染増強はどの様なメカニズムで発生するのでしょうか?

抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについては、現時点では明らかになっていないことが多いのが現実です。

詳しい原因は不明で、中途半端な抗体ができたためともいわれています。

ただこれまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告がなされています。

実例をあげますと、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、この現象は抗体依存性感染増強と考えられています。

人の免疫機構としては、抗体というたんぱく質を作ることで病原体に直接作用して生体を守る機能と、免疫細胞に取り込ませて処理をさせる液性免疫と、リンパ球などの免疫細胞が病原体に感染した細胞を処理する仕組みである細胞性免疫が存在していて、この機能によって人はウイルスなどの病原体から体を守っています。

これらの免疫は、本来はウイルスなどの病原体に感染した時の体の防御システムであり、再びと同じ病原体にかからないようにする仕組みです。

ワクチンはその仕組みを使っているのです。

ワクチン接種による大きな懸念として抗体依存性感染増強があるのです。

過去のワクチン開発でも動物実験のレベルでこの抗体依存性感染増強が発症して開発中止となった例もあります。。

免疫反応を確認しながらワクチンは開発されることから、その分だけ時間がかかります。

また上記のようにウイルスに対する抗体も、その機能を確認したうえで判定する必要があります。

抗体があるからといって、一概に安全とは言えないのです。

抗体依存性感染増強のように生体を危険にする抗体もあるということです。

2021年2月7日日曜日

新型コロナウイルスについて-12.各種マスクの予防効果について-

 ・不織布マスク

吐き出し飛沫量カット 80%

吸い込み飛沫量カット 70%

・布マスク

吐き出し飛沫量カット 74%

吸い込み飛沫量カット 40%

・ウレタンマスク

吐き出し飛沫量カット 50%

吸い込み飛沫量カット 35%

・フェイスシールド

吐き出し飛沫量カット 20%

吸い込み飛沫量カット 小さい飛沫に対しての効果はなし(エアゾルは防げない)

・マウスガード

吐き出し飛沫量カット 10%

吸い込み飛沫量カット 小さい飛沫に対しての効果はなし(エアゾルは防げない)

※各専門家・専門機関のデータから算出した平均値※

マスクの素材によって防御効果に差がかなりありますが、使用する場所や注意点を守れば問題はないと専門家も指摘しています。

不織布マスク以外は一切認めず、その他のマスクは認めないというのは間違いです。

不織布マスク以外は一切認めないという根拠は、理化学研究所などの研究チームが行ったスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションが影響しているようです。

確かに不織布に比べウレタンや布のマスクは飛沫の遮断性能が劣りますが、フェースシールドやマウスガードほどではなく、理研の担当者は「特徴の差で、使うなという意味ではない」と強調していることを理解する必要があります。

結論としては、どれも一般的な使用なら問題は無く、密な場所や病院など、より注意が必要な場所では不織布マスク、換気の良い場所で長時間使う場合はウレタンマスクと使い分けをすれば良いことです。

鼻を覆わないなど誤った着用で性能は大幅に低下することの方が重要で、材質より正しく使う方が大切です。

注意することとしてはウレタンマスクは繰り返し力が加わったりすると劣化するため、多くの製品で洗濯回数に制限が明記されていますからよく説明書を読んで使用してください。

何度も洗濯すると、見た目はきれいであってもフィルターの能力が落ち感染予防には役に立ちませんので注意が必要です(説明書に記載されている洗濯回数が来れば新品に交換)。

2021年1月31日日曜日

新型コロナウイルスについて-11.変異株と変異種の違いとは-

変異株と変異種とは全く概念が異なります。

変異株を説明する前に突然変異について解説しておく必要があります。

突然変異はすべての生物において、遺伝子の複製過程で一部読み違えや組み換えが発生し、遺伝情報が一部変化する現象です。

突然変異の結果、新しい性質を持った子孫ができることがあります。

この子孫のことを変異株と呼びます。

変異株そのものは、変化した遺伝情報の影響を受けた一部の性質が変化していますが、もともとの生物の種類は変化していません。

従って変異株は、同じウイルスの複製産物に過ぎないことからして、ウイルスの名称は変化しません。

英国や南アフリカで新たに発見された新型コロナウイルスは、突然変異によるこウイルスの変化したものですから変異種ではなく変異株ということになります。

一方変異種とは、極まれに近縁の生物種の間で多くの遺伝子組み換えが起きると、ふたつの生物種の特徴を併せ持った新しい生物種が誕生することがあります。

これを変異種と呼称します。

この場合は、新型のウイルスが誕生することになるので、新しいウイルスの名前が与えられることになります。 

2021年1月27日、日本感染症学会は報道機関向けに声明を発表し、新型コロナウイルスの"変異株"を"変異種"と表記しているメディアに対して「これは学術的には誤用となりますので、今後は変異"株"と正しく表記していただきたくお願い申し上げます」と要望しています。 

2021年1月24日日曜日

新型コロナウイルスについて-10.ネットで販売されている新型コロナウイルス抗体検査についてのご注意-

 現在ネットを見ると、新型コロナウイルス抗体検査キットは数多く販売されています。

これらの検査キットの説明文には「15分で自宅にいながらすぐに結果が陽性か陰性かがわかる」、「病院に検査しに行って逆に感染するリスクをなくせます」と、紹介されています。

そもそも抗体検査キットは、体内にウイルスの抗体があるかどうかを調べるもので、PCR検査のように感染の有無を診断するものではありません。

これら抗体検査キットは、研究用試薬で、感度や特異性がはっきりわかっていません。

厚生労働省も抗体検査キットについて、「研究用試薬で精度がわからない」として注意を呼びかけています。

また、2020年12月時点、厚生労働省によって医薬品として承認されている抗体検査キットは存在していません。

抗体検査キットで感染を正確にリアルタイムで知るのは無理なのです、なぜなら血液の中に感染を示す抗体があるなしの判定しかできません。

感染して、まだ症状が出始めた時、そういう感染初期の早い時期にはまだ抗体はてきていませんし、仮にできていても量が少ないことから検査は陽性にはなりません。

こたこのキットで検出された抗体の種類は、

1.感染したことを示す感染抗体

2.感染を防ぐ感染予防抗体(中和抗体)

の区別をすることができません。

抗体検査で感染を正確にリアルタイムに知ろうということは、不可能なのです。

現在巷で売られている抗体検査キットは、信頼性はないと考えて利用することを控えるべきです。

【追加】

新型コロナウイルスの抗体検査キットをウイルス感染の判定に利用できるとうたって販売したのは景品表示法に触れる恐れが強いとして、消費者庁は2020年12月25日、業者6社に表示の修正を求める行政指導を行った。

同庁は「抗体検査は感染歴の傾向を調べる疫学調査目的では利用されているが、感染判定には適さない」と強調し、販売している6社の商品は認可を得ていないことなどを説明しておらず、消費者が誤解する恐れが強いとした。

※これらのキットいずれも中国製で、抗体の有無をきちんと判定できる保証もないという※

感染拡大を受け、ネット上では安価な抗体検査や無認可のPCR検査、抗原検査のキットも多く販売されている。

同庁担当者は「偽陽性や偽陰性の判定で感染拡大や医療逼迫(ひっぱく)を加速させかねない。必要な場合に限り、医療機関で検査してほしい」と話している。

2021年1月17日日曜日

新型コロナウイルスについて-9.不織布マスク着用 広がる動き!!??-

 現実どのくらいの人が不織布マスクを着けているのでしょうか?

某TV局の街頭におけるにアンケート調査の結果、不織布マスクを着けている人は、半数近くと言う結果が得られています。

その考えられる理由のひとつとして2020年に発表されたスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションの結果が考えられています。

不織布のマスクは、せきをしても、飛沫がほとんど前には飛ばないのに比べて、布やポリエステル製のマスクの場合、細かい飛沫が前方に多く飛んでいることがよく分かります。

不織布マスクは、吐き出した飛沫の80%カット、吸い込んだ飛沫の70%カットされていて、布やポリエステル製より、飛沫を抑えられるという結果が得られています。

この結果が発表されて以後、さまざまな施設で不織布マスクの着用が呼びかけられているようです。

現実多くの施設において不織布マスクへの着け替えを利用客に依頼している事が見受けられています。

専門家は、布やポリエステル製のマスクも、効果が大幅に低くなるわけではないと指摘しており、不織布マスクに殊更拘必要はないと指摘しています。

事実日本感染症学会専門医は、"飛沫を広げない効果は、不織布と布マスクはほぼ同等"と発言しています。

若干ウレタン(ポリエステル)素材は劣るような印象があることからして、あまり会話がないといったような場面での着用は問題ないということです。

その時その時の状況下でマスクの素材を選択することは、間違いではありません。

特に不織布マスクにこだわる必要は無いということになります。

2021年1月9日土曜日

新型コロナウイルスについて-8.新型コロナウイルスワクチンで引き起こされるアレルギー反応に注意!!-

 2021年1月6日米国疾病管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の発行している2021年1月6日付週報に、新型コロナウイルスのワクチンについて、接種後に起きる急性の重いアレルギー症状への対策を十分に取るよう、医療関係者らに注意を呼びかけています。

※米国疾病管理センター週刊疫学情報MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)は、米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)が毎週報告している感染症情報です※


米国疾病管理センターの集計によると、2020年12月23日までに米国で米製薬大手ファイザーのワクチンを1回接種したおよそ190万人のうち、重いアレルギー症状である「アナフィラキシー反応」が21人におきており、そのうち20人は回復していますが1人の容体は確認できていないとのことです。

一般的に「アナフィラキシー反応」がワクチンの接種後に起きる割合は、一般的には100万人に1人という統計がありますが、今回の集計時点ではおよそ9万人に1人と発生頻度がかなり高くなっています。

米国疾病管理センターは、接種会場でアナフィラキシーを抑える注射薬を用意し、アレルギー体質の人への注意喚起を徹底することを提起しています。

それ以外の副反応としては、炎症などを含め全体のおよそ0.2%にあたる4393人に起きています。

米国疾病管理センターは同社のワクチンについて、「接種の利益は、副作用のリスクを上回っている」との考え方示しています。


2021年1月3日日曜日

新型コロナウイルスについて-7.新型コロナワクチンの接種対応について-

 2021年1月3日現在、まだ接種開始時期の目処はたっていなく、早ければ2021年3月に始まる可能性があると報道されています。

新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は

・来年2月下旬をめどに医療従事者に接種。

・3月下旬をめどに高齢者への接種を始める体制を確保し、その後、基礎疾患のある人などに優先して接種を行う方針です。

ワクチン接種対象は以下の通りとされています、

ワクチン優先接種順位は以下のようです。

1)医療従事者・・約400万人

2)65歳上の高齢者・・約3600万人

3)基礎疾患のある人・・約820万人

4)高齢者施設等の従事者・・約200万人

計・・・約5000万人

【基礎疾患とは】

・慢性の呼吸器の病気

・慢性の心臓病(高血圧を含む)

・慢性の腎臓病

・慢性の肝臓病(脂肪肝や慢性肝炎を除く)

・インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病、またはほかの病気を併発している糖尿病

・血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)

・免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)

・病気の治療で、ステロイドなど免疫の機能を低下させる治療を受けている

・免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

・神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害など)

・染色体異常

・重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態)

・睡眠時無呼吸症候群です。

※上記基礎疾患があり通院や入院している人が対象※

いずれにしても今後の厚生労働省の発表に注意することです。