血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年4月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-20.変異株についてのまとめ-

 変異株についてまとめてみますと以下のようになります。

(1)英国型(N501Y変異)

スパイクタンパク質の501番目のアミノ酸がチロシンに置換したN501Y変異した株。

感染力の増加が懸念されています。


(2)南アフリカ型とブラジル型(N501Y変異+E484K変異)

N501Y変異に加えて、484番目のアミノ酸がリジンに置換した変異(E484K変異)株。

感染力の増加と免疫効果への影響が懸念されています。


(3)新たな変異株(E484K変異のみ)

N501Y変異を持たずE484K変異のみを持つ新たな変異株。

海外から持ち込まれたと推測されています起源は不明。


【N501Y変異株の問題点】

E484K変異が注目されるのは、「免疫逃避」と呼ばれる性質があるからとされています

E484K変異がない新型コロナウイルスに感染したり、既存のワクチンを接種したりして得た免疫の効果の一部が、E484K変異ウイルスに対しては十分に効かない可能性が複数の実験で指摘されていることです。

E484K変異株に対しては、既存のワクチンがある程度効果が認められるとする説と、効果がないという説に分かれています。


【日本国内での変異株の現状】

・英国型・・・803例

・南アフリカ型・・・16例

・ブラジル型・・・55例

・新たな変異株(E484K変異)・・・1123例

※2021年4月5日の国立感染症研究所の資料から作成※

2021年4月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-19.変異株について-

 どの種のウイルスも増殖の過程で変異を引き起こしますが、変異のスピードや変異によるウイルスの性質が変化するかは、それぞれのウイルスによって異なります。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、平均して2週間に1回程度のサイクルで変異していると考えられています。

この変異ではウイルスの性質が大きく変わることはまれですが、変異によって作られるたんぱく質を構成するアミノ酸が変われば性質が変わる場合が起こりえます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のSpikeタンパク質の多重変異を特徴とする変異株は、以下のものが確認されています。

・英国VOC-202012/01(B.1.1.7)

・南アフリカ501Y.V2(B.1.351)

・ブラジル501Y.V3(P.1)

新たな変異としてはE484Kが確認されています。

このE484K変異は磁石のNS極を逆転させるような極性を反転させる際立った変異とされていて、現在注目を浴びています。

このE484K単独でワクチンの効き目がなくなるわけではありませんが、少なからず効果が減弱する可能性が指摘されています。

次回からこれらの変異株について解説してきます。


2021年3月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-18.PCR検査は万能検査ではない-

 新型コロナウイルスに感染しているかを判定する一番の検査は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」という検査と言われていますが、果たしてそうなんでしょうか?

そもそもPCR検査は、ウイルスの一部の核酸を増やして調べる検査で、ウイルスそのものを見つける検査ではありません。

検査材料としては、感染の疑いのある人の喉や鼻の粘液を採取し、そこに含まれる、新型コロナウイルスに特徴的な遺伝物質の一部を増やして検査をします。

そして検出レベルまで増えれば「陽性」、検出できなければ「陰性」と判断します。

ここで多くの人が勘違いしているのは、PCR検査は万能と思い込んでいる人が多いということです。

PCR検査は万能検査ではありません!!

感染の初期やウイルスが少ない検体の場合は、いくら核酸を増幅させても検出できないことも当然ありえます。

その事例としては、

・PCR検査を行う技術者や医師の技術力の未熟さから、結果が陰性から陽性になったり、逆に陽性が陰性になったりすることがある。

どの検査でもこのようなことは起こりえますが、検査の難しいPCR検査は特にこの間違いは発生しやすいのです。

これを防止するには、日頃からPCR検査を行える人材教育をしていくことが大切です。

付け焼き刃での研修では優秀な人材は育ちません。

・陽性から陰性になった後、再び陽性になった。

これは一度体内からウイルスが減ったが、再び増える「再燃(さいねん)」が起きた可能性が専門家から指摘されています。

・ある男性の一人は、喉からの粘液検査では陰性となり、その後肺炎と診断され、肺内のウイルスがわかる別の検体の検査で陽性になった。

これは喉から採取した検体の中のウイルスの量が少なかったからです。

新型コロナウイルス検査には、インフルエンザウイルスの迅速簡易キット検査が現在存在していません。

新型コロナウイルスの感染を迅速に判定できる簡易キットの開発を急ぐ必要があります。


2021年3月21日日曜日

新型コロナウイルス流行下でHIV検査を受ける人が激減!!

 2021年3月16日、厚生労働省のエイズ動向委員会は2020年の1年間に保健所などで行ったHIVの検査数が2019年に比べて半減したと発表しています。

検査件数は68998件と大幅に減少し、相談件数も2019年に比べて半減し66519件だった。

新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大し、HIVの検査や相談をためらう人が増えたほか、保健所の業務が新型コロナウイルス対応で逼迫し、その結果HIVの検査を取りやめた時期があったことなどが影響したとみられています

2020年にHIV感染が新たに判明した人は、2019年に比べて160人減の10761人(速報値)となっています。

内訳としては、エイズを発症した患者が前年比3人増の336人、無症状の感染者が前年比1631人減の740人だった。

HIV感染者数が減少したのは、検査件数などの減少で、無症状の感染者を十分に把握できていない可能性があり、真に減少したとは言えません。

不安な行為をしてしまったときには、必ず適切な時期にHIV検査を受ける必要があります。

新型コロナウイルスの影響でHIV検査を受けづらい場合は、郵送による検査を受けることも選択肢のひとつです。

検査を受ける人が減ればそれだけいきなりエイズも増加することになります。


2021年3月14日日曜日

新型コロナウイルスについて-17.新型コロナウイルスの変異株のE484Kとは-

 国立感染症研究所が、国際的なデータベースに登録したウイルスの遺伝情報を慶応大の研究チームが解析した結果、2020年8月と12月に採取された新型コロナウイルス2個の突起先端部に「E484K」と呼ばれる変異があったことを確認しました。


この変異株は日本国内で変異したと考えられていますが、現在流行しているこの変異株は海外から流入したのとは別に、国内で以前から広まっていたウイルスにE484K変異が入った可能性が高いと判断されています。


E484Kは、これまでの感染で体内にできた抗体やワクチンの効果を低下させると懸念されています。


この変異株が国内からも発生したとすれば、今後も同様の変異ウイルスが生まれる可能性があることから懸念されています。


新型コロナウイルスの変異は今後も起こり、これから使用するワクチンの効果が悪くなる可能性があることからして、変異したウイルスの早期発見と早期対策が叫ばれています。

2021年3月7日日曜日

新型コロナウイルスについて-16.新型コロナワクチンに対する日本感染症学会からのCOVID-19ワクチンに関する提言-

 2021年2月よりわが国でも遅ればせながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まりました。

これを受けて2021年2月26日、「日本感染症学会」は、『COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)』を同学会のホームぺージで公開してます。

この提言の内容について解説してみます。

第1版は既に2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況・作用機序・有効性・安全性・国内での接種の方向性そして接種での注意点などが提言されています。

今回は、特にワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆が加えられ更に筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加されています。

まずはワクチンの有効性についてですが、

○COVID-19ワクチンの有効性の追加についてですが、

(1)ファイザーの臨床試験として、55歳以下で95.6%、56歳以上で93.7%、65歳以上で94.7%の有効率が認められたとしています。

しかし、75歳以上では対象者数が十分でなく評価できていないと述べています。

(2)モデルナの臨床試験結果としては、65歳未満で95.6%、65歳以上で86.4%の有効率が認められたとしています。

しかしそれ以上の年齢層では評価されていないとも述べています。

(3)アストラゼネカの臨床試験結果としては、接種群における70歳以上の割合は5.1%にすぎず評価不十分と述べています。

※これらをまとめますと、いずれのワクチンも、75歳を超える高齢者での有効性については今後の検討課題であり、接種群で基礎疾患のある人の割合は、ファイザーの臨床試験で20.9%、モデルナで27.2%、アストラゼネカで24.7%と比較的多く含まれているものの、それぞれの基礎疾患ごとの有効性の評価は十分ではなく、今後検討が必要と結論づけています※

一番気になる変異株とワクチンの効果についてですが、

この提言では「SARS-CoV-2の変異速度は24.7塩基変異/ゲノム/年とされており、2週間に約1回変異が起き、その変異によってウイルスのタンパク質を構成するアミノ酸に変化が起こることがある」とされ、「とくにスパイクタンパク質のACE2との結合部位近くのアミノ酸配列に変化が起きると、SARS-CoV-2の感染性(伝播性)やワクチンで誘導される抗体の中和作用に影響が出る」と述べられています。

更にイギリス変異株については、「感染力(伝播力)が36%から75%上昇すると推定されているものの、ファイザーのワクチンで誘導される抗体による中和作用には若干の減少がみられるが、ワクチンの有効性には大きな影響はない」と述べられています。

南アフリカおよびブラジルの変異株は、「COVID-19回復期抗体の中和作用から回避する変異であることが報告され、ワクチンの有効性に影響が出ることが懸念されている」と述べられています

ワクチンの安全性について

海外の臨床試験では、「活動に支障が出る中等度以上の疼痛が、1回目接種後の約30%、2回目接種後の約15%に、日常生活を妨げる重度の疼痛が、1回目で0.7%、2回目で0.9%報告された」と紹介されています。

「この接種後の疼痛は接種数時間後から翌日にかけてみられるもので、1~2日間ほどで軽快。注射の際の痛みは軽微と思われる」と推定しています。

そして、海外での高齢者や基礎疾患を有する者への接種では、「現在のところ死亡につながるなどの重篤な有害事象は問題になっておらず、COVID-19に罹患して重症化するリスクに比べるとワクチンの副反応のリスクは小さいと考えられる」と考えを呈しています。

一方日本国内での臨床試験における有害事象につていは、ファイザーのCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」では、海外での臨床試験の結果と比べ、「局所の疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛はほぼ同等、悪寒の頻度がやや高くなっていると述べられています。

発熱に関しては、37.5℃以上対象(国内定義/海外定義は38℃以上)で1回目が10%、2回目が16%と高い頻度で認められたが、発熱者のほぼ半数を37.5~37.9℃の発熱が占めているため、その割合は海外の結果と大きな違いはなかったと述べられています。

・mRNAワクチンによるアナフィラキシーに関して、

 1回目接種直後のアナフィラキシーの報告について、米国での当初の調査では、「100万接種あたりのアナフィラキシーの頻度が、ファイザーのワクチンで11.1、モデルナのワクチンで2.5と、すべてのワクチンでの1.31に比べて高くなっている。

両ワクチンのアナフィラキシーに関する報告をまとめると、女性が94.5%を占め、アナフィラキシーの既往をもつ者の割合は38.7%、接種後15分以内に77.4%、30分以内に87.1%が発症している。

その症状は、ほとんどが皮膚症状と呼吸器症状を伴うもので、アナフィラキシーショックを疑わせる血圧低下は1例のみであった。

なお、その後の米国の調査で、アナフィラキシーの頻度は両ワクチン合わせて100万接種あたり4.5と報告されています。

この提言では、ワクチンの有効性と安全性を評価したうえで、ワクチン接種を望む一方で、「ワクチン接種を受けることで安全が保証されるわけではなく、接種しても一部の人の発症、無症状病原体保有者として人に感染を広げる可能性があること」についても注意をうながし、COVID-19の蔓延状況が改善するまでは、マスク、手洗いなどの基本的な感染対策の維持を推奨しています。

日本感染症学会の提言の全文は以下を参照してください。

  ↓

日本感染症学会



2021年2月28日日曜日

新型コロナウイルスについて-15.その2.二重マスク着用は二重かどうかよりも「フィットするかどうか」が重要-

前回の続きです。 

今回の実験の結果からは"二重がマスク最高!"ということではなく、飛沫が入り込む隙間をいかに減らすかが重要である、ということが理解できると思います。

二重マスクをする理由は「両端の隙間をなくしフィットさせるための方法」としてのものですので、重ねれば良いというものではありません。

1. マスクはノーズワイヤー(マスクの上部に沿った金属片)付きのものを選ぶ。

ノーズワイヤーを鼻の上で曲げて顔に密着させることで、マスク上部からの空気の漏れを防ぎます。

2. マスクフィッターやブレースを使用する。

サージカルマスクなどの使い捨てマスクや布製マスクの上にマスクフィッターやブレースを使用して、マスクの端の周りに空気が漏れないようにします。

3. 鼻、口、顎の上にぴったりとフィットすることを確認することが重要です。

マスクの両端に手を当てて隙間がないか確認してください。

目の近くやマスクの側面から空気が流れていないことを確認してください。

結論としては、顔にフィットさせるために二重マスクを使用することは浴びる飛沫の量を減らすためには有効なようです。

小顔の方は参考にして良いでしょう。

ただし、通常のマスク着用でも十分な効果が確認されています、これを二重マスクにしてよりフィットさせることでどれくらい実際の感染者が減るのかは未知数なのです。

実際には感染リスクは「マスクなし⇒⇒⇒マスク1枚⇒二重マスク」と考えられますので、二重にするかどうかよりも、会食などのマスクを装着していない場面での感染リスクをいかに減らすかの方が重要となるのです。

また、今は冬なので問題ないですが、夏に二重マスクをすれば熱中症のリスクも高くなるのではないかと推測されます。

マスク着用が推奨されるのはいまのところ換気が不十分となりやすい屋内や混雑した場面のみであり、人との距離が十分に保たれている場合は屋外でのマスク着用は推奨されていません。

メリハリをつけてマスクを装着するようにしましょう。


2021年2月21日日曜日

新型コロナウイルスについて-14.その1.二重マスク着用は感染防御効果大!!??-

 2021年2月10日、米国疾病予防管理センター(CDC)は二重マスクの効果に関する研究結果を発表し、これを受けて各メディアは 米国疾病予防管理センターは二重マスクを推奨と報じましたが、これは本当にマスク二重にした方が良いのでしょうか?

この事について分析してみます。

要するにこの論文は、着用時マスクをフィットさせることの重要性を強調しています。

ここで検証された三種類のマスクとは、

1.普通のサージカルマスクで、両側に隙間ができていることが強調されています。

2.二重マスクで、サージカルマスクの上に布製マスクを覆うことにより隙間がなくなっています。

3.結び目マスク(本文中では"knotted/tucked mask")で、両側に結び目を作ることで隙間をなくしています。

この三種類のマスクを使用して飛沫を排出する側と飛沫を浴びる側がそれぞれマスクを着けた場合、着けなかった場合の飛沫を浴びる量を比較しています。

この結果、排出する側/浴びる側がどちらもマスクを装着していた場合、普通のマスクではマネキンが浴びる飛沫の量が84.3%減ったのに対し、二重マスクでは96.4%、結び目マスクでは95.9%減ったとのことです。

確かに二重マスクと結び目マスクでは、普通のサージカルマスクよりも飛沫を浴びる量が減るようです。

普通のマスクの84.3%という結果も立派なものだとは思いますが・・・。

【つづく】

2021年2月14日日曜日

新型コロナウイルスについて-13.抗体依存性感染増強(Antibody-dependent enhancement:ADE)とは-

ワクチンの接種などにより起こりうる現象で、「抗体依存性感染増強(ADE)」と呼ばれます。

本来、ウイルスなどから体を守るはずの免疫抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その結果ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、あろうことか症状を悪化させてしまうという現象です。

それではこの抗体依存性感染増強はどの様なメカニズムで発生するのでしょうか?

抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについては、現時点では明らかになっていないことが多いのが現実です。

詳しい原因は不明で、中途半端な抗体ができたためともいわれています。

ただこれまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告がなされています。

実例をあげますと、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、この現象は抗体依存性感染増強と考えられています。

人の免疫機構としては、抗体というたんぱく質を作ることで病原体に直接作用して生体を守る機能と、免疫細胞に取り込ませて処理をさせる液性免疫と、リンパ球などの免疫細胞が病原体に感染した細胞を処理する仕組みである細胞性免疫が存在していて、この機能によって人はウイルスなどの病原体から体を守っています。

これらの免疫は、本来はウイルスなどの病原体に感染した時の体の防御システムであり、再びと同じ病原体にかからないようにする仕組みです。

ワクチンはその仕組みを使っているのです。

ワクチン接種による大きな懸念として抗体依存性感染増強があるのです。

過去のワクチン開発でも動物実験のレベルでこの抗体依存性感染増強が発症して開発中止となった例もあります。。

免疫反応を確認しながらワクチンは開発されることから、その分だけ時間がかかります。

また上記のようにウイルスに対する抗体も、その機能を確認したうえで判定する必要があります。

抗体があるからといって、一概に安全とは言えないのです。

抗体依存性感染増強のように生体を危険にする抗体もあるということです。

2021年2月7日日曜日

新型コロナウイルスについて-12.各種マスクの予防効果について-

 ・不織布マスク

吐き出し飛沫量カット 80%

吸い込み飛沫量カット 70%

・布マスク

吐き出し飛沫量カット 74%

吸い込み飛沫量カット 40%

・ウレタンマスク

吐き出し飛沫量カット 50%

吸い込み飛沫量カット 35%

・フェイスシールド

吐き出し飛沫量カット 20%

吸い込み飛沫量カット 小さい飛沫に対しての効果はなし(エアゾルは防げない)

・マウスガード

吐き出し飛沫量カット 10%

吸い込み飛沫量カット 小さい飛沫に対しての効果はなし(エアゾルは防げない)

※各専門家・専門機関のデータから算出した平均値※

マスクの素材によって防御効果に差がかなりありますが、使用する場所や注意点を守れば問題はないと専門家も指摘しています。

不織布マスク以外は一切認めず、その他のマスクは認めないというのは間違いです。

不織布マスク以外は一切認めないという根拠は、理化学研究所などの研究チームが行ったスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションが影響しているようです。

確かに不織布に比べウレタンや布のマスクは飛沫の遮断性能が劣りますが、フェースシールドやマウスガードほどではなく、理研の担当者は「特徴の差で、使うなという意味ではない」と強調していることを理解する必要があります。

結論としては、どれも一般的な使用なら問題は無く、密な場所や病院など、より注意が必要な場所では不織布マスク、換気の良い場所で長時間使う場合はウレタンマスクと使い分けをすれば良いことです。

鼻を覆わないなど誤った着用で性能は大幅に低下することの方が重要で、材質より正しく使う方が大切です。

注意することとしてはウレタンマスクは繰り返し力が加わったりすると劣化するため、多くの製品で洗濯回数に制限が明記されていますからよく説明書を読んで使用してください。

何度も洗濯すると、見た目はきれいであってもフィルターの能力が落ち感染予防には役に立ちませんので注意が必要です(説明書に記載されている洗濯回数が来れば新品に交換)。

2021年1月31日日曜日

新型コロナウイルスについて-11.変異株と変異種の違いとは-

変異株と変異種とは全く概念が異なります。

変異株を説明する前に突然変異について解説しておく必要があります。

突然変異はすべての生物において、遺伝子の複製過程で一部読み違えや組み換えが発生し、遺伝情報が一部変化する現象です。

突然変異の結果、新しい性質を持った子孫ができることがあります。

この子孫のことを変異株と呼びます。

変異株そのものは、変化した遺伝情報の影響を受けた一部の性質が変化していますが、もともとの生物の種類は変化していません。

従って変異株は、同じウイルスの複製産物に過ぎないことからして、ウイルスの名称は変化しません。

英国や南アフリカで新たに発見された新型コロナウイルスは、突然変異によるこウイルスの変化したものですから変異種ではなく変異株ということになります。

一方変異種とは、極まれに近縁の生物種の間で多くの遺伝子組み換えが起きると、ふたつの生物種の特徴を併せ持った新しい生物種が誕生することがあります。

これを変異種と呼称します。

この場合は、新型のウイルスが誕生することになるので、新しいウイルスの名前が与えられることになります。 

2021年1月27日、日本感染症学会は報道機関向けに声明を発表し、新型コロナウイルスの"変異株"を"変異種"と表記しているメディアに対して「これは学術的には誤用となりますので、今後は変異"株"と正しく表記していただきたくお願い申し上げます」と要望しています。 

2021年1月24日日曜日

新型コロナウイルスについて-10.ネットで販売されている新型コロナウイルス抗体検査についてのご注意-

 現在ネットを見ると、新型コロナウイルス抗体検査キットは数多く販売されています。

これらの検査キットの説明文には「15分で自宅にいながらすぐに結果が陽性か陰性かがわかる」、「病院に検査しに行って逆に感染するリスクをなくせます」と、紹介されています。

そもそも抗体検査キットは、体内にウイルスの抗体があるかどうかを調べるもので、PCR検査のように感染の有無を診断するものではありません。

これら抗体検査キットは、研究用試薬で、感度や特異性がはっきりわかっていません。

厚生労働省も抗体検査キットについて、「研究用試薬で精度がわからない」として注意を呼びかけています。

また、2020年12月時点、厚生労働省によって医薬品として承認されている抗体検査キットは存在していません。

抗体検査キットで感染を正確にリアルタイムで知るのは無理なのです、なぜなら血液の中に感染を示す抗体があるなしの判定しかできません。

感染して、まだ症状が出始めた時、そういう感染初期の早い時期にはまだ抗体はてきていませんし、仮にできていても量が少ないことから検査は陽性にはなりません。

こたこのキットで検出された抗体の種類は、

1.感染したことを示す感染抗体

2.感染を防ぐ感染予防抗体(中和抗体)

の区別をすることができません。

抗体検査で感染を正確にリアルタイムに知ろうということは、不可能なのです。

現在巷で売られている抗体検査キットは、信頼性はないと考えて利用することを控えるべきです。

【追加】

新型コロナウイルスの抗体検査キットをウイルス感染の判定に利用できるとうたって販売したのは景品表示法に触れる恐れが強いとして、消費者庁は2020年12月25日、業者6社に表示の修正を求める行政指導を行った。

同庁は「抗体検査は感染歴の傾向を調べる疫学調査目的では利用されているが、感染判定には適さない」と強調し、販売している6社の商品は認可を得ていないことなどを説明しておらず、消費者が誤解する恐れが強いとした。

※これらのキットいずれも中国製で、抗体の有無をきちんと判定できる保証もないという※

感染拡大を受け、ネット上では安価な抗体検査や無認可のPCR検査、抗原検査のキットも多く販売されている。

同庁担当者は「偽陽性や偽陰性の判定で感染拡大や医療逼迫(ひっぱく)を加速させかねない。必要な場合に限り、医療機関で検査してほしい」と話している。

2021年1月17日日曜日

新型コロナウイルスについて-9.不織布マスク着用 広がる動き!!??-

 現実どのくらいの人が不織布マスクを着けているのでしょうか?

某TV局の街頭におけるにアンケート調査の結果、不織布マスクを着けている人は、半数近くと言う結果が得られています。

その考えられる理由のひとつとして2020年に発表されたスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションの結果が考えられています。

不織布のマスクは、せきをしても、飛沫がほとんど前には飛ばないのに比べて、布やポリエステル製のマスクの場合、細かい飛沫が前方に多く飛んでいることがよく分かります。

不織布マスクは、吐き出した飛沫の80%カット、吸い込んだ飛沫の70%カットされていて、布やポリエステル製より、飛沫を抑えられるという結果が得られています。

この結果が発表されて以後、さまざまな施設で不織布マスクの着用が呼びかけられているようです。

現実多くの施設において不織布マスクへの着け替えを利用客に依頼している事が見受けられています。

専門家は、布やポリエステル製のマスクも、効果が大幅に低くなるわけではないと指摘しており、不織布マスクに殊更拘必要はないと指摘しています。

事実日本感染症学会専門医は、"飛沫を広げない効果は、不織布と布マスクはほぼ同等"と発言しています。

若干ウレタン(ポリエステル)素材は劣るような印象があることからして、あまり会話がないといったような場面での着用は問題ないということです。

その時その時の状況下でマスクの素材を選択することは、間違いではありません。

特に不織布マスクにこだわる必要は無いということになります。

2021年1月9日土曜日

新型コロナウイルスについて-8.新型コロナウイルスワクチンで引き起こされるアレルギー反応に注意!!-

 2021年1月6日米国疾病管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の発行している2021年1月6日付週報に、新型コロナウイルスのワクチンについて、接種後に起きる急性の重いアレルギー症状への対策を十分に取るよう、医療関係者らに注意を呼びかけています。

※米国疾病管理センター週刊疫学情報MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)は、米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)が毎週報告している感染症情報です※


米国疾病管理センターの集計によると、2020年12月23日までに米国で米製薬大手ファイザーのワクチンを1回接種したおよそ190万人のうち、重いアレルギー症状である「アナフィラキシー反応」が21人におきており、そのうち20人は回復していますが1人の容体は確認できていないとのことです。

一般的に「アナフィラキシー反応」がワクチンの接種後に起きる割合は、一般的には100万人に1人という統計がありますが、今回の集計時点ではおよそ9万人に1人と発生頻度がかなり高くなっています。

米国疾病管理センターは、接種会場でアナフィラキシーを抑える注射薬を用意し、アレルギー体質の人への注意喚起を徹底することを提起しています。

それ以外の副反応としては、炎症などを含め全体のおよそ0.2%にあたる4393人に起きています。

米国疾病管理センターは同社のワクチンについて、「接種の利益は、副作用のリスクを上回っている」との考え方示しています。


2021年1月3日日曜日

新型コロナウイルスについて-7.新型コロナワクチンの接種対応について-

 2021年1月3日現在、まだ接種開始時期の目処はたっていなく、早ければ2021年3月に始まる可能性があると報道されています。

新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は

・来年2月下旬をめどに医療従事者に接種。

・3月下旬をめどに高齢者への接種を始める体制を確保し、その後、基礎疾患のある人などに優先して接種を行う方針です。

ワクチン接種対象は以下の通りとされています、

ワクチン優先接種順位は以下のようです。

1)医療従事者・・約400万人

2)65歳上の高齢者・・約3600万人

3)基礎疾患のある人・・約820万人

4)高齢者施設等の従事者・・約200万人

計・・・約5000万人

【基礎疾患とは】

・慢性の呼吸器の病気

・慢性の心臓病(高血圧を含む)

・慢性の腎臓病

・慢性の肝臓病(脂肪肝や慢性肝炎を除く)

・インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病、またはほかの病気を併発している糖尿病

・血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)

・免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)

・病気の治療で、ステロイドなど免疫の機能を低下させる治療を受けている

・免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患

・神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害など)

・染色体異常

・重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態)

・睡眠時無呼吸症候群です。

※上記基礎疾患があり通院や入院している人が対象※

いずれにしても今後の厚生労働省の発表に注意することです。

2020年12月31日木曜日

新型コロナウイルスの変異について-2.国内初、南アフカ変異種検出!!-

 2020年12月28日厚生労働省は、南アフリカに滞在歴があった30代の女性から、空港検疫で南アフリカで流行してる新型コロナウイルスの変異種を確認したと発表した。

これは現在南アフリカで流行している新型コロナウイルスの変異種の国内最初の感染者です。

厚労省によると、30代女性は南アからカタールの首都ドーハを経由し、19日に成田空港に到着し、そのときには症状はなかった。

国立感染症研究所で詳しく調べた結果、南アフリカで流行している変異種が検出された。

従来種と比べ感染力が高い可能性があるりますが、現時点では詳細は不明という。

6人は10~40代の男女で、1~24日に羽田空港に到着した、24日に到着した40代男性は発熱などがあるが、残り5人は無症状。

また、空港検疫ではこのほか、英国滞在歴がある男女6人から、英国で流行中の変異種が確認された。30代女性を含めた7人に濃厚接触者はいないという。国内の変異種感染者は計15人となった。

イギリスや南アフリカで流行してる新型コロナウイルスの変異株の国内流行は 、避けられない状況となりつつあります。

【追加】

イギリス流行している変異株は「VOC 202012/01」と呼ばれてます。

南アフリカで流行している変異株は「501Y.V2」と命名され、南アフリカでの流行の割合80~90%に増加しています。

2020年12月23日、イギリスは、南アフリカからの渡航者との接触歴がある501Y.V2の2例を報告しています。

2020年12月27日日曜日

新型コロナウイルスの変異について-1.日本国内上陸-

 2020年12月13日、イングランド南部のケント州で新型コロナウイルスの変異種の感染者は急速に増え、入院患者数も急増している。

変異種の名称は「VUI-202012/01」と呼ばれています。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は、2020年12月19日の記者会見で変異種について「致死率が高いことや、重症化しやすいことを示す証拠はないとし、ワクチンが変異種に対して効果が低いことを示す証拠も今のところない」と説明した。

さらに、ジョンソン首相は「かなり不確かではある」と前置きした上で、「変異種の感染力は、古い種よりも最大で70%高い可能性がある」と述べた。一方で、ジョンソン首相は「まだ分からないことがたくさんある」ことも強調している。

2020年12月20日イタリア政府は、英国で確認された感染力が非常に強い新型コロナウイルスの変異種がイタリアでも見つかったと発表しまた。

この変異種は、2020年12月26日時点で既にオランダ、デンマークやオーストラリアなど10ケ国・地域でも確認されていることも判明しています。

イギリスでの変異株の流行を受けてヨーロッパ各国は、旅客機や鉄道及び船を含めてイギリスからの旅行者の受け入れを一時的に停止する措置をこうじています。

新型コロナウイルスは小さな変異を繰り返しつつ変異することから、日本においても変異ウイルスが出現しても何ら不思議はありません。

仮に日本国内で変異したとしても、イギリスと同じ様になる可能性は低いと専門家は分析しています。

多少の変異を起こして今回開発されたワクチンは効果が認められると考えられていますが、さらなる大きな変異を引き起こせばワクチンの効果がなくなる危険性は指摘されています。

2020年12月5日、2020年12月18~21日にイギリスから帰国した10~60代の5人が新型コロナウイルスの変異株に感染していることが空港検疫で判明したと発表しました。

この5人の内4人は症状がなく、1人は倦怠感があるとのことです。

またこの5人との濃厚接触者は現時点では確認されていないとのことです。

厚生労働省が2020年12月26日にこの5人以外にも2020年12月16日にイギリスから帰国した30代の男性と渡航歴のない20代の女性家族の1人計2人の感染が判明した発表しています。

今後この変異ウイルスの日本国内での流行が危惧されています。

【予防対策】

変異株の予防対策も従来の新型コロナウイルスと同様です。


2020年12月20日日曜日

新型コロナウイルスと季節型インフルエンザの関連性

2020年は季節インフルエンザの流行が例年に比べて極端に少ないです。

2020年は季節性インフルエンザのワクチンが全国で品薄になり、接種したくてもできない人が出ています。

インフルエンザワクチンの製造には、およそ6ケ月を必要とすることから今年はもう接種できない可能性が高くなっています。

2020年は未だインフルエンザ流行していません。

2020年12月13日時点で、379人(2019年は223600人)と非常に少なくなっています。

※毎年年末から翌年2月にかけて流行のピークを迎えることから安心はできません※

その理由としては以下の3点が考えられています。

1.新型コロナウイルスの影響で国際的な人の移動が制限された結果、インフルエンサザ・ウイルスを持ち込む人が非常に少ない。

2.新型コロナウイルスの感染対策として、"3密"を避ける対策が功を奏した。

3.あるウイルスの流行が他の種類のウイルスの流行を妨げる「ウイルス干渉」の可能性がある。

インフルエンザと同様に呼吸器に感染する新型コロナが流行しているため、インフルエンザウイルスの侵入が抑えられていると推測されている。

新型コロナの予防ワクチン接種が始まり感染力が衰えてくると、インフルエンザの流行が復活する可能性があります。

今後多くの人が新型コロナワクチンの接種を受けた後にインフルエンザの大流行が起こると指摘する専門家もいます。

2020年12月13日日曜日

検査に対する疑問点-3.乳びした血液は検査には使用できないのか?-

 【乳びとは】

「乳び」とは血清などの検体が乳白色を呈している状態を言います。

【乳び血清・血漿】

血液を遠心分離した上層部の血清または血漿の色調は、乳白色になります。


【乳びの起こる原因】

食事として口から摂取される脂肪の大部分は中性脂肪で、リポ蛋白リパーゼなどの酵素により分解され、脂肪酸などに代謝されてしまいますが、食後に時間をおかないで採血した場合は、脂肪があまり分解されず血液中に残り、その脂肪分が白くみえるため検体が白濁して乳白色に見えます。

【乳びは健康人でも見られる】

乳びは健常な人でも見られます。

接種した中性脂肪は食後徐々に上昇し、4時間でピークとなり、以後低下します。

【病的な乳びとは】

食後かなり時間をおいて採血しても検体が乳びする場合がありますが、この場合は病的な乳びが疑われます。

これは、脂肪を分解・代謝する酵素が足りないか、またはうまく働いていない、いわゆる高脂血症などの脂質代謝異常の可能性が考えられます。

【乳びによって影響を受ける検査】

総蛋白、総ビリルビン、直接ビリルビン、TTT、ZTT、リン脂質、ベーターリポタンパク、中性脂肪、尿酸、無機リン、血清鉄、CPK、CRP、アルブミンなどの検査。

あまりにも乳びの程度が高い強乳びの場合は、検査ができなくなることもあります。

【乳びの影響を受けない検査】

・PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)

・IRMA(Immuno Radio Metric Assay:免疫放射測定法)

・EIA(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)

・ELISA(Enzyme-Linked immunosorbent assay:酵素免疫測定法)

・CLEIA(Chemiluminescent Enzyme Immunoassay:化学発光・酵素免疫測定法)

・FEIA(Fluorescence Enzyme Immunoassay:蛍光酵素免疫測定法)

・CLIA(Chemiluminescent Immunoassay:化学発光免疫測定法)

・ECLIA(Electro Chemiluminescence Immunoassay:電気化学発光免疫測定法)

などの測定法を利用した検査は乳び血清の影響を通常受けません。

【乳びを防ぐには】

検査前少なくとも12時間絶食した空腹時に採血されることをおすすめします。

2020年12月6日日曜日

検査に対する疑問点-3.溶血した血液は検査には使用できないのか?-

 【溶血はとは】

赤血球の細胞膜が物理的または化学的、生物学的など様々な要因によって損傷を受けて、壊れることにより赤血球の中にあるヘモグロビンが細胞の外で出ることを言います。

溶血することにより赤血球は壊れて死滅してしまいます。

赤血球より出たヘモグロビンにより血清または血漿は赤くなります。

溶血の度合いにより赤みの色調は異なります。

【溶血は検査にどの様な影響を与えるのか】

赤血球が壊れると、細胞内に含まれる赤色の色素、ヘモグロビンが漏れ出し赤くみえます。

溶血していても検査はできますが、溶血は赤血球などが壊れて細胞の中のいろんな成分が出てきた証拠なので採血項目によっては影響を受ける場合があります。

【溶血によって真の値より数値が高くなる検査】

ビリルビン、尿酸、総蛋白、カリウム、LDH、GOT、GPT、アルドラーゼ、鉄、葉酸などが該当します。

【溶血によって真の値より数値が低くなる検査】

ALP、ハプトグロビン、インスリン、BNPなどは赤血球から漏出したタンパク分解酵素により分解されるため、これらの値は低値になります。

【採血した血液が溶血した場合はどうするのか】

溶血による影響が疑われる検査結果は、注意をはらい保留する必要があることから、新たに採血し直す必要があります。

【溶血のない血液】

血液を遠心分離した上層部の血清の色調は、黄色の透明な状態となります。


【溶血したした血液】

血液を遠心分離した上層部の血清の色調は、赤くなります。

【採血時に起こる溶血の原因】

1.血管が細く血液の出が悪く採血に時間が長くと物理的溶血が起こる。

2.採血者の技術不足で採血時間が長くなると物理的溶血が起こる。

これらの血液は溶血していることから、再度採血して溶血していない血液を検査に使用することが正しい検査の値を得るためには大切です。


2020年11月29日日曜日

検査に対する疑問点-2.真陰性と偽陰性-

 【真陰性とは】

ある種の感染症検査で、感染していなくて陰性となる事を言います。

【偽陰性とは】

ある種の感染症検査で、感染しているにも関わらず検査が陰性となる事を言います。

真陰性は、感染していないので陰性となって当然で、確認検査や追加検査を実施する必要はありません。

しかし、偽陰性の場合は再度検査をする必要があります。

【偽陰性の起こる原因】

1)検査が正しく行われなかった場合。

2)検体の採取と取り扱い、保存の不備

3)検査が陽性となる時期の前に検査を受けた場合

検体中の抗体やウイルスの量が少なく検出できずに検査が陰性となる。

【偽陰性を回避するには】

1)検査を指示書通り正しく実施する。

2)それぞれの検査に適した採血方法で採血する。

3)それぞれの検査に適した最適な時期に検査を受ける。

※1)、2)は医療機関側の問題ですから、検査を受けるものとしては正しく実施してもらうしか対応はありません※

※3)については検査を受ける時期を正しく認識して検査を受ける必要があります、これは検査を受ける側の認識にかかってきます※

2020年11月22日日曜日

検査に対する疑問点-1.疑陽性と偽陽性の違い-

 検査を受ける時に疑問に思われることを簡単に解説し、その疑問を解決していきます。

疑問点を明確にして検査を受ける際の心配なことや疑問を解決していきましょう。

第1回目は、疑陽性と偽陽性の違いです。

検査を受けた時、特に感染症検査で「この人は疑陽性」、「私は偽陽性だった、どうしょう」などと聞かれることがあったり、ご自身経験されたことがあると思いますので、この点について解説していきます。

疑陽性と偽陽性は、どちらも発音すると同じ「ぎようせい」なのですが意味は全く違います。

それではどう違うのでしょうか?

疑陽性の「疑」は疑いですから「陽性の疑いがある」(陽性判定基準を満たさず、免疫がついたとは言い切れない)、すなわち「疑わしい状態」ということです。

偽陽性の「偽」は偽りですから、「偽り、間違い、あやまちでの陽性」(本当は陰性であるにも関わらず陽性結果となること)という意味となります。

この偽陽性の起こる原因は、特定できる場合と全く原因不明の場合があります。

これらが発生したときの対応としては、

1.同日に同じ検査法を再度実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

2.同日異なる検査法で検査を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

3.日を改めて新たに採血し直して、同じ検査法を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

4.日を改めて新たに採血し直して、異なる検査方を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行なう。