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2020年11月15日日曜日

インフルエンザについて-3.インフルエンザワクチンの予防効果-

 18~64歳の健康成人については、70~85%程度のインフルエンザ感染が予防できたという報告があります。

子供や65歳以上の高齢者では予防できる割合がもう少し低いと報告されており、数10%から70%程度予防できたという報告が見られます。

ワクチンを接種していてもインフルエンザ感染がゼロになるわけではありません。

ワクチンに使用したインフルエンザの株とその年に流行したインフルエンザの株が異なれば、当然感染予防効果は低くなりますが、予想が外れても50~60%の予防効果があったと報告されています。

インフルエンザの流行タイプが外れても全く効果がないというのは間違いなのです。

インフルエンザは通常、初冬から春先にかけて毎年流行します。現在、Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、B型の3種類が同時あるいは混在して、毎年それぞれが少しずつ変異しながら流行しています。

その流行株の予測は世界的には、WHOの専門家会議で次のシーズンに向けたインフルエンザワクチンに用いる候補株が毎年2回選定されます。

日本においてはWHOの推奨株と国内での流行状況などから予測を行い、ワクチンの製造に適した株を選択し、毎年5~6月頃に次のシーズン(その年の冬~)のワクチン株が決定されます。

その予測率は毎年高くなってますが、完全には予測することは不可能です。

【2020年のインフルエンザ流行の現状】

2020年全国的にも感染者はほとんど発生していません。

この理由としては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が影響していると考えられています。

日本国内においては、COVID-19の感染拡大を防ぐため、3密(密閉、密集、密接)を避ける行動に加えて、マスク着用や手指消毒・手洗いの励行、さらに日常生活でのフィジカルディ・スタンス(物理的身体的距離)確保などの対策が推し進められて来た結果がインフルエンザの流行防止にも効果を示しているとの考え方です。

※※新型コロナウイルス感染防止対策として、2m以上の対人距離を呼びかける「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」という言葉が定着しつつありますが、この言葉は「人と人との社会的なつながりを断たなければならないとの誤解を招きかねず、社会的孤立が生じさせる」おそれがあることから、世界保健機関(WHO)では「身体的、物理的距離の確保」を意味する「フィジカル・ディスタンス(物理的身体的的距離)」に言い換えるよう推奨しています※※

当サイトでもソーシャル・ディスタンスを使用せずにフィジカル・ディスタンスを使用致します。


2020年11月8日日曜日

インフルエンザについて-2.予防接種健康被害救済制度-

 ワクチンの予防接種は、私達個人や社会を感染症から守るために大切な予防的な方法です。

しかし、ほかの医薬品や食品などと同様に副作用が起こるリスクはゼロではなく、とてもまれですが健康に被害をおよぼすことがあります。

そのため、予防接種によって健康被害を受けた方に対して公的な救済制度が設けられています、これが予防接種健康被害救済制度です。

予防接種健康被害救済制度に付いて以下に簡単に解説しますと、

予防接種法の定期接種によらない任意の接種については、ワクチンを適正に使用したにもかかわらず発生した副反応により、健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)による医薬品副作用被害救済制度又は生物由来製品感染等被害救済制度の対象となります。 

即ち予防接種を受けた、ある原因があって、ある出来事がおこったとき、その原因と結果の関係を因果関係といいます。

ワクチン接種と健康被害との間に因果関係が認められた場合、つまりワクチン接種が原因で健康被害がおきたと認められた場合に救済給付が実施されます。

給付の種類には、

①医療機関での治療に要した医療費や医療手当(医療を受けるために要した諸費用)

②障害が残った場合の障害児養育年金または障害年金

③死亡時の葬祭料および一時金、遺族年金がありますが、各制度によって給付額は異なります。

ここ注意しなければならないことは、国内未承認ワクチン(いわゆる輸入ワクチン)に対しては、輸入業者が独自の補償制度を設定している場合もありますが、これらの公的な制度は適応されないことです。

以下に参考サイトを紹介しておきます。

厚生労働省-1-

厚生労働省-2-

2020年11月1日日曜日

インフルエンザについて-1.インフルエンザワクチンの副反応-

新型コロナウイルスの流行している現在、インフルエンザの流行も危惧されています。

数回に渡りインフルエンザについて解説していきたいと思いますので、お付き合いください。

感染症に対する免疫をつけるためにワクチンを接種した際に、免疫がつく以外の反応がみられることがありますが、これを副反応といいます。

比較的多くみられる副反応には、接種した場所が赤くなる(発赤)、腫れる(腫脹)、痛み(疼痛)等があります。

この副反応は接種をした人の10~20%に起こりますが、まず2~3日で収まります。

また全身の反応としては、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが接種を受けた人の5~10%に起こることがありますが、これも通常2~3日で収まります。

以上は軽い副反応ですが、まれにショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、発赤、掻痒感、呼吸困難等の副反応が起こることもあります。

重い副反応の出現頻度は、およそ100万人に1人とされています。

ワクチン接種後のショックやアナフィラキシー様副反応の殆どは、接種後30分以内に起こりますから、接種後は医療機関で30分は安静にして様子を見る必要があります。

日本国内でのインフルエンザワクチン接種による死亡例は、残念ながら毎年数例起こっています。

副反応検討部会において専門家による評価を行ったところ、死亡とワクチン接種の直接の明確な因果関係があるとされた症例は認められていません。

死亡した人のほとんどが、基礎疾患等がある高齢者であったことがわかっています。

インフルエンザワクチンワクチンを接種する際には、熱がある時は当然できませんが、基礎疾患がある人は、いろいろな外的要因により、病気の状態が悪化する可能性もありますので、必要に応じて、主治医及び専門性の高い医療機関の医師に対し、接種の適否について意見を求め、接種の適否を慎重に判断してください。

※接種できない体温とは、接種当日37.5℃以上の熱がある場合※

※よくインフルエンザワクチンを接種してインフルエンザを発症したということが囁かれますが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですから、ワクチンに含まれるインフルエンザウイルスはウイルスとしての働きはないので、ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありえません。

※不活化ワクチンは、インフルエンザウイルスの感染性を失わせ、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して作ったもの※

【韓国での死亡例について】

2020年韓国でのインフルエンザ予防接種で死者が多く発生していますが、この原因は現在わかっていません。

※2020年10月29日時点で72人の死亡※

2020年日本国内におけるインフルエンザ接種での死亡例は報告されていません。


2020年10月25日日曜日

アレルギー検査について-9.食物アレルギー検査は何抗体で検査をするのか?-

最近新型コロナウイルスについての解説に偏る傾向にありますから、今回は新型コロナウイルスの解説は一旦休みアレルギー検査について解説させていただきますので、お付き合いください。 

食物アレルギーについて最近は多くの人が関心を持つようになってきていますが、食物アレルギー検査について正しい知識を持たれている人が少ないのが現実です。

さてそれでは食物アレルギーの検査は何抗体を検査するのがお分かりですか?

結論から申し上げますと食物アレルギー検査は、血液でIgE抗体を調べます。

巷度はIgG抗体を調べて、これが高い数値を示すから除去食(じょきょしょく)する傾向がありますがこれはのは間違いです。

※除去食とはアレルゲンとなる食品を使わないで作る食事のことを言います※

食べ物の除去食を考える上で食べ物に対するIgG抗体を検査することは、日本だけでなく、欧州も米国でも、一般に推奨されていません。

日本アレルギー学会の〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起を参照してみてください。

【学会見解の全文】

 学 会 見 解 

 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起

 米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。

その理由として、以下のように記載されています。

すなわち、①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である。②食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない。③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである。④よって、このIgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある。

以上により、日本アレルギー学会は日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し、食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを学会の見解として発表いたします。

 平成27年2月25日

 一般社団法人日本アレルギー学会

 理事長 斎藤博久

※参考URL:https://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?content_id=51

そもそもIgG抗体とは、感染症から感染するのを防ぐ抗体なのです。

アレルギーが悪化しているかどうかを調べる抗体はIgG抗体ではなく"IgE抗体"なのです。

例えて言いますと小麦アレルギーのある人は小麦に対する"IgE抗体"が高くなります。

4つあるIgG抗体のなかでも特にIgG4抗体は、食物アレルギーが改善してきているときに上がる抗体として研究目的で行われています。

※IgG抗体は、IgG1、IgG2、IgG3。IgG4の4種類のIgGのサブクラスがあり、IgG1はIgGの65%程度、IgG2は25%程度、IgG3は7%程度、IgG4は3%程度存在しています※

例えば、食物に対するIgG4抗体は、『症状が出ない量で少しずつ、アレルギーになっている食べ物を食べていると、食べられる量が増えていく』ことがわかっています。

その際に、IgE抗体はいったん上昇して、その後下がってきます。

一方でIgG4抗体は、一貫して上がっていくのです。

食物に対するIgG4抗体は、その食物が食べられるようになってきているかどうかの指標として使われています。

IgE抗体は、アレルギーが悪化しているときの指標して使われます。

そして

IgG4抗体は、すでに食べられている場合に上がりやすい値なのです。

普段から食べている食物なので、陽性であることが当たり前なのですから、"IgG4抗体が陽性"だから除去の指標をするのは間違っているのです。

しかし、『現実IgG4抗体の値が高いから除去しましょうと言われると心配だから除去しなければ』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは除去する必要はありません。

今まで食べられている食物をあえて除去をすることはないのです。

2020年10月18日日曜日

新型コロナウイルスについて-6.集団免疫とは-

 集団免疫とは、特定の集団や地域で、特定のウイルスに対する「総合的な免疫力(人が生まれつき持っている自然免疫と、特定のウイルスに感染してできる獲得免疫を合わせたもの)」を持つ人が一定の割合に達し、その人たちが壁になって感染が拡大しなくなった状態を言います。

例をあげますと、インフルエンザウイルスが原因だったスペイン風邪や香港風邪、コロナウイルスが原因だったSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など、過去のすべてのウイルス感染症は「集団免疫」によって収束しており、新型コロナウイルスも例外ではなく集団免疫によって収束すると考えられています。

要するにある一定の割合に感染者が増えると集団免疫が成立すると考えられていますが、この一定の割合についてはいろいろと言われていて、確かな値はわかっていません。

・人口の70%程度

・50%以下

・40~45%

・10~20%

それでは集団免疫が成立したか否かはどうして判断するのか?

ウイルスに感染するとその感染したウイルスに対する抗体が体内にできることから、無作為に選んだ人を血液で抗体検査をすればわかります。

集団免疫獲得に反対意見を唱える人もいることは事実です。

例えば世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、2020年10月12日、新型コロナウイルス対策として「集団免疫」を獲得する方法は、「科学的にも倫理的に問題がある」と排除しています。

反面日本ではすでに感染が拡大しない状態になっていると指摘する専門家もいます。

集団免疫を獲得しても、高齢者、基礎疾患を持っていたり、あるいは体調が不調だったりして総合的な免疫力が弱い人は、ウイルスに感染して重篤な肺炎などになり、ごく少数の人は死亡することになります。

しかし死者の数は感染拡大期に比べてきわめて少なくなります。集団免疫状態であれば、不要不急の外出や県外旅行の自粛、集会の人数制限、マスク着用や社会的距離の確保などは、原則として不要となります。

アメリカ、ブラジル、イタリア、ルクセンブルク、スウェーデンなど多くの国々では、1日当たりの死者数がある時期を境に急減していることからして、これらの国々では既に集団免疫が獲得されていると指摘する専門家もいます。

多くの国の中でスウェーデンは、集団免疫を獲得したと考えられています。

それでは日本ではどうにのでしょうか?

未だ感染は拡大中なのか、集団免疫を既に獲得したのかは国や地方自治体の精力的な抗体検査にかかっています。

急いで国民の抗体保有率検査すべきと考えられますが、いずれにしても毎度のことながら動きは遅いのは否定できませんねぇ!!



2020年10月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-5.新型コロナウイルスワクチンの接種についての問題点-

 2020年10月2日、厚生労働省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、新型コロナウイルスのワクチンは特例的に全員無料で接種できるようにし、接種費用の全額を国が負担する方針を示し了承されました。

本年10月下旬に召集予定の臨時国会に予防接種法改正案を提出するとしています。

今回の予防接種について国の考えていることを以下に解説してみます。

1.2021年前半までに全国民に行き渡る量のワクチンを確保する方針。

2.タイミングが良けれは2021年明けから接種が始まる見通し。

3.蔓延予防を考えて緊急の必要があるとして、予防接種法が規定する「臨時接種」の規定を準用する。

4.実施主体となる市町村は原則として住民に接種を勧奨し、住民には接種を受ける努力義務を課す。※現時点でワクチンの有用性と副作用についての殆どわかっていない時期に、接種勧奨と努力義務を付けることに強い抵抗感があるとの指摘もあります※

5.ワクチン接種の副作用で健康被害が生じた場合に医療費や障害年金などを支給する救済措置も臨時接種と同様、高水準とする。

6.救済措置の財源は全額国が負担し、訴訟となった場合に製薬企業などに代わって国が賠償金などを払うための法整備も行う。

7.新型コロナウイルスの予防接種については同法を改正し国が全額負担する。

今後法律提出までにどの様に加筆訂正されるのか、法案可決時にはどの様に法律になるのかをよく見極める必要がありそうです。

現在ロシアや中国で使用されているワクチンは、安全性が十分に確認されていませんし、予防効果もどの程度あるのかもはっきりしていません。

予防ワクチンが利用可能となるのは、「十分な感染予防効果がある」、「重い副作用がない」ことが最低求められています。

2020年10月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-4.新型コロナウイルスのゼロ次予防とは-

 ゼロ次予防は、もともと循環器疾患の予防についての研究から生まれた発想です。

※ゼロ次予防とは、"primordial prevention"と呼ばれる発想※

WHOは、2006年に発行した『WHOの標準疫学 第2版』の中で改めて「primordial prevention」に言及し、日本語版で「ゼロ次予防」と訳されたことから、現在に至るまで訳語として定着しています。

"ゼロ次予防"とは、一人ひとりの体質に合わせて生活習慣などの改善を行い、病気の予防を推進するという考え方で、自分が親から受け継いだ遺伝子などを調べて、「どのような病気になりやすい体質なのか」を知ることで、効果的に生活習慣を見直すことを目指しています。

感染予防など意識する以前に、オフィスや住まいを健康的に整備し、そもそも感染症にかかりにくい環境を作るという取り組みのことを言います。

それでは1次予防、2次予防とは何なんでしょうか?

・1次予防とは、病気固有の原因やリスクファクターを減らすことで病気の発生を防ぐこと(病気にならないように気をつける)。

・2次予防とは、病気の初期段階において罹患期間を短縮し罹患率を減らそうということ(病気がひどくなる前に見つける)。

・3次予防とは、近年では、病気の後期で合併症の数や影響を減らす3次予防も注目されていいます(かかってしまった病気の悪化を防ぐ)。

千葉大学予防医学センターは、イオンモールや竹中工務店と協力し、ゼロ次予防に着目して、建築物などで利用者を知らず知らずのうちに健康に導く仕組みについて研究をしていることを報告しています。

2007年に長浜市長と京都大学医学研究科長が一体となってゼロ次予防コホート事業を展開してます。

ゼロ次予防の具体例としては、

・タバコの値上げや喫煙所の撤去などが分かりやすい事例で、健康に悪影響を及ぼすタバコを吸える環境を無くすことで禁煙を促していることになります。

・飲食店等でのカロリー表示も、その表示から適切な食事量を心がけるよう促す意味で同様の位置づけと捉えられます。

新型コロナウイルスの空気感染を防ぐ観点からも、こうした知らないうちにウイルスを消毒する仕組み作りは求められるに違いない。

健康でいることを目指すのではなく、意識しなくても人々を健康的な状態に導くにはどうすればよいのか?

ゼロ次予防の考え方は様々な場面で重要性を増してくるものと考えられます。


2020年9月27日日曜日

新型コロナウイルスについて-3.新型コロナウイルスに感染すると 重症化しやすい人とは?-

 新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは高齢者と持病のある人です。

20代くらいまでは死亡する人はほとんどいませんが、40代以降から徐々に致死率が高くなり、80歳以上では26.9%という非常に高い致死率となっています。

以下のような状態の人は、年齢に関係なく新型コロナに感染した際に重症化のリスクが高くなりますので注意が必要となります。

がん:重症化リスク3.6倍

慢性腎臓病:入院リスク増加

COPD(慢性閉塞性肺疾患):重症化リスク5.7倍

固形臓器移植による免疫不全状態:致命率上昇

肥満(BMI30以上):入院リスクが2.1倍、死亡リスクが1.5倍

心不全、冠動脈疾患、心筋症などの重篤な心疾患:重症化リスク3.4倍

2型糖尿病:重症化リスク2.3倍


【参考文献】

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/people-with-medical-conditions.html#asthma

感染予防はやはり、「手洗い」、「うがい」、「屋内でのマスク着用」、「3密を避ける」といった基本的な対策です。


2020年9月20日日曜日

新型コロナウイルスについて-2.ユニバーサルマスクとは-

 無症状の人も含めてマスクを着用するという考え方をユニバーサルマスク(Universal Masking)と言います。

新型コロナウイルスが流行し始めた当初は、感染予防に役立つというエビデンスがなかったためにマスク着用は日本人以外殆どの国の人は着用してませんでした。

現在ではユニバーサルマスクは、新型コロナウイルスやその他の感染症予防に役立つというエビデンスが大勢を占め、全世界的に感染予防対策にマスクを着用する様になってきています。

しかし正しくマスクを着用しないと意味がありません。

このユニバーサルマスクの考え方が浸透することで、新型コロナウイルス感染師の重症度が下がっているのではないか、一部の専門家が主張しています。

米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、2020年7月中旬時点で感染者全体のうち無症候性感染者の占める割合は40%と見積もっていますが、ユニバーサルマスクによってこの比率が80%以上になると主張しています。

専門家の分析によると新型コロナの流行初期には、無症候性感染者の割合は15%程度と見積もられていました。

ダイアモンド・プリンセス号で発生した大規模なクラスターでも無症候性感染者の割合は18%と推測されています。

別のクルーズ船で発生した最近のアウトブレイクイベントの報告では、船内で最初の新型コロナウイルス患者が報告された後、すべての乗客にサージカルマスクが配布され、すべてのスタッフにN95 マスクが提供されています。

その結果最終的に乗客乗員217人のうち128人が感染しましたが、船内の感染者の大多数(81%)は無症状のままだったとのことです。

しかし、こうした無症候性感染者の比率は、集団の平均年齢や基礎疾患を持つ人の割合などが関連する可能性があり、一概にマスクの効果とは言えない場合もあり得ます。

マスク着用が全面的に表に出すぎて、着用できない乳幼児や基礎疾患を持つ人にまで強制的にマスク着用を押し付けるのは間違いです。


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2020年9月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-1.飛行機の中でのマスク着用は必要なのか?!

医学的に考えても飛行機の中では、マスクの必要はないと考えられています。

その理由としては、航空機では一般的に客室の空気は2~3分ごとに完全に入れ替わっています。

空気を50%は機外に出し、50%再循環させていますが、再循環させる際にはHEPAフィルターを通過させています。

新型コロナウイルスもこのHEPAフィルターで捕捉されると考えられており、機内での感染拡大は極めて少ないとされています。

また、エアロゾル感染と考えられる座席の離れた乗客への感染もほとんど報告されていません。

インフルエンザやSARSなどの他の呼吸器感染症の機内感染に関するこれまでの研究では、呼吸器感染症の患者の近くに座ることが感染の主要な危険因子であることが明らかにされており、例えばSARSの機内での感染事例では、感染源の乗客の周辺に限局していました。

機内でコロナに感染した「かもしれない」事例は海外で報告されています。

シンガポールから中国に飛んだ民間航空機に乗っていた325人のうち、12人が感染したと考えられる事例が報告されてますが、当時は乗務員は全員マスクを着けていたものの、2020年1月当時は乗客にはほとんどマスクを着けていた人はいなかったようです。

武漢からシンガポールに旅行していた人が感染源と考えられ、この人から11人に広がったものと考えられています。

この事例は本当に機内で感染したのか、例えば空港の待合で感染したのか、はっきりと断定することは出来ていませんが、感染源と考えられる人が機内でマスクをしていなかったことが一因である可能性は完全には否定できていませんし、感染したとも確定はされていません。

それでは飛行機内ではマスクを着用すべきなんでしょうか??!!

新型コロナでは、発症する前の症状がない時期にも感染するリスクがあることからして、人が密集した場所や屋内では症状がない人も含めてマスクを装着する「ユニバーサルマスク」という考えが新型コロナ以降定着してきており、それを支持する科学的根拠も集まってきています。

機内で大声で喋るような方や咳が出ている方は、周辺に飛沫が飛ぶ可能性がありますので、マスクを装着した方が良いと言えるでしょう。

しかし、咳などの症状もなく、喋ることもないようであれば、理論的にはマスクを装着しなくても換気の良好な機内では感染拡大のリスクは低いと考えられています。

しかし「機内ではマスクを着用しなくて良い」というほどのエビデンスは現時点ではありませんので、特にマスク着用に抵抗のない方は着けておく、マスクを着けたくない事情のある方は添乗員に事情を説明し食事中以外はできるだけ喋らない、などの対応で良いのではないかと思います。

何が何でもマスクを着用すべきと強要するのはいただけません。

航空会社の職員は、マスクの必要不要を医学的科学的に丁寧に説明できるよう勉強する必要があります。

殆どの職員がマスクが何故必要なのか、また必要でない場合はどうなのかを理解することなく、着用を一方的に乗客に押し付けているとしか言えないのが現状です。

いわゆるマニュアル人間としてしか対応していないのです、これではだめです。

航空会社も搭乗前にすべての乗客に何故機内でマスクの着用が必要なのかを丁寧に説明する必要があるのと、着用しなくても良い場合も説明する必要があります。

現実は、マスク着用の必要性については搭乗される航空会社によって異なることと、十分な対応をしていない航空会社もありますから、搭乗の際には必ず事前に確認をするほうが搭乗してから揉めることがなくなるはずです。

事前に問い合わせたり質問しても、納得の行く説明の出来ない航空会社はトラブルを防ぐためにも利用しないのが得策です。

納得のできる説明もしないし、利用者の話もろくに聞かずに威圧的に着用を押し付けてくる航空会社は、信用できません。

マスクの着用も重要ですが、それに加えて前述の事例のように環境からの接触感染も起こりえますので、トイレ後の手洗いなども重要ですよ。

2020年9月6日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-3.抗体検査-

【何を調べる】

新型コロナウイルスに感染したという感染抗体と感染を防止する中和抗体の有無を調べる。

※どちらの抗体が検出可能かは現時点では、はっきりしていない※

【調べる目的】

現時点で新型コロナウイルスに感染したことがあるかを調べる検査。

【検査に要する時間】

迅速検査で15~30分程度

【検査検体】

血液で検査。

【受ける適切な時期】

感染してから9~12日では陽性率は50%、13日以降では、96.9%の陽性率

【感度・特異度】

多くの資料から分析した結果、キットによってかなりの差が見られます。

感度は66.0~97.8%、特異度は96.6~99.7%

IgGの感度 30/30 100% 特異度 89/90 98.9%

IgMの感度 27/30 100% 特異度 88/90 97.8%

【今後の展望】

抗体検査は、見つける抗体が感染抗体か中和抗体の区別がつかない・感度や特異度にかなりの差があることなどからしてまだまだ改良の余地があります。

2020年8月30日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-2.抗原検査とは-

【何を調べる】

新型コロナウイルスの持つ特有のタンパク質を調べる検査で、ウイルスそのものを調べる検査ではありません。

【調べる目的】

現在新型コロナウイルスに感染しているか否かを調べる。

【検査に要する時間】

迅速検査で15分程度

【検査キット】

エスプラインSARS-CoV-2

【検査検体】

唾液で検査。

【受ける適切な時期】

新型コロナウイルス感染症 を疑う症状発症後 2 日目以降から9日目以内の者(発症日を 1 日目とする)。

※本キットで陰性となった場合は追加の PCR 検査等を必須とはしない※

※この時期に受けて陰性であれば新型コロナウイルス感染症ではないと言い切ることが出来ると言われています※

【感度・特異度】

感度は67%、特異度は100%

※PCR検査との比較検討結果※

【注意点】

検出に一定以上のウイルス量が必要であることから、現時点では、無症状者に対する使用、無症状者に対するスクリーニング検査目的の使用には適していない。



2020年8月23日日曜日

新型コロナウイルスの検査につてい-1.PCR検査-・抗原検査・抗体検査とは

新型コロナウイルスの検査法を正しく理解していただけるように解説していきます。

初回はPCR検査についてです。

【PCR検査とは】

PCR検査の正式名称は、Polymerase Chain Reaction; 核酸増幅法 といい、増やしたい対象のDNA断片を検査装置の中で選択的に増幅させ、ウイルスに感染しているかを調べる検査です。

【何を調べる】

新型コロナウイルスの遺伝子を調べる検査で、ウイルスそのものを調べる検査ではありません。


【調べる目的】

現在新型コロナウイルスに感染しているか否かを調べる。

【検査に要する時間】

4~6時間、最近では1時間で検査できる方法も開発されています。

【検査検体】

鼻の奥の粘膜を擦過して採取して検査するのと唾液からも検査可能。

※発症から9日以内であれば唾液からの検査も可能※
※唾液中の新型コロナウイルスは発症から10日を過ぎると減っていくからです※
※発症から数日間は、新型コロナウイルスは「のど」よりも唾液中の方に多く存在するというデータが確認されています※

【受ける適切な時期】

感染してから7~10日

【感度・特異度】

感度は70~90%、特異度は70~90%

【欠点】

PCR検査は難しく検査過程に々な試薬を混ぜる過程があり、かなりこの検査に熟練した臨床検査技師が行わないと、偽陽性反応の出現率が高くなることと、偽陰性も出現します。
結果が出るまでの時間が数時間と長い。

検査機器が高価。

【注意点】

今回のコロナウイルス感染症については、実際に感染していることの把握が難しいことから、実際の感染者に対してPCR検査がどれほど正しく診断できているかについての正確性の計算がまだできていません。

2020年8月14日金曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-31.クラスターの種類とは-

国立感染症研究所がこの度、7月までの半年間に各地で確認されたクラスターのおよそ100例を分析し、典型的なケースをまとめた事例集を公表しましたので、見てみましょう。

典型的なクラスターは、以下の6つとされています。

1.医療機関での院内感染

2.カラオケを伴う飲食店

3.職場での会議

4.スポーツジム

5.接待を伴う飲食店

6.バスツアー

要するにいずれの場合も3密の環境となっています、したがって3密防止が感染対策として重要となっています。

ほかのケースでも換気の悪い場所で、長時間及び近距離での会話や飲食をともにするなどして感染が広がっており、改めて、3密の環境を避けるとともに、消毒やマスクの着用や十分な換気をするなど基本的な対策を徹底することが大切であることが理解できます。

2020年8月7日金曜日

ポピドンヨードのうがいで新型コロナウイルスの感染予防ができる!!??

ポビドンヨード(Povidone-iodine)は、ヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分です。

ポピドンヨードは、イソジンのうがい薬の中に入っている成分です。

※うがい薬でおなじみのイソジン改め【明治うがい薬】にポビドンヨードが含まれています※

ポピドンヨードは中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの大流行を引き起こしたMERS-CoVやSARS-CoVなどのコロナウイルスを含む広範なウイルスに高い効果を持つことが示されていますが、新型コロナウイルスに効果があるかどうかは2020年8月6日時点ではわかっていません。

ポビドンヨードは強力な殺菌性ゆえに、のどや口の中にもともといる『正常な細菌』をも殺菌てしまい、さらには粘膜なども痛めてしまうから長期には使用できません。

一般的には、ポビドンヨードのうがい薬の安全性は高いと考えられますが、長期使用に関しては甲状腺機能を障害する可能性も指摘されています。

確かにポビドンヨードによるうがいをすると、一時的に唾液中の新型コロナウイルスの量が減るということは間違いはありません。

これは検出されにくくなっただけなのかもしれないのです。

なお、新型コロナウイルスに関して、『予防的・定期唾液の中の新型コロナが減っても、その後の新型コロナによる悪化が防がれるという研究結果ではありません。

単に検査の陽性率が下がったという結果なのです。

新型コロナウイルスにポビドンヨードの使用が有効かどうかは、今後の研究に待たなければなりません

ここで再認識しておく必要があることとして、ポビドンヨードでうがいを続けると、口の中の良い常在細菌を殺してしまい、これによって逆に免疫力が低下して感染しやすくなということです。

要するにポビドンヨードを使いすぎると逆に喉への感染が起こりやすくなります。

今回ポビドンヨードを使用することによりPCRの陽性率が低下したのは、唾液腺から喉に排泄された新型コロナウイルスが一時的に殺菌されたからと考えるべきです。

ポビドンヨードが新型コロナウイルスに感染を低下させたり、症状を軽くするとは考えられません。

今回の検討結果は、検討症例が少なすぎ確かに効果があるとは言い切れません。

過去にポビドンヨードによるうがいは、『風邪予防に有効ではない』という研究結果があります。

1)水でうがいをするグループ

2)ポビドンヨードでうがいをするグループ

3)特にケアをしないグループ(対照群)

に分けてその後60日間でどれくらい風邪をひくリスクが変わるかというテーマで検討されました。

すると、水のみでうがいをすると、うがいをしないグループよりも風邪にかかる確率が下がったものの、ポビドンヨードでうがいをするグループは効果が認められなかったという結果が得られています。

ビドンヨードは確かに、細菌やウイルスを殺菌する効果がありますが、水のみのうがいのほうがポビドンヨードのうがいよりも有効だったという興味深い結果が得られています。
【参考資料】

American journal of preventive medicine 2005; 29:302-7.

2020年8月4日の大阪府の吉村知事の発言の真意は、ポビドンヨードのうがい薬で新型コロナウイルスの感染予防効果があるのではなく、ポビドンヨードが唾液腺から口の中に排泄された新型コロナウイルスを殺菌作用で一時的に減少させたことからPCR検査の陰性率が高くなったと考えるべきでしょう。

現在ポピドンヨードが新型コロナウイルスを殺すという医学的な確証は得られていませんので、更に多くの人を対象に検討していく必要があります。

今回の吉村大阪府知事の記者会見で、ポピドンヨードのうがい薬を使用するかしないかは、各人の考え方によりますが、絶対的に効果があると信じて使い続けることはよくありません。

今回の吉村大阪府知事の記者会見を否定したり、文句を言う政治家が多くいますが、血液の鉄人としては、具体的な対策を一切打ち出さず、文句ばかり言う政治や医療関係者より"成果が出るか出ないかは分からないが、やってみるだけの価値はあると思っている"と主張する吉村知事の考え方に賛成です。

松井一郎大阪市長も「結果が出たのに、黙っていろと言うのか」と不快感を示されるのも当然と思います。

残念なことは吉村大阪府知事の記者会見の真意を汲み取れなかったことが多く存在しポピドンヨードのうがい薬の買い占めに走ったことです。

2020年8月1日土曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-30.新型コロナウイルスは空気感染する??!!-

2020年8月時点では、空気感染する感染症は麻疹、水痘、結核の三種類しか存在していません。

よく間違われるのはインフルエンザは、空気感染するのではなく飛沫感染です。

新型コロナウイルスも2020年6月末時点では、空気感染するのではなく、飛沫感染しかしないと言われていましたが、今回の報告で空気感染する可能性が高いと指摘されましたが、果たしてどうなんでしょうか?

2020年7月6日、世界の科学者239人が新型コロナウイルスに関する共同意見書を発表し、世界保健機関(WHO)などの当局に対し、このウイルスが2mをはるかに超える距離で"空気感染"する可能性があることを認識し、それに応じて感染防止策を見直すよう訴えました。

※この意見書は英オックスフォード大学(University of Oxford)の学術誌「臨床感染症(CID)」に掲載されています※

科学者らは、新型コロナウイルスが空気中で数十メートル移動できることが「合理的疑いの余地なく」示されており、これが新型コロナウイルスについても当てはまることが複数の感染事例の分析で示されたとしています。

科学者たちは手洗いや対人距離の確保は適切ですが、感染者が空中に放出するウイルスを含む微小飛沫からの保護には不十分だと言明しています。

感染予防対策として、屋内では換気を良くすること、高効率エアフィルターと紫外線ランプを導入すること、建物内や公共交通機関での混雑を避けることを推奨しています。

新型コロナウイルスを含む微粒子の感染能力については、医学界や科学界で激しい議論が交わされてきていますが、世界保健機関(WHO)は今のところ、こうした感染は患者が人工呼吸器を装着した場合など、病院内の「特定の状況」でのみ起こるとの見解示していますが、現在の世界保健機関(WHO)の言うことはあまり説得力がありません。

一方、新型コロナウイルスの拡散事例に関する研究では、微粒子による感染が病院内に限定されないことが示されていることにも注視する必要があります。

米疾病対策センター(CDC)の専門誌「新興感染症(Emerging Infectious Diseases)」に掲載された研究によると、2020年1月に客の集団感染が起きた中国のレストランでは、新型コロナウイルスが空調によって複数のテーブルに運ばれたと見解を示してます。

今回の学者たちの新型コロナウイルスが空気感染するという見解を無視することなく、感染予防対策の一環として取り入れる必要はあると思います。

そして新型コロナウイルスが空気感染するか否かを十分検証することが求められます。

2020年7月7日世界保健機関(WHO)高官は、新型コロナウイルスの空気感染(飛沫核感染)の可能性を示す「証拠が出始めている」ことを認識し、「感染経路の一つである可能性を見極めている」と明らかにしました。

仮にこれが事実であれば、1~2メートルの間隔をあけるソーシャルディスタンスをはじめ、各国は対策の見直しを迫られる可能性もありえます。

しかし世界保健機関(WHO)は最終的な結論は出ておらず、今後数日のうちに新たな結果を報告する見通しだと付け加えた。

一方米国立アレルギー感染症研究所所長のファウチ博士は、エアロゾル化が新型コロナウイルスの発現に与える影響について、決定的な証拠は現時点では認められていないが、似たようなウイルスであるSARSでは、エアロゾルによる拡散の明確な事例があったことからして完全に排除はできない」と述べています
    
そしてファウチ博士は、これこそがマスク着用が必要な理由の1つだと発言しています。

新型コロナウイルスが空気感染するか否かは、今後の調査研究に待つしかありませんが、空気感染する専門家の意見にも耳を傾けて感染予防対策をする必要はありそうです。



2020年7月26日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-29.新型コロナウイルスには本当に感染予防抗体は存在するのか??!!-

2020年7月14日厚生労働省は、本年6月月に宮城、東京、大阪の3都府県で実施した新型コロナウイルスの疫学調査で、参加者から検出された抗体に、感染を防ぐ働きがある抗体すなわち中和抗体ことを確認したと明らかにしました。

国立感染症研究所の分析では、アボット社とロシュ社の二つのメーカーの検査手法でいずれも「抗体がある」と判定された場合に感染を防ぐ働きがあることが判明したとのことです。

どちらか片方だけが陽性では、こうした能力は確認できなかったとのことです。

今後、この中和抗体がどれだけ体内で残り続けるのかを調べていく必要があるとのペています。

ここでは以下の疑問点について解説してみます。

1.何故二社の検査で陽性になった場合のみの抗体が、中和抗体なのか?

2.アボット社とロシュ社の検査キットで見つけられる抗体の種類はどのようなものなのか?

3.本来はアボット社とロシュ社のどちらのキットでも中和抗体を見つけられるが、検査を実施する時期によって見つけられないのか?

いずれにしても中和抗体の存在の有無は今後もっと多くの検査を実施して、分析しないと確定的なことはわかりません。

【追加解説】

抗体には以下の二種類があります。

1.感染抗体
このウイルスに感染したという証拠となる抗体で、例を上げればHIV抗体がそうです。

この感染抗体は、感染した事実のみがわかる抗体で、感染予防の働きはありません。

2.中和抗体

感染予防抗体とも呼ばれます。

この抗体があると再び感染することはなかったり、感染しても症状が軽くてすみます。

風疹やおたふく風邪や麻疹などの抗体がこれに相当します。

2020年7月19日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-28.新型コロナウイルスに感染した時の共通の症状とは-

米国疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、2020年7月18日までに、新型コロナウイルスに感染した人の共通の病状について分析結果を報告しています。

それによりますと大半の感染者に発熱、せきや息切れのうち少なくとも1つの症状の共有があると報告しています。

新型コロナウイルス感染症は、新しい病気のため症状に関する情報は限定的で、尚且入院していない患者の症状についての知見も乏しいのが現実です。

今回の米国疾病対策センターによる分析によりますと、

・患者の96%に発熱、せきや息切れのうちの1つの症状が出た。

・3つの症状全てを抱えたとしたのは約45%であった。

・最も多かった症状としては咳の84%。

・次が発熱の80%。

・息切れは入院した患者の間でより目立っていた。

・他の症状も色々と見られ、筋肉痛、寒気、疲労感や頭痛が含まれた。

・調査対象の患者の半数は下痢を中心にした腹部機能の障害も報告されています。

・一部の感染者は腹痛、吐き気や嘔吐に襲われていた。

・入院の必要がなかった患者では高い比率で味覚や嗅覚の喪失が認められています。

※今回の米疾病対策センターの分析結果は、検査が特定の患者あるいは特定の時期に限られているため一般化出来る種類のものでは無いことと、調査の対象者の多数が入院の感染者に偏っていることも的確な症状の分析には程遠いとも考えられますが、医師が感染拡大の阻止を図るため検査や隔離が必要と診断する際に貴重なデータとなる可能性は十分あるデータとなっています※

2020年7月17日金曜日

「令和2年7月豪雨」により被害を受けられた皆さまへ

この度の「令和2年7月豪雨」によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに心よりお悔やみ申し上げます。

また、被災された方々に謹んでお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

2020年7月13日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-27.-新型コロナウイルスのワクチン製造は非常に難しい!!-

新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスやHIVと同じように、『DNA』ではなく、『RNA』を遺伝子に持つウイルスです。

このRNAウイルスの場合は、効果的なワクチンを作るのは極めて難しいことが知られています。

その理由は、二重らせんという安定的な構造を持つDNAに対し、一重らせんのRNAはその構造が不安定で遺伝子が変異しやすいからなのです。

HIVワクチンがHIVが発見されてもなお30年が経過した時点ても今で完成していないことや、インフルエンザウイルスが流行している間にウイルスの遺伝子が変異してウイルスに対するワクチンが効きにくくなったり、まったく効かなくなったりするのことからもワクチン開発の難しさが理解できるはずです。

新型コロナウイルスもインフルエンザ同様に遺伝子が変異するスピードが非常に速いことから、2019年12月中国で発生して以来、世界各地に広がっていく過程で変異を繰り返し、2020年7月ですでに数百の変異があるという報告があります。

そのためにワクチンが完成しても、開発当初とは異なる遺伝子のウイルスが蔓延していれば、せっかく出来上がったワクチンも一部のウイルスにしか効かないことも十分にありあり得ることです。

2018年に『免疫を抑制するたんぱく質「PD-1」を発見し、がん治療薬「オプジーボ」の開発に大きく貢献した功績』でノーベル生理学・医学賞(2018年)を受賞した本庶佑京都大学特別教授(1942~)も上記の理由で新型コロナウイルスワクチンの日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話と警鐘を鳴らしておられます。

予防ワクチンが可能な限り早く出来上がるのを願う次第です。

2020年7月5日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-26.COVID-19ワクチンは何時頃できる-

ワクチンの歴史を見てみますとこれまでに歴史上最速で完成したワクチンは、風疹ワクチンですが、これも4年の歳月を必要としました。

一部の専門家はバイオ技術の発展や認可過程の短縮化などにより、うまくいけばCOVID-19ワクチンは、1年~1年半で出来上がると発言していますが、そう簡単には完成しないと発言している専門家もいます。

確かにHIVワクチンは、HIVが発見されてから30年も経過していますが未だに完成はしていませんし、完成の目処も立っていません。

現在COVID-19ワクチンは、全世界で150種類以上が研究途上にあり、2020年7月時点で17種類が臨床試験に入っていますが、使用可能なワクチンは未だ完成はしていません。

2020年6月28日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-25.蚊は新型コロナウイルス(SARS-CoV2)を媒介するのか?-

マラリア・デング熱・日本脳炎などの多くの感染症が蚊によって媒介されることから、新型コロナウイルスもそうではないかという心配がされていましたが、蚊は新型コロナウイルスを人に感染させることはないという報告がされています。

2020年6月25日イタリア・高等衛生研究所(Istituto Superiore di Sanita: ISS)とイタリア・ベネチア動物予防試験所(Istituto Zooprofilattico Sperimentale delle Venezie:IZSVe)は、ヒトスジシマカもイエカも新型コロナウイルスを媒介できないと報告しています。

新型コロナウイルスに感染した人の血液を吸血しても新型コロナウイルスは、蚊の体内では増殖できなことからして、蚊からの感染は起こらないと報告してます。

この報告から蚊に刺されることで新型コロナウイルス感染に感染する可能性を排除したことになります。

世界保健機関(WHO)も、吸血昆虫の蚊が新型コロナウイルスを媒介する可能性があるという証拠は何もないとすでに発表していますが、今回の研究はこれを裏付けたことになります。

現時点では新型コロナウイルスは蚊などの吸血昆虫からの感染は起こらないようです。

2020年6月21日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について-24.次亜塩素酸水についての再認識-

次亜塩素酸水の製法については、電気分解によるものと次亜塩素酸ナトリウムなどを酸で中和したものの2つが主流です。

他にも数種類の製造法があるようです。

厚生労働省の告示では、「次亜塩素酸水」と表記できるものは塩水を電気分解したものに限られますが、身の回りで販売、使用されている「次亜塩素酸」「次亜塩素酸水」を名乗る製品でこの製法表記のある製品は殆ど存在していません。

まして濃度表記のないものが大部分であることからすなわち如何わしい物があるということです。

更に「安定型複合塩素」と表記されたものは、一体何が入っているのか全く分かりません。

次亜塩素酸は、不安定なために製造後時間がたつと分解してしまい有効性は失われてしまいます。

従って製造年月日が分からなければいつまで使えるかがわからないにもかかわらず、とこ製造年月日を明記した商品は見当たりませんでした。

使用期限表記は当然殆どの製品に無く、あってもいつからいつまでかがわからないような製品は安心して使用できません。

従って今出回っている次亜塩素酸水は、使用しないのが得策です。

次に注意しないといけないことは、有効性に付いての表示なのですが、現在市中で販売されている次亜塩素酸製品(主成分を次亜塩素酸とするもの)は、基本として雑貨であって、消毒薬として販売されていません。

これは厚生労働省において薬機法の審査、承認を受けているものがないからなのです、要するに従って消毒薬としての効能を記載することは、薬機法などの法令違反になる可能性があります。

安全性や効能については、まず科学的、医学的合意がなされる必要があります。

○○大学で検査した、✕✕試験センターで試験したと言ってもそれは根拠(エビデンス)にならないのです。

安全性や効能については、まず科学的、医学的合意が形成され、その上で担当省庁による承認を得て初めて製品として成り立ちます。

現時点での「次亜塩素酸水」あくまで私的試みの読み物であっても有効性について医学的・科学的根拠となり得るものはまず無いです。

安全性についてもこれも医学的、科学的根拠がなく全く話しにはなりません。

「弱酸性」であるから安全と謳う製品がたいへんに多いのですが、弱酸性であることは安全性の根拠にならないことを理解しておいてください。