梅毒の症状は、見かけ上は健康な時期をはさんで、3段階の変化をします。
梅毒の病原体である梅毒トレポネーマが感染して9週までを第1期梅毒、9週より3年までを第2期梅毒、感染後3年以上を第3期梅毒と言います。
治療をしないで感染後10~15年放置しますと脳と脊髄に変化をきたし、変性梅毒または第4期梅毒になります。
梅毒の症状は、俗に言う3週・3ケ月・3年と呼ばれ、第1期・第2期・第3期の病期ごとに、異なる病態を示しながら進行する特徴を持つていることから3.3.3の変化と呼ばれています。
梅毒トレポネーマは性器粘膜や皮膚の小さな傷口から侵入して感染します。
第1期梅毒の特徴:痛みのない小豆ほどの大きさのしこりができる
梅毒トレポネーマに感染して平均3週間(1~14週)の潜伏期を経て、梅毒トレポネーマが侵入箇所には小豆ほどの大きさのしこりが現れます。
これは初期硬結または硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれ第1期梅毒に特徴的な病変です。
触ると硬く、押してもまず痛みはありません。
最初は少し盛り上がった赤い発疹ですが、すぐに中央がつぶれて潰瘍となり、透明な液体(滲出液)が滲み出します。
この滲出液には無数の梅毒トレポネーマが存在し、これに触れることによって他人に感染させます。
初期硬結が出た後、足の付け根の鼠径リンパ節が腫れますが、圧迫しても痛みは感じません。
この足の付け根の鼠径リンパ節が腫れを無痛性横痃(むつうせいおうげん)と呼びます。
その後、3~12週間で硬結は完全に消失することから、一見すると完全な健康状態に戻ることから患者本人は感染に気づきません。
第2期梅毒の特徴:バラ色の赤い発疹
感染から3ケ月(12週)頃には、梅毒トレポネーマは血流に乗って全身に運ばれます。
そしてこの時期バラ疹と呼ばれるバラ色の赤い発疹が、手のひら、足の裏、体幹部などに、ほぼ左右対称に出現します。
これが第2期梅毒です。
微熱や倦怠感も現れますがそれ以外の症状に乏しく、体の不調を感じても、まさか自分が梅毒だとは思わない人も多くいます。
また、アレルギーや麻疹による発疹などと紛らわしくて診断を誤ることもあり、「梅毒は百面相」とも呼ばれています。
その後数日~数週間すると、発疹が消失して潜伏期に入ります。
その後2~3年にわたって数ケ月毎に皮疹が出たり、消失したりを繰り返します。
皮疹は早期では全身に対称性に生じますが、次第に限局して非対称性となります。
その後は出なくなり、治療しなくてもいつのまにか治ったようにほとんどの人は錯覚に陥ります。
第3期梅毒の特徴:やわらかい腫瘤「ゴム腫」、軟部が崩れることもある
第2期後の潜伏期間も梅毒トレポネーマは体内で徐々に増殖しています。
感染から3年ほど経つと皮膚、筋肉、骨、肝臓などのあちこちに、ゴムのように柔らかい腫瘤(ゴム腫)が出来ます。
これが第3期梅毒です。
治療しないと、ゴム腫は周りの組織を破壊しながら成長し、破れて潰瘍になり、治った後も瘢痕(跡形)が残ります。
以上梅毒は変化に富んだ症状を繰り返しますから、感染に気づかない・自然に治ったと勘違いしやすい感染症です。
このことが次々と感染者を広げる結果となっています。
梅毒トレポネーマの感染は、症状ではまずわかりませんので感染するような行為をしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受ける必要があります。
また現在の梅毒は、梅毒トレポネーマに感染しても梅毒特有の症状を起こさない無症候梅毒が多くなっていますので、なおさらのこと症状からの感染の判断はできません。
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