現在、新型コロナウイルスの患者数が増加傾向にあり、特にオミクロン株から派生した「ニンバス」(NB.1.8.1)と呼ばれる変異株が流行の中心となっています。
このニンバス株は、**「カミソリを飲み込んだような」**と表現されるほど強烈なのどの痛みが特徴とされており、ガラスの破片が刺さるような痛みや、血痰を伴うケースも報告されています。
【なぜ「ニンバス」はのどの痛みが強いのか?】
この激しいのどの痛みの原因について、医学的な考察と最新の情報を交えて解説します。
近年の研究では、新型コロナウイルスが感染する細胞やその感染経路、免疫反応に関する理解が深まっています。
従来の株と比較して、ニンバス株は上気道(のどや鼻)でより活発に増殖する能力が高いと考えられています。
このため、ウイルスがのどの粘膜細胞に大量に感染し、細胞の破壊や強い炎症反応を引き起こすことが、激しい痛みの原因と推測されます。
炎症反応は、体内の免疫細胞がウイルスと闘う過程で起こります。
炎症性サイトカイン(情報伝達物質)が放出され、これが痛みの感覚を増幅させることがわかっています。
ニンバス株は、この炎症反応をより強く引き起こす性質を持っているのかもしれません。
【酷暑が感染拡大に影響する理由】
猛暑が続く中、なぜ新型コロナの感染が拡大しているのでしょうか?
◎換気の不足: エアコンを使用するため窓を閉め切りがちになり、室内の換気が不十分になります。密閉された空間では、ウイルスが空気中に滞留しやすく、感染リスクが高まります。
◎免疫力の低下: 暑さによる睡眠不足や食欲不振、また熱中症対策のためのこまめな水分補給が不足することで、体が疲弊し、免疫力が低下します。免疫力が落ちると、ウイルスへの抵抗力が弱まり、感染しやすくなります。
◎マスク着用の困難さ: 猛暑の中でのマスク着用は熱中症のリスクを高めるため、着用を控える人も増えています。
マスクはウイルスの飛沫を防ぐ効果的な手段ですが、着用率の低下が感染拡大の一因となっている可能性があります。
【"熱がない"からと油断しないで!】
「喉は痛いけど、熱がないからコロナじゃない」と考える人もいますが、これは誤った認識です。
特にニンバス株では、発熱がないケースや、37℃台前半の微熱で終わるケース、あるいは熱が短時間で上がったり下がったりするケースが多く見られます。
発熱がないからといって、新型コロナを否定することはできません。
【受診のタイミングと治療薬について】
「もしかしてコロナ?」と感じたら、どのようなタイミングで受診すれば良いのでしょうか。
◎受診を検討するタイミング: 「刺すような強いのどの痛み」や「激しい倦怠感」「関節痛」など、普段とは違う強い症状が出始めたら受診を検討しましょう。
◎ベストなタイミング: 症状が出てから半日〜1日後に受診することで、迅速な検査と診断が可能になり、適切な治療薬の選択肢を提示してもらえます。
※特に基礎疾患がある人は重症化リスクが高くなることから、早めの受診が重要です※
◎つらい時は迷わず受診: 症状があまりにもつらく、日常生活に支障をきたす場合は、時期を問わずすぐに医療機関を受診してください。
◎現在、新型コロナの治療薬には、重症化を予防する海外の薬や、ゾコーバのようにウイルスの増殖を抑えて症状を改善させる薬がありますがこれらの薬は妊婦や授乳中の女性、12歳未満の小児には使えなかったり、他の薬との飲み合わせに注意が必要な場合も多いため、医師と相談して慎重に判断する必要があります。
【まとめ】
再び感染が拡大している新型コロナ、特に「ニンバス」株による強烈なのどの痛みは、これまでのコロナとは異なる特徴です。
「もしかしてコロナかも?」と感じた時は、「熱がないから大丈夫」と安易に自己判断せず、早めに医療機関に相談することが大切です。
手洗いやうがい、場面に応じたマスクの着用など、基本的な感染対策を改めて徹底し、この厳しい夏を乗り切りましょう。
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