血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年9月19日日曜日

人獣共通感染症-9.ライム病-

 ライム病(ライムボレリア症:Lyme borreliosis)は、ノネズミやシカ、野鳥などを保菌動物とし、マダニ科マダニ属 Ixodes ricinus 群のマダニに媒介されるスピロヘータの一種のボレリアの感染によって引き起こされる人獣共通感染症です。

野生動物では感染しても発症しませんが人、犬、馬、牛では発症して種々の臨床症状を引き起こします。

ライム病の由来は、アメリカコネチカット州のライム及びオールドライムで1975年に最初に確認されたことに由来しています。

ライム病は、シュルツェマダニなどのマダニに咬まれることにより感染します。

マダニの活動は暖かい時期、春先から秋くらいまでが多いので、この時期にマダニによる感染症を発症することが多い傾向がみられます。

米国では毎年30000人を超えるライム病患者が報告されており大きな社会問題になっています。

日本国内でもライム病に罹ることがあります。

※一般家庭内でよく見られるイエダニから感染することはありません※

2020年には17人の患者報告があります。

特にライム病の報告が多いのは北海道で年間10例弱の患者が報告されています。

保健所に届け出がされていない事例も含めるともっと多くのライム病患者が存在していると考えられています。

シュルツェマダニは寒い地域に分布しており、北海道は全域にいますが、本州では標高の高いところにのみ分布しています。

従って北海道に住んでいる人や旅行で登山をする場合、本州でも標高の高い地域に暮らしている人や、登山をする人もライム病に注意が必要となります。

【ライム病の症状】

感染初期(Ⅰ期)

マダニに咬まれてから数日から1ケ月以内にマダニに咬まれた箇所を中心とする限局性の特徴的な遊走性紅斑を呈することが多い傾向があります。

随伴症状としては、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともあります。

遊走性紅斑の出現期間は数日から数週間といわれ、形状は環状紅斑または均一性紅斑がほとんどです。

播種期(II 期) 

体内循環を介して病原体が全身性に拡散することから、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られる。

感染後期(III期)

感染から数カ月ないし数年を経過してから播種期の症状に加えて、重度の皮膚症状、関節炎などを呈すると言われています。

幸いなことに日本においては、感染後期に移行したとみられる症例は現在のところ報告されていません。

【検査法】

1.EIA(Enzyme Immunossay)またはIFA(Immumofluorescent Assay)によって検査を実施して、陽性または偽陽性となった場合にはウエスタンブロット法で確認検査を実施する。

2.神経症状を発症した患者では、骨髄液をBSK2培地に接種し、34 ℃ で2 - 4週間培養し、病原体を分離する。

【治療法】

一般的に用いられる抗菌薬としては、ペニシリン、アモキシシリン、セフトリアキソン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、テトラサイクリンなどがあります。

神経ライム症の場合は髄液移行の良いセフトリアキソンが第一選択薬となります。

小児例の場合にはアモキシシリンが主に使用されています。

現在のところ、わが国を含め世界的に薬剤耐性菌出現の報告はありません。。

皮膚症状のみであれば、アモキシシリンやドキシサイクリン、セフトリアキソンなど適切な抗生剤を14日間内服すれば完治がみこめます。

全身症状が強く、皮膚症状も範囲が広い場合は3週間から1ケ月治療を要することもあります。

また顔面神経麻痺を生じた場合は入院のうえ点滴治療を10~14日間位続けることもあります。

※患者個人の免疫能や合併症の有無によって治療期間が異なることがあります※

日本国内においては感染予防ワクチンは存在していません。

【予防方法】

野山でマダニに咬まれないないことがもっとも重要となります。

マダニの活動期(主に春から初夏、および秋)に野山へ出かけるときには、

むやみに藪などに分け入らないこと、マダニの衣服への付着が確認できる白っぽい服装をすること、衣服の裾は靴下の中にいれ虫よけをしマダニを体に近寄らせないことなどを心がける必要があります。

また万一咬まれた時には、口器(体内に刺し混んでいる部分)を残さず虫体を潰さないように体から抜き取って下さい。


2021年9月12日日曜日

新型コロナウイルスについて-40.ブレイクスルー感染とは-

 新型コロナワクチン接種を2回受けてるにも関わらずワクチンの予防効果を突破して新型コロナウイルスに感染することを意味します。

新型コロナのワクチンは、2回目の接種を受けてから2週間程度で十分な免疫の獲得が期待されますが、それ以降に感染した場合を"ブレークスルー感染"と言います。

どの感染症に対するワクチンでも、その効果は100%ではありません!!、この事をよく理解しておく必要があります。

ブレイクスルー感染が起きる原因

1.予防ワクチンの感染予防効果が十分に発揮されていない。

2.新型コロナウイルスの変異等でウイルスの感染性が高くなっている。

3.多くの新型コロナウイルスに被爆する。

4.予防ワクチンの効果が低下している。

現在"ブレークスルー感染"が増えているのは感染の中心が、デルタ株に置き換わっているからです。

"ブレークスルー感染"が発生しているからワクチン接種は意味のないことなのでしょうか?

いいえこれは違います!!

"ブレークスルー感染"であっても、ワクチン接種によって、重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されるということです。

ワクチン接種の先進国であるイスラエルにおいても、ファイザー製のワクチンは、従来型の新型ころなウイルスに対して、感染そのものを防ぐ効果が91.5%あったと報告されています。

イスラエルの場合、その後、感染の中心が、ほぼ「デルタ株」に置き換わったことからワクチンの感染や発病を防ぐ効果は、64%まで低下してしまったとされています。

しかし、イスラエルでの流行がデルタ株に置き換わっても、感染リスクは64%まで低下してしまいましたが、入院を必要としない症状は、93%と高いレベルを維持していることから、"ブレークスルー感染"であっても、ワクチン接種によって、重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されるという調査結果が得られています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告からも、2回のワクチン接種を済ませた人が、新型コロナウイルスのブレークスルー感染のために亡くなる恐れは0.001%未満と低頻度にとどまっているという報告もなされています。

日本国内においても、デルタ株に置き換わりつつあることから、ワクチンの予防効果が低下してこれからも"ブレークスルー感染"の発生は多くなると考えられていますが、感染しても重症化を防げる意味からもワクチン接種は重要となれます。

ワクチンを過信せずに従来から行っている、手洗い・正しいマスクの着用・密を避ける・ソウシャルディスタンスなどで感染予防をすることは一層大切なことと言えます。



2021年9月5日日曜日

新型コロナウイルスについて-39.新型コロナウイルスの変異株 ミュー株ー

 2021年9月1日厚生労働省は、南米コロンビア由来の変異した新型コロナウイルス"ミュー株(B.1.621)"が、2021年6月と7月に国内の2空港の検疫で初めて確認されたと発表しました。

この2例は2021年6月26日に、アラブ首長国連邦(UAE)から到着した40歳代女性と、2021年7月5日に英国から着いた50歳代女性から確認されたということです。

この2名はいずれも無症状だった。

世界保健機関(WHO)が2021年8月30日に注目すべき変異株(Variant of Interest VOI)と位置づけて"ミュー株"と命名しています。

この"ミュー株"は、ワクチンの効果を低下させる可能性があると指摘されています。

注目すべき変異株(Variant of Interest :VOI)は感染力が強いインド由来の"デルタ株"よりは警戒レベルが低い変異株に分類されています。

"ミュー株"は、今年1月にコロンビアで発見され、南米や欧州など30ケ国以上で報告されている変異株です。

英国ではこれまで30件のミュー株感染例が報告されいて、このうち一部は、新型コロナワクチンを2回接種したにもかかわらず感染しています。

2021年8月、ベルギーの特別養護老人ホームでは、2回のワクチン接種を受けた7人"ミュー株"に感染して死亡しています。

"ミュー株"の免疫回避の程度や感染力などについてはさらなる研究が必要で、今後より詳細な調査がなければ、いくつかの事例をもとに一般化することはできないということです。

2021年8月29日日曜日

新型コロナウイルスについて-38.モデルナ製新型コロナワクチンの副作用について-

 厚生労働省の研究班は2021年7月21日、モデルナ製の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン被接種者を対象に行ったコホート調査の最新結果を公表ました。

※コホート調査とは、ある集団の健康上の変化を把握して、体質や生活習慣などと将来発症する病気との関連を調べる研究です※

その結果は1回目接種後に比べ2回目接種後で副反応の発現率が高く、およそ90%に倦怠感、80%に発熱、70%に頭痛が認められたと報告しています。

発熱に関してはファイザー製ワクチンの発現率40%と比べて2倍高く、接種後に1週間以上経過して腕の接種部位が赤くなり、痒みを伴う遅延性皮膚反応、いわゆるモデルナ・アームがモデルナ製では高率であるなど、同ワクチンの副反応の特徴と注意点が明らかになりつつあります。

※両者のワクチンもメッセンジャーRNAタイプのワクチンで同じ種類に属しますが、モデルナワクチンにはある特有の副反応”モデルナアーム”が出現することで話題になっています※

※モデルナアームは、一時的なアレルギー反応の一種で、痒みやヒリヒリした痛みを感じますが、1週間ほどで自然に消えるので心配はありません※

モデルナアームは、海外では"COVID-arm"とも呼ばれていますが、アメリカでモデルナワクチンの接種が始まった2021年1月にはすでに多数報告されています。

出現頻度は3~4%で、25~30人の接種につき1人ほど生じる計算となります。

起きるのはほとんどが女性(80%以上)で、若い年齢(中央値38歳)に明らかに多いことが分かっています。

人種による発症頻度の違いは未だはっきりしていませんが日本でも欧米と同程度の報告が確認されています。

接種した腕のみに出現し逆側の腕には見られず、おおよそ1週間程度で自然消退します。

またファイザー社製ワクチンでは1例も報告がなく、モデルナ社製ワクチンに特有の現象のようです。

モデルナアームは、遅延型アレルギー(IgG由来のアレルギー反応)の一種ではないかと考えられています。

現時点では、重症の即時型アレルギーであるアナフィラキシーとは関連がないとされていますので、仮に1回目の接種でモデルナアームが生じた人でも、2回目は予定通りのスケジュールで接種して問題ありません。

2回目の接種時も同様の症状が出ることが多く、皮膚症状の出現は1回目より少し早まることが多いですが、皮膚症状が重くなるということはないようです。

対処法としては、冷やしてかゆみを抑える、鎮痛薬のアセトアミノフェンを内服する、ステロイドなどの抗炎症薬の塗り薬を使用する、などの対応をして自然に治まるのを待ちます。

また2回目を逆の腕に接種することが一般的ですが、同じ腕に接種してはいけないということはありません。

ファイザー製とモデルナ製ワクチンとの副反応の比較は以下の通りとなっています。


1.1回目接種後の副反応は両ワクチンでほぼ同様の傾向が見られた。

2.2回目接種後の副反応の発現率は、鼻水を除く、発熱、接種部位反応、発赤、疼痛、腫脹、硬結、熱感、痒み、全身症状、倦怠感、頭痛のいずれもモデルナ製ワクチンで高率に起こっていた。

3.副反応の比較は次の表のとおりです。

発熱・発赤・熱感・頭痛などの副反応がモデルナ製ワクチンでは効率に発生しています。

4.遅延性皮膚反応はモデルナ製は2%、ファイザー製0.1%で顕著な差が見られています。

5.女性で副反応の頻度が高く、多くの症状は若いほど高頻度で発生する傾向が見られています。

2021年8月22日日曜日

新型コロナウイルスについて-37.新型コロナウイルスの変異株 ラムダ株-

 ラムダ型変異ウイルス(C.37)は2020年8月にペルーで最初に見つかり、その後、南米を中心に拡大し、2021年7月31日時点で31カ国で見つかっています。

ペルー、チリ、エクアドル、アルゼンチンなどの南米の多くの国で見つかっており、特にペルーでは新規感染者の90%以上がラムダ型によるものと言われています。

世界的な拡大を受けて、世界保健機関は2021年6月14日にこの変異ウイルスを「ラムダ」と命名し「注目すべき変異ウイルス(VOIs; Variant of Interest)」に指定しました。

2021年7月20日にペルーから羽田空港に到着した30代女性から検出されています。

このラムダ株の特徴としては、スパイク蛋白の特徴的な変異として、G75V、T76I、del247/253、L452Q, F490S, D614G, T859Nという7つの遺伝子変異があります。

しかし、現時点だはこれらの変異がウイルスにどのような変化をもたらすのかの情報が限られています。

このラムダ株の感染力は、従来の新型コロナウイルスと比べると、感染力が増強しているのではないかという実験室レベルの研究が報告されてきていますが、まだデータは限られていてはっきりとは分かっていません。

このラムダ株は、アルファ株やデルタ株では、従来のウイルスと比較して感染した場合に重症度が高くなるとされていました。

ラムダ株に感染した場合にも従来よりも重症度が高くなるのかについてはまだよく分かっていません。

ベータ株、ガンマ株、デルタ株のそれぞれは、ワクチンの効果が低下することが分かってきています。

ラムダ株についても、中和抗体に対する抵抗力が強くなっているとする実験室での研究があり、またベータ株よりもさらにワクチン効果が落ちるのではないかとする研究報告もあり、多少なりともワクチンの効果が落ちる可能性があることが指摘されています。

しかし現時点ではワクチン効果がどの程度落ちるのかははっきりと分かっていません。

ラムダ株についてはまだまだ不明な事が多く、2021年7月31日時点ではどれくらいの脅威であるのか判断することは難しい状況です。

今後日本国にも侵入する危険性があると懸念されています。


2021年8月15日日曜日

人獣共通感染症-8.細菌性人獣共通感染症としての炭疽症-

 炭疽症は、炭疽菌による感染症で、ヒツジやヤギなどの家畜や野生動物の感染症であるが、ヒトに感染することもあることから人獣共通感染症の分類されています。

炭疽菌は1876年ドイツの医師で細菌学者でもあったロベルト・コッホ(1943~1910)によって発見されています。

また、1881年フランスの生化学者で細菌学者でもあったルイ・パスツール(1822~1895)は弱毒生菌ワクチンと開発しましたが、このワクチンで得られる免疫はごく弱いことから今日では利用されなくなっています。

【感染経路】

ヒトへの感染経路としては、炭疽症になった動物との接触やその毛皮や肉から感染します

基本的にはヒトからヒトへは感染しません。

炭疽菌は皮膚からの感染が最も多いが、芽胞を吸いこんだり、汚染した肉を不十分な加熱で食べた場合にも感染してしまいます。

自然発生は極めてまれです。

【炭疽という意味】

炭疽とは「炭のかさぶた」の意味であり、英語名のAnthraxはギリシャ語で「炭」の意味で、この名称は皮膚炭疽の症状で黒いかさぶた(瘡蓋)ができることに由来しています。

【炭疽症の分類】

炭疽症には、炭疽菌が顔、首、手などの皮膚の小さな傷から侵入し、1~7日後ニキビ様の小さな掻痒性または無痛性の丘疹が現れ、周囲には発疹と浮腫が現われる"皮膚炭疽症"、肺に感染して起きる"肺炭疽症"、炭疽菌が食物つ共に口から入り感染する"腸炭疽症"に分類されます。

【致死率】

治療しない場合の致死率は、皮膚炭疽症は10~20%、肺炭疽症は90%と極めて高い、腸炭疽症は25~50%です。

【検査】

確定診断は炭疽菌の分離同定によって調べます。

最近ではPCR検査が利用されています。

【治療法】

ペニシリン・テトラサイクリンなどの抗生物質により治療可能。

ヒトからヒトへの感染はないので、隔離の必要はありません。

早期に治療すれば治癒する。

【予防ワクチン】

炭疽病のワクチンは日本には無く、アメリカで1社が製造するのみで、。しかも副作用の可能性が高いことから、この予防接種はあまり推奨されないのが現実です。

【発生状態】

日本国内では1965年8月、岩手県西根町で乳牛が炭疽病で死亡したため死亡牛は一度は埋められましたが、掘り起こされて売買された結果、1965年88月26日までに牛肉を食べた33人が下痢、腹痛を訴えて疑似患者として手当てを受けた事例がありますが、それ以降2021年8月まで発生はありません。

2021年8月中国国内での発生が報告されています。


2021年8月8日日曜日

新型コロナウイルスについて-36.なぜこんなに新型コロナウイルスの変異株が増加するのか??-

 ウイルスは生き残るために変異するのが基本なんです!!

要するにすべての生物は、子孫を残すために変異していき、生き残れるものだけが生き残っていくのです。

このことは、進化生物学的に考えると、ウイルスに変異体が現れるのは当たり前なのです。

ウイルスは常に変異し続けて、半日から1日で世代交代をし続けます。

要するに変異株が出現するスピードは極めて早いわけです。

ウイルスは変異することにより、人の免疫カから逃れたり、ワクチンから逃れるわけです。

変異の過程で免疫力から逃れる、あるいはワクチンから逃れる仕組みを見に付けたウイルスは、その変異株が大勢を占めて流行してきます。

ワクチンの防御システムを破る変異株が出てくれば、感染源のある地域では、その変異株が一気に蔓延する可能性があります。

ワクチンは、その地域にある感染源に一気にできる限り多くの人に接種して、変異株が出現する前に感染源をなくすことが、進化生物学的に考えると大切なのです。

感染力のより強い変異株は、より生き残りに長けていたので、あっと言う間に従来のものと置き換わってしまうわけです。

無数の変異のなかに1個でも免疫をかいくぐる仕組みを持った変異株は、ワクチンの抵抗性を獲得したウイルスとして、あっと言う間に地域にそして全国に拡散してしまいます。最も大事なことは、ウイルスにそのような変異を起こす時間的なゆとりを与え無いことなんです。

変異してて流行をの時間を与えることは限りなく危険な行為だということになります。

進化はその突然変異を決して見逃しません!!、

そして瞬またたく間に抵抗性を持った変異株が蔓延してしまいます。

ウイルスは絶えず変異していて進化生物学的に考えると、ワクチン抵抗性を持ったウイルスはいつ出現しても不思議ではありません。

いったん変異株が現れると、ワクチン接種というウイルスに対しての選択圧から逃れたその変異株は、一気に蔓延してしまいます。

それはワクチンの開発そのワクチンに対する抵抗性ウイルスとの「鼬ごっこ」を繰り返し続けなくてはならなくなってしまいます。


2021年8月1日日曜日

新型コロナウイルスについて-35.モデルナアームとは何-

 ファイザー社製とモデルナ製新型コロナワクチンの両者もメッセンジャーRNAタイプのワクチンで同じ種類に属しますが、モデルナワクチンにはある特有の副反応”モデルナアーム”が出現することで話題になっています。

モデルナアームは、一時的なアレルギー反応の一種で、痒みやヒリヒリした痛みを感じますが、1週間ほどで自然に消えるので心配はありません。

モデルナアームは、接種後7日前後に起こります、海外では"COVID-arm(コビッドアーム)"とも呼ばれていますが、アメリカでモデルナワクチンの接種が始まった2021年1月にはすでに多数報告されています。

出現頻度は3~4%で、25~30人の接種につき1人ほど起こる計算となります。

起きるのはほとんどが女性(80%以上)で、若い年齢(中央値38歳)に明らかに多いことが分かっています。

人種による発症頻度の違いは未だはっきりしていませんが日本でも欧米と同程度の報告が確認されています。

接種した腕のみに出現し逆側の腕には見られず、おおよそ1週間程度で自然消退します。

またファイザー社製ワクチンでは1例も報告がなく、モデルナ社製ワクチンに特有の現象のようです。

モデルナアームは、遅延型アレルギー(IgG由来のアレルギー反応)の一種ではないかと考えられています。

現時点では、重症の即時型アレルギーであるアナフィラキシーとは関連がないとされていますので、仮に1回目の接種でモデルナアームが起きた人でも、2回目は予定通りのスケジュールで接種して問題ありません。

2回目の接種時も同様の症状が出ることが多く、皮膚症状の出現は1回目より少し早まることが多いですが、皮膚症状が重くなるということはないようです。

対処法としては、冷やしてかゆみを抑える、もし、痛みが酷く我慢できない時は、アセトアミノフェンやロキソニン、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬の内服で軽くなることもあります。

ステロイドなどの抗炎症薬の塗り薬を使用する、などの対応をして自然に治まるのを待ちます。

症状が特に酷い、または数日経過しても症状が治まらない時は、皮膚科医に相談することをお勧めします。

またワクチン接種の2回目は逆の腕に接種することが一般的ですが、同じ腕に接種してはいけないということはありません。

2回目のワクチン接種時の問診時に、腕にどのような症状が出たかを医師に伝えて下さい、その意志の判断で1回目接種した反対側の腕に接種するように言われた場合はその指示に従って下さい。

【モデルナアーム】




2021年7月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-34.ワクチンの有効率とは?-

 ある種のワクチンを接種して、有効率95%というと「ワクチンを打った100人のうち95人が発病しない」という意味ではありません。

それではこの有効率とはどのようにして計算するのでしょうか?

例えば、新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合で考えてみますと、

新型コロナウイルスワクチンを接種していない状態の人が100人いて、その100人のうち50人が新型コロナウイルスに感染した仮定とします。

その100人が新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合、新型コロナウイルスに感染した人は5人としますと、ワクチンを接種していない場合と比べて発病者数は45人減少したことになり、割合に直すと90%減ったことになります。

この「ワクチンを打たなかったときに発病した人数が、ワクチンを打ったら何%減ったか」という割合が“有効率”なのです。

実際の数値を当てはめて計算してみますと、

Ⅰ.ワクチン接種した人の合計21500人

・発症者8人(X)

Ⅱ.ワクチンを接種しなかった人の合計21500人

・発症者162人(Y)

有効率の計算式は以下の通りとなります。

◎有効率=1-(X÷Y)

実際上記の数字を当てはめて計算しますと以下の通りになります。

◎有効率=1-(8÷162)=0.9506となり95%ということになります。

2021年7月18日日曜日

日本紅斑熱患者激増!!

2020年日本国内において日本紅斑熱の患者が420件と過去最多になっています。

本症は紅斑熱群リケッチアの一種の"リケッチア・ジャポニカ"を保有するマダニに刺咬されて感染しますが、ヒトからヒトへの感染は起こりません。

媒介ダニは、キチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどで、これらのマダニに咬まれることによって感染します。

千葉以西の太平洋側を中心に発生していましたが、近年では青森や新潟などに拡大しています。

野山に入ったときにこれらのマダニに刺咬され感染しますが、全てのダニがリケッチアをもつわけではなく、リケッチアをもつ"有毒ダニ"に刺咬されたときだけ感染します。

【症状】

有毒マダニに刺咬された2~8日後に頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。

ツツガムシ病と同様に発 熱、発疹、および刺し口が主要三徴候で、ほとんどの症例にみられます。

【検査所見】

ツツガムシ病と同様にCRPの上昇、AST ALTの上昇、白血球減少および血小板減少などがみられます。

【診断法】

確定診断は主に、間接蛍光抗体法による血清診断があります。

病原体診断としては、末梢血中からのリケッチアDNA 検出検査があります。

【治療法】

第一選択としてテトラサイクリン系の抗菌薬を使用します。

【致死率】

およそ0.91%と言われています。

【予防法】

むやみに野山に入らないようにするのが一番の予防策ですが、やむを得ず立ち入る際には、

1.皮膚の露出を少なくしダニの付着を防ぐ

2.ダニ忌避剤を使用する

3.帰宅後入浴し、注意深く付着ダニの除去を行う。

この際、感染を防ぐためダニを指でつぶさず、頭部をピンセットなどで摘んで除去する。

【ご注意】

最近のキャンプブームで野山でのキャンプをする人が増加しています、その結果感染者は広がる傾向にありますのでくれぐれも感染対策を行いマダニに咬まれないように気をつける必要があります。

2021年7月11日日曜日

新型コロナウイルスについて-33.デルタ変異株-

 現在世界各国でデルタ変異株が大流行してます。

現在ワクチンしか予防策がないとされていますが、果たしてそうなんでしょうか?

デルタ変異株はインドで流行が始まり、イギリス、米国でも流行してます。

2021年7月9時点での報告では、先月の6月1ケ月の人口100万人あたりの感染者数はインドのデリーでは88%減少していますが、ロンドンでは逆に398%増加してます。

この違いはイベルメクチンを使用したインドは、デルタ変異株は大幅に減少しているとの分析がなされています。

ではなぜアフリカでは新型コロナウイルの感染は拡大していなのか?

現在のアフリカでのワクチン接種率は、1%以下です、この理由はワクチンの費用が高くて購入できない国が多いからです。

しかし新型コロナウイルの流行は先進国に比べて感染者数が少ないという事実があります。

アフリカでは寄生虫感染症のオンコセルカ症があります。

この治療薬としてイベルメクチンが使用されています。

その結果イベルメクチンは数億人のオンコセルカ症の患者を救いました。

アフリカではイベルメクチン使用後に新型コロナウイルスの流行が始まりましたが、先進国のように大流行していません。

この結果イベルメクチンは新型コロナウイルスに有効であると多くの専門家が指摘しています。

2021年7月8日のネイチャー誌には、デルタ変異株は過去の新型コロナウイルスの感染やワクチン接種で体内にできた抗体を回避するとの報告がされています。

ワクチン接種が進んだイギリスやイスラエルでのデルタ変異株の流行がこれを証明しています。

日本人の大村智博士の開発したイベルメクチンを再度見直、治療薬としての有効性を早急に科学的に分析すべきと思います。

海外ではデルタ変異株に対するイベルメクチンの効果は評価されているのになぜ日本政府や医療関係者は検討しないのかは疑問で思います。

更に日本のメデイアもデルタ変異株に対するイベルメクチンの有効性を報道をしないのはなぜなんでしょうか?

皆さん疑問に思われませんか??


2021年7月4日日曜日

新型コロナウイルスについて-32.新型コロナウイルスは蚊によって媒介されることがあるのか?-

 蚊は日本脳炎、デング熱、マラリアなど媒介させます。

それでは蚊が新型コロナウイルスを媒介させることはないのでしょうか?

その可能性は限りなく低いと考えられています。

新型コロナウイルスが蚊によって媒介されるには、以下の条件があります。

1. ヒトが感染した際に新型コロナウイルスが血液中から検出される。

蚊が吸血した際に、吸血されたヒトの血液中にウイルスが存在しなければ蚊蚊が吸血した際に蚊の体内に入ることができません。

ヒトが感染した際に新型コロナウイルスが血液中に検出されるかに関しての調査では、新型コロナ患者から採取された血液検体から新型コロナウイルスが検出されたのは、1%と極めて低い結果が得られています。

軽症・中等症では血液中に新型コロナウイルスが検出されることは稀なんです。

2. 新型コロナウイルスが蚊の体内で増殖することが出来る

現時点では蚊の体内で新型コロナウイルスは増殖しないことが確認されています。

3. 蚊からヒトの血液に注入された新型コロナウイルスがヒトの体内で増殖することが出来る

この証明は極めて難しいのが現実です。

新型コロナウイルス感染者の血液を採血し、針刺し事故を起こして感染した事例が発生すれば血液からの新型コロナウイルスの感染はあると言えますが、現時点まで針刺し事故での新型コロナウイルスの感染は発生していません。

上記1~3のことからして、現時点では蚊からの新型コロナウイルスの感染はないと結論付けられています。

しかし蚊から感染する病気があることから、蚊に刺されないように虫よけを使ったり、肌の露出をできるだけ少なくするなどの対策をしておく必要はあります。

2021年6月27日日曜日

新型コロナウイルスについて-31.新型コロナワクチン接種後に発熱や頭痛が…市販薬は飲んでいいの?-

 厚生労働省が開設したサイト「新型コロナワクチンQ&A」にも、「ワクチンを受けた後に熱が出たら、どうすれば良いですか」「ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか」といった項目が開設されていますので一度ご覧ください。

これらの疑問に対し、サイトでは「ワクチンによる発熱は接種後1~2日以内に起こることが多く、必要な場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして、様子をみていただくことになります」などと回答されています。

市販の解熱鎮痛剤では、イブプロフェンやロキソプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs:NSAIDs)やアセトアミノフェンなどがあり、厚労省のサイトでは「ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます」と記載されています。

アセトアミノフェンは妊娠中・授乳中の女性も使うことが可能です。

ただし、咳やのどの痛み、味覚・嗅覚がなくなる、息切れなどのワクチン接種後の副反応としては通常、起こりにくい症状が見られる場合や、薬によるアレルギー症状やぜんそくが起きた経験がある人、妊娠中・授乳中の女性や病気の治療中の人は、市販薬を服用する前にかかりつけ医によく相談されることです。

しかしワクチン接種後発熱や頭痛が起きることがあるからと言って、発熱や頭痛といった副反応の症状が出る前に予防的に解熱鎮痛薬を繰り返し飲むのは現時点で推奨されてないので予防のための服用はしないほうが良いでしょう。

ワクチン接種よる発熱か、新型コロナウイルス感染症かを見分けるには、発熱以外に、咳や咽頭痛、味覚・嗅覚の消失、息切れ等の症状がないかどうかが、手がかりとなります。

※ワクチンによる副反応の発熱では、一般的にはこれらの症状はみられません※

ワクチン接種後、2日間以上熱が続く場合や、症状が重い場合、ワクチンでは起こりにくい上記の症状がみられる場合には、自己判断で薬を服用せずに医療機関を受診することをお勧めします。

ワクチン接種後の発熱等に使用可能な薬剤の代表的な製品を一部紹介しておきますので参考にしてください。

○イブプロフェン系薬剤

・ブルフェン

・イブ

・エスタック

・ナロンメディカル

○ロキソプロフェン系薬剤

・ロキソニン

・バファリンEX

・エキセドリンLOX

・セレコックス

・ナスキサシン

○アセトアミノフェン系薬剤

※アセトアミノフェンは比較的、副作用が少ないですが、人によって肝機能障害を起こすことがあるため、市販のアセトアミノフェンは用量が低く抑えられているのだと思います※

・カロナール

・タイレノールA

・バファリンルナ

・ノーシン

・セデス

2021年6月20日日曜日

新型コロナウイルスについて-30.現在使用中の新型コロナワクチンは、変異株の感染予防となるのか??-

 多くの専門家は、幾つかの有効なワクチンが集団免疫の達成を助ける可能性があることに希望を抱いていましたが、これが打ち砕かれそうです。

ワクチン接種と過去の感染が組み合わさることで、他人への感染をほぼゼロにできる可能性があると期待していましたが、これが幻想となる可能性が高くなってきています。

2021年2月の南アフリカでのワクチン臨床試験データは、感染力の強い変異株がワクチンの効果を弱める可能性があるだけでなく、感染したことのある人の自然免疫をもくぐり抜ける恐れがあることが指摘されました。

南アフリカ型やブラジル型の新たな変異株を巡ってここ数週間に出てきたデータは、楽観的な見方を打ち砕いたと報じられています。

専門家らの考え方としては、新型コロナウイルスは一定の地域や季節に一定の罹患率で広がり続けるウイルスとして地域社会に残るだけでなく、今後何年も発症者や死者の多大な犠牲を招く可能性が大きいとの見方に変化しつつあります。

従ってワクチン接種が始まっても今後も、特に高リスクの人々は、習慣としてのマスク着用や、感染急増時の混雑回避などの対策が今後も必要となりそうです。

このことは米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長もワクチン接種後であっても、変異株が出てきているのならば「自分はこれからもマスクを着用したい」といみじくも語っています。

要するに小さな変異株が出現するだけで、これが次の流行急増を誘発し、いつ生活が正常化するかの見通しをがらりと変えてしまうということになりかねないということです。

新しく出現した新型コロナウイルスに関しては、人の免疫システムがどのように戦うのかが解明されていないことから今後も色々な問題か発生しても不思議ではありません。

しかし、予防接種により多くの国で、感染率の低下、優先接種された人々の重症化や入院が劇的に低下した例も報告されています。

2021年6月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-29.イベルメクチンは新型コロナウルス感染治療に有効なのか?-

 新型コロナの変異株の蔓延で感染爆発が起きていたインドで、2021年5月を過ぎてから、その状況に変化が生じています。

インドの各州が抗寄生虫病の特効薬「イベルメクチン」の本格投与に踏み切ってから、感染者数・死亡者数ともに減少し続けています。

イベルメクチンは、大村智・北里大特別栄誉教授が発見、開発し、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した抗寄生虫薬です。

イベルメクチンは今、新型コロナコロナウイルスのパンデミックで再び世界中の注目を集めている。

試験管レベルの研究で、新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、ウイルスのたんぱく質の核内移行を妨害し、増殖を抑制することが明らかにされています。

世界的に見てもその有効性が確認されています。

WHOはイベルメクチンは効果がないと言っていますが、これは信用できません。

その理由としては、WHOは以前、マスクは要らないという方針をとっていましたが、今は一転してマスクが重要だと言っています。

WHOの考え方はその時の政治的背景で左右されている可能性が高いです。

今のWHO言うことはあまり信用できません。

イベルメクチンの新型コロナへの効果が注目される端緒になったのはアフリカでした。

アフリカは医療体制が整っている国は少ないにも関わらず国によっては感染者数が思ったほど増えていない国があります。

内容としてはイベルメクチンを配った国は感染者が少なく、配っていない国は感染者が多かったという事実があります。

例をあげますとアフリカで「投与ありの国」の感染者数は、10万人当たり131人で、「投与なしの国」が925人となり、死亡者数は、投与国が10万人当たり2.1人で、投与していない国は28・4人と、13倍以上の開きがあります。

このデータからしてもイベルメクチンの有効性を推し量ることが出来るのではないでしょうか?

日本国内においての研究においても80%に効果があるというデータが得られています。

現在イタリア・イギリス・日本・フランス・アメリカなど、先進国も治験を開始していることからして、今後先進国の結果がオープンにされれば、イベルメクチンの使用に反対する一番の理由がなくなってしまうので、情勢は変化して効く使い方が明らかになってくると考えられています。

新型コロナウイルス感染者に対する有効な薬剤がない現在、副作用がほとんどなく、有効性の高いイベルメクチンの使用を国はもっと推し進めてほしいものです。

イベルメクチンの知名度はアビガンに比べて低いことと、本来は駆虫薬なので、新型コロナウイルスに効くという認識がほとんど持たれていません。

また新型コロナの治療なのにどうして虫下しの薬を飲ませるのかと、抵抗を抱いてしまう人も多いののが現実でしょう。

※日本ではイベルメクチンは厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症COVID-19診断の手引き」に記載されている治療薬です※

2021年6月6日日曜日

新型コロナウイルスについて-28.新型コロナウイルスの国内製造ワクチンの現状-

 国内の主なワクチンの開発現状を簡単に解説します。

1.塩野義製薬 国立感染症研究所/UMNファーマ

コロナウイルスのタンパク質を遺伝子組み換え技術で作成(遺伝子組み換えワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2020年12月から開始

2.第一三共 東大医学研究所

コロナウイルスのmRNAを使用(mRNAワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2021年3月から開始

3.アンジェス 大阪大学/タカラバイオ

コロナウイルスのDNAを人に投与(DNAワクチン)

※2021年3月、第Ⅱ/Ⅲ相の参加者500人全員に接種が終わり、今後数カ月の経過観察をした後、2021年内に大規模な第Ⅲ相試験に入る予定

4.KMバイオロジクス 東大医科学研究所/国立感染症研究所

不活化したコロナウイルスを使用(不活性化ワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)

いずれのワクチンもまだ第Ⅲ相試験が行われていないか、完了してないことから申請にはまだ先となります。

感染予防ワクチンは、有効性が高いことも必要ですが、安全性が更に必要となります。

2021年5月30日日曜日

新型コロナウイルスについて-27.ワクチン接種の際にシリンジを引く逆血の確認は必要なのか?-

 ワクチン接種をする三角筋などの筋肉注射では通常大きな血管はないため、海外では逆血確認のシリンジを引く必要はないとされています。

これはあくまで予防接種についてのみの場合です。

予防接種において、筋肉注射でも皮下注射でもシリンジを引くと「痛い」ので不利益を被る人のほうが多いことからCDCの予防接種ガイドラインにも逆血確認は必要ないと記載されています。

確かに一昔前まではワクチン接種で逆血確認が必要と言われていました。

しかし医学は日々進歩しており、時代とともに医学はどんどん新しい知識や知見を学んでいく必要があります。

予防接種の筋肉注射を受けて接種者が逆血確認のためにシリンジを引かなくても間違いではありません。

いつまでも旧態依然の方法に固執することは出来ません。

現在世界の多くの国々では、生ワクチン以外のワクチンはこの筋肉注射での予防接種が広く一般的に行われています。

これは痛みも少なく、ワクチンによっては効果もより高いからです。

人は誰でももそうですが、昔から慣習的に行っていることを急に変えるという事に躊躇する気持ちや不安になる気持ちを抱くのが常です。

ワクチン接種が多い小児科の分野では、以前より筋肉注射への理解や知識を深めようとする動きはすでに行われています。

筋肉注射は垂直に針を刺すことから見た目は痛そうに思われがちですが、実際は皮下注射と比べると痛みなども少なく利点が多いのです。

痛みは人それぞれ感じ方に差がありますから、筋肉注射が皮下注射より痛みが少ないというのは海外での研究や海外での経験からわかっている一般的な知識として申し上げています。

人によっては筋肉注射の方が皮下注射より痛いと感じる人もいて当然ですし、その逆もそうです。


2021年5月23日日曜日

新型コロナウイルスについて-26.新型コロナウイルスの変異株に対してワクチンはどの程度効果あるのか?-

 2021年5月12日、横浜市立大学の研究グループがファイザー製ワクチンを接種した医療従事者105人を対象に感染予防に役立つ中和抗体がどの程度作られているか調査した結果を発表しました。

2回接種では変異株別に見ると、

・イギリス株は94%

・南アフリカ株は90%

・ブラジル株は94%

・インド株は97%

・カリフォルニア株は97%

・ニューヨーク株は98%、

・E484K変異のある由来不明株は97%

・従来株は99%

の人に感染予防効果が期待できる量の中和抗体が確認されたということです。

このことは、2回のワクチン接種で90%以上の人に感染予防効果のある中和抗体が確認されたことになります。

1回接種では中和抗体の出来る割合は、平均で57%と低くなります。

この調査結果は調査対象者が100人と少ないことから、確定的に事は言えないと思いますが、取り敢えず感染予防効果があることが明らかになったことは明るい道がひらけそうです。

今後調査対象を増やしてさらなる分析が必要となります。

2021年5月16日日曜日

新型コロナウイルスについて-25.スポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機の有効性について-

2021年5月現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜できる空間除菌の家電や雑貨はありません。

従ってスポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機は、新型コロナウイルスの予防には全く意味がありません。

※新型コロナウイルス感染症対策として"空間除菌"をうたう空気清浄機は、人への有効性や安全性が未確立な技術であり、その有効性は医学的には証明されていません※

空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨してます。

感染症対策の専門家は、「空間除菌」については「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない」と、指摘してます。

スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きがあるとの誤解を一般に与えることから、極めて問題であると言えます。

役人は専門的な知識もなく、専門家に相談すること無く、税金を無駄に使用しているとしか言えません。

本当に嘆かわしいことです。


2021年5月9日日曜日

新型コロナウイルスについて-24.インド変異株-

 2020年10月頃インドのマハラシュトラ州で出現

特徴としては、スパイクタンパク質にふたつの変異

南アフリカ型及びブラジル変異株にみられるE484K変異と米国カリフォルニア州で確認されたL452R変異が同時に見られる二重変異株で、B.1.617と呼ばれています。

世界20ケ国で見つかっている。

日本国内では2021年4月26日時点で21件見つかっている。

「二重変異株」とも呼ばれ、免疫が働きにくくなったり、感染力が強まったりする可能性があるが、ワクチンの効果への影響ははっきり分かっていない。

現在、世界で拡大している新型コロナウイルスの変異株の中には、特に注意すべきものとしてVOC(variant of concern:懸念される変異株)やVOI(variants of interest:注意すべき変異株)などがあります。

VOCにはイギリス由来、南アフリカ由来、ブラジル由来の変異株が指定されています。

VOIには先日フィリピンからの入国者から見つかった変異株や、前述のカリフォルニア株などが指定されています。

このインド由来の変異株B.1.617が今後VOCやVOIに指定されるかどうかについては、

・感染性の増加の有無

・重症度の増加の有無

・再感染リスクの増加やワクチン有効性低下の可能性

などについての情報が集積されるのをもう少し待たなければなりません。

2021年5月2日日曜日

新型コロナウイルスについて-23.空間除菌グッズに騙されないように!!その2-

 某メーカーのサイトには「ウイルスを99%除去できる」などといった宣伝文句が書いてありますが、これは空間除菌グッズに空気中を漂うウイルスや細菌を不活化させる一定の働きがあるのは本当ですが、これは限られた、実験室の条件下でウイルスを除去出来るということにほかなりません。

日常生活で実際に使用される環境下でウイルスを除去出来る性能を持っていなければ何の役にも立ちません。

要するに消費者が、「ウイルスを99%除去できるから新型コロナの感染予防にも役に立つのだろう」と誤解するのは消費者の勝手ということになります。

消毒剤や治療薬は、試験管内や動物実験で良い効果が得られて、実際に使用すると全く効果がなく、逆に害が大きかったりすることはよくあります。

そのために世に出るまでには、大規模な臨床試験で効果や安全性を確認します。

このような大規模な臨床試験で効果や安全性を調べるには、多くの時間と多くの費用がかかります。

そのことから、「効果がありそう」という誤解を維持させ続けたまま「雑貨」で売り続けているのです。

感染を予防する可能性を否定出来なくても、空間除菌をやることはやらないよりはましだと考える人もいますが、これは空間除菌に害がなければの話です。

ウイルスに影響を及ぼす薬剤で、人体にはまったくの安全という化学物質はほぼ存在しません。

短時間で空気中のウイルスを不活化できる濃度の化学物質は、同時に人に有害である可能性が大なのです。

被害を防ぐために安全性を優先して濃度を薄くすると今度は効果がなくなってしまいます。

販売されている商品がそれぞれの使用条件下で、ウイルスを不活化できるが人体に害のない適正な濃度を維持できるとは限りません。

そもそもそんな適正な濃度があるのかどうかも疑問なのです。

空間除菌製剤による健康被害は実際発生しています。

咳、呼吸器、悪心のほか、重症度の高いものとして首からぶら下げるタイプの空間除菌製剤によって化学熱傷が起きたという事例が複数報告されています。

これらの被害に対して、製造販売しているメーカーは、『適切に使用すればこうした事故は起こらない』と言うかもしれませんが、本当に感染予防効果が明確であれはその言い訳は通用するかもしれませんが、効能があるのかどうかもわからないのに、使い方を間違えれば重大事故が起きうる製品を使うのは極めて非合理的です。

健康被害の起きるリスクの高い"雑貨"を念の為あるいは万が一のときのために使用するにはあまりにもリスクが大きすぎます。

空間除菌グッズには、医学的には感染予防効果が証明されていないこと、使い方によっては重大な健康被害が発生することを製造販売しているメーカーははっきりと告知する義務があると思います。

新型コロナウイルスの大流行で、人々は藁をもすがる思い出で製品を買って感染対策をせざるを得ない人々の弱みに付け込むことは許されるべきではないと思います。

国も指摘するだけでなく、取締をしてほしいものです。

少し長くなりましたが、ご容赦下さい。

2021年4月25日日曜日

新型コロナウイルスについて-22.空間除菌グッズに騙されないように!!その1-

 空中に消毒薬を拡散させることで空気を消毒すると称する、いわゆる「空間除菌」は、数多く宣伝されています。

据え置きタイプ・首から下げるタイプ・スプレータイプなどさまざまな商品が販売されていますが、空間除菌によって新型コロナウイルスの感染を予防できるという臨床的証拠(医学的根拠)はありません。

先進国においても空間除菌を推奨している公的機関もありません。

厚生労働省のサイトには、下記の注意を促しています。

『消毒剤や、その他ウイルスの量を減少させる物質について、人の眼や皮膚に付着したり、吸い込むおそれのある場所での空間噴霧をおすすめしていません」「これまで、消毒剤の有効かつ安全な空間噴霧方法について、科学的に確認が行われた例はありません。また、現時点では、薬機法に基づいて品質・有効性・安全性が確認され、「空間噴霧用の消毒剤」として承認が得られた医薬品・医薬部外品も、ありません」』

それでは空間除菌グッズは何に分類されるのでしょうか?

そもそも空間除菌グッズは、医薬品や医薬部外品ではなく単なる"雑貨"なのです。

全てのメーカの宣伝文句を注意してよ~く読んでみますと、「新型コロナの感染予防に効果がある」とは一言も書かれていません!!

医薬品や医薬部外品ではなく"雑貨"であるのに、感染予防の効果効能をうたうと法律違反になります。

新型コロナの流行以前から、空間除菌グッズを販売する会社は、景品表示法に基づいて消費者庁からしばしば措置命令を受けています。

消費者にはあたかも感染予防効果があると誤認させる一方で、消費者庁からは処分を受けないように考えて広告表現を工夫して宣伝する才能は大したものと言わざるを得ません。

続く


2021年4月18日日曜日

新型コロナウイルスについて-21.新型コロナウイルス抗体検査について-

 新型コロナウイルス抗体検査には抗体即日検査と抗体精密検査の二種類があります。

抗体即日検査は15分ほどで検査結果が判明し、新型コロナウイルスのIgM抗体、IgG抗体どちらが陽性が出たかというのも判別することが可能です。

抗体精密検査は検査結果が判明されるまで2~4日ほどかかりますが、抗体即日検査よりも精度が高いと考えられています。

この検査の欠点としては陽性となった場合、IgM抗体、IgG抗体のどちらが陽性であったのか判別することはできません。

即日抗体検査はイムノクロマト法を利用した検査です、

【IgM抗体とIgG抗体について】

基本的にIgM抗体が感染初期に現れ、比較的早い段階で消失し検出できなくなります。

IgM抗体が陽性の場合は、過去1週間以内に感染した可能性が高いということになります。

それに比べてIgG抗体は比較的感染後遅い段階で現れ、長期間検出可能と言われています。

IgG抗体が陽性の場合は、過去数ヶ月以内に感染した可能性があり、抗体が体内に存在していることになります。

IgM抗体、IgG抗体ともに陽性だった場合は、現在進行形で新型コロナウイルスに感染している可能性が考えられます。

【注意す.べきこと】

IgM抗体、IgG抗体ともに陰性であっても新型コロナウイルスに対する抗体が検出できなかったことを確認しただけで、新型コロナウイルスの感染を完全に否定する事はできません。

また、新型コロナウイルスのワクチンを接種し、抗体ができると陽性となります。

【検査キットの信頼性】

・IgGの感度100% 特異度98.9%

・IgMの感度100% 特異度97.8%

※抗体陽性は、「過去に感染した可能性が?い」ということを意味するのみ※

?:抗体アリ≠感染防御免疫アリとは言えません

? :抗体検査は、ウイルスに対する免疫反応を検出することから、必ず特異反応であるとは言い切れません

キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、正確な診断をするための検査とは言いにくいです。

一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1~2週間(感染初期)、IgG抗体は2~3週以降(回復期)に出現します。

※国立感染症研究所の評価によりますと、イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59.4%、IgG抗体陽性率は96.9%と報告されています※

※2021年4月現在、厚生労働省が認可した簡易キットは『エスプラインR SARS-CoV-2(富士レビオ社製)』・デンカ株式会社の「クイックナビ-COVID19Ag」・株式会社タウンズの「イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2」がありますが、これ以外のネット通販のキットは厚生労働省が認可した簡易キットではないことからこれらキットを使用する場合は自己責任で利用することになります※