血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2025年4月27日日曜日

いきなりエイズ率とは

 【"いきなりエイズ率"とは】


HIVの感染を知らずにAIDSが発症した事例の割合とされていますが、実際には新規HIV感染報告事例+新規AIDS発症報告事例に占める新規AIDS発症報告事例の割合で表されています。


"いきなりエイズ率"とはマスコミを中心に用いられており,厚生労働省エイズ動向委員会による『エイズ発生動向年報』においては,これまでに HIV/AIDS関連の正式な統計指標として"いきなりエイズ率"の名称が使われたことはありません。


【"いきなりエイズ率"が高いということは何を意味するのか】


気づいた時には既にエイズを発症しているという事例が多いことを意味します。


高いということは、不安な行為をした人で積極的にHIV検査を受けている人が少ないということになります。


"いきなりエイズ"は毎年400件以上(新規HIV報告数の約3割)も報告されているのが現実です。


不安な行為をしてもHIV検査を受けない人が多いことから、実際の国内HIV感染者数は報告件数を大幅に上回っているとことが懸念されています。


このことからして更に"いきなりエイズ"は増加すると懸念されています。


近年、我が国における"いきなりエイズ率"は、20%前後と横ばい推移していますが明らかな減少傾向とはなっていません。


大切なことは、不安な行為をしてしまったときにはHIV検査を受けられる適切な時期が来ればHIV検査を必ず受けるということです、 これが"いきなりエイズ"を減少させることになります。


よく体調不良やいろいろの症状から感染を云々する人が多いですが、HIV感染は適切な時期にHIV検査を受けないとわかりません。 


2025年4月20日日曜日

感染症速報-5.ノロウイルス未だに流行中-

ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、例年冬に流行ピークを迎えますが 2025年は春になっても流行が続いている状況です。

特に、過去10年間で同時期に最も多い患者数となっていてこれは、2つの異なるタイプのノロウイルスが流行していることや、乾燥した気候、寒暖差などが原因と考えられています。


そのことから今年は春になっても異例の流行が続きマスコミを賑わしています。


今年の長引く流行の原因としては、例年流行するのは1つのウイルスタイプだけですが、今年は2つのウイルスタイプが時期をずらして流行しているからと言われています。


最初GII.4(1つ目のウイルス)が流行し、GII.17(2つ目のウイルス)が流行していることから、流行規模と流行時期が長くなる可能性があると指摘されています。


ヒトに感染する主要なノロウイルスは、現在2つの遺伝子群(GIとGII)、さらにGIは9種類(GI.1~GI.9)、GIIは22種類(GII.1~GII.22)の遺伝子型に分類されています。

【現在流行しているノロウイルスのウイルスタイプ】

1.GII.17」というタイプが65%余り

2.GII.4」というタイプが、17%余り


【予防対策】

1.手洗いの徹底・・特に排便後や食事の前に、手洗いを徹底することが重要です.。

2.適切な食中毒対策・・食品の加熱や、生食を避けるなど、適切な食中毒対策を心がけましょう.。

3.嘔吐物の処理・・嘔吐物を処理する際は、マスクと手袋を着用し、適切な処理を心がけましょう.。

4.医療機関の受診・・吐き気や嘔吐、下痢などの症状がある場合は、素人判断をしないで早めに医療機関を受診しましょう。

2025年4月13日日曜日

感染症速報-4.梅毒-

 日本国内における2024年の梅毒の患者報告数は、全国で14,663人(速報値)となり、2023年の14906人とほぼ同様の患者数となっています。


1948年から梅毒患者について報告制度※注がありますが始まり、患者数は減少傾向にありましたが2011年頃から報告数は再び増加傾向となり、2021年以降大きく増加しています。


この増加の原因としては、


1.出会い系サイトの普及による不特定多数との性交渉の頻度が増えれば、梅毒に感染するリスクも高くなります。


2.性の多様化による感染者の増加。


3.ピル(経口避妊薬)使用のハードルが低くなり、コンドームの使用率の低下。


などいろいろと言われていますが未だにはっきりとしていません。


梅毒はHIVのようにコンドームでは完全に予防できませんが、やはり感染防止には役立っていますので、過信することなく利用する必要があります。


不安な行為をしてしまったときには必ず適切な時期に梅毒検査を受けて、感染がわかればすぐに治療すれば短期間で完治します。


早期の場合はペニシリン注射一回で完治しますが、治療が遅れればそれだけ完治するのは遅れることになります。

2025年4月6日日曜日

感染症速報-4.日本国内において百日咳が患者が急上昇-

百日咳(pertussis, whooping cough)は、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とする急性気道感染症です。


乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6カ月以下では死に至る危険性も高い感染症です。


百日咳の咳は、短い咳が連続して出るのが特徴で、息を吸うときに「ヒューヒュー」という音がします。


咳発作は連続した咳き込み(スタッカート)の後、息を吸うときに笛の音のようなヒューという音が出る(ウープ)発作の繰り返し(レプリーゼ)が約2~3週間持続し、咳が治まるまで約100日間(3ヵ月程度)続きます。


百日咳の病名は、咳が約100日間(3ヵ月程度)続くことに由来しています。


百日咳特有の咳を紹介した貴重なサイトを以下に記載しておきまのので、参考にして下さい。

『百日咳とはこんな咳』


国立健康危機管理研究機構は、3月23日までの1週間で全国の医療機関から458人の患者が報告されたとの速報値を公表しています。


2025年に入ってからの累積は4100人で、すでに昨年1年間の累積4054人を超え都道府県別では大阪府が最も多く、336人。東京都が299人、新潟県が258人と続きます。


百日咳にはワクチン接種が最も予防に有効とされています。


ワクチンの普及とともに感染者数は減少してはいますが、世界各国でいまだ多くの流行が発生しています。


日本国内での百日咳流行を受けて日本小児科学会は、2025年3月29日付で「百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について」を公開し、日本国内でマクロライド系抗菌薬耐性菌の分離報告が増加していることについて注意喚起するとともに、現行の定期接種に加えて、任意接種での3種混合ワクチンの追加接種を推奨する旨を改めて周知しています。

【参考資料】


『百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について 』