血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2013年12月31日火曜日

痛風の検査-1.痛風とは何?-

痛風は西洋では古くから知られた病気ですが、日本においては明治以前までは存在しなかった病気とされています。

痛風が日本で増加し始めたのは1960年代からです。

この原因として考えられることは、食生活が欧米化し動物性タンパク質や動物性脂質を取りすぎるようになったことが指摘されています。

現在日本では、およそ60万人の痛風患者が存在すると推定されています。

そして患者の90%以上が男性で、年齢層としては40~50歳代に多く存在しています。

女性の場合は、ほとんどが閉経後に痛風となり生理がある間には痛風にはなることはまずありません。

その理由としては、女性ホルモンの一種のエストロゲンが関与しています。

エストロゲンは体内の尿酸をスムーズに体外へと排出させる働きがあることから、エストロゲンの分泌のない男性は尿酸値が高くなります。

一方、女性はエストロゲンのおかげで痛風に罹りにくいわけですが、卵巣からエストロゲンの分泌が止まる時期、つまり閉経後は痛風に注意する必要があります。

痛風は、高尿酸血症を原因とした関節炎を引き起こす疾患で、発作の箇所の痛みが風が吹く様に足・膝・腰・肩・肘・手や胸骨など全身の関節を移動し、そして風の副強さが強まったり穏やかになったりする様に痛みが激しくなったり和らいだりを繰り返すことから命名されたとされています。

また、風にあたっても激しく痛むからとの説もあります

痛風になると関節に激烈な痛みが起こりますが、この痛みは耐え難いものです。

患部の腫れた箇所の側を猫が通った時に起こるかすかな空気の動きでも激痛が走るとも言われています。

2013年12月4日水曜日

マイコプラズマ肺炎の抗原検査

マイコプラズマ肺炎は、ほとんどの人の咽喉に生息しているマイコプラズマニューモニアという病原体によって引き起こされる肺炎です。

マイコプラズマは、感染力が弱く、発病率も低いため健康な人の場合はまず発病しません。

しかし、体力が低下している時や、咳をしている人の近くにいてマイコプラズマを一度にたくさん吸い込むと発病します。

日本人の場合、5歳までに65%の人が感染し、成人になるまでに97%の人が感染しています。

マイコプラズマの潜伏期間は1~3週間程度で、一般的な症状はせき、発熱、頭痛、倦怠感で、普通の風邪と見分けがつかず診断や治療・入院が遅れる場合がが多くみられます。

普通の風邪と異なるのは、咳に痰がからまず長く続き、胸や背中の筋肉が痛くなることがあるという点と、38度以上の高熱を伴うということです。

秋から冬にかけて流行することが多く、一度流行すると広範囲に広がり、6~7ヶ月間程度蔓延し、一昔前まではオリンピックの開催時期に流行したため"オリンピック病"とも呼ばれていましたが、最近は毎年のように流行しています。

マイコプラズマに感染すると、免疫を獲得しますがこの免疫は生涯続く免疫ではなく、再感染する場合が多いです。

殆どの場合、抗生物質の投与で完治しますが、最近では抗生物質の効きにくいマイコプラズマ肺炎もかなり増加してきています。

【マイコプラズマ肺炎の検査】

血清抗体検査がありますが、この検査では血液中にマイコプラズマ抗体ができていないと感染していても陰性となってしまいます。

しかし、マイコプラズマの抗原を見つける検査では、マイコプラズマに感染すれば直ぐに検出可能となります。

【リボテスト マイコプラズマ】

イムノクロマト法による検査で、マイコプラズマの“L7/L12”に固有な領域を識別するモノクローナル抗体を用いることにより、咽頭うがい液を使用して、15分で判定できます。

【判定方法】

陽性:コントロールラインとテストラインの両方に赤紫色のラインが出現。

陰性:コントロールラインのみに赤紫色のラインが出現。

判定不能:コントロールラインに赤紫色のラインが認められない(再検査)。

※テストラインに赤紫色のラインが出現してもコントロールラインに赤紫色のラインが認められない場合も判定不能とし、再検査を実施します※