【ロタウイルスとは】
ロタウイルスはレオウイルス科に属するウイルスで、1973年に下痢を起こした患児から初めて発見され、電子顕微鏡で車輪のような形に見えることから、このウイルスはラテン語の「車輪」を意味する"ロタ(rota)"と命名されました。
【感染について】
ロタウイルスは、非常に感染力が強く特に免疫力の弱い小児(6ヶ月~2歳)期に必ずと言っていいほど感染する病気です。
症状としては、水のような多量の下痢便で、便の色も白っぽくなることから"白色便性下痢とも呼ばれています。
更に激しい嘔吐を伴うことも多いことから、"嘔吐下痢症"、"小児仮性コレラ"などとも呼ばれています。
秋から冬にかけて流行することから"冬季下痢症"とも呼ばれます。
ロタウイルスに汚染された唾液や便や食べ物が口から入ることにより、1~3日の潜伏期間をへて下痢が始まります。
ロタウイルスは、およそ1週間便中に排泄され感染源となります。
ロタウイルスは増殖力が強く、10個前後の少ない数が体内に入っても発症することがあります。
ロタウイルスは、嘔吐物や大便には多く含まれていますが、一部は飛まつとなって空気中を飛び回り、感染を繰り返しますから、家族でひとりの感染者が出ると家族全員が感染することがよくあります。
ロタウイルス感染は、乳幼児だけでなく、大人にも感染します。
免疫が低下した大人(とくに高齢者)は感染しやすくなりますので注意が必要となります。
【治療法】
ウイルスが原因なので、特効薬は無く対処療法のみとなります。
激しい下痢が起こりますが、下痢止めを使用すると逆にロタウイルスが排泄されず症状が長引くことがあるので使用しないで、下痢で失われた水分や電解質を補うことが重要となります。
嘔吐や下痢によってロタウイルスが体内から排出されれば、症状は速やかに改善しますので、普段健康な人は全く心配はありません。
乳幼児や小児の場合嘔吐を伴い飲み物が飲めない場合は、点滴治療が必要となります。
【ラピッドエスピー《ロタ》検査キットについて】
金コロイド粒子を用いたイムノクロマトグラフィーの原理に基づく簡易キットです。
採取した糞便を希釈用緩衝液中に十分に混ぜあわせた後に、サンプリングループを抜き取り、そのままの状態で、1~2分放置後、チューブ内に、テストストリップを矢印の向きが下向きになるように挿入し、ストリップの先を検体溶液に浸漬させた状態で15~30℃で、10分間静置反応させます。
【判定方法】
結果を目視判定します。
1. 陽性:テストストリップのコントロールラインと判定ライン両方に、赤~紫色のバンドが確認出来る。
2.陰性:テストストリップのコントロールラインのみに赤~紫色のバンドが確認され、判定ラインにバンドが確認出来ない。
3.判定保留:テストストリップのコントロールライン上に赤~紫色のバンドが現れない場合は、たとえ判定ラインに何らかのバンドが形成されたとしても、その試験結果は無効となり再度検査をし直す必要があります。
【注意点】
ロタウイルスに感染していても糞便中のロタウイルス抗原の濃度がキットの検出感度以下の場合や、糞便の採取が不十分であった場合にも陰性となる可能性があります。