血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2013年3月25日月曜日

尿検査-No.4尿のpH-


尿のpH検査では、尿の酸性・アルカリ性を調べます。

中性がpH7、それより数値が小さと酸性、大きいとアルカリ性をあらわします。

健康なヒトの尿は、弱酸性であり、中性に向かうよう体の調節機能が自然に働いています。

しかし偏食気味の人や、身体の一部に不調が起こり、調節機能が働きにくい状態だとこのpHに変化が起こることがあります。

動物性食品を多く摂取すると尿は酸性となり、植物性食品を多く摂取するとアルカリ性となります。


【検査目的】

尿のpHは、酸塩基平衡(体内の水素イオン濃度を適切に保つ調節機構)の異常を反映しています。


【基準値】

pH5~7.5

健常なヒトの場合は、pH6.0~6.5前後と弱酸性です。



【主な疾患】

1)尿のpHが酸性の場合

疑われる病気は、腎炎、糖尿病、痛風などがあります。

発熱や下痢の症状がある場合も、尿は酸性となります。

2)尿のpHがアルカリ性の場合

尿がアルカリ性を示した場合は、まず疑われるのは尿路感染症です。

腎盂炎や膀胱炎、尿道炎などがあります。

細菌や膿汁が尿に混じりアルカリ性となります。

※尿のpHは刻々と変化し、1日の中でも酸性から中性と時間ごとに変化することもありますから、尿のpHだけでは判断はできません。


2013年3月18日月曜日

尿検査-No.3 尿の比重-


尿比重とは、尿の中の水分と水分以外の物質の割合を算出したものです。

尿には水分以外に、体内活動の結果として含まれる老廃物(尿素や窒素、ナトリウム、クロールなど)が含まれています。

その結果、尿の比重は水よりもやや高く、健康時には1.010~1.030の範囲で変動しています。

尿比重値の変化によって、腎臓の病気を推定することができます。

尿の比重値は、健康な人でも水分摂取量により変化します。

大きく変動する場合は、腎臓での尿の濃縮力などの障害が考えられます。

【基準値】

1.020~1.025

【異常な場合疑われる病気】

低比重・・・・・慢性腎炎、尿崩症

高比重・・・・・ネフローゼ症候群、糖尿病、心不全

2013年3月11日月曜日

尿検査-No.2 尿の色について-その5.黄褐色~褐色-


尿が褐色になるのは、肝臓の代謝でできる色素が尿の中に出てきているためで、肝臓機能の異常が考えられます。

急性肝炎や胆道系の病気などの可能性も考えられます、更に肝臓に炎症がある場合は発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状も現れます。

※健康な人でも多量に発汗したときも黄褐色になる場合がありますが、これは一次的なもので心配はありません。

※朝起きたときや、運動をした後、多量の汗をかいた後、風邪で熱のある時などは、尿が濃縮されて濃い黄褐色の尿になることがありますが、これも一時的なものなので心配はありません。

しかし、褐色の尿が長く続いたり、発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状が続くときには、直ぐに受診することです。

2013年3月4日月曜日

尿検査-No.2 尿の色について-その4.白く濁る-


健康な人の尿の色は透明ですが、尿が白く濁っていたら、尿路に炎症などが起きている可能性があります。

また、食べ物や飲み物、または体調よって白く濁ることがあります。

殆どの場合は心配ありませんが、場合によっては尿中の塩類が結晶化して白く見えることもあり、この場合は尿路結石が原因の時もあります。


腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などの尿路感染症の場合には細菌などが侵入して、尿の中に白血球が混じり、それによって尿が白色に濁ってきます。

また、炎症性または化膿性疾患が原因の時は、膿によって白く濁る(膿尿)ことがありますが、この場合は排尿痛・発熱・腹部痛などを伴います。

膿尿ではなく尿が濁ってくる病気に乳び尿症と言う病気がありますが、これは腎臓でリンパ液が尿中に逆流してしまう病気です。

滅多にない病気ですが南九州や南方に多くフィラリアの感染と関係がある病気です。

何れにしても尿が白くにごり排尿時の痛みや尿の回数が増えたり、発熱・腹部痛が伴えば放置しないで必ず受診することです。